11月1日(木)
一日中寝ているコチカ。
外に行かないのに、それでも体は汚れるらしく、
今年買ったばかりの白いカーペットが薄汚れてきた。
毎日コロコロで毛を取ってるのだけれど、
それだけでは汚れは落ちないということか。
それなのにコチカはさして汚れてもおらず、真っ白なのである。
解せない。。
* * * *
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11月3日(土)
<疑心暗鬼・・>
夕食後、
白い影(?)が私の足元にきて動かなくなった気配がした。
テーブルの下を見ると、
案の定真っ黒な二つの目がじっとこちらを見つめている。
絨毯が白いので、白い毛皮が背景に溶け込み、
黒い目玉だけが浮き上がったみたいに生き生きして見える。
おりこうちゃっちゃっちゃっちゃする?
と言うと、目の色がゆらっとしたので、リクエストに応えて歌いだした。
今日は丁寧に歌ってやった。
歌いながら、注意深くコチカを観察すると、
やはり、3番のまーいの・・・で、すりすりの準備が無意識に始まる。
そして、やさしか・・・でちょっと頬を私のすねに擦り付けた後、
ばたんと体を横たえちょっとくねくねした。
でもいつものようにすっかりリラックスして、派手にくねくねしない。
もしかして、コチカも私がちゃんと歌うかどうか、注意深く聴いていたのだったりして。
まさかね。。
『おりこうちゃっちゃっちゃっちゃ』は、
歌ってやるとコチカが本当に満足した風になるので、
私も夫も暖かく気持ちよくなるのだけれど、
最近、コチカが何をどう考えているのかわからなくて、
リラックスのための歌も、
コチカの心の内を探りながら歌っているような気がして、なんだか落ち着かない。
ネコとの付き合いって、こんな?
* * * *
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11月5日(月)
夜になって夫と二人で探し物にはまってしまい、
2階の押入れやタンスなどをごそごそごそごそ。
ようやく探し物が見つかって、下に下りようとすると、
階段下からコチカが、ふにゃ〜、と情けない声で呼んでいる。
もう下へ行くよ、と声をかけると、
安心したように切り売りカーペットを巻きつけた爪とぎ柱に抱きついた。
なんで自分も2階に来なかったのだろうか。
たいてい、人間がなにかしてれば見に来るのに。
そして私が下に行くと、首を傾げて見上げているので、
つい私もコチカの真っ黒な目を覗き込むと、
急にスィッチが入ったように、ダダダッ、と玄関に向かって走り出した。
な〜んだ、遊びたかったのか。
でもこっちはあまりに集中して物を探したので疲れてしまい、
座りたいし、お水は飲みたいし、さっきから中断していたリンゴは食べたいし。。
遊ばないよ〜、と声をかけ、居間に入ると、
しばらくしてから、ぅぉ〜、と低い声で文句を言いながらとぼとぼと戻ってきた。
それでももうそれ以上は何も言わず、今度はネズミの番でもしようと思ったか、
鴨居渡しに上っていって、今、渡しの板の上でうとうとしている(笑)。
* * * *
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11月6日(火)
<来客だとストレスかかる?>
友人が来た。
女性で静かに話す人なので、
コチカも怖がることなく私の籐椅子の後ろで寝ていた。
2時間半くらいいて帰っていくとき、
コチカも立ってきて、にゃ〜ん、と言った。
友人は、うちのネコ・・ポチという(笑)・・が外に出してって言うときの声にそっくり、
と言っていた。
コチカは、にゃ〜ん、と言いながらご飯の器の前に座ったから、
ではこの鳴き方は、おねだりするときの鳴き方なのね。
友人を玄関まで送り、じゃあね、またね、なんとかね〜、
と挨拶を長々としている間、
私はコチカを抱っこしていたが、
友人が行ってしまい、ドアが閉まると、床にぴょンと降り、急にすりすりし出した。
何度も方向を変え、頬から体全体をすねにこすりつける。
私が友人と話し込んでいて、コチカは寂しい思いをしていたのだろうか。
その後また私の後ろで寝ていたのだけれど、
急にしゃくりあげて、胃液を吐いた。
そんなにストレスかかった?
