3月・4月・5月

~~~ミルク色のコチカ~~~

奮闘記 -71-

2007年4月



ま、そこそこ天下泰平だってこと。。



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4/5ウリ坊の交尾 そしてクロキの襲撃 4/6ペッタンが死んだ 4/8コチカが心配して見に来てくれた 4/11残念賞な日
4/13ラッキーかアンラッキーか、そしてりんご追分の春 4/20白地に雉トラ&タビーの戦い:決着がついたらしい
4/21コチカは調子悪いらしい 4/30退屈するとおなかがすく?

4月1日(日)

チャコちゃんちの玄関に設えられた棚に、
クロキ一家何匹かが、塊になっている。
今日は、クロキ母さんが、ウリ坊を丹念に舐めてやっていた。
せめて自分自身の子供がまだ近くにいて、よかった。。



 *  *  *  * 


4月2日(月)

コチカはウンチを申告したら、
抱っこされてトイレに連れて行かれるもの、と思ってきた。
でもこのところの私の関節炎で、
私が痛ててて、と言いながら抱っこしたり、
抱っこされても、きっと今までになく抱かれ心地(?)が悪いだろうし、
あるいはしつこくコチカを歩かせようと誘ったりするので、
ことの次第がわかってきたのか、

今朝は、
すでにコチカのおしっこは夫がさせてあり、
コチカトイレは人間のトイレにしまってあったので、
コチカに、トイレ行こう、と誘った。
すると、ウンチ〜と私の周りをまいまいしていたコチカは、
さっと台所と居間の仕切りのカーテンをくぐり、トイレまで行った。
しかしやっぱりそこはネコ。
玄関の近くなので、つい足が玄関ドアに向かい、三和土に降りてしまったけれど、

コチカ、ウンチでしょ。
こっちおいで〜、ウンチしよ、ちゃちゃ〜、こっちだよ〜
としばらく呼びかけていると、ち、というそぶりで、
どっこいしょ、と框へ上がり、私の足元にきた。

時間をかけ、歌うように言ったのも、
コチカの気持ちに伝わりやすかったのかも知れないけれど、
こんな風にコミュニケーションできるのは、とても嬉しい。



 *  *  *  * 


4月4日(水)

遅い朝。
夜中から降っていた雨が上がり、ようやく道が乾いてきたので、外へ出る。
寒い。
花冷えである。
もうこれで花もおしまいなのかな。
ち。
夏が終わって秋になろうとするのと、
春に花が終わってしまうのと、
どちらが淋しいだろう???

コチカはかなり毛が抜けてきて、
とはいえ、家のあちこちにそうそうはなはだしく毛が落ちているわけでもないけれど、
一見、やせてきたように見える。
これでようやくきれいな毛並がお目見えするかな。

相変わらず、クロキがチャコちゃんちの玄関で見張っていて、
コチカは無視していたのに、その通り過ぎていく背後から、
腕を3回も振り下ろしながら襲撃してきた。
な、なんじゃい、と腰を低くしながら除けるコチカ。
いつになったら界隈に住むおやじとして認めてもらえるのか。

*

夜。
10時ごろに帰宅し、門の前に立って鍵を探していると、
郵便ポストを開けたわけではないのに、
うにゃ〜!!!、と声がドアの中から聞こえてきた。
へ〜感心。
よくわかるようになったねえ。

外に行くもの、と思って、とりあえずウガイをし、
家着に着替え、暖かいものを飲み、とばたばたしている間、
