2002年11月

~~~ミルク色のコチカ~~~


奮闘記 -18- 



昔シリーズ:去年(02)の9月中旬:お風呂上り
まだ太ももの筋肉がほとんどない頃



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11月1日(土)

鬼ごっこの範囲が広がった。
コチカは空のバスタブに入り、排水溝などに鼻をつっこんで臭いを嗅いだりするのだが、
鬼ごっこのときに、玄関に行く代わりに、バスタブで私を待って、飛びついたりするのだ。
猫がいろいろ思いつくのって面白い。

* * *

私がお風呂に入るとき、
ズボンを脱ごうとすると必ず、いやなの〜といわんばかりの声を出して、
足首に抱きつき、噛み付く。
なんでだろう?

去年、まだ小さくて、外出の際に放っておかれるのが嫌で鳴いて叫んでいたが、
その頃、やはり私がお風呂に入るときにも同じようなことをしていた。

でも夏にはしなかったからもう慣れたのか、と思っていたのだが。

衣類を着ている足が、裸になっていくと、
去年の寂しさを思い出すのだろうか。

* * *

そういえば、お風呂に入っている最中にも、ドアの外でにゃ〜お、と呼ぶ。
あまり鳴くので、お湯に浸かっているときには、ドアを開けてやる。
そうすると、敷居のところに座ってじっとこちらを見ているのだ。
なんで?
夏はそうでもなかったのに。

そして、私がお風呂から出ると、まだ乾ききらない足首に、
首をなすりつける。肌が湿っていると毛がつくので、避けたいが、コチカはそうしたがる。
どうしてだろう。
外出から帰宅したときにする行動とそっくりだけど、
お風呂に入るのって、コチカにとっては外出するのと同じなのだろうか。




 *  *  *  * 




11月2日(土)

大家さんの庭で柿をとらせてもらった。
人間ばかり庭にいるのが、到底解せない!とばかり、
縁側と窓(写真)とお風呂場を行ったり来たりするコチカ。
ごめんね〜




 *  *  *  * 




11月3日(日)

樹林公園に行った。

いつもの桜の木の下を陣取り、
爪が伸びているので、切ってから木に登らせようと、コチカを丸め込んで切っていると、
小学生の兄妹とそのお父さんがじっと見ている。
にっこり笑いながら、こういうわけで言ってるうちに、爪きりが終わり、
コチカを木に放すと、3人で寄って来てコチカを見上げている。

かなり長い間見ていて、そのうちどこかへ自転車で行ってしまったが、
やはり気になるのだろう、また戻ってきて、
木に登ってコチカを見上げたり、お菓子を食べたり、木のまわりで遊んだり、なんとなく木から離れない。

私たち夫婦はお湯を沸かし、コーヒーを飲んでいたので、
父親に勧めようかと小さな声で相談していたら、父親は気配を察して遠慮したのだろう、
さりげなくちょっと離れたところに子供を誘い、遊んでいる。

そのうち帰る時間になって、荷物を片付けていると、
父親も帰ろう、と子供たち言っているのだが、
兄の方が、これから起こるだろうことが想像できるのだろう、木に登ってきて、
枝にすわり、僕、ここで休む、とか言っている。

日が陰るとたちまち寒くなってくるので、そっとしておけばコチカは降りてくるだろう、
と思っているのに、これではコチカは知らない人が恐くて降りてこられない。

仕方なく私は、よーし救出作戦に入ろう、と言って、それとなく男の子に声をかけた。
それでも父親は気を使って、降りといで、と言っているけれど、
男の子は、救出しないといけないんだもん、と動かない。
いいのよ。やらせてあげる。

枝に上がっていくと、コチカは枝の二股の間に後ろ脚を入れて、
上半身を枝にもたせかけているので、男の子に後ろ脚を下から押し上げるように言い、
私は前脚を引っ張った。
コチカは男の子が恐いので、目をまん丸にし、え、ちょっと待って、待ってたらーと焦った顔をしている。
それでも男の子が物怖じせずに、コチカの脚を上げてくれたので、
難なくコチカをひっぱることができて、
後は片手でコチカを持ち上げて、下にいる夫に渡しておしまい。
私は男の子にありがとう、と言って、下に下りた。

夫のところに父親と女の子がよっていって、コチカを撫ぜている。
抱いてもいいですか、と女の子。
夫が抱かせてあげると、思ったより重いので、不自然な抱き方になってコチカは窮屈そう。
