5月・6月・7月

~~~ミルク色のコチカ~~~

奮闘記 -85-

2008年6月


あいまいな顔つきのコチカ。
何考えてるの?



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6月1日(日)

夕方に帰宅したら、コチカが擦り寄ってきて、
ソファに座った私の足の上に乗ってきた。
そしてしきりに私の顔を見る。
掻いてほしがる場所をくまなく掻いてやり、
コチカが私の顔を見上げたときに目線を合わせられるように、
ずっとコチカから目を離さなかった。
やがてコチカは横になりやすいように居住まいを正し、
毛づくろいを始めた。
遅い時間に帰ったわけでもないのに、こんな甘え方は珍しい。
どうしたのかないったい。。



 *  *  *  * 


6月3日(火)

来客。
なんと彼はある悩みを、私に話す前にコチカに話したのだという。
コチカは最初のうち、視線を合わせて真剣に聞いていた。
しかし一旦話終えて、つけたしみたいにまた話し始めたら、
さっと歩き出してしまったのだそうだ。

コチカは人の腹というか心はちゃんと聞く。
ネコとしての心に呼応させるのだと思う。
しかし、人間特有のいわゆる戯言は、興味がない。
心で聞く意味を持たないのではないか、と思う、
と私は言った。
そして人間の言葉で言わないだけで、
ものごとをよくわかっていると思う、とも。

そして彼は、
コチカへ話した後、私と話し、ある種の答を見出した。
ありがとう、と友人は私に言い、
コチカは何も言わなかったけれど、
私を通して答を聞いた、と言った。
私は単なる媒体かえ?



 *  *  *  * 


6月4日(水)

換気口のアドバイスの人(?)が来た。
グリーンが多いんですねえー、と言いながら、
キャット・タワーを初めて見たらしい彼は、
へーえ、へーえ、と何に感心しているのかわからないような声を上げながら、
キャット・タワーのそばにバッグを置いた。
そして、うわぁ!と体をのけぞらせた。
思いがけずコチカが寝ている穴倉のそばだったのだ。
想像するに、穴倉から顔だけ出したコチカの不審そうな真っ黒な目と視線が合ったのだろう。
あーびっくりした、本当に驚きました、と連発しながら、
パンフレットなどの準備をしている。
まあよくしゃべる人だこと。。

キャット・タワーのそばの換気口の説明を始めるのに、
コチカの穴倉に足を一歩進めたので、
コチカは大慌てで台所の方に逃げ出した。
そのコチカのみっともない後姿ったら。
腰が低くなっているので、後ろ足が開き、ガマガエルさながら。
100年の恋も冷めるよ、コチカ。。

換気口の彼は、台所へと場所を移動した。
台所で身を潜めていたコチカは、
敵が攻めてきた、とばかり恐怖に目を窪ませて出てきた。
またもいきなりコチカと遭遇することになった換気口の彼は、
ひぇ、っと両手を挙げて、
子供の頃に犬にやられたので、ダメなんですよ、と言った。
そういうわけだから、動物一般ダメだ、と言いたいのはわかったのだけど、
これはネコですよ、とわざわざ言ってやった。
そこでようやく言葉を失った彼。
ちょっと間、静かになった。
コチカだって、初対面の男性が苦手だけど、
さらにこれだけしゃべる人だと、余計に苦手なはず。
ソファに座る私の足の後ろに隠れ、じっとしていた。
来場する人はいろいろいるけれど、
コチカと互いに騒動起こすことは珍しい。
あー楽しかった^o^/



 *  *  *  * 


6月6日(金)

またネコ草を買ってきた。
コチカが自由に食べられるように、窓際に置いてある。
シャクシャクシャクシャク、と聞きなれない音がするので、
音の方向を見ると、コチカが青々としたネコ草を食べている。
これでよし・・でもないのだ。
長いままの草を食べると、ウ○チの切れが悪い。
ときどきお尻からブツをぶら下げて歩いているさえがある。
問題だこりゃ。。



 *  *  *  * 


6月7日(土)

今だにコチカがどこかから飛び降りたり、
抱っこしたりすると、
毛がふわぁ〜っと舞う。
まだまだダメなのかな、と思っていたら、
案の定、ご飯を食べた後に吐き戻した。
せっせと毛づくろいするからねえ。


アクロバティック毛づくろい


 *  *  *  * 


6月9日(月)

ソファに座る膝の上に乗ってきた。
飛んで火にいる夏の虫。
お尻周りの毛が少しずつ固まって、ぼさぼさして見えるのを、
そうっと一塊ずつ引っ張ってみると、ぬーっと抜けてくる。
か、快感!