コチカは居間の藤の椅子の下で腕を伸ばしている。
あれ?外行かないのかな、と言いそうになって言葉を呑んだ。
しめしめ。
居間に入っていき、藤の椅子に座ると、
果たしてコチカは、待ってました、とばかり下から出てきた。
ラン!とした目が、よしよしして〜、と言っている。

うふふふふ。
してあげるしてあげるン。
かわいかちゃっちゃっちゃっちゃっちゃ♪
をすかさず歌いだし、しばらくよしよししていると、コチカはうとうとし始めた。
私がいない間、寒かったのかな。
ようやくホットカーペットも入れられて、暖かくなったのだから、
あとはよしよしされるだけ、だったのかもしれない。


私が留守のときには、籐椅子を占領。
後ろは、夜中に使った湯たんぽの名残(?)。


 *  *  *  * 


4月5日(木)

<ウリ坊の交尾 そしてクロキの襲撃>

夜の散歩。
チャコちゃんちのガレージを通り過ぎると、
チビクロがやってきてゴロンゴロンを始めた。
コチカがそのまま歩いていくと、
今までは興味津々で寄ってきて鼻ツンツンしたのに、
最近は避けるようになっている。
クロキ母さんの教育のせいか。

2度目に来てみると、
チャコちゃんちの玄関の向かいの塀の前で、
クロキ・チビクロ・ウリ坊がそれぞれに毛づくろいをしている。
ウリ坊がクロキの後ろに回ったのでどうするのかと思ったら、交尾しようとした。
ちょっとびっくり。
そういうことがあるから、親は子供たちが大きくなると、
積極的に離れようとするのかな。
クロキは体をかわし、いさめるようにウリ坊の頭を舐めてやっている。

ヤなやつがいるな、という様子で、座り込むコチカ。
でもまあいいさ、無視無視!という態度で、
チャコちゃんちの玄関前をくんくんし始めた。
そこへ、クロキが猛然と走ってきて、無防備でいるコチカを襲撃。
噛み付いたのか、口にコチカの白い毛がくっつき、それをうっとうしそうに振り払った。
何だよ、コイツぅ、とクロキを見るコチカに、
クロキは、しゃー!と威嚇の声。
そしてまた飛びつこうとした。

思わず足先を出してしまった私。
何すんのさ、うちのネコに!
コチカはあんたが来るより前からいたんだからね、と思わず口がしゃべってしまった。
ネコのけんかに人間が出るのもどうかと思うけれど、
正直言って頭にくる。

クロキはそのまま元いた場所に戻っていったけれど、
またコチカのふいを狙って突進してきた。
私はコチカ!と声をかけたけれど、コチカが振り返る前に、
クロキがコチカの背後から飛びついた。
驚いて前進、振り返るコチカ。
ったくもう!
怪我してないのだろうか。
これ、なんとかなんないかなあもう。。
でないとコチカ……というより私?は安心してこの界隈に来られない。
華奢なメスネコとはいえ、意外に根性がしっかりしてて、恐いンだから。。



 *  *  *  * 


4月6日(金)

夜の散歩。
クロキがチャコちゃんちの玄関の前の塀の上で世情を伺っている。
小さいくせに、迫力あるネコよ。
ずっとそこにいて降りてこないでね。

クロキの視線の下を通り過ぎ、桃の木のお宅あたりでくんくんする。
向こうの通りを、
チェリーんちの奥さんがチェリーにリードを引っ張られるようにして歩いていく。
そのうんと後ろから、ラッキーが猛スピードで駆けていった。
尻尾が長いので、チーターみたいで格好いい。
置いてかないで〜、ってところ?

