12月・1月・2月

~~~ミルク色のコチカ~~~

奮闘記 -80-

2008年1月

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。


眺めの良くない窓辺で。
お耳が思いっきり作動している。


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1/5もうすっかり新居に慣れたのかも 1/8堂々巡り 1/10コチカの大好きなこと 1/14コチカ・カーテンをつけた 1/15飼い主の欲目?
1/20新発想 1/25ドア、閉めてね

1月1日(火)

荷物が完璧に片付かないうちに、とうとう新年を迎えてしまいました。
それでもなんとか、和室の視覚に入る空間だけはなんとか確保し、
お正月のお飾りとお花をアレンジしたら、それらしい雰囲気がただよってきた。
あとはすでにお節料理を食べてしまった満腹のおなかに、
年越し蕎麦を2、3本流し込むだけ、というところで、新年を迎えました。

明けましておめでとうございます!

コチカも今年は7歳になるので、そろそろ健康にはうんと注意しないといけません。
新居は窓からの眺めもあまり嬉しいものではないし、
少々太ってきたこともあるので、
新たな楽しみを見つけるべく、お散歩を再開しようと思います。
またお散歩日記、見てくださいね。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。



 *  *  *  * 


1月2日(水)

感心なことに、お正月なのに日記が書けている。
今年一年も頑張れそう^o^/
でも、荷物の片付けも日常と同じようにしている。
これでは今年一年、掃除と片付けの年で終わるかも。
まあそれもいいか。
きれいになる年にしよう(汗)。

さて、うちの愛するおネコさまのために、
新居に入居して一番最初に使えるように設置していたキャット・タワーが、
今頃使える格好になった。
夫が、いの一番に設置したのだけれど、
引越しのどたばたで、
うかうかしているうちに引越し屋さんがタワーの前に荷物をどんどん置いてしまったので、
コチカもタワー自体に気づくことなく、登らず仕舞いだったのである。

それをさらに登りやすいだろう形状にアレンジし、
さあ、コチカ、と呼んでみても、
コチカはまったく興味を示さず、上まで行ったら窓から外が見えそうだ、
とはこれっぽっちも思わないらしい。

早く登らせてみたい夫は、
一番下の台の上にご飯とカツオブシを乗せて、おびきよせてみた。
窓の外を見たくてうろうろしていたコチカは、
なにやらおいしそうな匂いに引き寄せられて、
キャット・タワーに来て、食べたものの、
それだけで離れてしまった。
ち。
いつになったら自分にとって楽しいものだってことがわかるのかなー



 *  *  *  * 


1月3日(木)

昨日一晩キャット・タワーにご飯を置いておいたら、
朝にはご飯はなくなっていた。
そして、食べやすいように、一段目に登って食べるようになった。
やったー^^\


早くおいでー


 *  *  *  * 


1月5日(土)

<もうすっかり新居に慣れたのかも>

コチカはひょっとして、
ネコにしては順応性のある方なのではないか、と夫と話し合った。

ある決まった時間になると窓に近づいて、外〜、と騒ぎ出すが、
概ね部屋の配置や、やってはいけないことなどを覚えたようだし、
夜など、人間がお風呂から出てくる頃には、早く寝よー、と人間を誘う。
もう寝るよ、と答えると、うろうろしながら待っていて、
人間が寝室に向かうと、
人間の足の間をすり抜けて一番に寝室に入り、
さっさと自分のシーツに上がって匂いをくんくん嗅いで清潔かどうか確認し、
どっこいしょと腰を落として、寝る前の毛づくろいを始め、
人間が布団に入る頃には、丸くなって背中で部屋の気配を伺っているのである。
そして私がおやすみー、とコチカの背中をぽんぽんして、
コチカとの生活の今日一日が完璧に終わる。

引っ越してきて、1ヶ月ちょっと。
よくこんな短期間で慣れてくれたもの。
コチカの自由な精神が人間の心もほんわりさせてくれるのです。。



 *  *  *  * 


1月8日(火)

<堂々巡り>

コチカは私がテーブルで文章を書いているときには、
床でスーパーマンスタイルで寝そべっている。
しかし、私が少しでも席をはずすと、
自分も起き上がり、ぅお〜、と私を呼ぶ。
それってどういう意味?
