2005年3月

~~~ミルク色のコチカ~~~


奮闘記 -46-

おっきいお尻!



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3/10トラちゃんと遊ぶ 3/12オシッコの申告もできるらしい 3/24夜明け頃から人を起こす 3/30また発作-人も振り回されるの巻 3/31言霊の真実を教えてくれる猫

3月1日(火)

もう3月!
節分やったっけ?

* * *

夕べの就寝時。
人間が布団に入ると、コチカもやってきた。
しかし私が布団を上げてやっても入ってこない。
布団の足元の方を回り込んで、夫の方に行き(滅多にないことである)、
何やら言って、戸口まで戻り、座り込んでいる。
そして出ていった。
と思ったらまた入ってきて、同じことの繰り返し。
私のところへ来て、夫の方へ行き、
そして戸口の近くに座り、人間の方を見て、丸く座る。

何か訴えてるようだよ、という夫が言うので、
私はコチカを抱っこして、下へ降りた。
階段を降りる途中から、色濃くなる煮魚の匂い。。
抱っこしていたコチカを、ご飯のお皿の前に下ろしてやったら、
お皿の匂いを嗅ぎ、猛然と食べ始めた。
私のことなんか全く気にかけてない様子なので、私は二階に戻った。

どういうことかといいますと……

台所の戸を開けると、っぷ〜ん、と充満した煮魚の匂いがした。
夕食時に調理し切れなかったイワシがあったのを、
お風呂に入った後で思い出し、醤油煮にしたのである。
お風呂上りに寒くなるのは何なので、換気扇もかけないでいたら、
煮魚そのままの匂いが台所の空間いっぱいにこもっていたのだ。

魚はあまりほとんどコチカだが、魚の匂いには敏感である。
何このいい匂い?!、と思ったのだろう。
それで、なんか食べたい、なんかちょうだい、と言いにきていた。。

なにしろ一件落着して、やれやれ、と寝たはいいのだけど。。

明け方。
10回くらい起こしに来た。
やーやー言いながら来て、布団を上げてやると、すぐ行ってしまったり、
布団の中に入って、私の脇の下をもみもみするものの、
すぐにぴょん!と出ていってしまったり。
辟易とする人間二人。

起きる時間になって、人間が起きだしても、コチカは寝こけているのだ。
なんなんだい。。
あー今日も一日眠いなこりゃ。。




 *  *  *  * 

3月2日(水)

暖かい日。
朝の散歩。
隣の家の植え込みに入り込もうとするコチカ。
こらこら、と牽制しつつも覗いてみると、
トラちゃんがコチカに興味を示して近づこうとしている。
タイミングよく持っていたカメラで、ぱちぱち。
ギャラリーのご近所さんネタがいっぱい撮れた!

* * *

母が上京してきた。
久しぶり〜、と玄関で会った最初の一瞬こそ、
トラちゃんに会った
またトラちゃんに会った
びっくりしていたコチカだが、次第に慣れてきた。

いつも私が座る側に座っている母に、
にや〜にや〜、と低く小さい声で訴えている。
母は、コチカの真剣な様子に、ナンですか、とか言っている。
コチカは、覗き込む母にひるみもせずに、にや〜にや〜、と低い声。
コチカはいつも私の左側にいるが、
母は真にそのコチカの場所にいるのだ。
そこは自分の場所なので、どいて、と言っているのである。

と母に言ってやったら、母はどいてくれた。
コチカは、しばらく思考が止まったような顔をしていたが、
そのうちいつもの自分の場所にいき、丸くなった。

私はというと、いつもの反対側にいるだけだから、
こっちにくればいいのに、そこは場所に恋する猫。

さっき一度私の方に来て、よしよししてもらったが、
やはり居心地が悪いのだろう。
すぐ部屋を出ていってしまった。
むずかしいお猫さまだこと。




 *  *  *  * 

3月4日(金)

昨夜から降り続いた雪。
午後には雨に変わって、次第にやんだが、
その間、いつもの夫の側にいる私の横に来て、
丸くなったり毛づくろいをしたり。

そんなでコチカはようやく、この場所にも慣れてきたのだろう。
去年の10月に夫の両親が来て以来のことである。