コチカが通りに戻ると、ちょうどチェリーたちが戻ってきたところだった。
クロキが塀から降りてきた。
どういう企みがあるのだろう、と思ってそれとなく注意していると、
チェリーんちの奥さんが来たので、ご飯をもらいに来たのだった。
クロちゃんもきた。
クロちゃん、久しぶりに会ったけれど、相変わらず大きいね。
コチカよりもがっしりしている。
毛がそう長くはないのに、肉がしっかりついている感じ。

* * *

<ペッタンが死んだ>

奥さんが、ペロ(ペッタン)がさっき死んだの、と言った。
この3日くらい、ふらふらとトイレに行っては、間に合わずに漏らしてしまっていたという。
でもよく聞けば、ペッタンが寝ているところにトイレを持っていってあげたのだけれど、
ペッタンはいつもの場所に行ってしようとするから、失敗していたのらしい。
そりゃそうだろう、という気がする。
誰だってトイレに行くのには、無意識にいつもの経路をたどるのだから。
すでに耳は聞こえてなかったけれど、最後まで気は確かだったのだろうと思う。
4月生まれなので、あともう少しで19歳だった。
もう会えないのは淋しいけれど、奥さんは1月くらいでもうだめかと思ってた、と言っている。
よくがんばったね、ペッタン。
いつも優しい気持ちにしてくれて、ありがとう。
またどっかで会おうね。



 *  *  *  * 


4月8日(日)

<コチカが心配して見に来てくれた>

出かけるために2階の寝室で着替えていたときのこと。
膝が関節炎のために思うように曲らず、また指も痛くて靴下を履くのにうまくいかないので、
夫に手伝ってくれるよう頼んだ。
靴下を手繰り、私の足先にかぶせる。
その瞬間、夫の手の爪が私の足の裏を掻いた。
夫の爪は大きく、指の腹よりも長く出てしまうタイプで、
いつも爪が伸びているような状態である。
私はそのみょーに女っぽく見えたりする夫の指先が好きだったりするのだけれど、
こういう場合はいけなかった。

くもの足みたいな夫の何本かの指先の爪が、私の足の裏を掻いたのである。
私はたまらず、
ぎゃはははははは〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜あはあはあはっ!!!
と思い切り悲鳴を上げてしまった。
座り込んで転げまわる、ということができずにじっと立ったまま耐えなければならず、
辛いのなんの。。

すると、階段下の棚の上で庭を眺めていたはずのコチカが、
うにゃあぁぁぁぁ!!!
とただならぬ声を上げ、階段を上ってくるのが聞こえた。
2、3段で足音が止まり、もう一度、うにゃあ!!!と叫ぶ。
こんな声は初めてくらいに聞いた。
ちゃちゃ!と応えると、とんとんと階段を上ってきた。
もしかして驚かせてしまったかな。

上に来たコチカはそっと寝室を覗き、まん丸な目で私を見た。
大丈夫だよ、大丈夫大丈夫、何でもないよ、というと、
部屋の様子を伺ってから、
確かに何でもなさそうではあるね、という感じで歩いてきて、
私の足に体をこすりつけ、
夫を見、私を見、もう一度体をこすりつけて、寝室から出て、階段を下りていった。

コチカは心配して来てくれたの?
なら嬉しいけれど、
実際、悪漢がいて私がやられそうになっていたのなら、どうしたかな???



 *  *  *  * 


4月10日(火)

夜の散歩。
十字路を左に曲がった通りの塀の中に誰かがいるらしい。
ブロック塀の飾り部分に鼻先を押し付けて、しきりにくんくんし、
手を突っ込んでみたりしている。
向こうからは、しゃー!!!、と威嚇する声が聞こえる。

クロキでしょ。
やめときな。
いつも言ってるでしょ。
刺激するの、よくないよ。
そっとしといてあげなよ。
どうせ負けるんだし。

とか言っていると、当のクロキがてってってって、
別方向から歩いてきて、そこらに駐車している車のそばに座った。
あれ、クロキだ、と向っていくコチカ。
至近距離まで来たけれど、クロキは何にも言わない。
ここはやーやー言うほどのことはない場所なのかな。

私はクロキに手を差し出し、
コチカに親切にしてやって、と言ってみた。
クロキは私の手をくんくんし、鼻先を引っ込めない。
そうっと顔を撫ぜてみた。
コチカ、悪いヤツじゃないよ。
仲良くしてやってよ。
クロキは動かない。
コチカは、今日は脈なしと思ったかどうか、
元いたブロック塀に戻り、また飾り部分から鼻先を突っ込んでいる。
向こうには確かに誰かがいる気配がする。
いったい誰がいるのやら。


クロちゃんかなあ。。


 *  *  *  * 


4月11日(水)

<残念賞な日>

今朝夫が出ていってから間もなく私も外出したので、
コチカの散歩はお預けだった。

お昼過ぎに帰宅すると、
郵便受けを開けてガチャガチャ音を立てたにもかかわらず、
コチカは玄関にも出てきていない。
居間まで行くと、籐椅子の上で、
今起きましたというような目を大きく開けて、
丸くした体から頭を上げてこちらを見ていた。
コチカ、ただいま。
ただいーまっ!外行こう!