重いでしょ、4kgあるから、というと、そんなことありません、と女の子。
言葉も丁寧だな、とよく見ると、兄妹ともかわいく、きれいな顔をしていた。

ねじれているコチカの体を上に向け、顔を見れるようにしてあげて、
よかったね、抱っこしてもらって、とか、コチカに言ってみた。
女の子は満足そうにニコニコして、ありがとうございました、とコチカを差し出した。

さようなら、またねー、と3人は自転車で先に離れた。
なんか気を使ったけれど、楽しんでもらえてよかった。
また会いたいな。
今度は分けられるようなお菓子を持っていこうっと。




 *  *  *  * 




11月5日(火)

夜の間に、一度はふとんを抜け出して、何をしにいくのだろう、
お水を飲んだり、ご飯を食べたりだろうか。
引き戸を開けてやらないといけないのが、億劫になってきた。
コチカ用自動扉をつけるべきだろうか。

* * *

部屋の外に出る以外は私を起こすこともなく、
結局夏よりも長時間寝ていることになるからだろうか。
ウンチをふとんの中でしてしまっている。今日で3回目。
しかたなく起こして背中をつねって、
寒い思いをして下に連れていくのだが、なんとかしたい。

それにしても、人間も前ほど気にならなくなった。
飼い始めた頃は、ちょっとでも汚すと、きーっ!!!とばかりに、
お湯でふき取り、匂い消しなどの消毒剤できれいにしたものだが、
今なんて、ちょちょっとティッシュで拭いて、もうそのまま眠ってしまう。
さほど害のないものだ、ということがわかってきたのだとはいえ、
慣れってオソロシイ。。




 *  *  *  * 




11月6日(水)

居間の物見やぐらの上に置いてあるキャリーの中に入るのがお気に入りになった。
この間公園に行ってからかな。
なんで今まではあまり入ろうとしなかったのだろう。

居間にいるはずのコチカの姿が見えないので、それでも物見やぐらに目をやると、
いつもとわずかに様子が違う。
キャリーの網目に目を凝らすと、小さな四角い隙間から黒い目がこちらを見ているのだ。

まるで2つの絵の間違い探しみたいでおもしろい。。
あるいは心霊写真みたい。


最近お気に入りになったキャリーをかじかじ。

 *  *  *  * 




11月7日(木)

ふとんの上にそっと乗り…人の胸だろがおなかだろうが関係ない…麦踏を始める。
毛布の肌触りならぬ肉球触りが、母親からおっぱいをもらうときを思い出させるのだろう、
もみもみもみもみ…をしばらくやめられないらしい。
顔を見ると、目を見開いて、脳みその中が透明になっているような雰囲気が漂う。
4kgの猫に体の上でもみもみをやられると、結構効く。
みぞおちなんかに乗られるとかなり苦しいが、
胸の上の肩から続く筋肉なんかに当たると、とても気持ちいい。
うつぶせになっているときに、背中をマッサージしてもらえないか、と思うけど、
そう思っているときにはうまくしてくれない。




 *  *  *  * 




11月8日(金)

猫を3匹飼っているという男性がうちに来た。
コチカが部屋に入ってくると、そっと手を差し出し、おいでおいでというと、
男性には人見知りするコチカが、すぅっと寄っていって首を差し出し、平気でよしよしされている。
さすが、猫に優しい人のことはわかるらしい。

* * *

夕方にご飯を上げたとき、いつもより少なめだったので、
後でもう一度あげようと思い外出したら、その間に食べてしまったらしい。
私よりも早く帰ってきた夫が何も知らずにいつもの量のご飯をあげていた。
私は、どうせいつもの量しか食べないだろうから、と思いそのままお皿を置いておいた。

朝になっても残っているキャット・フードをコチカは当たり前に食べているが、
放っておいたら、あんなに食べるものだろうか。

夕方1回しか上げ、朝にわずかに残っているのを食べてそれでおしまいなのだが、
コチカはおなかをすかしているのだろうか。
キャット・フードの指示通りあげてるはずなのだけど。




 *  *  *  * 




11月12日(火)

私が帰宅して買ってきたものをバッグから出したりお水を飲んだりして、
コチカにカツオブシを上げるのを遅らせていると、
カツオブシを待ってるコチカは待ちきれずにお皿にあるキャット・フードを食べに行く。
便利なヤツというか柔軟なヤツというか。
カツオブシの方がいいんじゃないの?




