2003年5月
5月2日(金)
<とうとう一晩帰ってこない日>
午前0時半を過ぎた頃、夫が手紙を出しに行った。
私は玄関口でそわそわしていたコチカを仕方なく抱っこして外に立っていた。
夫が戻ってくる際に、遠くから私とコチカを認めた夫は、
ふざけて足を地面に叩きつけるようにして、走ってきた。
それを夫だと気づかなかったコチカは、恐かったのか、
私の胸を思い切り蹴って逃げ出し、隣の家の庭にもぐりこんでしまった。
生垣の下から覗いて見たら、注意深くくんくんしながら、
少しずつ中へ入っていき、こちらを振り返りもしない。
1時間ほどたってから、もう一度見に行くと、
ここの通りの50mほど向こうを歩いていた。
街の中心とは反対側で、
コチカは車でしか通ったことがないはず。
どこかのお宅の玄関先でごろごろ転がっている。
カツオブシでおびき出そうとしたが、まったく甘かった。
私の声に、にゃ……と声を出したが、
あれは帰んないよ〜と言ったのだろう。
そのあとすぐに、私の横をすり抜けて、あらぬほうに走っていった。
めちゃめちゃ逃げ足が速い!
* * *
あきらめてふとんの中に入ったが、眠れない。
30分ほどたった頃、猫たちの声がした。
外へ出てみると、筋向いの家のガレージで、コチカがうぉ〜〜〜〜わうわうわうわう、とやっている。
相手は車の下なのだろう、見えない。
そっと近づいてコチカの尻尾をつかんでやろうと思ったが、
ちょうど相手の猫に飛び掛ろうとするタイミングだったのだろう、
ダッッ、と走り出し、通りへ飛び出て、
黄色い猫だった(タロウかニャアンだ)!のお尻に飛びつき、さらにまた追いかけていき、
家と家の間でものすごい物音を立てた。
猫の、う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜というすさまじい声が長く聞こえたのは、
コチカが噛み付いたまま、なかなか放さなかったのだろうか。
猫には猫の流儀があって人間の踏み入ることのできない世界があるのだろう、
と改めて思い、もう今夜はあきらめることにした。
* * *
毛並みが汚れて洗面台の前に横たわっているコチカの夢を見て目が覚めた。
外に出てみると、いた!
うちの駐車場の車の脇に、きったなーくなって、寝そべっていた。
コチカ、と呼ぶと、ごろごろ背中を地面にこすりつけた。
やれやれ。。
全身、グレイである。抱っこするのもヤな感じ。
近づいて体をしばらく撫ぜていると、隙を見て、逃げ出そうとした。
達者なヤツよ!
でも夕べほど力がこもっているわけではないので、尻尾をつかみ、捕獲。
抱っこして、通りに出た。
犬を散歩させている人が来て、コチカは焦り出したので、人間同士が避け合った。
* * *
家に入ると、まず縁側に腰を下ろし、
捕まえられたことを後悔しているのか、私の方も見もしない。
私が冷蔵庫を開け、カツオブシの袋の音を立てると、ようやく来た。
カツオブシにパクつき、夕べちゃんと食べなかったキャット・フードを一心不乱に食べた。
それから洗面台の上に座って、外を見ている。
薄ぎたなくなって、物憂げに目を細めているコチカ。
快い疲れが朝の光に暖められて全身に広がるのを感じている様子。
いつものふにゃっとしたコチカではなく、業をしょったチンピラさながら。
なんとなく、猫本来の姿をしている、と思った。
ええとこの坊ちゃんに仕立てているのは、人間なのだ。
外にいるときの緊張感が残っているのか、
私が物音を立てるごとにびくっとする。
* * *
右目の上にうっすら引っかき傷がある。
右耳の端っこにもうっすら擦り傷がある。
エイズに感染していなければいいけど。。