友人がいる間中、ずっと落ち着かない気持ちでいたのだろうか。
最近はお客さんがくることが滅多になかったからね。。
* * * *
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11月8日(木)
コチカが私の前に正座をして、にや〜ん、と甲高い声で鳴いている。
にや〜ん。
はっきりそう聞こえるのである。
ネコらし〜
おもしろくなって、
ねーこーちゃちゃ、といいながら頭を撫ぜてやったら、
きょとんとした顔をした。
ねーこーちゃちゃ。
コチカはまん丸の目を向けたまま。
ねーこーちゃちゃ。
3度目には、なんのことやらさっぱりわけわからん、という感じで、
落とした視線を右左に流し、
テーブルの下まで歩いて、どさっと腰を下ろしてから、
私の顔を見上げた。
それでそのままになってしまったけれど、
コチカは実は何がいいたかったのかな(笑)。
* * * *
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11月9日(金)
<ウ○チ取って!が通じない>
コチカが私の座る籐椅子の横に寝そべったまま、ぅゃお〜、と言う。
真剣な顔つきで、何回も言う。
ときどき部屋の隅を振り返り、私の顔を見たりする。
何が言いたいのかわからない。
よしよしして〜、でもなさそうだけれど、他に思い浮かばないので、
おなかをポンポンしながら、おりこうちゃっちゃっちゃっちゃ、を歌ってやった。
嬉しそうでもなく、コチカはじっと私の顔を見ている。
私はまた歌詞を間違えた。
コチカの表情は変わらない。
とにかく最後まで歌って、ちゃっ、で終わったら、
無表情のまますっと立って居間を出ていってしまった。
なに、なに、なんなの???????
またまた初めてのできごと。
すっごく気になる。。
しばらく考えたあと、
コチカが、ぅゃお〜、と訴えながら視線を送っていたあたりを見に行くと、
なんと、押入れの敷居の上にウ○チがあった。
保護色みたいにしているので、気がつかなかった。
そこは、押入れから涼しい風が吹いてくるのだろう。
私の足元にいて、暑くなってくるとコチカが避暑に行く場所なのだ。
コチカは、暑かったのでそこに行きたかったが、
自分のウ○チがあるので、行きたくない。
だから私に取ってもらいたかったのだ。
な〜んだ、そういうことだったのか。
話が通じなくて、さぞかしもどかしい思いをしたろうね、コチカ。
それにしてもあの硬くむっとした表情は……
複雑な不満が口元に凝縮されたみたいで。
なんで歌なんか歌ってるわけ?という不思議さでいっぱいの黒い目。
ネコらしくなくて可笑しい。
* * * *
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11月11日(日)
<微妙な手加減>
例によって居間から台所や廊下にいる夫に大きな声でしゃべっていると、
いきなりズボンの膝あたりにぷちぷちと痛いものが当たった。
コチカが手を伸ばしたのである。
きっと私の声がテーブルに下で響いて、
耳にうるさく、不快だったのだろう。
痛てててててて!痛いよコチカ、痛くないようにしてよ!
とテーブルの下を覗き込んで叫ぶ。
痛くないようにして!!!
とさらに強く言うと、コチカは今度は両手でしがみついた。
わー!
と身構えたけれど、今度は爪が皮膚に届くほどではない。
ほら、爪出してないぜい、と言っているかのようである。
それからコチカは遊びモードに入ったらしく、
何度も何度も私の足に手を伸ばし、
懸垂してみたりして遊んでいる。
ズボンに爪は引っかかるものの、皮膚には到達しない。
とはいえ、次にはどうなるかわからないではないか。
うわっ、また痛いか、とひやひや。
ところがやはり爪はしっかりは出されていない。
へい、どんなもんだい、という感じか。
こらコチカ、人をもてあそんどんのかい!
・・とはいえこの微妙な手加減には感心。
うーん、今日のところはコチカにやられた、ということにしておこう。
* * *
<本日の歌は合格?>
今日もまた何かはわからないけれど、
そばに来て小さく鳴き、私の顔をじっと見るので、
しかたなく、おりこうちゃっちゃっちゃっちゃで、ある。
丁寧に歌った。
コチカは身じろぎせず、ネコの正座のままじっと聴いている。
またジャッジするつもり?
3番のま〜いの、でちょっとわくわくしたのだろうか、
わずかに体揺れ、視線が上がり、私を半分見た。
私は、やさしかちゃっちゃっちゃっちゃ、ときちんと歌った。
そのときのコチカの視線。
様子を伺うように半分私を見上げた目線を、ふと閉じたのである。
よしよし今日はちゃんと歌った、とコチカが思ったように私には思えた。
コチカのジャッジが合格点を出した・・・
でも本当か???
ネコにそんな思考ってある?