と声がかけたが、コチカはちょっと考えるような様子をしたものの、
また眠気がどっと戻ってきたような感じで、
頭を上げる前に置いていただろう元の位置に顎を乗せ、
1回尻尾をピンと上に振り上げ、そのまま眠りに落ちてしまった。

なーんだ、のんびりお散歩しようと思っていたのに。
少々寒いけれど、夕方は雨が降るっていうのにな、
と起こそうかどうしようか眺めていたけれど、到底起きそうになかった。

そして夕方になる前に案の定雨が降ってきて、
今日のお散歩はとうとうなし。
あーあ。
残念賞な日だねー



 *  *  *  * 


4月13日(金)

<ラッキーかアンラッキーか、そしてりんご追分の春>

夕方には雨かも、ということだったけれど、
結局降らなかった、コチカにとってはラッキーな日。
でも風が強く、じっと立っているととっても寒く、
私にとってはアンラッキーだった。
こうなると途中でネを上げてしまって、
コチカの行きたいところへ充分行ってあげられず、
とどのつまり、コチカにとってもちょこっとアンラッキーだったりする。
ま、仕方ないよね。

さて、いてほしくない場所にクロキ。
と言っても、彼女がただいま根拠地にしているところなのだけど、
ふいをついて飛び出してきてみては、コチカにガンを飛ばして、
植え込みの中にもぐりこんでいく。

ちゃんと会いたいのに、鼻ツンツンしたいのに、
と思っているかもしれないコチカは、
ゃあ〜ん、ぅや〜ん、と切ない声をあげ、
それはいつしか、美空ひばりのりんご追分に。

去年あたりから気づき始めたのだけれど、
ネコの声が中間声から急降下し、また上昇していくことってあるでしょ?
そのときの低音から上昇するときの声が、
美空ひばりが歌う、りんぐぅぉ〜〜〜の花び〜らが〜、の、
ぐぅぉ〜〜〜の部分にそっくりなのだ。
……と思いません?



 *  *  *  * 


4月14日(土)

夜中に発作。
また例によって、ぅにゃ、と言いつつ私の手を狙ってくる。
でも狙ってこない間は、目を宙に泳がせて、何かを見ているのだ。
もうそろそろ不気味な気分なのにも慣れてきた。
騒ぎに目を覚ました夫も一緒に、コチカの視線の先を目で追ってみる。
誰ですか。
あなたがいるところではありません。
どうぞ出ていってください。
自分のいるべき場所に行ってください。
と4回ばかり言ってみると、
偶然かどうか、コチカの発作がおさまり、
両手を伸ばして体を落ち着けた。

この種のものって、こうしていつもいるのだろうか。
あるいはコチカを翻弄しに遊びにくるのだろうか。
お払いしたくなってくる。



 *  *  *  * 


4月16日(月)

朝の散歩。
門を出ようとすると、ライフくんが通りかかった。
門を開け、おはよーおはよー久しぶり〜、とご挨拶。
ライフ君は、門扉の柵から顔を出したコチカにも挨拶をしている。
意外なことに、突き出されたライフくんの鼻先に、コチカも鼻先を近づけていっている。
おお!
進歩ではありませんか。
でも一瞬めでたく鼻挨拶したかのように見えたけれど、
ライフ君が、なかなか離れようとしないので、
コチカは右手を振り上げてしまった。
残念。。
でも、次からはまた仲良く挨拶できそう。



 *  *  *  * 


4月18日(水)

昨日は寒くて、
でも冬のコートもクリーニングに出してしまって着るものなくて、
そんなでコチカののろのろ散歩に付き合う勇気は到底なくて、
朝の散歩はパス。
そして不運なことに、夕方にも雨が降ってしまってお散歩に出られず。。

そして今日。
朝早くに外出したのでまたも散歩はパス。

午後4時過ぎに帰ってきたときには、ぱらぱらと軽い雨が降っていた。
行かねば。
今しか行くときない!