こういうことの後にすぐ検査しても、わかるものかしらん。。
きったな〜いまま寝こけるうちの猫。
* * * *
▲
5月3日(土)
なんだか物憂げなコチカ。
なにか私にもよそよそしい。
人間のそばに寝そべるときにも、いつものように体をくっつけてこない。
10cmばかり離れたところに陣取る。
何を考えてんだか。
自立したような感じ。
一晩中外にいて、ノラ猫とやりあったのがそんなに印象的だったのだろうか。
* * *
左前足のかかとに当たる部分(?)の肉球をすりむいている。
家の中にしかいなかったから、皮膚が柔らかだったせいだろう。
足の裏はまだドロがついている。
そういえば筋向いのシルヴィーの足の裏も真っ黒だった。
そんなもの、気にしなくっていいってことね。
でも、
長かった爪が、うまく剥がれたのだろうか、本来の長さになっている。
健康な猫はこうでなければいけないのだろう。
後ろ足の爪は、普段からあまり減らずに、厚めで長くなりもしないのだが、
先っぽが1mmばかりずつ折れている。
どういうわけか。
* * *
夕方、私が居間に座っていると、
ようやく体をくっつけて座り、ズボンに爪を引っ掛けて伸びをし、
撫ぜてやっていたら、そのうちに少し眠った。
* * *
人間が出かけるので、コチカもそわそわし出したが、
車で行くとわかって、玄関から奥へ戻っていった。
コチカはどうすんの?と聞いてみても、背を向けたまま。行かないよ!の構え。
* * * *
▲
5月4日(日)
昼間、夫が外へ連れ出すと、アメショー・ブレンドの白黒トラ(アスカ)がいた。
コチカがそのトラを好きらしいので、尻尾を持って地面に下ろしたら、
コチカは積極的に鼻挨拶をしにいった。
しかし、アスカは猫パンチを食らわしたのだそうだ。
驚いたコチカが、脇へ逃げたので、抱き上げたのだが、
家に帰ってきてもそれが切ないらしくて、わおわおと鳴いていたのだ、という。
今のところその白黒トラがメスなのかオスなのかわからない。
さて、どちらだろう。
* * * *
▲
5月5日(月)
1日中猛っているコチカ。
どした?
* * *
<とうとうリード購入:散歩事始>
散歩用のひもを購入。
黄色と黒。
コチカには似合わないけれど、ないよりはましか。
夫が散歩に連れて行く。
ひもをつけられて、犬のお散歩さながら。
人々がなんとはなしに見ていくそうだ。
コチカが植え込みの下をくぐりそうになると、
ひもで引っ張る。
そうすると、ごく当たり前にコチカは戻ってくる、とのこと。
* * * *
▲
5月7日(水)
夜おしっこをさせようとすると、かなり溜まっていた。
今朝まで、夫がさせていたのだが、またちゃんと出し切らなかったのだろうか。
* * *
今夜は私が、リードをつけて散歩をさせてみた。
猫の散歩って、世にも退屈である。
犬と違い、せわしなく歩き回らないし、決して同じ方向に走らない。
ひとつのところにとどまって丹念に丹念に臭いをかいでいる。
いったい何を分析しているのやら。
通りかかる人々は案外、知らん顔をしている。
でも、あれ???と内心思っているのだろうな。
人々よ、私よ、これが現代であり、東京なのだ。
* * * *
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5月8日(木)
なにか変である。
性器のまわりが黄色く濡れている。
ひどく臭うし。
そして、奇妙な座り方をする。
普通の背中を丸めての猫座りなのだけど、
後ろ脚を若干開いているので、背中がいつもに比べて平べったく見える。
抱き上げてみると、赤いペニスが少し出ている。むむ?