うがちすぎ?
でもね、注意深く見てると、そんな風に見えるのですよ。
きっと誰にだってそう見える・・と思う。。
* * * *
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11月13日(火) コチカはどこにいるのかな、と座っている足回りを探してみる。 籐椅子の下から白い足が出ていたりすると、毎回ドキッとする。 というのは、 まだコチカがうちに来て間もないころ、 私がまだネコなぞが自分の家の中にいる、ということに慣れておらず、 不用意に籐椅子を動かして座りなおしたら、 ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!! とそれはもうすごい悲鳴がお尻の下から上がって、 私はしまったとうすうす思いながら、椅子から飛び上がった。 座りなおしたときに、 あろうことか籐椅子のフレームが、 私もろともコチカの尻尾の上に乗ってしまったのである。 でも悲鳴を上げた以外に、小さなコチカは私の顔を見たが、 尻尾に目に見える異常も見られなかったし、 コチカも何も言わなかったので、 大したことなかったのだと思っていた。 しかし、そのせいかどうか、 コチカの尻尾は真ん中あたりから少し折れ曲がっていて、 尻尾の根元が上に上がっても、先までは上がりきらなかったのだ。 実際のところ、 ネコの尻尾にそんなに感心を払ったことがなかったので、 最初からそうであったのか知らなかったし、 椅子ごと乗ってしまったのが原因で関節が折れ、 そうなったのどうかかわからないのだが、 なにしろそのときの悲鳴のすごさと、 そしてその後、 ホットカーペットの上で寝そべるコチカの尻尾の上に、 正座をしていたことが原因で血行が止まり、 結局断尾しなければならなかったという悪夢がある。 そして、 その断尾した場所というのは、少し折れていた場所なのである。 だから籐椅子を動かすときには、いつもびくびくして周りを見回し、 細心の注意を払う。 もう一生こうだろう。 尻尾の長いネコは魅力的だけれど、 実際に生活していく上では、短い方が断然安全だし、安心だと思う。 |
こんな風に足が見えるとドキッとする。 |
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11月15日(木)
<ネコの秘密:利き手の問題?>
昨日、TVバラエティ番組のみのもんたと久本雅美の「秘密のケンミンshow」で、
ネコは引き戸の場合、右から左にしか開けられない、といっているのをちらりと見た。
なんでもどこか離島の、ある地域の家々は、
玄関の引き戸を外から開けるとき、右から左に開けるようになっているというのだ。
一般的に、玄関が引き戸の場合、左から右に開けるのが普通なのだそうだ。
ふむ。
言われてみればそうかも。
私が子供の頃に住んでいた家も、左から右に開けていた。
どこもそう?
風水的にその方がいいのかしら。
それとも人間の体の構造上、その方が楽ってこと?
でも内側から開けるときには、逆になるのだから、そればかりでもありませんよね。
とにかく、そこの地域の人々の家は左側の引き戸が動かなくしてあり、
右側の引き戸が可動で、人々は右から左に開けて、家の中に入る。
なぜそうかというと、
左側が開くようにしておくと、ネコが勝手に開けて入ってくるから。
なので、左を閉じて、右側を開けるようにしたら、ネコは一回も入ってきたことがない、というのだ。
え〜〜〜〜〜そうかなあ。
ネコなんて両刀なんじゃないの?
うちのコチカも引き戸を開けるけれど、
左から右だけ?
そういえばトイレのドアは引き戸ではないけれど、左側を左手で開ける。
台所と居間を仕切るカーテンは?
居間から出て行くときには、左側から左手でカーテンをはらって出て行く。
でもでも!
台所から入ってくるときには?
居間から見て右側から入ってくる!
ということは、あ!台所からすると左側から入ってくることになる。
うーん。
これって利き手かどうか、という問題?
あるいはいつもの習慣にあるのか。
左側から入る、という習慣があるので、反対側に回っても、左側から入ってしまう、のでは?
でも人間は同じ側から出入りしているのである。
それをまねしていてもいいはず。
やっぱり利き手の問題?
誰か教えて!
お宅のネコは引き戸(あるいはドアでも)をどちらから開けますか?