もうすでに抜けたのが他の毛と絡まりあってくっついているだけなので、
さして痛みもないらしい。
で、これだけ、抜いた。
なんか気分いい^^\




 *  *  *  * 


6月11日(水)

朝からうにゃうにゃ甘えた声を出してすりすりしてくるコチカ。
どうしたのかな。



 *  *  *  * 


6月12日(木)

午後、睡眠不足が祟って具合悪かったので、寝室で眠った。
横になるとコチカがうにゃ〜とやってきて、
当たり前に私の枕の横の自分のシーツに横になった。
そして毛づくろいを始め、やがて眠った・・のだろう。
目覚めたら、コチカはおなかを弓なりにして長くなっていた。
付き合ってくれたみたいで、なんか嬉しい。

* * *

ご飯を食べたあと、吐き戻した。
この数日、母が来ていて夜に運動もあまりしていから、
欲求不満が溜まっているのかも、
と夫がファーのポンポンで遊んでやった。
ハッスルハッスル。
これでちょっとは発散できたかな。



 *  *  *  * 


6月13日(金)

朝、私はまたも調子が悪くて、10時ごろにベッドに戻ってしまった。
当然コチカも来てくれる。
手などをいっぱい舐めてくれて、自分も毛づくろいをして、眠った。

母が帰るらしい気配に、私は寝室を出た。
すでに玄関を出ていた母に挨拶をし、居間で座っていると、
コチカが寝室からやってきた。
窓から入る光に、まぶしい目を細めている。
そして母と母を送っていった夫がいないことで、しんとしている部屋に、
あれ?という顔をしたので、
お母さん、帰ったんだよ、と言うと、
う、と小さく言ってうろうろ歩き、あたりを見回したりして、なにやら寂しそうだった。

母は一人でいてもバタバタと騒々しい人だけど、
その母がいる空間に馴染んでみると、
静かな空間は静か過ぎるし広すぎるように思えるのかもしれない。
ネコとはいえ、本人(猫)が自分が家族の一員だと心得ているのだから、
人が出て行くときには、挨拶をして、ある種のけじめをつけてあげるべきなのかも、
と感じた。



 *  *  *  * 


6月15日(日)

夜中。
寝返りを打ったら、Grrr、と小さく唸る声が聞えた。
手が不用意に当たってしまったのかも。
そういえば最近は、噛み付きの発作を起こさない。
ここへ引っ越してきてから一度もないのでは。
もしかして、前の家は狭すぎた?
触れ合うこと、互いの出すノイズなどが近くで聞えすぎたのかな。
今の家もそう広くはないけれど、
でも毎日各々がいる場所はある程度空間があるのかしら。
それにしても、コチカはいつも私のすぐ足元にいるけどなあ。



 *  *  *  * 


6月16日(月)−21日(土)

南アルプス市という新しい市ではあるけれど、
まだまだ秘境である温泉郷に、篭りに行ってきました。
おいしい空気とお水にすっかり満足して、
コチカと一緒に寝たり起きたりしていただけでした。
その様子はまた。


おいしい窓辺で・・1日で置物化したコチカ


 *  *  *  * 


6月16日(月)−21日(土)

明日出かけるという前日、
荷物をあっちへこっちへとやっている人間を、
キャット・タワーからじっと見下ろしているコチカに、
「明日、○〜○○と○○とコチカと車に乗って温泉に行くよ」
と3回くらい言って聞かせた。
果たしてわかっていたかどうか、
出かける寸前に用意していたキャリーの前にコチカを置いたら、
すごすごと文句なしに入っていった。

発車してから最初のうちこそ、キャリーの中でじっとしていたが、
首都高から中央高速に乗ってコチカの好きなバーバラ・ヘンドリックスの黒人霊歌をかけていたら、
来た来た来た来た^^\
助手席の私の膝の上にそろそろとやってきて、
私の顔に鼻をこすり付け、ご機嫌ご機嫌!をやってくれた。
やったー
これで楽しい旅の準備がようやく整った。

* * *

甲府昭和のICで降り、
広々とした新しい土地を抜け、農道らしい道を通り、
いよいよ山道のぐるぐる坂に差し掛かると、
緑が車の両脇から迫ってきて、
マイナスイオンのしっとりした匂いが車内にも染みてきた。
すると突然コチカが膝に上に立ち上がり、
窓にへばりついて、うにゃ〜、と切ない声を上げ、
私を振り返ってすりすりすり〜を繰り返した。

そのとき私はリアシートで、シートベルトをしていたのだが、
急なカーブのつどにシートベルトが締まってきて、
コチカ座布団がずれないよう右手で支え、
コチカを左手で支え、まるでお団子のようになってシートの片隅に押し付けられていた。

コチカは感極まったように、何度も私の顔にすりすりをする。
ノンフレームの眼鏡のエッジにもすりすりする。
思い切り自分の顔を押し付けるので、
まずコチカの鼻水が触ったと思うと、次に牙までが頬を撫ぜていく。
濡れた皮膚はすーすーするは、
眼鏡は汚れて視界は曇るは。。
でもあいにく両手はふさがっていてどうにもできない。