* * *
夕方、にゃーにゃー鳴いているが、まだご飯には早いし、となだめていたら、
何回かしゃくりあげた。しゃっくりではない。
吐くのかと驚き、背中を撫ぜてやったが、吐かなかった。
どうしたのか。
* * *
それにしても、である。
やっぱり出してやるべきだろうか。
「鳥は飛ばねばならない」というのを思い出した。
坂村真民(さかむらしんみん)という詩人の文章である。
生きとし生けるものは、持てる能力を発揮しなければならないのである。
猫が外を出歩いて、何の能力を発揮するのか、と言われれば、
さして有効なこともないのだけれど、
でも、猫も、外を歩いて縄張りを張り、自分のテリトリーを犯す猫がいたら、
退治する、という習性が遺伝子の中にインプットされていて、
それとても今のこの現代の都会では意味をなすことではないことなのだろうが、
猫がいて、そういう能力を持っている限り、人間が奪ってはならないのではないか、と思う。
手触りのよい、人になつくかわいい動物、というだけではなく、
思いのほか、強い意志を持ったエネルギッシュな生き物なのだ。
風からの便りを匂いによって読み取り、
人の聞こえない音を聞きつけ、
異変に対してはいちいち出かけていって、対処しなければならない。
毎日異変が起きるわけではないから、
なんにもない日には、風の便りは鼻腔に心地よく、肺に清々しいものだろし、、
人に聞こえない音は、聞くともなしに聞くラジオのように、楽しいものに違いない。
コチカはそれらを猫らしく全身で感じなければいけないのだ。
私はいったい何がそんなに恐いのだろう。
交通事故に遭って死んでしまうことや、毒を食べて死んでしまうのが恐い。
が、この近所は猫が比較的安全に生きられる場所なのではないか。
結構猫も多く、外に出しているお宅も多いのだし。
潜在的にあるだろうエイズも恐い。
でも、ストレスを溜めたまま長く生きるのと、
エイズと闘いながらも、猫らしく気晴らしをしながら短い人生を終えるのと、
どちらがいいだろう。
長く生きてくれたら、飼い主は嬉しい。
でも、したいこともできず、退屈なまま生きることが猫にとって嬉しいことだろうか。
猫ではあっても、
猫が猫の肉体を持って生まれてくる前の魂は、
人が人の肉体を持って生まれてくる前の魂と、
同じはずなのだ。
私だって、
私の人生において、最大の恐怖は、「退屈」なのである。
退屈はストレスの原因であり、ストレスは時間を巻き取り、年齢を早送りさせる。
……。
では、どのように、コチカを退屈から開放してやれるか。
こうなったら、猫を飼う、という体験を積み重ねるしかないような気がしてくる。
いろんな場合があるのだ。
20何年も生きる猫もいるし、障害を持った猫もいる。
健康そうに見えるのに、すぐ死んでしまう猫だっている。
そのすべてを体験すれば、一匹の猫に対してあれこれ心配しなくてすむはずだ。
そうだ。うちもこれからずっと猫を飼っていこう。
一匹ではわからないことが多いから、もう数匹、猫を増やそうか。。
あれこれ悶々と考えるのだけど、では今の今どうすべきか、というと、結局わからない。
相変わらず人間の隙をつき、
脱走するチャンスを狙っているコチカの息づかいを背中に感じているのみ。
* * * *
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5月9日(金)
どうもおしっこが溜まりやすいと思ったら、
やっぱり夫がちゃんと出してやっていないのだった。
臓器を握りつぶしそうで、恐いのだという。
握りつぶされる前に、コチカは音をあげるはずなので、大丈夫である。
私も最初の頃は恐かったので、慣れることが肝心だ、ということで、
今日から、朝は私、夜は夫がすることにした。
* * * *
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5月10日(土)
外に出たい病に罹ったコチカは、四六時中あお〜あお〜と鳴いている。
が、
人間が車で外出することがわかったら、急に静かになり、
目が合うと、背を向ける。
そんなに車が嫌いなの?