* * * *
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11月17日(土)
* * * *
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11月18日(日)
<クラシック音楽鑑賞>
例によって台所から声がかかったので、居間から座ったまま声を返した。
途端に、そばから、ウェ〜、といかにも不満とわかるダミ声が。
コチカはテーブルの下ではなく、横に寝ている。
私が覗き込むと、まん丸の目で見上げたが、
すぐに目を半眼にしてぼーっとしはじめた。
きっとこれが今までしていたポーズらしかった。
ついさっきまでは伸ばした両手の上に顎を乗せ、眠っていたと思うのだが、
そのままの姿勢で頭を上げ、背後から流れてくるNHKの音楽を聴いているのだった。
音楽は、ウィーン学友協会大ホールでの演奏で、
リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」からの抜粋なのだけれど、
ウラジミール・アシュケナージ指揮、NHK交響楽団で、
なんとかというロシア人らしい女性の歌だった。
歌詞がすばらしく、私もしばらく気を取られていたけれど、
とうとうとした濃厚なオーケストラの伴奏に、
やはり厚みのある美しい女性の声が淀みなく続いている。
いかにもコチカ好み。
コチカはこのような、どわぁ〜っとぶ厚い音楽が好きなのである。
うっとりとして聴き惚れているコチカの耳に、私の大声は邪魔だったのだ。
どうもすみませんでしたねえ。
幸いにもすぐに夫が居間に入ってきたので、
静かな声でコチカの様子を説明すると、
夫もその気になって静かにしゃべった。
再び二人で覗いてみると、やはりコチカは半眼でぼーっとしている。
夫と二人で噴出し、ため息をついた。
コチカさまだねえ、ほんっと。。
* * * *
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11月20日(火)
明け方、頬の一点が、かーっと熱くて目が覚めた。
熱く感じる方向を見ると、
コチカが私にお尻を向けて伏せのスタイルで寝ていて、
尻尾の先っちょが私の頬に、ぺっ、とくっついていたのである。
コチカの尻尾は、
神経がいってるのかいってないのかわからないようなところがあるので、
ああ、やっぱり血が通ってるんだな、と嬉しくもなったけれど、
ちょっとくっついてるだけであんなにも熱くなるなんて驚き。
毛の生えた肉体と毛の生えてない肉体とがくっつき合っていると、
その部分の温度はかなりの温度にまで上がるのかしらん。。
* * * *
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11月21日(水)
ネズミがすごいのである。
うちの壁の裏を我が物顔で走り回っている。
柱の向こうから走り出てきて、壁を斜めに走りあがり、そのまま天井へ。
もちろん見えてるわけなけれど、まさに見えているかのように、
足音が頭の中のスクリーンに足跡を残していく。
聞いているだけで目が回るけれど、
いったい何の用があって、縦横無尽に家の中を走り回るのだろう???
年中何者かに追われている?
コチカはというと、もうすっかりあきらめているらしく、
頭を動かさず、音のする方向に片方の耳と目玉だけを動かし、
音の行方を追っているだけ。
ときどきネズミよりはもっと大きな動物が走っているようにも聞こえる。
ネコであるときには、はっきりわかるが、
そうではないものもいるような気がする。
いったい何?
以前に界隈に出没した白鼻芯だったらどうしよう。。
* * * *
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11月22日(木)
夜中。
さんざんだった。
私の枕元へ来ては、あちこちをプツプツ引っかく。
あーコチカウ○チしたな、と思うが、
まず目が開かないし、この寒いのに起きだす気力なんか、出るわけない。
目を閉じたまま、いいからいいから、
と布団を上げてやると、冷たくなった体で脇の下に滑り込んでくる。
これを数回やられた。
だから今日は眠い。
でも眠いだけならまだましなのだ。
昨日なんか、朝起きたら、
枕のちょうど私の肩が当たるくらいのところに1個、
他にも2個ばらばらとウのつくヤなものが転がっていたのだ。
もういいのである。
死ぬわけではないしトホホ。。
* * * *
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11月23日(金)
<頭なしのねずみが・・>
最近、家の見えない場所を自在に走り回るネズミの一匹が、
昨日とうとう頭をもぎ取られた状態で発見された。
人間が帰りが遅く、相当な空腹だったろうコチカが狩りをしたのだ。
リアルな音でガリガリごそごそ音を立てていたネズミは、
とうとう家の内部に出没したのだろうか。
階段の下付近に、
丸々と太ったイエネズミは、エラ部分から頭を落とされた魚よろしく、
首周りを赤くして、出血もないまま横たわっていた。
頭の残骸はどこにもないから大丈夫だよ、と夫は言った。
だ、大丈夫って???