* * *

今日また、
母の右横に猫の座って、にゃ〜、にゃ〜、と生真面目に鳴いていたコチカ。
母は、わからないので、ナンですか、とか言っている。
コチカを抱き上げて、お尻をチェックしてみると、ウンチなのである。

台所にいる私に言いにくればいいのに、
いつもの私の場所に座っている母に、ウンチの申告をしているのだ。
毎日決まったことを言うのにも、場所が肝心なのだろうか。

* * *

母が布団を敷いてしまうと、
部屋の様相がますます変わってしまうため、もう居間には入らない。
とすると、寒いし、窓の外を見るでもなし、な〜んにもすることがないらしく、
寝る準備をする私の後をうろうろうろうろ。
歯磨きをしている足元の後ろ、
トイレのドアのそば、
寝室のドアの脇、
自分の布団の脇、
と、だんだんに寝る場所に近づいているところがおもしろいが、
コチカは、私を同居人として信頼の置ける人、と思っているのだな、
と思えて、おなかの底から嬉しくなる。




 *  *  *  * 

3月7日(月)

夕方の散歩。

うちの玄関先で、白い小さな犬の散歩に行き会った。
向こうはコチカに興味津々、コチカは向こうを警戒している。
やり過ごしながらも、まだ背中に警戒体制を敷いたまま、東に抜ける道へ入ろうとすると、
チェリーんちのマー君が、わわわわわん!!!と吠え立てた。
きっと犬の匂いがした後に、コチカの動く気配を感じたからだろう。
座り込むコチカ。
今度はさっきの犬が去っていった方角から、別の犬のほえ声が。
するとコチカは、右耳は前方のマー君に、左耳は後方の犬たちへと、
方角を違えてアンテナを向けている。
大したもの、と思わず感心してしまう。




 *  *  *  * 

3月8日(火)

寝そべっているコチカを見ていると、やたらと大きく見える。
だんだん大きくなっているように思うのだけど、
成長し続けてる、なんてことないよねえ。
獣医さんに顔が大きいとか言われたけれど、
それは去勢してないせいで、骨格が発達しているからだという話。
骨格なら体中にあるわけだから、背骨とかも発達してるのかしら。
このまま大きくなり続けて、ライオンみたいになったら……
ライオンなんて子供だとしても大きいじゃん。。




 *  *  *  * 

3月9日(水)

夜明けごろから、コチカが何度も起こしにきた。
珍しく、私の側からふとんを回り込んで(コチカは決して布団の上を歩かない)、
夫の顔の前まで行って、にゃ〜〜〜!とやったらしい(私はそれは知らなかった)。
あ〜寝た気がしない。。と文句たらたらの夫。

* * *

とってもいいお天気で、きれいな朝。
このせいなのだ、コチカが朝早いの。。
でも花粉がぶんぶん飛んでるらしい。
私には関係ないけれど。

杖をついてお散歩中のおばあさんが、
過保護にしてらっしゃるのねえ、と言った。
いえ、これこれこういうわけで、というと、へ〜、と驚いた様子。
うちの犬を飼ってたことがあるんだけど、つい過保護にしちゃったから、とおばあさん。
あーそうですねえ。
といいながら、うちも過保護にしているのだろうか、と思う。
してるか。。

*

チェコちゃんちの植え込みの竹で組んだ柵の端っこが、
妙なる匂いでもするのか、さかんに顔をすりつける。
見ると、柵は、涎か鼻水かで、れろれろ。

*

十字路の角のお宅の、いつもアスカがいる塀の前の駐車場で、
コチカは車のバンパーを点検しながらも、
ときどき塀を振り返り、ひゃ〜、と声を上げている。
もしかしてアスカいないかな、と思っているのだろう。
庭の中でがさりと音がし、鳥が二羽飛び立った。
残念だね、今日はアスカはいないようだよ。。

*

チャコちゃんちのご主人に会った。
チャコちゃんは、毎晩人間が寝る前に、
ホタテ(さっと湯通ししたものを5つずつくらい冷凍してある)をあげないと、
寝ないのだそうだ。

冷蔵庫を開ける音が聞こえると、家中のどこにいても聞きつけて走ってくる。
冷蔵庫を開けないときは、その前で座って待っている。

カツオブシもそれだけでは食べずに、