 *  *  *  * 




11月14日(木)

忙しすぎて、あっという間に一週間がたった。
人間が忙しくしていると、コチカは不安そうに見える。

集中して話し込んだ電話が終わったときには、じっとこちらを見ているし、
居間の定位置にいても、ごろりと横になっておらず、丸くすわったまま目を閉じている。

なんでもなさそうなのに、人間が立ち上がると、
よしよしして、ニャア!と顔を見上げるし、不穏な空気には敏感である。

* * *

夜は人間が2階の寝室に上がってしばらくしてから、入ってくる。
階下の様子を伺っていると、キャット・フードを食べて、その辺をうろっとしてから来るらしい。

うとうとしているところへ、なにか気配を感じるので、目を開けると、
ふわっと鼻息が当たり、コチカの真っ黒な目が暗闇でより真っ黒く見える。

ふとんを上げてやると、しばらくは動かずじっと見ている。
眠い私にとってはその時間が寒くて億劫。。

でも上に乗られると、4kgの巨体は私には重過ぎるので、我慢して待つ。
しばらくすると、臭いを嗅ぎ始め、入ってくる。
そのときになぜかふとんや私の腕を引っかくのだ。
なんかくさい匂いでもするのだろうか。
いつも気になるのだけど。




 *  *  *  * 




11月15日(金)

また台所のマットと格闘し始めた。
同時に、おしっこをさせようとしても嫌がるようになった。

やはりこの2つは関係あるのだろうか。
発情だろうか。

そういえば2日くらい前に外でノラ猫たちが争っていて、
コチカは窓から見ていたのだ。

* * *

トランペッター(3匹の猫を飼っている男性です)が来て、音合わせをしていると(私は音楽家でピアノを弾くのです)、
部屋のガラス窓…廊下とを隔てる仕切りの壁の上部に窓があって、
窓に下には低い本立てが置いてある…の上に乗り、こちらの様子を伺う。

波状にボーダーの入ったガラス窓の向こうからぬぅっと出てくる白い猫は妖怪さながら。
そのままにゃ〜っと呼ぶ。
無視して合わせを続けていたら、ガラスを引っかき始めた。
いつやめるかと思っているのになかなかやめない。
うるさくて気がせいて、合わせどころではなく、とうとうトランペッターと二人して噴出してしまった。
邪魔しないでってば!

コチカがもっと小さな頃は、ピアノの音も大きくうすさすぎるらしく、
そばによってこなかったが、最近は慣れたのだろうか。
じっと窓のところで聴いているのだ。

あ、今日は、窓の下の本立ての上に下からひょいっと飛び乗っていた。
やったね、コチカ!
ようやく飛び乗れるころがわかったらしい。
今までは、天板に手を引っ掛けてから本やら棚やらを脚で引っかいて上っていたのだ。

* * *

夜、夫にぽんぽんで遊んでもらう。




 *  *  *  * 




11月16日(土)

朝、ふとんが重いと思って目覚めたら、コチカがふとんの上に乗っていた。
なるべく中に入ってきてほしい。
上に乗られると、人間は眠れる範囲が極度に狭くなるのだ。




 *  *  *  * 




11月17日(日)

人間がイヴェントのために出かけるので、なぜかコチカも落ち着かない。
人間のバタバタにつられてコチカも一緒に走り回っている。
いちいち人の顔を見て、次はどうするか考えてる様子。
遊んでんの?