コチカはネズミの頭蓋骨を噛み砕き、脳ミソをすすり、
目も鼻も神経も全て食べつくしたらしい。
帰宅して玄関を入ったときに、いつもならもう三和土にいて、
寂しくひもじい思いの丈をぶつけてくるコチカなのに、
今日はなんだか、あら、お帰り、という感じでいつもと様子が違ったことを思い返し、
彼は相当に満足していたのだ、と思うと頭がくらくらした。
私は変だと思いながらも、とりあえず、遅くなってごめんね、などといって、
頭を撫ぜてやり、ネズミを食べた口周りを撫ぜてやったのに。。
私はなんにも知らなかった。
手を洗いたいと思うが足ががくがくする。
あーもーだめー死んだ方がましー
胸が悪くて座り込む私に夫は、なにもコチカが悪いわけじゃないし、ごく自然なことしただけだし、と言った。
そりゃそうですけどね。。
* * * *
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11月24日(土)
<この絶妙のタイミングは誰のお陰?>
昨日、野獣化したコチカは、寝室には寝にこなかった。
よかった。
ネズミを食べた口でくんくんしにくるのかと思うと、
気分がブルーならぬグレーになってしまうので、あまり考えないようにしていたのだが、
朝になってもコチカが来て、私の枕元で寝た形跡はなかった。
脱走して何時間も帰ってこなかったり、
ネズミを捕獲した日などは、
人間に、いつものようにすりすりしにきたりしない。
まったく必要がないらしく、そうしようとは思いつかないようなのだ。
激動の記憶を何度も反芻するのだろうか。
コチカがネコらしさを復活させたコチカに戻れるときなのだと思う。
実は26日、あさってにこの家を出て、いわゆるマンションに住み替える。
すると、今のように年中開けっ放しの窓から緑いっぱいの庭が見られるわけではないし、
通りを行く人々を悠々と眺められることもない。
無機的な住まいでいったいどうやって暮らしていくのだろうか不安で、
とりあえず、一番高さのあるキャット・タワーを買ったけれど、
コチカにとっては、かなり息苦しい生活を強いられることになるだろう。
それが理由だろうか。
生活が一変するその前に、大変なプレゼントを与えられたのだ。
野生化する大興奮のイベントとネズミのお頭。
これもまた、
コチカが自身の生きる力で引き寄せたものかも知れないが、
コチカから恩恵を受けながら暮らしている人間としては、
この絶妙のタイミングに、なによりのものを与えてくれた何者かに、感謝したい。
宇宙に神様がいるのなら、神様だろう。
神様、コチカにこれまで以上のプレゼントをありがとうございます。
これからもコチカを見守ってやってください。
どうぞよろしくお願いいたします。
* * * *
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11月26日(月)
<いよいよ新居>
昨日は、引越しに先立って、新居に泊まった。
まだ荷物がちらほらあるだけのリビングで、
キャリーに入れてきたコチカにおいで、と声をかけると、
及び腰で出てきて、そろりそろりと匍匐前進しながら点検かたがた玄関まで行き、
戻ってきて、リビングの南側の通りに面した窓枠に飛びついた。
その際に早速クロスにざざっと傷をつけた。
あー!!!
利き足らしい右足が窓枠に届かず、壁を掻いたのだ。
まあね。
しょうがないよね。
数年住んだら、どうせ人間だって傷をつけるし。。
やっぱり窓が好き。
玄関側が2車線の大通りに面していて、
リビングの窓はそこから入った道に面している。
だからすごい騒音なので2重窓になっていて、
一番外側に採光のための分厚いブラインドが取り付けられている。
それをボタンで開けると、
コチカはすごく嬉しそうで、ガラス窓を1枚閉めたままで、
1時間くらいそこにいた。
*
夜中には、前の家を恋しがって、大声で鳴き続けた。
いつもよほど寒いときには、布団で寝ているが、
少しでも暖かいと、ちょっと寝ては、
起きていって階下の窓から外を眺めたりしていたのだ。
マンションなので暖かく、なにか興奮して眠れないのだろう。
うろうろしているうちに、鳴き声がどんどん大きくなっていく。
私ら夫婦も寝られないが、ご近所に迷惑なのではないか。
いても立ってもいられなくなった夫は、
コチカをキャリーに入れて、車の中に入れに行った。
朝になるとコチカはご機嫌で帰ってきた。
ある程度寒く、座布団の中で丸まってよく眠れたのだろう。
* * *
お引越しの日。
おまかせなので、私は座っているだけ。
へたに動くと邪魔らしかった(笑)。
引越し屋さんのお兄さんが入ってくると、
コチカは大慌てで、物陰を探し、隠れた。
そのときの物陰というのは、
さっき夫が脱いで不用意に置いたトレーナーとバッグと何かの陰。
頭を隠しているけれど、べちゃーと平べったくなったお尻はすっかり見えている。
これなら安全だと思っているんですかね、なんて笑いながらみんなで眺めた。
またキャリーに入れて車へ、と思ってキャリーのふたを開けると、
大喜びで飛び込んでいったコチカ。
ひょっとしてこうして私の足元へでも置いておけば大丈夫かも、
と思ってそばに置いておくと、中から人の動きを興味深そうに眺めていた。
でも一度も眠らなかったところを見ると、やはり警戒はしていたのだろうな。
*
お引越しが終わって、作業の人々が引き上げていっても、
何かコチカは警戒していて、ちょっとでも変わった音がすると、
押入れの中や、物陰にあわてて駆け込む。
夫と食事に行って帰宅したとき、私が玄関にいるのを認めると、
あらぬ方向から私の足元めがけてダッシュしてきて、
頭突きをするように頭をすねにぶつけて、すりすりした。
夫は、あら、コチカ、テレビの向こうにいた、と言った。
きっと聞き慣れないドアからまた誰か知らない人が入ってくる!