あんたが座んないと、落ち着かないから、早く座んな、と言いたい?

コチカのぅお〜は結構ドスが効いていて、
一度うるさいな、と耳が思うと、立っている間中耳について、
うるさくてたまらないのだ。
だからなるべく早く用事を済ませて、席に戻ろうと思ってしまう。
しかし私は急ぎたくない。
じっくり考えてこうしようと思ったことをしたい。
しかしコチカのぅお〜がうるさい。
コチカ、もうすぐ座るから静かにしてよ、と言ってみる。
彼は何事かを理解しようとするかのように、一瞬だまる。
ほっとして自分の用を続けようとすると、
また、ぅお〜、である。

んもー、コチカ。
ご飯買ってあげてるのは誰?
時間になるとご飯を器に入れてあげるのは誰?
床に転がしたウ○チとってあげるのは誰?
いつもきれいなシーツに換えてあげてるのは?

・・・ってったって、コチカにしてみれば、
けどそんなの関係ないっ!ってところなのだろう。

散歩連れてかないのは誰?
ウ○チって叫んでもすぐにわかってくんないのは誰?
こんな窓の少ない退屈なところに連れてきたのは誰?
大好きだった天井への坂道を取り払った人は誰?
僕は緑の匂いが嗅ぎたい!

そうだよね。
それは私も同じこと。
だけどねコチカ・・と言いたいけれど、所詮弱いのだ。
動物は人間に追従せざるを得ないのだから。
わかってる限り、人間が譲歩すべきなのですよね。

でもその、私が用事があるときに、ぅお〜、っていうのはやめてよ。
私にだって必要があってのことんなんだから。
ぅお〜
だからさ、ご飯買ってあげてるのは誰?ってば。



 *  *  *  * 


1月10日(木)

<コチカの大好きなこと>

もしかしてコチカは人間が就寝する時刻が一番好きなんじゃないかと思う。
暖かく柔らかい布団の上で寝られるし、人間と一緒にいられるし、
しかも、人間2人は静かである!
パタパタスリッパの音を立てることもないし、
お茶碗をかちゃかちゃいわせることもなければ、
水をだーだー流す音もさせない。
ふいに体を触られて、眠りを妨げられることもない。

その辺りが大きなポイントかもしれなくて、
その安心感を基本に持って、毛づくろいをし、ぼーっとし、眠り、
そして好きなときにご飯を食べに部屋を出て行くのである。

朝、人間が起き出してもまだベッドにいるのは、
その余韻に浸っているからかな?

コチカは布団の上に一生静かに横たわっていたいのではなかろうか。
というとなんだか死んでしまうみたいで気味が悪いけれど、
そうではなくて、
心地いいベッドで、
静かにしている人間と一緒にいられるのが、
最高のときではないか、と思うのだ。

でもそれを言ったら、私だってそうである。
たまには陽の光を見たくなるけれど、
薄暗い部屋で、ベッドの上で寝てるのって、とっても好き。
だ〜い好き^^\
同じだよ、コチカ。
きっと誰もがそうだよ。
コチカはそれをあからさまに表現しすぎてるんだよ。
ま、この家にはネズミもヤモリも出てきそうにないから、しかたないけどね。



 *  *  *  * 


1月11日(金)

夜、BSで「アフリカン・ダンク」という映画を観た。
アメリカのバスケの名門St.ヨゼフ大学出身の、今は選手を退役した若き監督ジミーが、
アフリカの・・あれれれケニアだったかどこだったかのウィナビという村に、
バスケの才能のずば抜けたサレという青年を引き抜きに来たのだが、
ウィナビの土地を狙おうとするヤの字のボスみたいな男との抗争を解決するために、
ヤの字側のバスケ・チームとゲームをする、というもので、
波乱万丈だったけれどハッピーエンドだし、
民族の衣装がカラフルだし、そちら系の音楽がごっ機嫌で、
私はすっかりノリノリで、テーブルの椅子に座ったまま、アフリカンダンスを踊っていたのだけれど、
最後のクレジットが流れ出したので、腰をピョコピョコしながらふと床を見たら、
白いネコが両手両足をそろえ、ただ横たわっていたので、噴出してしまった。
この違いよ。
エキサイトした私とはぜ〜んぜん関係ない別世界で、コチカは静かな夢を見ていたのだ。
あれ、コチカ、こんなに楽しい映画だったのに、観てなかったの?
