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アワジワンニャンクラブ活動報告

   <人間とネコたちとが繰り広げる感動の記録>

−2012年5月−


2日間あずかっていた仔猫


5/20に保護したみどりちゃんの子

:2012年5月28日(月)
マースの育ての親:ムートンさんのワンニャンクラブ活動の話


<子猫保護Part1>
5月19日(土)はワンニャンクラブの掃除当番。
保護部屋へ行くと昨日保護したと言っていた猫(みどりちゃん)が子猫を探して鳴き続けています。
事故にあった猫とそっくりだけど、こちらはすごく人馴れしてたのでお腹を触ってみると
お乳が硬く張っています。
掃除を済ませ、みどりちゃんに首輪とリードを付けて「絶対子猫を探してあげるからね」と
みどりちゃんを連れていざパーキングエリアへ。
パーキングエリアに着くとNさんはすでに捜索中でまだ見つかっていない様子。
「母猫連れて来たよ〜。」とマースの散歩感覚で、みどりちゃんが子猫の元に戻るだろうと
キャリーから出したとたん猛ダッシュ。
慌ててリードを掴んだけど大暴れして手が付けられなくなり何度も首吊り状態。
どうしよう。
Nさんに上着を脱がせてもらい上着で包み込み、無事キャリーへ。
ふ〜、やれやれ。脇汗びっしょり。すでにぐったり。

気を取り直して、Nさんにはキャリーに入れたみどりちゃんを連れて下の方を探してもらい
私は草をかき分け上の方を探しましたが、子猫を見つけることができませんでした。
来た道を引き返してきた時、ピーッピーッという声が聞こえました。
声のする下の方にはNさんが居るのが見えました。
「これって鳥の声かなぁ?」
「うん、そうじゃない」
そっか鳥の声か〜。と諦めて帰りかけたのですが
どうしてもあの声が気になって、念のために声のする方を確認に行きました。
そのあたりは先日まで草が生い茂っていたのに、きれいに草刈りがされていました。
目の前に白い塊が見えたので駆け寄ってみると、小さなまだ目も見えていない真っ白な子猫が
1匹だけポツンといて鳴き続けています。
「おった〜、生きてる」と抱きかかえNさんのもとへ。
まる1日親猫と離れていたので急いで母猫のお乳を飲ませようと
私はみどりちゃんとその子猫を連れて車に戻り、Nさんは他に子猫が居ないか探しに行きました。

車の中で子猫にみどりちゃんのお乳を吸わせようとしましたが、なかなか吸い付きません。
ひょっとして、みどりちゃんの子では無いのかな?という思いが頭をかすめましたが、
そのうちみどりちゃんが子猫のお尻を舐め始めました。
そしてお腹を上にして、子猫にお乳を飲ませようとしています。
そうこうしているとNさんが2匹の子猫を抱えて嬉しそうにやってきました。
すぐにみどりちゃんのお乳を飲ませる為にキャリーに一緒に入れ、
急いでワンニャンクラブへ向かいました。
ワンニャンクラブへ向かう車の中で、
子猫と再開できて嬉しいはずのみどりちゃんが、まだ鳴き続けています。
なんだかちょっと違和感を感じました。

色々と考え合わせてわかったことですが、事故にあった猫は交通事故ではなく、
草刈機で顔面を斜めにえぐられて、骨まで割れていたそうです。
そしてその猫が倒れていたのもその近くだったらしいので、
この子猫たちは、事故にあった猫の子である可能性が高いのです。
恐らく巣穴に居た時に草刈機が迫ってきて飛び出したところを、
草刈機でやられてしまったのでしょう。
翌日その巣穴から1匹が斜面を転がり落ちて鳴いていたところを発見し、
他の2匹はまだ巣穴にいたのです。

そうなると、今子猫の面倒をみているみどりちゃんの本当の子猫がまだどこかにいるはずです。
しかし散々探した挙句だったので、もう無理かも・・・と諦めムードになっていました。
ワンニャンクラブでケージにみどりちゃんと子猫を入れると懸命に子猫のお世話をするみどりちゃん。
みどりちゃんと、その事故にあった猫はそっくりだったので姉妹だったのかもしれません。
そんな時、動物病院の先生から「もう手の施しようがないので安楽死させてあげます」と連絡が入りました。
自分の子猫を妹?に託し、安心して旅立っていったように思えました。
たとえそうだとしても妹の子猫はかわいそすぎます。

神戸から保護の依頼主さんが来られ、みどりちゃんが保護依頼した猫のうちの1匹であることを確認し、
子育てが終わるまで待ってから、みどりちゃんと子猫のうち、
里親募集して残った子猫を連れて帰ってくれることになりました。

翌日はお昼から用があるので、自分を納得させる為にもう1度だけ探しに行ってみようかなぁ・・・
と思いながら眠りに付きました。


保護した場所

<子猫保護Part2>

5月20日(日)朝、Nさんから「今日も探しに行く」というメールが入りました。
私も「まだ生きてて母猫を待っているに違いない」と行く決心をしていました。
9時ごろパーキングエリアに着き、あちこち猫の声マネをしながら探しましたが、
反応はありません。草むらには、いたるところに毛虫がいます。ひえ〜っ。
10時ごろNさんが到着しました。
手分けして、私はちょっと離れた場所を探しに行きました。
しばらくしてNさんから携帯に「おったよ、すぐ来て」と連絡が入り、
私は子猫を入れるカゴを持って急いでNさんのいる場所に向かいました。