カツオブシに何かと何か(忘れた。おいしそうなもの)を加えたふりかけをご主人が作ったものが好物なのだそうだ。
醤油味のもので、聞いただけで、そりゃ危ない、と思える。

以前は、カニかまを毎日数本食べていたが、
尿路結石を発症したときに、それはやめたとのこと。
でも今度は、ホタテ。
尿路結石で点滴治療(驚愕の10万円!)しているときには、うんと反省して、
間食をさせないように、と心するらしいが、
その意気込みが持つのも、完治後1ヶ月ほどでおしまい。
喉元過ぎれば…でまたあげてしまう。。

あげないのもかわいそうだが、あげるのもかわいそう、とご主人。

うーん。
コチカは、そうならないように、
最初からコチカがご飯を食べるときにしかあげてないが、
あげないことに徹すれば、ぜんぜん可哀想でもないはずだけどなあ。




 *  *  *  * 

3月10日(木)

夕方の散歩。

家の前から東に抜ける路地で、みーちゃんの声。
チェリーんちの庭から出てきたトラちゃんに何か言っている。
トラちゃんはじっと話を聞いている。
しかし、トラちゃんはみーちゃんを避けるようにして、反対側のアパートの敷地に入っていった。
トラちゃんの行方をずぅっと見ているみーちゃん。

*

<トラちゃんと遊ぶ>

しばらくしてから、コチカも同じ場所。
アパートの入り口をくんくんしていると、トラちゃんが庭から塀に登ってきた。
コチカは、に"ゃ〜、と声を上げながら、近づいていった。
到底コチカが上れそうにない高さ。

トラちゃんの鼻先に手をそっと出してみると、
匂いを嗅ぎ、手でぽんぽんと触った。
あはは!暖かい肉球。

コチカはそんな様子が気に入らないのか、
ぃやん、ぅや〜ん、と抗議している。
では、とコチカを抱っこして、トラちゃんに近づけてやった。
興味津々のトラちゃん。
でもコチカはすぐに嫌気がさしたように、顔をそむけた。
やはり猫の流儀にそむくのかしらん。。
コチカが地面に溜まっている枯葉に鼻先を突っ込んで匂いを嗅ぎだしたので、
私はトラちゃんと遊びだした。

塀の上に指を走らせ、ときどきトラちゃんから見えないように、
塀の下側に隠れたりすると、トラちゃんは、むむむむ、と興奮するようだった。
何度も手を出して、私の指に触ろうとする。
なんと、爪を出していない。
私は飼い主でもないのに。
そんなトラちゃんがかわいくて、調子に乗って何回か握手してやった。




 *  *  *  * 

3月12日(土)

朝起きたら、なんと11時半!
朝食とお昼を兼ねた食事をしていたら、
私の横に座ったコチカが、控えめな声で、にゃーにゃー声を上げている。

お尻を確かめてもウンチでもない。
ちょっと待ってて、ご飯食べたら外行こうね、と言いながらなだめ、
終わったらすぐに夫が連れていった。

コチカは嬉々として出ていったが、
帰ってきてからオシッコをさせてみると、
全部出し切ったところで、コチカは放心状態になっている。

そういえば、コチカは、あっあー、と言っていた。
あっあー、は、ウンチの申告のときに、出す声である。
でもウンチではなかったのだが、ひょっとして、オシッコがしたい、と言っていたのではないだろうか。

コチカは、尿意を感じることができるのだろうか。
いつも時間になると自動的に人間が出してやっていたから、
コチカのオシッコ申告には、耳を貸したことがなかった。
とはいえ、以前にも、ひょっとして、と思ったことがあったように思う。
でもそのときには、まさか、と否定したのだった。

そうか、コチカはオシッコも申告できるのだ。
だとしたら、さっき外へ行ったときにも、
膀胱に張りがあって、外を満喫できていなかったかもしれない。
わかってあげられなくてごめんね、コチカ。




 *  *  *  * 

3月13日(日)

夫と散歩。
十字路の駐車場のアパートのベランダの近くで散策していると、
ふいにアパートの中から赤ん坊の声が聞こえた。
するとコチカは猫の声と勘違いしたらしく、ベランダに飛びついたので、
あわててコチカを引き剥がし、ちょっと離れたところへ連れていった。
あー焦った焦った、と夫。
お気の毒さまー

怪人出現!