 *  *  *  * 




11月18日(月)

ごはん〜と言っても、例えば私は画面に向かって熱中している。
そんなとき、私の左側からコチカは、右手を私の膝にかけ、左手で私の唇に触る。
と、私はごく自然にコチカの方を見ることになるのだが、
これってわかってやってんの?と最近になって不気味に思えてきた。

私の気を引きたいなら、どちらの手もいいから膝にかけ、
もう一方の手で私の頬なり腕なりを触ればいいようなもの。

でも、どうしたって自分の方を向かせよう、と左手で顔を触る…ように思う。
コチカからすると、向こう側になる頬を触りたい。
でも届かないから口のあたりを触ることになるのだが、
それだとどうしたって、私の顔はコチカに方に向かされる。

犬だったらこんなことしないだろう。
やっぱり猫の方が進んでいるのだろうか。
それとも、このくらいは当たり前にやるのかしらん。




 *  *  *  * 




11月19日(火)

あれコチカは?と探すと、この寒いのにお風呂場のタイルに丸くなってじっと座っている。
何してんの?風邪引くよ。
まったく猫の考えてることはわからない。

* * *

近所のノラが相次いでいなくなったと思っていたけれど、
またどこからか流れてきたらしい猫が増えてきた。
新顔ばかりでもない。
前はレギュラリーに見なかった猫がいつくようになったらしい。
ノラは多い方が楽しい。
車に気を付けるんだよ。




 *  *  *  * 




11月21日(木)

長距離ドライヴの車中ではほとんど寝られず。おねむのコチカ。

久しぶりの人間の実家。
久しぶりではあるが、何度も来ているのに、緊張状態で匂いを嗅
ぎまわらなければならない。

冬なのでホット・カーペットなんかがあるから嬉しい。でも、やはり
滅多に会わない人には人見知り。みんなが居間にいても私が二階
にいると、ぬくぬくしてそうなのにわざわざ寒い思いしてやってくる。

ベッドにうつぶせになりながらこれを書いている私の背中に丸く座るコチカ。
お陰で暖かいけれど、ちょっと重い〜

* * *

爪研ぎ用絨毯を忘れてきたので、180cm幅の切り売り絨毯を80cmほど求める。
なかなかそれで爪研ぎしようとしないで、レースのカーテンなんか上っている。コチカー!




 *  *  *  * 




11月22日(金)

人間が外出の間、お留守番のコチカ。
ホット・カーペットの半分をつけていったので、快適だったはず。

* * *

玄関先の階段下の柱に登り、爪で傷をつけてしまったので、
柱用の切り売り絨毯を購入。
どうせ日曜日までのことなので、暫定的に事務用クリップで留めた。
きっちり巻きつけられず、ちょっとぶかぶかしているが、
コチカの気に入ったようで、上っている。やれやれ。

* * *

クロスが張ってある壁にも爪をたてるので、切り売り絨毯で覆う。
それを利用してうさぎの毛のぽんぽんで遊ぶ。
壁と絨毯の隙間に入っていくと、たまらなくワクワクするらしい。




 *  *  *  * 




11月23日(土)

母にも慣れ、いつの間にかすりすりと体を薬付けたりしている。
抱かれるようになった。

でもやはり、階段の上からまん丸の目でこっちを見下ろし、にゃ〜と呼んだりする。
コチカは2階が好きなのだ。

2階の私たちが寝室としている部屋で、兎の毛のぽんぽんでストレス発散。
写真のように、壁と切り貼り絨毯の間に入ったぽんぽんはワクワク度大らしい。


上に引っかかっているポンポンに夢中


 *  *  *  * 




11月24日(日)

フェリーに乗っている間、いつも車の中で過ごさせるので、大丈夫だろうと思っていたら、
伊良湖に近くなってくると海が荒れだし、かなりの波になった。

車に戻ってみると、コチカはゲボゲボに吐いていて、
シート用カバーを思い切り汚し、コチカはキャリーの中に非難していて、
その中でも泡のようなものを吐いていた。
かわいそうなコチカは、手足が汚れていて、さぞかし気分も悪く寂しかったことだろう。

伊良湖のみやげ物やの横の洗面所でいろいろなものをきれいにし、
車を発車させたが、コチカはじっと隅にうずくまったまま、動かない。
1時間くらいするとようやく、助手席にいる私のところに来て、ぐっすり眠った。

* * *

尻尾の付け根あたりに、油っぽいものがついて毛が束になって固まっているのを、
とうとう切ってやった。
何をつけたのか。

* * *

帰宅すると嬉々としてあちこち点検し、ご飯も食べ、すっかりよくなったように見えたが、