天気予報でも明日も雨だと言っていたし。。

ということで、帰宅して早々にコチカを散歩に連れ出した。
久々の散歩に嬉々として歩くコチカ。
なるべくコチカのいたいだけいてあげようと思っていたけれど、
またまた不運なことに、雨脚が強まってきた。
それでもがんばってしばらくうろうろして、
そろそろ帰ろう、というとき。

チャコちゃんちのガレージで、
最近よくいる白地に雉トラ柄のオスネコが誰かを狙っている。
多分あの様子では、キイロちゃんかな。
なんとか植木の間に入り込もうとしているのが、
コチカは気になって仕方がない。

縁石に座ること数分。

ちまたはお買い物の時刻であり下校の時刻。
雨降りの中、コートを着た奥さんたちが足早に通り過ぎていく。
体操着の女の子とかが、興味ありげに見ていく。
あーもー恥ずかしいから、早く帰ろう!
疲れてきたし、もう嫌だー、コチカー!!!
などと言っていると、話が通じ、歩き出した。
きっとコチカだって雨がうっとうしかったのだろう。
そのままさっさと家へ。

家に着くと、コチカを上がりかまちに上がらせないようにつかまえ、
用意してあった大量のトイレットペーパーで足を拭く。
うぇ〜〜、ぐにゃっ、やめてくれ〜、と声を上げるコチカ。
やだよん、そんな汚い足で上がっていったら。

ある程度水気を取ると、自分でも気にしだして、
すぐその場でペロペロしだした。
私と一緒に居間へ行くと、せっせと身づくろいに精を出し、
あっという間にきれいになって、
よしよしをせがんで、丸くなって寝てしまった。
ほっ。
これで義理も立ったかしらン。。



 *  *  *  * 


4月19日(木)

夜の散歩。
チャコちゃんちの角を曲ると、生垣の向こうから、
ク〜、と不安そうな小さな声。
門扉からそっと覗くと、ウリ坊とクロキが前後に並んで座り、
こちらを見ている。
コチカよ、大丈夫よ〜、と声をかけながら通りすぎようとすると、
生垣の下から、しゅっ!と黒い影が飛び出てきて、
コチカの白い毛が舞った。
何するのさ、クロキ!大丈夫だって言ってるじゃない。
ウリ坊だってもう大きいンだからさあ、いい加減に心配するのやめなよ。
などと思いながら、歩き出すと、
コチカも気になるのか、何度も振り返り振り返り。。

すると、親子で地面にゴロンゴロンをはじめ、
クロキはウリ坊の頭を丹念に舐めてやっている。
ウリ坊は、やだー、やめてー、というようにも見えるのだけれど、
結局のところクロキに手をかけ、抱きついたりして甘えている。
クロキが母親に逆戻りしたから、ウリ坊もまた子供も戻ってしまったみたい。

そこへタビーがやってきた。
クロキは何にも言わずに、見ている。
タビーは何しにきたのか、来たと思ったら、
次に私が振り返ったときには、もう元来た道を引き返していた。
クロキは座って後姿を見送っている。
タビーとクロキは、いい仲なのだ。
まったくね、差別よね。
コチカにはあんなに激しく威嚇してくるのに。

タビーと白地に雉トラは、顔を会わせばケンカをしている。
もう数日続いている。
そのたびにチェリーんちの奥さんやチャコちゃんちの奥さんが、
お水を持ってかけつけたり、ネコたちがケンカすると人間まで落ち着かない。
どうやら、キイロちゃんをめぐってらしいのだが、どうなることやら。
この騒ぎで、チビクロがいなくなってしまったらしい。
追い出されたのか、それとも自分も旅に出ようと決心したか。
早く帰っておいで〜



 *  *  *  * 


4月20日(金)

<白地に雉トラ&タビーの戦い:決着がついたらしい>

あーびっくりした。。
去年の今ごろどこかから流れてきた、
エイズを発症してガリガリにやせていたガリ君にそっくりなネコがいる!