花粉症対策を万全にして洗車に臨む我が背の君。。
額の×は何?

 *  *  *  * 

3月14日(月)

朝の散歩。
うちの前のお宅にまっしぐらに向かうコチカ。
門の向こうにトラちゃんがいる。
長い尻尾の先っちょが、ゆら〜ゆら〜と揺れている。
視線の先を追うと、ミルキーが。
二匹ともだまって見合っていたのだ。

コチカが門の下に頭を突っ込んだので、
トラちゃんはこう着状態のミルキーよりも、コチカに興味が移った。
ぬーっと近づいてくるコチカに顔を寄せ、ちょい、っと手を出した。
コチカは、うぉー、と言いかけているが、
トラちゃんはどう思ったか、さっと引き下がった。

ミルキーもそんな引き下がり方をしたことがある。
なんだろう。
他の猫とは違う何かを感じるのだろうか。




 *  *  *  * 

3月16日(水)

風が吹かなければ暖かい朝。
ご近所の風景……を描写しよう。

2軒の隣の奥さんが、
おそらくは田舎の畑から運ばれた大量のネギを庭先に広げて、仕分けしている。
もしかしてご近所にお配りする準備?と思っていると、
向かいのチャコちゃんちのご主人が出てきたので、新聞に包んだネギを渡した。

ネギなら買ったばかりなので、
もらわないように駐車場などで時間をつぶしていたのだが、
やがては戻らねばならず、家に向かって歩きかけたら、
あ、ちょっと待って、と呼び止められた。

(ネギなんか)面倒でしょう?、と言われ、
ネギではなく、買い物袋いっぱいのほうれん草を持たされた。
こんなにたくさん?と思っていると、
チャコちゃんちのご主人が出てきて、ネギはね、と言いかけた。

奥さんは、やっぱりネギもね、というそぶりで取りに戻り、
新聞紙に包んだネギを持ってきて、これ、という。
チャコちゃんちのご主人が、全部新聞紙に包んで寒いところに置いておいて、
食べるときに痛んだところだけむしればいいから、と教えてくれた。
奥さんは、そうそう、と相槌を打っている。

大家さんにももらってもらおう、と思っていると、
大家さんちにも玄関に置いといたから、と先手を打たれた。
片手に一抱えの大きな包みである。
道路だというのに、あたりは強烈なネギの匂いでいっぱい。
今ごろのネギが一番おいしい、というとおり、春らしい匂いではある。

土があるなら、半分くらい斜めにネギを植えとけばいいんだけどね、とチャコちゃんちのご主人。
ネギ半分を斜めに土に?
