2003年3月

~~~ミルク色のコチカ~~~


奮闘記 -22- 




居間の物見やぐら




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3/3 脱走の準備 3/4 健常ネコの排泄 3/27 癒しネコの図  3/29・30・31 脱走した

3月1日(土)

遊ぼ〜と誘う。
追いかけっこを2度ばかり。
コチカは、逃げ込んだ先へ、私が追っていかないと、
薄い声でにゃ〜っと鳴く。
その声がとってもかわいいのだ。




 *  *  *  * 




3月3日(月)

朝、起きてから一旦2階から下りてきたものの、
しばらく姿を見ないと思っていたら、2階の物見用網戸にいたらしい。

にゃrrrrr、と声を上げながら下りてきて、
居間のテーブルの下に頭を擦り付けながら、やってきた。
目を細めながら、ん〜、とか言っている。
たいがいこういうときは、甘えたいとき。
どしたの、急に?

* * *

< 脱走の準備 >

帰宅するのに、最後の角を曲がって歩いていたら、
いつもよりも早い時点で生々しく声が聞こえる。
2階を見上げると、なんと、物見用網戸の隅から頭がぼこっと出ている。
名前を呼んだら、すぐに引っ込んで玄関に来たからよかったけれど、
ありゃりゃ〜
あわててガムテープで応急処置。
もういよいよ作り直さないといけなくなってきた。




 *  *  *  * 




3月4日(火)

< 健常ネコの排泄 >

黄色いトラが、庭に来て、穴を掘り、用を足した。
いろいろわかった。
ここぞというところで、尻尾は背中にくっつきそうに上がっている。
コチカは、これができない。
もう一生自分では排泄ができない、ということが判明した。
大人になる前に、もう少し尻尾の根元の筋肉を刺激すれば、
よかったのだろうか。

←コチカの尻尾はこうならない。。


 *  *  *  * 




3月6日(木)

夜中に私が何度も寝返りを打つせいか、
コチカはいきなりぴょんっと立ち上がり、階下へ降りていった。
起き抜けだと、たいていぼーっと座っていたりするのに、
すぐ起きるときにはすぐ起きるのだな。




 *  *  *  * 




3月8日(土)

東京ガスの人が点検に来た。
約束済みの話なので、忙しい点検マンは、ちわーっす、と、どすどす入ってきた。
人見知りで、大きな物音が恐いコチカ。
縁側から血相を変えて、居間に走りこんできて、
物見やぐらに上がりこみ、不安そうに見ている。

10分ほどで点検が終わり、玄関に見送って戻った私に、
もう行った?という目を向けた。
まったく。番猫にもなりゃしない。




 *  *  *  * 




3月9日日

洗面台に飛び乗って、横の窓から外を見るようになった。
駐車場に面しているので、網戸を開けたら簡単に出られるので、
今までは植物などを置いて、立ち入り禁止にしていたのが、
植物の植木を居間の南側に置いたりするようになったので、
コチカに見つかってしまったのだ。
しかもひとつだけ残してあったガラスの鉢植えの葉っぱを掘り返している。んもー

一度味を占めると、何かが置いてあると、どけて〜と鳴く。
仕方がない。見つかってしまったのだから。




 *  *  *  * 




3月10日(月)

夜、5回もウンチをした。
全部自己申告したのだ。エライ!




