亡きムートンと、いなくなってしまったチャッピーのこと

今は亡きムートンあれは1988年6月の雨の日
職場にお客さんについて2匹の子猫が入ってきました。
お客さんが言うには、近くの神社からずっとついて来たらしい。
それがムートンとチャッピーとの出会いでした。
ムートンはとても人なつっこく、チャッピーはとても人見知りでした。
雨の中、追い出すこともできなかったので
とりあえず家に連れて帰ることに。
連れて帰るなり母に「うわ〜、変な顔の猫拾ってきて!」と言われたけど
長い間飼っていた猫が死んでから、猫をしばらく飼ってなかったので
2匹の猫を飼ってくれることになりました。

ムートンとチャッピーはどちらも雌でマースと同じ柄。
しばらくして2匹とも避妊手術を受けさせました。
ムートンは人をペロペロ舐めるのが大好きで、いつも誰かと一緒に寝て
顔をペロペロするんだけど、その舌が結構痛いんです。
一方チャッピーは人見知りなので、いつも少し離れたところに居て
体もあまり舐めないものだから前の白い部分はいつも薄汚れていました。
姉妹でも、これだけ性格が違うものかなぁ?とその時は思っていましたが
のちに、愛情不足や嫉妬心であったことに気づくのですが。

月日は経って1991年12月頃、
ムートンがクシャミを何度もするようになりました。
辛そうなので病院へ行くことにしました。
ここで1つの運命の分かれ道がありました。
ムートンを病院へ連れて行く途中、避妊手術をしてもらった病院へ行こうか
それとも新しい病院(そこの先生と仕事で知り合ったので)へ行こうかと悩みました。
ムートンが車の中を嫌がっていたので、近い方が良いだろうと避妊手術を受けた病院へ
行ってしまいました。
その病院で症状を言うと注射を打ってくれました。するとしばらくは良くなっている
のですが、またクシャミをしだす。そしてまた病院へ。
何度も注射を打ったので、とうとうその注射も効かなくなってしまいました。
そして1992年1月29日、ごはんをまったく食べなくなりました。
次の日、また病院へ行くと先生は
「猫は匂いによって食べて良いものと、そうでないものを判断するので
鼻が匂わなくなると食べることができなくなる」と言いました。
そして、鼻の手術を勧められました。
ここでも運命の分かれ道でした。
手術をしても治る保障はないが、そのままではもう良くなることはないと
言うことだったので、手術をお願いしてしまいました。
2月1日、病院へ見舞いに行くと
鼻を手術したムートンが、私の顔を見てうれしそうに鳴きました。
そして2月3日退院。
退院してもいっこうに傷がふさがらず、ごはんも食べられない状態なので
再び入院。
次の日見舞いに行って、とんでもない状態を目に絶句してしまいました。
ムートンの首に穴があけられチューブが通してありました。
先生は何も食べないと死んでしまうので、このチューブから餌をドロドロにさせた
ものを流し込むのだと説明しました。
正直いってショックでした。飼い主に何の相談もなく・・・。
そんな状態でしばらく入院をしていましたが、次に見舞いにいった時には
ムートンは私の顔を見ても、なんの反応もしなくなっていました。
私はその時、とりかえしのつかないことをしてしまったと、ほんとに辛かった。
結局、自分の家でなんとかやってみると退院し
すぐに、もうひとつの病院へ連れて行きました。
そこの先生は「どうしたの?」とムートンの状態を見て驚かれていました。
まず検査をしたのですが原因がどうであれもう治すことのできない状態に
なっていたので結局何の病気だったのかは覚えていません。
最初の病院では検査なんてしなかった。
はじめにこちらの病院に来ていれば、何の病気であったかを調べて
適切な処置をしてくれていたに違いないと、後悔。
後悔してももうどうしようもありません。
先生はお昼は病院で預かり、夜は入院させられないので
点滴の機械とゲージを貸してあげるから連れて帰って下さい。と言われました。
そして毎日病院と家とを点滴の機械と共に行き来する生活が始まりました。
そして3月1日
私は仕事が休みだったので、ムートンのケージの前で母と居ました。
今日はとても調子が良さそうで良かった・・・とか言いながら
そしてチューブで餌をあげようとケージから出し
ひざにムートンをのせて、餌を入れたのですが
お腹がすこし曲がっていたせいか、肺へ入ってしまったらしく
それから呼吸困難に。
しばらく様子をみてたけど、これはダメだと思いまた病院へ。
やはり餌が肺に入って肺炎をおこしていて、もうダメかもしれないと言われました。
先生に「人口呼吸をしますか?」と聞かれたけど断りました。
もうこれ以上苦しめたくなかったのです。
そして午後5時45分頃、息を引き取りました。
その日はムートンと寝て、次の日、山へ埋めに行きました。
結局、私が殺してしまったのです。

それからチャッピーは愛情を独り占めし
ちゃんと毛づくろいもし、人に寄ってくるようになりました。
そんなチャッピーも16年目にして
私がマースを連れてきたのと引越しのせいで家出をしてしまいました。

私は2匹とも幸せな最後を迎えさせてあげることができなかった。
結局苦しめてしまった自分が、とても腹立たしいです。

そして今、マースを飼っているけれど
マースの為と思いながら、結局は苦しめているのではないかと思うことがあります。

今日もまたムートンを思い出して泣いています。
でも今日はマースが居て、ゴロゴロとすり寄ってきたかと思うと
ふぁ〜、とあくびをしました。
やっぱりマースが居てくれてよかった。(笑)

長々とすみません。
あれ以来、これだけ鮮明に思い出すのは初めてです。
ムートンは今頃自由な世界で、幸せに暮らしていると思います。
私の事、許してくれてるかな?
そしてチャッピーも、心やさしき人のもとで幸せに暮らしていると信じたいです。(2004年7月27日)

2004年7月へ