でもうちには玄関先くらいにしか使える土はないし……
というと、そんじゃだめねえ、と奥さんは笑って家に入っていった。
あーネギたくさん。
コチカは食べないし。。




 *  *  *  * 

3月18日(金)

今日はきれいなお天気だったというのに、
朝の散歩を忘れていた。
私も思いつかなかったが、コチカも言わなかったのだ。
夕方から出かける用意をしていると、
コチカものっそり起きてきて、にゃーっ!!!と怒ったように言った。
そんなこと言ったって…である。

* * *

夕方の散歩。
何か気がせいているように見える。
発情しているのかな。
そういえば、今朝も夜明けと同時に起こされた。
さては朝、ずっと眠りこけていたのは、夜通し起きてたせいかな。




 *  *  *  * 

3月19日(土)

夜明けからやーやーと起こしにくる。
何度も目を覚ましておきながら、陽が高くなっても起きない人間。
10時を過ぎた時計を見てから、ごめんね、起きられないのよ、と言ったら、
にゃ〜!というコチカの声がトーンダウンし、
思案気な顔をして座っていると思ったら、やおら毛づくろいなんか始めた。
言ってることが通じたのかな。

* * *

遅い朝の散歩。
トラちゃんに会った。
トラちゃん!と声をかけると、コチカが不機嫌そうに、に"ゃ〜、と牽制した。
トラちゃんは果敢にコチカに向かってくる。
しかしコチカが向き直ると、1歩下がって座り込んだ。
私が手を出してみると、ちょっと近づきながらも、
不十分な距離で、手をちょいちょいと出してくる。
興味はあるけど、ちょっと怖い、というところか。
でもなんでトラちゃんはいつも無言なんだろう???




 *  *  *  * 

3月20日(日)

美しい陽の中をスギ花粉の舞う……なーんのこっちゃ。。

夕方の散歩。
十字路の駐車場の片隅の枯葉溜まりを掻き、オシッコスタイルをした。
とはいえ変則的な格好である。
ちょうどアパートのエントランスとして一段上がっているところだったので、
腰を置いたのが下の地面、前足を置いたところが一段高くなっていたから、
中腰で用を足す運びとなったのだ。
健常な猫ならそれで用が足せるのかも知れないが、というより、
そんなところでトイレをすることになるだろうか。




 *  *  *  * 

3月22日(火)

朝の散歩。
二人の女性が、立ち止まり、あっらー、とコチカを見た。
そのお宅にも、猫が2匹いるのだが、
そのうちの性格の良い方は、腎臓が悪く、毎日点滴を打っているのだが、もうだめかも、とのこと。
えー!!!
もう一匹いる性格の悪い方……なぜかというと、気にいらないことがあると、飼い主を噛むのだそうだ。
私が思うに、病気の猫に手をかけすぎるので、嫉妬しているのでは、と思うのだが。。
その病弱の性格の良い方は、
界隈にいたノラだったのだが、エイズを発症していて、
口内炎がひどかったので、なんと、手術してもらったのだそうだ。
詳しくは聞かなかったが、口内を傷つけないようにするために、歯を抜いて、
腫瘍もできていたので、切除した、とのこと。
ひぇ〜〜〜
それから6年ほど生きているというから驚いた。
よほど手厚い看護をしてあげているのだろうと思う。

* * *

隣の家の、タロウの姿を追っている間に、
そのまた隣のお宅の庭にアスカの姿を発見。
私がアスカ〜と呼ぶと、コチカは、Grrrrrrr"ッとうなりながら、追っかけて行く。
しかし庭へ私は入れない、ということをコチカは知っているのか、塀沿いに行く。
偉い、というか。。
塀の下の方に設けられた、模様を兼ねた穴に鼻を突っ込み、
アスカが動いていくだろう跡を着いていく。
アスカも声を上げて、しきりに誘っているようだ。
ごめんね。
猫同士の付き合いもさせてあげられなくて。。




 *  *  *  * 

3月24日(木)

コチカが明け方にうるさく鳴いて起こす。
ここ数日こんなことが続いているので、そろそろ体調を崩しそうである。
それというのも一五夜であり、輝面比:96.885%とほとんど満月、満月の3日前なのである。
この頃が一番危険度が高く90%。

人間が起きる時間になってごそごそしだすと、居間に来て寝るので、
寝室の布団の上で眠るのが暑く不快で、階下の居間で寝たいのかも、と思い、
今朝は夜明けと共に起きてきて、居間のホットカーペットに寝っ転がってみたが、