ここだ!と夫が声を上げたときには、ようやく顔が洗える・・心底ほっとした。

『南アルプス:芦安温泉郷 ガストホフ北地蔵』
ペットが泊まれるペンションである。
長期滞在のために素泊まりもできる安い宿で、
ペットが宿泊できるのは、ここだけだった。

開発の手が入っているものの、まだまだ秘境であり、
信じがたいほどに空気がきれい。
寒くもないのに空気がひんやりしているのは、
開けた窓からマイナスイオンに満ちた空気がごく当たり前に入ってくるだろう。
長期ということで、
本や編み物などを持ち込んでいたけれど、
おいしい空気に満足したのか、なんにもしなかった。

日に3回お湯につかり、
あとはコチカが窓辺にいるときにはそれとなく監視しながら、
私が座るソファの背もたれにいるときには、
一緒になって目を開いたり閉じたりしていただけ。

夕方6時過ぎからケキョケキョと練習を始める若い鶯がいて、
朝からやんないと私みたいになるよ、とか言ってみたり、
もはや鳴いているひぐらしの声に耳を傾けたり。

不思議なことに、こんなに高地にいるのに、
ひぐらしの声の低いことったら。
九州で聞くような低くがさがさとしたハスキーヴォイスなのである。
九州は暖かなので個体が大きくなるから、
声帯も肥大しているだと納得していたのだけれど、
どうやら違うらしい。

私の実家の地域の山で鳴くひぐらしは金切り音で、
早朝に聞えてくると、軽やかで切ない。
ひぐらしはこんなものだろう、と思っていたが、本当は違うのか?

しかも、声の低いひぐらしは練習をするのだろうか。
通常のひぇひぇひぇひぇひぇ・・・(かなかなかな、と日本語では言いますね)の前に、
やーーーべっ、やーーーべっ、やーーーべっ、やーーーべっ、やーべっやーべっ、ぁ〜・・
と必ず言うのがいて、爆笑した。
まさかとも思うから耳を凝らして聞いたが、
途中から別の虫が鳴くとかではなく、
あれは絶対1匹のひぐらしが鳴いているとしか思えなかった。
最後のぁ〜がすっごくおかしい。
できるものなら、実態を調査したいものである。

* * *

お湯に入りに行くとき、食事のとき、外出に際には、
必ずコチカをキャリーに入れて連れていった。
毎回コチカは、おとなしくキャリーに入っていった。
ご協力ありがとうございます・・である。

* * *

帰り。
たまには人間の好きなCDを聴こうと、
キューバの古い民俗音楽jをかけていたら、
いちおうコチカは私の膝の上に来てみたものの、
しばらく耳をぴくぴくさせて音楽を聴き、じっと考えて、
結局リアシートのキャリーの中に戻っていった。
本当に好きな曲嫌いな曲のはっきりしたネコである。


いつも一緒


 *  *  *  * 


6月25日(水)

テレビの調子が悪いので、メーカーの人に来てもらった。
驚いたコチカは、なぜかキャット・タワーから飛び出てきて、
ダイニングテーブルの下で息を潜めていた。
メーカーさんが気がついて、あ、ネコちゃん、とコチカを見た。
するとコチカはおなかを床にすりつけるようにして出てきて、台所に行った。
ときどきごそごそ音が聞えたが、人間二人はテレビに集中していた。
さて、メーカーさんが帰って行ったので、
夫が台所に見に行くと、コチカはガスコンロの上に座っていたという。
コンロは台所の端にあって、
普段そんなところに行くなんて、絶対考えられないのに。



 *  *  *  * 


6月27日(金)

朝起きてしばらく暴れてから、キャット・タワーの最下階の穴倉で眠る。
ずっとそのままなので、コチカの存在なぞ忘れてしまう。
部屋の中に陰りを感じられるようになったころ、
突如裸のすねにほわ〜と触る何か。
PCに没頭していると、うわっ!と飛び上がるほどに驚く。
時計を見れば4時半。
いつも。
コチカの体内時計は狂うことがないらしい。
でもこっちの体内にはそんな精巧な時計などないので、
どうしたってコチカの上等の毛皮に驚ろかされている。
毎日。
コチカ、起きたら一声上げて教えてよ。
蹴っ飛ばしちゃったら悪いしさ。



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6月30日(月)

昼間、ソファでPCを打っていると、
コチカがよじ登ってくる。
なんだろう。
寒いのかな。
室温計によると、25,6度で55%。
立っていそいそと用でもしてなければ、
確かにTシャツを着ている肩も冷や冷やとする。

コチカはPCの上に乗せた左手に、
自分の手と顎を乗せたい。
上目遣いに私を顔を見ながら、
じわじわと手を乗せて来る。

片手を占領されると、
文字を入力するのに支障があるのだけど、
なんだかね、ついね、ま、いいか、と思ってしまう。
だってさらさらの毛が気持ちいいんだもん・・弱し(笑)。。



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