鴨居渡しの上でしゃくりあげるように吐き気を催した。
あわてて夫が下に下ろし、風呂場に連れて行くと、キャット・フードを一個吐いた。

慣れない家で気づかれしたのだろう。
明日はよく休もうね。




 *  *  *  * 




11月25日(月)

昨日は遅かったのでそのままにしておいた車内ペット用シートを洗う。
赤い鳥の羽募金らしい羽の残骸がでてきて、ぞっとなった。
夫に言うと、そういえば実家のどこかに赤い羽があったという。

コチカをよく観察してみると、のびもするし、
オシッコをさせるのにどう抱っこしても痛がる様子はないので、
針を食べたのではないらしいが、それにしても、ぞー。。

* * *

夜中に2度ほどどこかに行ったようだが、結局夕方5時まで起きてこなかった。
居間に下りてきてもなんか元気がない。

冬のペット用ベッドを出してムートンの座布団を敷いてやったら、
その中で目を閉じじっとしている。

7時をまわってからご飯は?と言ったらようやくのそっとのびをし、
出てきたが、いつもほど喜ぶこともなく、
キャット・フードのカツオブシふんふんと匂いを嗅ぎ、
上っ面をちょこっと食べただけ。

心配。




 *  *  *  * 




11月26日(火)

朝から人間は外出。
夜遅くに帰宅したら、うにゃ〜うにゃ〜といつにも増して甘える。
キャット・フードもあまり進んでいない。

着替える前に、体中を撫ぜて、着替えてから、しばし遊ぶ。
追いかけっこを2本くらいと、久しぶりにビニール袋に入ったコチカと私の手と格闘。

元気が出たらしく、キャット・フードを食べた。やれやれ。




 *  *  *  * 




11月28日(木)

犬バーなるものへ友人と3人で行ってきた。
入り口には開閉可能なダイヤの形に組まれた門(なんというのですか?)がしてあり、店内は開けっ放し。
こんばんは〜と顔を出すと、ゴールデン・レトリーバー2頭がどうもどうも!とばかりに寄ってきた。
犬好きのオーナーが犬連れ可のバーをやっているのだった。
私たちの後からラブラドールを連れた兄弟と母親が来た。
面白いところがあるものである。

お店の犬の2頭のうちの1頭、マロンくんは、1歳と2ヶ月でかなり大きい。
それがカウンターに座っている私と田村さんという無類の犬好きの友人との間にくるのだ。
座っていると、ぬーっという感じで茶色い頭が出てくると、こちらも自動的に手が出てしばし撫ぜ撫ぜ…
それがなぜかもう一人の志穂ちゃん側には行かないから不思議。
田村さんは根っからの犬好きで、私は猫を飼っているから、
その雰囲気をマロンくんはわかるのだろうか。

なにしろ久しぶりに犬をいっぱい撫ぜて、帰宅すると、
コチカはいつものように玄関先でにゃーにゃー言っていたが、
くんくんと臭いを一生懸命嗅いでいた。

とりあえずその辺に置いたコートの端っこも鼻をくっつけて丹念に臭いをかいでいる。
でもだからといって特別な反応はなかった。
もう犬の臭いもさして新しくないのだろうか、それとも危険がまったくないとわかるからか。




 *  *  *  * 




11月29日(金)

面白いことに気がついた。
といって、前から気づいていたような気もするけれど。

カツオブシの袋をごしゃごしゃやる音をさせるといつでもコチカがやってくるか、
と思えばそうでもないのだ。

外出のために着替えたり、買い物バッグを用意したりする気配の後に、
冷凍庫を開けてごしゃごしゃやると、コチカは飛んで来る。

でも、ごしゃごしゃの前段階なしの場合は、
外出するわけではない、とコチカはわかっているのだ。
だからお惣菜を作るのにカツオブシを取り出すとき、
いつも少々緊張気味だったけれど、取り越し苦労だったということです。

* * *

近所の猫好きのおばさんに抱っこされた。
2匹の猫がいるうちで、とても優しいおばさんなので、全然人見知りをしていない。

首のあたりをいっぱい撫ぜてくれるおばさん。
コチカはコチカであたりをくんくん嗅いで、外の空気を分析している。
そのうちに、向かいの家の屋根から野良猫ミケのミーたんがみゃーみゃーと声を上げだした。
高い声の猫で、私は大矢政子のおとーちゃんな〜を思い出して笑ってしまうのだけど、
コチカは、即座に反応し、おばさんの腕から飛び出そうとする。
メス猫(ミーたんが)だからよ、と誰かが言ってるけれど、そのせいなのかな。



この寝方…息できてんの?


 *  *  *  * 




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