ざんねんだったねー



 *  *  *  * 


1月13日(日)

叔母の家にいたりしてまだ関東にいる母が、また来た。
コチカがかわいいので、座っているコチカのそばを通るときに、
チチタン、チチチチ、などと声を必ずかける。
そのたびにボーっとしているコチカは意識を覚まさせられ、
眠っているのなら眠りを妨げられ、
用もない声に耳をピーンとそば立てなければならないのだ。
それを私はたしなめた。
事情のわからない母は不快に思い、逆に怒り出した・・

・・てなことがあった後、コチカに微妙な変化があった。
ちょっとばかり疲れてソファにぐったりしている足元に座り、
丸い目をしてじっと見ている。
ときどき私を心配してそうして座っていることがあるので、
大丈夫よ、と声をかけると、
うろりとしてきてから、また私の足元にくる。
ちょうどダイニングテーブルの椅子に座る母のそばを通ることにもなるので、
母がコチカを撫ぜようと手を出す。
コチカはちょっと撫ぜられる。
ちょっと気持ちよさそうにするけれど、でも目を私の方を向いている。
私もコチカを見ているのを見てとると、私の方へやってくる。
そんなことが2回ほど繰り返された。

その目線が何かを物語っているように思えるのだ。
ボクはお母さんには与せずあなたの味方です、
なんて大げさなことは言わないまでも、
なんとなく、君の味方さ、みたいなちょっとした気遣いが伺えるのだ。

結局のところ、
コチカは私の膝の上に飛び乗り、
非常に不安定ながらも背中を丸くして座っていた。
このうちに来て、そんなことは初めなので、ちょっとびっくり。
嬉しかった。
一緒にいてあげよう、というコチカの愛情なのだと信じる。

母と私は、母娘らしく、仲が悪いときがある。
しょっちゅうある。
それを感じているかも知れない、と思ったりもする。
案外そちらが正しいのかも。
なぜなら、コチカに出会ったとき、
父が亡くなって間もなかったので、
父の生まれ変わりかも、という気持ちがわずかにあったりもしたし。

父と私は、やはり父娘らしく、険悪な仲だったりもしたけれど、
それは性格が似すぎていたせいであって、
同じ空間にいても二人でいれば言葉を交わさなくとも通じ合っていてなんの問題もなかったのに、
母がいると何故かけんかの種が植えつけられることが、ままあったのだ。

今もときどきコチカには父が宿ってるのかな?と思うことがある。
今日もそうやって仲裁にきてくれたのかな。
生きてたらぺったりくっついてもいられないけれど、
猫ならくっついててもおかしくないしね。

・・・。

とか言って。
ぜ〜んぜん関係なかったりして。
考えすぎもいいところ?
でもここまでいろいろ想像させてくれるのだ。
猫って、コチカって、本当に嬉しい生き物である。



 *  *  *  * 


1月14日(火)

<コチカ・カーテンをつけた>

押入れをごそごそしていたら、90cm幅で長さ180cmほどの猫柄の布が出てきた。
やったー!と夫。

寝室のドアを夜通し開けっ放しにしていると、明け方にすーすー寒いので、
開けたドアの向こうにカーテンをつけることにしたのである。
100円ショップで突っ張り棒と布を挟んで動かすやつ・・なんて言います?・・を買い、
あったはずの布を家捜ししたら、思い通りあった。
よかった!