コチカは全然落ち着かず、家中をうろうろしてきては最後に私の耳元で、うぉ〜、という。
8回に1回くらいは、私の横に並んで寝てみたりするが、しばらくするとまた立っていく。

階段の下あたりでは、庭から入ってくる風に乗って、強烈なおしっこの匂いがする。
それに触発されて、発情しているのかしら。
でも、外をうろつく猫はなぜかいないのだ。
外からの臭いは、空気が湿気て澱んでいるせいだと思うのだが。
それにしても、眠い。
どうにかしないと人間が病気になってしまうぞな。。




 *  *  *  * 

3月25日(金)

一六夜。輝面比:99.412%といよいよ満月の1歩手前。
道理でコチカが落ち着かないわけ。
でも危険度昨日よりちょっと低く、70%。
私自身も周期的な問題が月の周期と重なって、はなはだ体調が悪い。
頭も悪い。

キリスト教でいうところの復活祭の3日前の聖金曜日のミサに、
バッハのマタイを歌いに行ってきたが、
なんと、黒いブラウスに黒いスカート、といわれていたのに、
白いブラウスを持っていってしまい、
なぜか2枚持っていた人に借り、それが透ける生地だったので、
どうしようかと困っていたら、先輩がこれを着なさい、と肌着を脱いでくれた。
大学の先輩後輩だから、こんなことも起こりうるのかな、と妙に感動したが、
こんなことではいけない。。と反省。
しかし、誰もがわけもわからず精神的にも肉体的にも不調だったのではないだろうか。
輝面比:99.412%の月のせい。




 *  *  *  * 

3月26日(土)

夜中に少々寒かったせいか、起こしにきたが、布団を上げて入るように言うと、おとなしく入って寝ていた。
ごめんね、まだ起きれないよ、と言ってやると、コチカは少々考えてあきらめることがわかった。
実際、口先だけで「ごめんね」は言えないもので、
口に出してみると「本当にコチカは外に行きたいのにつきあってあげられないのに、ごめんね」の気持ちになる。
それがコチカに伝わるらしい。

* * *

夕方の散歩。夫と。
アスカがいたのだそうだ。
両者とも動かなくなってしまい、時間切れにて強制撤去に踏み切ったせいだろう。
家に帰ってからもずっとコチカは切ない声を上げていた。
かわいそうなコチカ。うう。。




 *  *  *  * 

3月27日(日)

夫の花粉症の症状がかなりきついらしい。
空気清浄機のうなり音がする居間で、
夕飯を食べ始めたときには、夫は快適そうだった。

しかし、コチカが天国への道を登っていった直後から、
目がかゆくなりだし、鼻がつまり、かんでもだめ。
鼻の奥の粘膜が炎症を起こして腫れてしまい、
食べ物の味もわからなければ、
物が口の中に入っているときには呼吸ができずに苦しいし、
その不快さのために自律神経が失調したみたいになるのだろうか、
口の中の同じ場所を何度も噛んでしまう、という。

コチカの体に花粉がついていたのが、
橋を上る際にハラハラと舞い落ちた、その一瞬で花粉症の症状が出たのだ。

外に出れば、花粉の溜まった地面にごろごろするし、
しなくても、コチカの柔らかな毛は、
舞い降りる花粉の格好の着地場所になるだろう。
2階の物見台にじっと座っていることもあるし。
それをやめさせるわけにもいかないが、
でも、これはなんとかしないと、夫があまりに気の毒。
なにしろ家の中でコチカは、花粉を振りまいて歩いているのだから。

 端で寝る猫。おっきいお尻!
暑くなってくると端へ行って寝る
頭の方からすーすーと風がくる



 *  *  *  * 

3月29日(火)

昨日、雨が降って散歩に出ないので、
今日は朝からことあるごとに、うぉ〜、外ぉ〜、とうろついていた。
天気予報によると、晴れのはずだけど、妙に曇っているので、早めに出かけた。

1日ぶりに外で見るコチカは、やはり白くてきれい。
触り心地もしっとりしていてなめらか。
猫の舌はいったいどういう仕掛けになっているのだろう、と改めて思う。




 *  *  *  * 

3月30日(水)

明け方、また発作が起きた。
私が布団を動かしたのがいけなかったのか、
うに"ゃっという声で目が覚めたら、
高い声でなにやら言いながら、手を目掛けて顔を近づけてきた。
うに"ゃうに"ゃ言いながら噛み付き、私の腕に足をかけ、またがろうとする。
容赦なしに噛んでいる。
いったーい。痛い痛い痛い痛たたたたたたたた!!!