保護した場所 Nさんは急な斜面の草むらの中腹にいて「この上なんやけど、これ以上登られへんし、
毛虫がすごいから上から行けないか見てくる」と降りてきました。
斜面の上には建物が建っていて、その基礎のコンクリート部分が一部光取りの為、
空洞になっている場所があり、その空洞から子猫の鳴き声が聞こえてきます。
Nさんが建物の方から見に行っているあいだに、どれどれと斜面を登ってみましたが、
確かに途中までは木の枝を頼りに行けますが、そこから先は持つものも無く、
足を前に出しても滑ってそれ以上登ることはできません。
声が聞こえてるのに・・・。
あたりを見渡すと右方向から桜の木の枝を頼りに近くまで行けそうな気がしました。
もう一度右方向から登り直して、桜の木の枝を上から持つと落ちそうになるので、
生えている根元の方向に力を入れながら、進みました。
途中下を見ると「登ったはいいが降りられるのかな?」とか「ここから滑り落ちたら洒落にならんやろな」と、
頭をかすめましたが、子猫の懸命な声に前を向きました。
何とか空洞部分までたどり着くことができました。
白2匹、茶トラ1匹の可愛い子猫がいました。
そういえば昨日保護した子猫も白2匹茶トラ1匹だったなぁ。

上には高い柵があり、Nさんがそこで待ってくれていたので持ち上げて柵の間から子猫を手渡すことに。
しかし柵が細くて子猫の頭が通りません。
自分さえ降りられるか不安だったので、登ってきたところを子猫を連れて降りることはとても無理そうでした。
Nさんは「はしご借りてくるから待ってて」と走って行きました。

私は上着をズボンの中に入れて子猫3匹を服のお腹部分に入れて降りてみようと試みました。
何があっても前のめりに落ちるわけにはいかないので、その辺の草を掴みながら、
お尻で滑り降りている途中でNさんが「はしご借りてきたよ」と上から聞こえました。
「もう子猫連れて降りてるで〜」ズルズル、ズルズル。
無事下まで降りることが出来ました。
丸2日母猫と離れていたので、車に積んでいた猫用ミルクを飲ませてからワンニャンクラブへ。
この子猫たちは少し大きくてもう歯も生えています。
この子たちの母猫(みどりちゃん)は姉?の子猫を育ててくれているので、
もし本当の子猫が戻ったら、今育てている子猫を育てなくなるのでは?との心配から、
かわいそうですが母猫には会わせないことになりました。
子猫に離乳食をあげてみると、すごい勢いで食べはじめ、
茶トラの子猫は自分で砂をかいておしっこもすることができました。

するとたまたま「子猫がいたら里親になりたい」という親子がやってきました。
茶トラの子猫を気に入ってくれ、その日のうちに貰われていきました。
翌日には、ずっと「白い子猫がいたら里親になりたい。」と待っていた方が見に来られ、
1匹の白い子猫を貰って行ってくれました。
残った1匹の子猫は、保護部屋の方が2日間旅行でいないというので、
私の実家で預かってもらうことにして、連れ帰りました。

3日目の朝、子猫を連れてワンニャンクラブへ戻ると、
すぐにまた「子猫がいたら見せて欲しい」という親子がやってきました。
最初は他の部屋にいる茶トラの子猫がいいと言っていたのですが、
最後にあの白い子猫をみて「この子がいい」と里親になってくれることになりました。
その頃、Nさんは里親募集のサイトに子猫たちを保護した経緯を書いて、
募集を呼びかけてくれていて、子猫たちに里親希望が殺到していたそうで、
まだお乳を飲んでいる子猫たちも乳離れが済んだら行き先が全員決まったようです。
こんなにトントン拍子に里親が決まることなんてまず無いので、
星になった母猫が頑張ってくれたのだと思います。

最初は神戸の人の心に芽生えたやさしい気持ちから始まりました。
もしNさんに保護依頼をしなかったら、事故にあった猫は苦しみぬいた末、
ゴミのように捨てられ、子猫たちも人知れず死んでいたことでしょう。
そしてNさんが、事故にあった猫を発見しあの動物病院に連れて行かなかったら、
先生が「子猫を探しに行く」と言ってくれなかったら、
私たちも子猫を探しに行こうなんて思わなかったはずです。
そして保護部屋の方が「見つかったら連れてきてもいいよ」と快く言ってくれなければ、
私たちも安心して探しに行くことは出来なかったでしょう。
色んな人が上手く結びつき、結局はあの事故にあった猫だけが犠牲になってしまったけれど、
全てが奇跡的に上手くいきました。
Nさんが、事故にあった猫ちゃんに結(むすび)ちゃんという名前を付けてくれました。

このたびのことで何事も決して諦めてはいけないということを知りました。
そして猫の深い思いや愛情も感じることができました。
直接関わった人意外にも、心から無事保護できることを祈っていてくれた、
人たちの思いも強力だったと思います。
人間すてたもんじゃないなぁ。と感じた出来事でもありましたが、
この世から命を簡単に捨てる人がいなくなり、殺処分などという恐ろしい現実が、
無くなった時こそ、人間すてたもんじゃない。と思えるのかもしれません。
みどりちゃんも結びちゃんもとても賢い猫です。
誰が捨てたか知らないけれど、飼い続けていればきっと飼い主を幸せに導いてくれたことでしょう。
命を捨てる人は自らの幸せも一緒に捨てているのだと知って欲しいです。

この度のことは、本当に不思議な縁に導かれたような出来事でしたが、
とにかく・・・疲れた。
しかしワンニャンクラブではその後も犬や猫が入ってきています。
いつかこんな活動自体が必要なくなる日が来ることを信じて、がんばります。

 
       みどりちゃん                   5/19に保護した結ちゃんの子


結ちゃんの子にお乳をやるみどりちゃん