とおびえて、大慌てでテレビの下のラックの陰に隠れたのだろう。
でも夫と私だったので、あな嬉し!とばかりかけよってきた。
なんとも不憫だけれど、しばらくこんなだろう。
あー今日の夜中はどうなることやら。
静かに寝てくれたらいいけれど。。
* * * *
▲
11月27日(火)
昨日の夜中は、
コチカ独自のパフォーマンスをしていて、
何回か起こされたけれど、大声で鳴きわめくようなことはなかった。
ほっ
しかしご飯の食べ方のなんだか不規則だし、
今朝はおしっこのたまり方が少ない、と夫が言っていた。
やはりそれなりにストレスがかかっているのだろうな。
*
朝起きると、
しばらくうろうろしていたが、
いつの間にか押入れに入って寝てしまい、夕方まで出てこなかった。
夜になると、
窓辺に寄ってサッシの隙間から吹いてくるわずかな外の空気を嗅いでは、
うぉ〜、わぉ〜、と言いながら歩き回り、
そんなに長く歩かないうちに、私のそばに来てバタリと腰を落とし、
少しまどろむようだった。
わかる気がする。
考えてもしようのない悩みを抱えて悶々としているときなど、
どっと嫌な感情の波が押し寄せてきて、ある程度経って波が引いていくと、
今度は眠気が差してきて、座り込みたくなってきたりする。
それと同じことがコチカの身の上に起きているのだろう。
かわいそうに。。
人間と違い、時間の流れが速いはずだから、感じる回数も多いはず。
でもその分、人間が思っているよりも、早く慣れるかな。
だといいね。
がんばれ、コチカ!
* * * *
▲
11月29日(木)
コチカはなんとか慣れてきたようだ。
でも黄色信号だと思うのは、何かにつけて、
私のところにきて、よしよしされるのが習慣になってきているのだ。
私は頼られて嬉しいけれど、脱走した後のような、
ネコらしく自立した様子はまるでなくなってきている。
わぁわぁと鳴きながら歩き回ったあと、
私のところへ来てよしよししてもらい、
前の家に帰りたいねえ、というと、
これが通じるのかどうか、
そのタイミングでバタリと腰を落とし、しばらく休む。
でも私が立ち上がると、コチカも大急ぎで立ち上がり、
どこへ行ってしまうのか、と私の足元をまいまいする。
なんか不憫。。
ウ○チの出方が少ない、と夫。
いったいどこにしてるんだ、と部屋の中を探してみたけれど、ない。
ちょっとおなかが硬くなってるご様子。
* * * *
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11月30日(金)
毎朝、コチカはおしっこをさせてもらうと、
押入れの2段目の、さらに棚の3段目の毛布まで行って、休む。
そのまま4時半くらいまで降りてこない。
動かずそのまま寝ているということは、環境が変わってよほど疲れたのだろうか。
玄関のドアが開く音にもなかなか慣れず、
夫が帰ってくると、玄関からは一番遠い壁際のテレビラックの上に乗り、
目をまん丸にして、背中をピーンと緊張させて座っている。
まるで置物みたいでかわいいのだけれど。
* * * *
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