これってやっぱり発情の一環?

夫も目を覚まし、コチカ、うるさい!と声を荒げた。
静まる様子もないコチカの猛り。
私はコチカに、下に行こう、と誘って、起きた。
しかし、コチカは呆然と座ったまま、立ってこない。
夫がコチカっっ!!!と怒鳴り、
がばっと半身を起こしてコチカの方へ行こうとしたところで、
私は夫の名を呼び、けん制した。
我ながら、おっソロしく冷たく、低くドスの利いた声だったので、驚いた。

夜中に起こされて腹立たしいのはわかるが、コチカにしたって、
本能的なものなのであって、なんらかのモクロミがあって騒いでいるのでもないのだ。

本来は、夜行性の猫として外に行きたいのを、
人間側の心配事の都合で、出られないでいるのだ。
そのストレスが溜まり溜まって、発作として出てくるのだろう。
コチカだって、ずっと我慢していたのだ。

夫だって、そうわかっているのに、感情的になるなんて最低である。
そもそも、夫のいびきがうるさかったのかも知れないのだ。
コチカは夫の動作に恐れをなして、入り口にいる私の方に飛んできたが、
夫は私の剣幕に驚き、へ?と力が抜けた様子でばたん、と寝てしまった。

階下に降り、台所に入っていくと、
コチカはご飯のお皿に向かい、匂いを嗅いだら、一心不乱に食べ始めた。
私は少々混乱気味というか、興奮気味だったので、
居間に入り、暖房をつけ、PCを開き、画面をしばらく眺めた。

寝室に戻り、布団に入り、しばらくすると、コチカが来た。
なんでもなかったかのように、布団の中に入ってきて、
私の脇の下に入り、もみもみをして、寝てしまった。

あっという間に起床時間である。

夫は機嫌が悪いらしく、乱暴な様子で着替えをしている。
私も同様に頭にきていて、ほとんど物も言わずに朝の紅茶を用意した。
そして作り笑いをして夫を送り出し、台所に戻ってみると、
普段は絶対にありえないことだが、
夫が使った紅茶茶碗などが、流しに置かれていた。。

私は、寝不足な上に、夫のコチカへの対し方が気に入らず、
めちゃめちゃ機嫌が悪かった。
さらにはコチカまでもが憎たらしくて、大嫌いだと思った。

私がトイレに入っていると、いつものようにコチカも入ってきて、
うぉ〜外行きたい〜、と言うのが、どうにも腹立たしく思えた。
自分自身に、かなり危険な状態なのを感じる。
いろいろ原因があるが、生理的な現象が根底にある。
ここ数週間、特に朝方は熟睡を妨げられているので、
慢性的な寝不足・疲労気味なのだ。
これには勝てない。
何やらかすかわからない。。

私はコチカと視線を合わすのを避けた。
コチカは、うぉ〜うぉ〜と言いながら、
私に体を擦り付けようとしたが、私がだまっていることで、
さらにコチカの方を見ようとしないことで、
私の様子が硬化しているのを感じたのだろう、
私の膝に5cmばかりのところでぴたりととまり、私を見上げ、体を寄せなかった。

猫が人間の感情を敏感に感じ取るのは知ってはいるが、
このパターンは初めてである。
内心、驚いた。
が、気持ちが軟化するほどでもなかった。

頭蓋骨がぎりぎりと痛むほどに腹が立っていて、理性がなくなっているのを感じる。
精神の歯止めの度合いを示すメーターの針が振り切れているようだった。
さすがにちょっとこれはまずい、と思い、
居間と台所の散らかっているものを、静かに片付けた。
静かに静かにゆっくり、と自分に言い聞かせながら、思うとおりにあたりが片付いた頃、
ようやく、気持ちがおさまってきた。
すると、コチカはずっと見ていたのだろうか、
急にそばにやってきて、うにゃ〜、と甘えるように柔らかい声で鳴きながら、
体を立て続けに何度も私の足にこすりつけた。
思わず、ため息が出た。
ふといつもの自分に戻れた気がした。
コチカ、外行こうか、といつものように誘った。
ほっっ。