と思ったら、白地に雉トラ柄のオスネコだった。
桃の木のお宅の日当たりの良いガレージで、
うすぼんやりした顔で、くつろいでいたのだ。

結構丸々して体格のがっちりしたネコだったが、
一晩でそんなにも体力を消耗したのか。
げっそりと肉が落ち、
顔が腫れているのだろう、顔つきが全然変わっていて、
左肩から腕にかけての毛が白い部分が、
因幡の白兎のように、ピンクっぽい、というのはさんざん擦り傷か切り傷を追っているのだろう。
痛そう。。

コチカは、戦闘態勢に入る前の観察モードに入り、
伏せの状態で地面に細長く体をくっつけてじっと緊張している。
雉トラくんは、そんなコチカの場違いなガン飛ばしをうっとうしく思ったのだろう。
すっと立って、てってってって、と通りに出て駐車場の方に歩いていった。
その様子は全然元気で、体の表面を怪我しただけなのだ、
と見てとれたので安心した。

お尻や背中には怪我を負っていない。
ということは、この雉トラの勝利ということだろうか。
思えば、タビーを見かけない。
タビーは逃げていったのだろうか。
一晩のうちに、
ネコたちの修羅場がドラマチックに展開して、
ネコの流儀に則って決着がついたということか。


白地に雉トラ柄:短い尾が左に折れている


 *  *  *  * 


4月21日(土)

夫が聞いてきた、チャコちゃんちの奥さんの話。
タビーはまだいるらしく、
なんとキイロちゃんを追い掛け回しているらしい。
そしてようやくキイロちゃんと捕まえたと思ったら、
クロキが猛然といどみかかって、タビーを撃退したのだそうだ。
ほ〜
もしかしたら、オスネコにとって最大の敵は、
敵対するオスネコではなく、若き母親クロキなのかもしれない。

* * *

<コチカは調子悪いらしい>

ご飯を食べ散らかしている。
歯が浮いている?
オスネコとやりあって縄張りを守らねばならにのに。。
クロキをゲットしたいのに。。
いろいろ思うことが溜まり溜まっているのだろう。
うーん。
この時期、早く去れ!



 *  *  *  * 


4月23日(月)

午前中、胃液を嘔吐。
毛が少々出ているけれど、大したことはない。
手の関節炎が少々よくなってきたので、おしっこをさせてみた。
思いがけずかなり溜まっている。
あれ〜昨日の夜、夫はちゃんとおしっこさせたよねえ。。

* * *

夕方の散歩。
家の門を出ると、チェリーんちの奥さんが出てくるところだった。
夜のデリバリーである。
足音を聞きつけて、クロキが来ていた。
奥さんが準備をする間、うろうろしていたクロキは、
コチカを見つけて、こいつー、と言いたげに寄ってきた。

私が、
コチカはなんにもしないから大丈夫だからね。
とクロキに言うと、奥さんは、は?と振り返った。
ちゃんと言っとかないと。
釘刺しとかないと、飛び掛られますから、と言うと、
奥さんは声を上げて笑った。
クロキはねえ、もう、あはは〜

でも人間の私がそう言っただけで、
クロキはなんとなくふら〜と離れていって、コチカは事なきを得た。
なんでも言ってみないとダメだと思う。
ノラニャンにでも誰にでも。
本気で言えばある程度伝わるのだろうし。

十字路の駐車場に行くと、タビーが悪そうな顔をして座っていた。
そんなところにおなかぺったりつけて、寒くないの?
タビーはここにいて、あれからあの傷ついた白地に雉トラくんを見かけないから、
結局のところ、タビーが勝ったのかなあ。

コチカが背を低く構えると、
タビーはすっと立って車の下を通ってアパートの背後に入っていったようだ。
やけにクールな印象。
なーんか感じ悪くって好きになれないな。。



 *  *  *  * 


4月23日(月)

寒いような暖かいような。
日中、寒いと感じない間、
籐椅子に座った私は、ホットカーペットを切ってテーブルに向っていた。
すると下に寝ていたコチカが、
むくっと起き上がり、うわーっとあくびをし、
私の足の間に来て、顔を見上げた。
目の縁がピンクに染まり、まだまだ寝足りない、という表情。
どしたの?