早速設置してみると、スタイリッシュなデザインの廊下とドアとの雰囲気が一変し、
どこの芝居小屋かサーカスか、という感じなったけれど、まあそこはご愛嬌^^\。

さて、コチカはどのようにカーテンを潜り抜けるか、と興味津々だったけれど、
最初はコチカも不思議そうにしていたものの、何の問題もなく出入りできた。

キャット・タワー、コチカ・ゲート、などのコチカ問題は、
率先して設置するつもりだったのに、
人間が暮らしていくのに最優先すべきことが同レベルでいろいろあって、
やはりそんなわけにはいかないのである。
今日は、簡易な方法でひとつ問題が解決したわけだけれど、
コチカ・カーテンが一生にこのままにならないか心配。



 *  *  *  * 


1月15日(水)

<飼い主の欲目?>

お正月疲れか、すぐ眠くなってしまって、ソファでぐったりすることが多い。
するとコチカがやってきて、ちょっと離れたところに座り、
まん丸の目をして、じっと私を見る。
ずいぶん長く見てるんだな、と思う頃に、
ふにゃ〜、と息の抜けたような声を出して、そばに来る。
すねにすりすりしたり、体の側面をすねにくっつけていたり。
私が目を閉じていると、目を開くまで、ふにゃ〜ふにゃ〜と声をかけてくる。
挙句の果てには、膝の上に飛び乗ってきて、
私が驚いて目を開けると、かなりの至近距離で、
まん丸の目をして私の顔を見ているのだ。
これって心配してくれてるの?
パンツを履いて両膝の開いた太ももの上なんてすごく不安定だろうに、
そのまま4本の脚を折って丸く座ったりする。
私が元気じゃないと、不安になるのだろうか。

*

私が脚を組んで座っていたためにしびれを切らしてしまい、
椅子から立ち上がるのに手間取っているときにも、
たとえ床の上ですっかりくつろいでいたとしても、
わざわざ体を起こして、まん丸な目で見つめてから、
そばにきてすりすりしてくれる。
がんばれー、と言ってるみたいに。

あるいは、
立ち上がる様子をじっと見ていて、
やっとこさ立ち上がると、そばにきてすりすりしてくれることもある。
そんなときって、
あーよくがんばったね、と言ってるにように思えるのだ。

コチカがかわいいあまりに、そんな風に思えるだけだろうか、
とわざわざ疑ってみたりするけれど、
でもタイミングといい、視線といい、
生きとし生ける者として、何か通じ合うものがあるように思えるのだ。
どうなんだろうな。。
うーん、でもやっぱり、飼い主の欲目かなあ。



 *  *  *  * 


1月16日(木)

来客があった。
玄関から久々に知らない男性が入ってきたので、コチカはかなり緊張し、
こんにちわ〜、と声をかけられると逃げてしまった。
でもすぐに戻ってきてテーブルの下に寝そべっていたのは、
男性でも静かに振る舞い、話す人だからだろう。

話がいろいろ済んで、では、と立ち上がると、
待ってました、とばかりにコチカはテーブルの下から出てきて、
お客さんを振り返り、あろうことかお尻を見せて伸びをした。
ご挨拶ね〜
でももうさして警戒するでもない様子。
もしも母なら、慣れていてもいちおうどこか静かなところに避難するだろうけれど。

さようなら、と玄関のドアが閉まって振り返ると、
台所と廊下を隔てるドアの向こうに、
ちょこんと座って待っていたから、思わず噴出した。
はい、コチカ、お待っとうさんでした(笑)。



 *  *  *  * 


1月20日(日)

<新発想>

散歩に行く行くと言いつつなかなか行かないのは、
寒いのもあるけれど、猫が歩くにふさわしい場所がないのである。
小道があって草が生えていて、お宅の庭が覗ける、なんて場所がない。
アパートや家々の玄関に続く小道には、
草も生えているし、実際に猫も走っていく。
でもそんなところに無断に入っていくわけにいかないし、もちろん。

そこで夫と私とどちらともなく、
今までだったら青天の霹靂!な考えが思いついた。
コチカに、ルームメイトを作ってあげるのはどうか、ということである。

最初は戸惑うかもしれないけれど、
ミュミュがいたときのことを考えると、