朝からひどく疲れてしまったが、コチカも疲れただろうなあ。

* * *

外に出てみると、よいお天気で、
チェリーが外に出ていたので、コチカを抱っこして行って挨拶させた。
ミルキーとミーちゃんが塀の上に、仲良く座っている。

ゴミ集積所にある青いカラスよけネットの向こう側にトラちゃんがきて、
コチカをじろじろ見ているので、
ネットの下から指をちょこちょこ出してみると、
おっかなびっくり、手を出すのだろう。
重なったネットでよく見えないが、かそけき感触がひょいひょいと指先に触った。

* * *

夕方の散歩で、ビーグル犬に初めて会った。
互いになんとなく見合う。
体のサイズが似通っているせいか、
そんなに騒ぐ犬ではないせいか、
コチカは、警戒するというよりは興味を抱いたようで、
犬が遠ざかり、角を曲がるまでずっと見ていた。
ビーグル犬もまた同様に何度も振り返っていた。

トラちゃんがやってきた
トラちゃんが近づいてきた


 *  *  *  * 

3月31日(木)

昨日の明け方から朝にかけて、衝撃的なことがあったせいか、
コチカは一日おとなしかった。
もっとも私は一日出かけていたが。

夜中も、一度布団に入り直しに来たが、朝まで静かに寝ていた。
しばらくぶりに、起きる時間まで寝ていられて、ほっとする人間二人。。

朝、居間に座る私に体を摺り寄せ、うにゃん、と甘えてきた。
毛並がリンスをしたようにすべすべしている。
昨日の夜には、顎に砂のような細かい粒がついていたが、
それもきれいになくなっている。

きれいなちゃーちゃ、と言いながら、背中をなぜると、
コチカはうっとりした様子で、頭のてっぺんを腕にこすり付けてくる。
(私はコチカの背中を撫ぜるとき、腕全体でコチカを抱くように手を持っていく)
きれいな、と言うごとににこすり付けてくる。
何回言っても。

「きれいな」という言葉に、より反応するように思う。
「きれいな」というとき、
きっと私の気持ちも澄んだように清らか(爆)なのかも、という気がする。

「言霊 (ことだま:言葉にあると信じられた呪力)」、というけれど、
これはめちゃめちゃ本当である、とコチカは何度も教えてくれる。
悪意のある言葉は、絶対口にしてはいけないのだ。




 *  *  *  * 

4月1日(金)

朝起き出したら、コチカも早々に起きて、
私が着替えるのを待って、階下へ行くのに、一緒に着いてきた。

いつになく、そわそわと落ち着かない感じ。
座り込んでは、おなかに顔を突っ込んで、ぺろぺろ舐めている。
私はさして気にも留めず、春なので発情の一環なのだ、と思っていた。

朝食の片付けを終え、洗濯をしようとシーツを取りに寝室へ行った。
コチカシーツに手を伸ばすと、ころりと何かが転がった。
白く丸いものである。
なんだこれは。
見たことがあるようだが、多分ない。
直径1cmほど。
毛が生えたボールみたいで、軽くてほんのり暖かい。。

へ?と脳ミソが真剣になった。
目が全開になり、痛いほど耳までピーんと張っているのがわかる。
眉間にしわを寄せ、顔の筋肉を和らげようと試みた。
皮膚が痙攣した。
体がくるりと後ろを向いた。
あわてて階下へ降りていくと、コチカはやっぱり片足をあげて、股間を舐めている。
コチカ!と叫ぶとコチカは顔を上げた。
大事なところが丸見えになる。
やっぱり。。
なんと、チー玉が一個、無くなっているではないか。
痛くないの?

コチカは、下半身が弱く、排泄に問題がある猫である。
でも、睾丸が一個、落ちるなんてことあるのだろうか。
そもそも睾丸なんて、1つの袋に2個入っていて、
一個が落ちるなんていうことはありえないのではないか。

いったいこれはどういうことか^^\

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