などと言いつつ両手で両頬から身体にかけて、
さー、さー、と撫ぜてやったら、うっとりした目をした。
それから、私から視線を逸らし、私の背後を見た。
椅子のスペース空いてるかな?である。
やはりまだ下に寝ていると寒いのね。
だまっていたら、籐椅子の脇に来て、
こそっ、と音を立てて私の背後に来た。
どうやらコチカ分のスペースはあったらしく、
私の背中に足を上げたりして毛繕い。
ちょうど私はトイレに行きたいタイミングだったのだけど、
ここで立ったら、コチカに椅子の全部を取られることは間違いないので、しばしの我慢。
毛繕いが終わって居住まいを正し、眠ったところで席を立つ。
果たしてトイレから戻ってきても、私の座る場所は元のままだった。
やれやれ。
これで籐椅子のスペース争奪戦は免れた。



 *  *  *  * 


4月26日(木)

昨日の夜、私は外泊をし、早朝に帰宅した。
その旨をコチカに全然言ってなかったのだけれど、
果たしてコチカは、
にゃう〜、にゃう〜、と何か言いながら、
物見台に上ってみたり、2階の物見台に行ってみたり、
うろうろして、私を探していたのだそうだ。

2階の寝室に寝に来たものの、すぐに降りて行ったり。

朝家に戻り、
居間のカーテンを開けると、…コチカは居間の籐椅子の下で寝ていて…要するに、寝室の布団も暑かったのかな?…
それまでコチカは私が帰ったことに気づかず寝ていた…番ネコにもなりゃせんな全く…あぁっ!と高い声を上げた。

それから居間でメイルなぞをチェックする私の足元をまいまいし、
寝っ転がって、勝手に私のズボンに手をかけて遊んでいたり、した。
か、かわいい。。


おしっこ周りを処理されるブー


 *  *  *  * 


4月28日(土)

夜中に難しい顔をして、眠い〜、と布団に入ってくる。
布団を上げてやるまで、布団の向こうでじっと座って待っている。

私が気づくまで鳴き続けるときもあるし、
私が容易に起きそうもなくて、こりゃだめだ、と思うのか、枕の横で丸くなるときもあるし、
また静かに寝室を出て行くときもある。

それぞれにどういう心持なのだろう、といつも不思議に思うのだけれど、
じっと座ってくれているのが一番好きである。
コチカの顔を見られるし、どうぞと布団を上げると、
すんなり脇の下に入ってきて、もみもみして、
ぶーっとした顔をして私の鼻先に落ち着くのが、
なんとも幸せそうに見えて、私もほっとするのだ。

あれ、今気がついたけれど、
最近コチカのゴロゴロ言うのを聞いたことがない。
夫に訊いたら、あるよ、とこともなげに言った。
い、いつ言ってる?



 *  *  *  * 


4月30日(月)

<退屈するとおなかがすく?>

午前中、胃液を嘔吐。
毛が少し出ているようだけれど、大したことない。

人間二人がうろうろしているので、
落ち着かないコチカは、
不満そうにやーやー言って人の後ろをついて歩いている。
私が台所で立ち止まると、
ご飯の器の前に座って、ご飯〜、と鳴く。
ご飯ちょうだい!なんでくれないの?ケチ!人でなし!
そこまで言うかぁ、というような勢いで、
器の前に座るごとに訴える。

そんなにおなかがすいてるのなら、と思って5粒くらいやった。
でもそれからも、私が台所にくるたびに、ご飯〜ご飯〜を繰り返す。
本当におなかすいてるの?
それとも退屈しのぎ?
退屈してると、なんか食べたくなってくるのは、
人間もネコも同ンなじだったりする?



 *  *  *  * 


70 ⇔ 72