一ヶ月もすれば慣れて、互いの存在を許しあうようになると思うのだ。
そうしたら、ちょっとはけんかしたりして走り回ったりして、
運動にもなるのではないか。
今までの家だと、脱走できる可能性があるので、
コチカは自由に出られないのに、もう一方は可、
みたいになると困る心配があったけれど、今の家は、その点は安心である。
年若いルームメイトなら、キャット・タワーにも上るだろうから、
コチカも触発されて上るようになるのではないだろうか・・・

などと、いろいろと話し合った。
私としては、子猫はやんちゃだし、すぐサル化して、
あちこちに飛びつくから、ご勘弁なココロなのだけど、
子猫の方がやはり互いに馴染めるだろうし、いいのだろうな。
オスネコだとコチカが敵対心を持つだろうから、メスネコがいいだろう。
だとしたら、コチカを虚勢しないといけない。
画像を撮るから、色の濃いネコよりは白っぽいネコの方がいい。
などと、部屋もまだ完全に片付いていないのに、
新たな懸念がいろいろ出てきた。
でも、なんだか楽しい。



 *  *  *  * 


1月22日(火)

なるべく早く去勢をしようという話になった。
前の家では、
窓から縄張りへの侵入者が監視できたので、
見つけたら、ンニャロ!とばかり家中の窓を走り回って、
ケンカはできなくても、
走る、ということでちょっとは鬱憤も晴らせていたろうし、
あるいは脱走していって、
ケンカを売ったり買ったりすることがあったけれど、
そういうことがまったくなくなった今、
こんな狭い空間で発情した日には精の毒が溜まって、
具合が悪くなるばかりだろうから、
春になる前になるべく早く、手術をしようと思う。

ルームメイトも早くほしいけれど、
大嫌いな病院に行った興奮がすっかり冷めた頃に迎えた方がいいに決まってるし。

いよいよである。
コチカよ、お前もか、と言った感じ。
でも去勢はするのが当然なのだ。
現代では、した方が自然なのだ。
ならば早くしよう、早くしよう。



 *  *  *  * 


1月23日(水)

面白いことに今ごろ気がついた。
床の上に体を横たえたコチカが、するすると床を掻いているのだ。
何パントマイムしてんのかと思ったら・・

床暖房が入って暖かい床のラグが敷いていないところに、コチカは大概寝そべる。
一旦体を横たえてから、本当に寝る体制に入る際に、
体の関節を微調整するのだろう。
両手を床に押し付けるようにして、手から下の体をひきつけようとするらしいのだ。
畳やラグが敷いてあれば、わずかに爪が引っかかり、
体は用意に引きつけられ、背骨の位置を思うように調整できるのだろうが、
しかし、床はつるつる滑り、思うようにいかない。
あれれ、という感じで、手を何度か床に押し付ける。
でも何度してみても、同じなのである。
まるで水の中で犬掻きをするみたいに床を掻く様子は、パントマイムさながら。
思えば爪の引っかからない床に寝そべることは今までになかったからね。
ちょっと犬掻きしたらすぐに諦めるようだけど、それで具合よくなってるのかな?



 *  *  *  * 


1月24日(木)

来客。
5時を回った頃、テーブルの下に寝そべっていたコチカが、
ふらりと起きて来て、ソファーに座る私のそばに来た。
すごく真剣な面持ちで、にゃっ、という。
2度目に来場しただけのお客さんなのに、もう慣れたのかと感心していると、
ぁあ〜ぁあ〜、と低い声で何か言った。
ちょっと撫ぜてやると、険しい表情をしてだまったまま、
私の顔をじっと見、そしてお客さんの方を見る。
あーやめて、コチカ、やめて。
お客さんにもうそろそろ帰ってちょうだいビーム送るのは。
お客さんは、コチカに見つめられていても、それが何を意味するのかわからない。
だからいいようなものの、よーぅくわかる私はなんだか身の縮む思いがする。
でも嬉しいことに、お客さんが手を出しても、コチカは警戒もせず、
だからそのまま撫ぜてみると、首筋などを差し出しているのだ。
珍し〜
でもその割には、真剣な表情は変わらず、
銀杏型の目から、早く帰ってちょうだいビームを送っている。
やめてっつってんの!