 *  *  *  * 




3月11日(火)

夜中。
しょっちゅう起こしにくる。
小さな声でにゃ〜と言いながら。
ふとんを開けてやるが、無視して寝室から出て行く。
4回目にはとうとう起きて下に行ったら、ご飯のお皿が空っぽ。
コチカは体重が4kgなので、Hill'sのヘアボール・コントロールなら70gでいいのだが、
いつも残すので、若干少なめにしているのが、季節がよくなってきたせいか、
よく食べるようになって、足りないらしいのだ。
しばらくしたら、口のまわりをぺろぺろしながら、おとなしく布団に入ってきた。やれやれ。

* * *

朝。
爪楊枝が、台所から玄関先まで点々と落ちている。
台所のワゴンの上にうっかり爪楊枝の入れ物を置き忘れててはいたが、
でもそれをひっくり返した形跡はない。
やったのは、コチカに違いないと思うが、
いったい猫がどうやったら、あんなことができるのだろう。日常の謎。




 *  *  *  * 




3月12日(水)

夕方。
人の顔を見て、あ〜んあ〜ん、としきりに声を上げるのだが、
何が言いたいのか、全然わからない。
居間の物見やぐらを見上げて、そちらの方だ、とサインを送ってるらしいのだが、
いつもと変わりないし、現状以上のことはしてあげられない。
でもずっと何かを訴えているのである。
なんだろう。。




 *  *  *  * 




3月14日(金)

外壁をペンキ塗装しているので、窓を閉めている。
んな〜〜と不満をあらわにするコチカ。
しょうがないのよ。

それにしてもすごいシンナーの臭い。
そのせいか、いつもの時間になっても、ご飯〜の声もない。




 *  *  *  * 




3月16日(日)

体がやせてきたように思うので体重を量ったら、3.7kgくらい。
300gほど減っている。
どうしてだろう。




 *  *  *  * 




おとーちゃんなーみたいな声で鳴くミケ。         
黄色いトラ猫と仲良しだった。コチカのことは嫌いらしい。

3月17日(月)

夜中にうろうろして何度も起しにくる。
カンベンしてほしい。

* * *

最近はこれといって特筆すべきこともなくなってきた。
排泄ができるようになるまで日記を続けようと思ってきたのだが、
望みはない、とすべきだという気がする。
諦めてしまっていい、ということか、と思うと、淋しい。




 *  *  *  * 




3月18日(火)

11日にキャット・フードがなくなったので、新しい袋を買ったのだけど、
いつもと同じ、Hill'sのヘアボール・コントロールなのに、なんかご嬉しそうに食べない。
ご飯をねだるので上げても、くんくん臭いを嗅いで、気落ちしたみたいにどこかに行ってしまう。
なんでだろう〜




 *  *  *  * 




3月19日(水)

暖かくなってきたので、夜中はなかなか寝室にやってこない。
朝方になって、入ってきて、部屋をうろうろし、にゃ〜にゃ〜鳴く。
やめてもらいたい。

* * *

玄関で大家さんと話をしていたら、コチカがやってきた。
大家さんは、どれどれといいながら、いきなり抱き上げ、
よしよしよしよし〜と渾身の力を込めて撫ぜた。

私はいつもコチカを抱っこするときは、
脚を無理に開かせることをせずに、体を横に向けて、
尻尾を前にやり、手を当てて支える。
そして私の手を脇の下に持ってくると、
コチカは前足をひょいっと乗せるのだ。

でも、大家さんは違った。
人間の赤ん坊を抱くように、真正面から体を押し付けたので、
コチカは開脚させられ、木の幹に抱きついたモモンガ状態。
そうとうに意外な抱かれ心地だったろう。
その上、生まれて初めてくらいに、力いっぱい体を撫ぜられて、
何が何やらわからず、ただ時間が過ぎるのを待っている、といった表情。

私はおかしくて笑ってしまったけれど、内心は心配していた。
コチカは解放されると、一目散に中に家の中に逃げ込んでいった。
やっぱりな。。




 *  *  *  * 




3月25日(火)

最近コチカは、よくものを言う。
寝そべっているところをそっと触ると、ァ、っと小さく言ってこちらを見るし、
窓辺で外を見ているときも、通りかかると、みゃ、と小さくなにか言う。
私が二階にいると、grrrrrrrrrと言いながら上がってきたり。
居間に入ってくるときにも、必ず声をかけながら入ってくるので、
こちらも何か返すのだけど、いったい、
どのような思考が声になって表れるのだろうか。
人と自分とを括った世界を持っているように感じられて、
興味深いのだけど、その一方でなにか哀しい。




 *  *  *  * 




3月27日(木)

< 癒しネコの図 >

夕方を過ぎると、居間に戻ってきて、