 *  *  *  * 


1月25日(金)

<ドア、閉めてね>

コチカは、日に4、5回、洗面所の引き戸を開ける。
いつの間にか足元がすーすー涼しい、と思うと開いているのだ。

開けているのに、気がつくこともある。
がりがりとうるさい音を立てて何度か引き戸を引っかくと、
そのうちにピタリと音が止まり、すーっとレールを滑る引き戸のわずかな摩擦音が聞える。

奥にお風呂場のある洗面所の石鹸の匂いは、
いまだに前の家を思い出させるらしく、
ここに来れば、窓があるのではないか、と妄想を抱くのだろう。
行ってみて、洗面台に乗ってみて、窓がないのを確かめ、
低くぅおー、と言いながら出てくるのである。
なんだか切ない・・

なので、彼が引き戸を開けようとするのを止めたりしない。
ただ、出てくるとき、閉めてくれたら完璧なのだけど。。



 *  *  *  * 


1月27日(日)

夫がコチカのおもちゃを買ってきた。
やわらかいボールに鳥の羽がついた、ねこじゃらし状のものである。

操り棒を持って、糸の先についたボールと羽部分を怪しく動かすと、
コチカはむむむ、と鼻先からやってきた。
キャット・タワーの2段目くらいに置いてみたりする。
コチカは普段は感心のないキャット・タワーに足をかけ、
そろそろと上ってくる。
実はこれが狙いで、なんとかキャット・タワーに上らせたいのである。
でもあまり上に乗せると、コチカは諦めてしまう。
あらららら、と下の段からやり直し。

コチカはちょっと離れたところにスタンバる。
そこから助走をつけて、飛びつくのである。
この手法は子供の頃から変わらない。
ただ、体がすこぶる重いらしく、数回やったら、
部屋の端に行って、バタリと体を横たえてしまった。
やっぱりねえ。
運動しないとだめだよね。



 *  *  *  * 


1月30日(水)

あっと言う間に1月も終わりである。
お正月は荷物の片付けでドタバタしたけれど、
なんとか落ち着いてよかったよかった。
こんな日が本当に来たなんて、嬉しいばかり。。

コチカもいろいろなことに慣れてきた。
帰宅した夫が鍵を開ける音を聞いても動じないし、
宅配の人がチャイムを鳴らしても、大丈夫。
まずは平穏無事な毎日がなんとはなしに続いているのだ。

だけど2月に入ったら、動きが出てくる。
まず去勢。
排尿させないといけない都合があるので、
入院させられないから、通院の便がいいところがいい。
近所に動物病院を見つけたので、一度行ってみなければ。
強引に薬漬けにするようなところなら敬遠したいし。
何かがじわじわと動き出す感じ。
なにやら不安だったりわくわくしたり。



 *  *  *  * 


1月31日(木)

洗面台の鏡を一生懸命に拭いていた。
台があれば楽に拭けるものを、不精してあともうちょい、
などとムキになって手を伸ばしてがんばっていたら、
視界の端で、洗面所の引き戸が、すーっと開いた。
音もなく。
そしてそのまま。
ぞっときた。

当然、コチカに決まっているのだが、
必死になりすぎている私は、一瞬何がなんだかわからなかった。
体一杯一杯に伸び上がっていたので、
身が縮む思いがするのに、急には体が縮まなかったせいか、
呼吸が変になってしまい、いきなり咳き込んだ。

戸を開けて、居間の方を見ると、
窓へ向かおうとするコチカが振り返り、
まん丸の目をして、何さ、と言った。
んもー、コチカ。
何さじゃないよ。
戸を開けたら、なんで入ってこないのさ!
びっくりするじゃん。。

実際、なんでやめたのだろう???
私が中にいるのはわかっているし、
いつものように開けてみたものの、
私がなにやら夢中になっているので、入るのをやめたのか。
そんならそうと一言言ってってよね。
音なしの構えはだめだって!



 *  *  *  * 






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