しょぼしょぼの目をして人の顔を見上げる。
そしてぁ、あ〜〜〜と声を上げながらあくびをしたり。
目のふちが真っ赤になり、少々眼球が落ち込むのだろうか、
二重まぶたになっている。

体の側面や、のどを掻いてやると、
掻いてほしい方向に体を傾けてきて、そのうちにバタンと倒れる。
そして手を梅の花型に開いて、うーんと腕を伸ばし、のびをする。
触った先のフリースのパンツをはいた私の足なぞをもみもみもみもみ。
右へ左へごろんごろんと転がって、頭を私のどこかに押し付けて、
あちこちを掻いてもらうのである。
一通り終わると、自分で毛づくろい。丹念に丹念に。
それも終わると、べしゃっと平たくなって少々眠るのだ。

コチカにとっては至福のときのように思うが、
癒されているのは、案外人間の方かも知れない、と思う。




 *  *  *  * 




3月28日(金)

寝そべっているコチカに話しかけると、コチカは尻尾で応える。
健常な猫なら、尻尾だけ動かすのだろうが、
コチカは、後ろ足がわずかに、動く。

尻尾の根元の筋肉を鍛えたら、自分で排便できるようになるのだろうか。
80歳の老人だって、骨折してリハビリをしたら、筋肉がついてくる、という。
コチカは、まだ若い。

やたらと話しかけて、尻尾を動かさせる。
面倒くさがってあまり動かなくなると、尻尾をつかんでぺんぺん動かして、
もっと動かせるよう、促す。

私は、まだ諦めていないらしい。
コチカがウンチするところ、ぜひ見てみたい、とひそかに思っているのだ。




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3月29日(土)

< コチカが脱走した! >

外出から帰宅したら、二階の物見網戸の端っこに、
猫の体のサイズに、ぽこっと穴が開いている。
下のひさしにでも飛び降りたのだろう。
とうとうやってしまった。。

それにしても、物見網戸からひさしまでは、
1mちょっとあるし、
体を垂直にしないと、ひさしには降りられない。
コチカはそんなに高いところから降りたこともないのに、
地面に落ちることもなく、降りたのだろうか。




 *  *  *  * 




3月30日(日)

またまた脱走。2度も。
玄関脇、洗濯機の上の窓を自分で開けて。

そして、ちゃんと閉まりきってなかった玄関のドアを開けて。
外へ出ようと必死になるコチカの熱意に、人間の油断が見方した、の図。

* * *

帰宅して、鈴の音が走ってくることもなく、しんとしているととても淋しい。
探すとどこかが猫の体の幅に開いているのって、
なんともいえない不安定な気分になる。




 *  *  *  * 




3月31日(月)

外の空気を思う存分吸ってしまったコチカは、
外に出たくて出たくてしかたがない。
今日一日、外行きたい〜出して〜ケチ〜と文句のいいどおし。
顔つきまで悪くなってきている気がするので、
出してあげようかと思ったりもするのだけど。
どうすべきか。

表に大家さんとか近所の人々がいたので、
コチカを抱っこして、相談かたがた出て行った。

出してあげな!いつ帰ってくるかわかんないけど、帰ってくるよ。
と大家さん。
そんなんじゃ私は神経衰弱になってしまう。

家を外から眺め回したけれど、
1階から出るのなら、窓からか、西側の庭に面した縁側から出るしかない。
そのふたつは、人間が外出しているときには、閉めている。

2階からなら、広いひさしがあるからいいが、
地面に降りていったら、再度ひさしの上に上ろうとするだろうか。
1階の窓にしたって、コチカは再びそちらから戻ろう、とは思いつかないと思うのだ。

最も帰り方なんて、日を追うごとに身についていくだろうけれど、
それまでに、こちらが参ってしまいそうだ。

* * *

筋向いの人懐っこい犬、チェリーんちの猫、シルヴィーは、
病気勝ちでついこの間も入院していたんですって、
という話をしていたら、そこのお宅の奥さんが頃合いよく出てきて、
シルヴィーはひょっとしたら猫エイズにかかっているかも知れない、とおっしゃった。

もう一匹猫がいるのに、大丈夫なのかと思ったら、
あまり仲良くなくて、接触しないから大丈夫よ、と笑顔。
エイズにかかっても、風邪とかに気をつければ、
長生きもできるって言うから、とからからしておられる。
恐れ入った。
私なんかはそんなにぱっきり割り切れない。
3人おられるうちのふたりの大学生の娘さんは、ばりばり理系の優等生ということだから、
きっと奥さんも理系なんだろうか。
というか、からからしてでもいないと、やっていられないのだろうし。


チェリーとシルヴィー


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