* * * *
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5月11日(日)
コチカのページの読者からメイルをいただき、
飼っていた猫が交通事故に遭い、その後遺症で苦しんだ、
という話をお聞きした。
なので、コチカも外には出さない方がよいだろう、と。
そうですよね。
交通事故に遭って、死んでしまうだったらまだいいけれど、
中途半端に生き延びて、うまく治る保障というのは、ないですものね。
痛い思いをさせるのは、忍びない。。
うちの近所は道路が狭いので、車も徐行することが多いが、
でも、一本向こうの通りで、黄色いトラは交通事故に遭ったのだ。
ストレスがたまった毎日を送らせるのがよいか、
交通事故の危険にさらしてまでも、今の思いを果たすか、
それも猫の人生なのだから、あるいは、猫は後ろを振り返らないのだし、とは思うが、
具合が悪い思い、どこかが痛い思いをさせるかさせないかを人間が握ってるのだとしたら、
やはり家から出さないべきだろうか、と思う。
* * *
大家さんに、やせたようだけど、どこか悪いの?といわれた。
外に出たくて、1日中声を上げながらうろうろしているせいだと思うが、
体重を測ってみると、3.6kg。確かに減っている。
あと、ブラッシングをして、かなり毛を透いたので、
ちょっとばかりこじんまりして見えるせいもあるかも。
* * * *
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5月13日(火)
午後4時半。閉まりきっていないドアを開けて、コチカがまた脱走した。
近所の人々があっちに行ったそっちに行ったと教えてくれるが、
私は屋根の上までは上れない。
あーあ、と思っていると、おなかすいたら帰ってくるよ、と慰めてくれた。
* * *
6時過ぎ。
筋向いの奥さんがペッタン(奥さんちの猫)とやりやってるわよー、
と教えてくれた。
出てみると、ペッタンは後ろの家との境の塀の上から、
下にいるコチカを見下ろし、うぉ〜と言っている。
見上げているコチカも、塀に飛び乗り(飛び乗れた!)、うぉ〜と始めた。
私は塀と家の間に入り込んで、近づいていった。
奥さんは、なんか好物持ってくれば?とか言っているが、
コチカはそんなんじゃだまされないのだ。
猫撫で声で近づいていくしかなかった。
コチカはつかまるかも、と思いながらも、ペッタンを気にしている。
ペッタンは、コチカが気をとられた一瞬の隙に逃げた。
コチカも追いかけようとしたが、私が尻尾をつかむ方が早かった。
あ〜やれやれ。
ペッタンは、向こう側をまわり、奥さんの方に行ったようだ。
抱き上げられて、だめよ、喧嘩は!とか奥さんが言っている。
私もコチカに、
ペッタンみたいな優しい猫に喧嘩しかけたらだめでしょ!と言ってみた。
うちのコチカが近所の家の猫を傷つけたら、と思うと気が気でない。
* * *
かつおぶしを奮発したキャット・フードを食べてから、
しばらく、家の中を欲求不満気にうろうろしていたけれど、
そのうち疲れたのか、よしよしして〜とやってきた。
テーブルの下側に頭をすりつけて、そばにやってくる様子がかわいい。
いつもそうしてればいいのに。
2時間ばかり外にいたけれど、今日はそんなに汚れていない。
* * * *
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5月14日(水)
玄関の三和土で嘔吐。
毛をちょっとと、胃液だけ。
* * *
夕方散歩。
アメショー・ブレンドの白黒トラ(アスカ)が隣の家の門で見張っている。
コチカが近づくとトラは、門の向こうに回りこみ、下からシュッと手を出した。
* * *
コチカが思案していると、カラスが降り立って、そばにきた。
手を伸ばせば届きそうなくらいの至近距離である。
顔をあちらに向けこちらに向け、よく見ようとしているらしい。
私がいるのに、平気なのだ。
このカラスはうちの筋向いのお宅の猫や犬のご飯を狙ってやってくる。
この間は、キャット・フードの入った発泡スチロールのトレーを咥えて飛び立っていった。
なんと中身がこぼれないようにうまくバランスをとって向かいの屋根まで咥えていき、
据わりのよさそうなところにトレーを置いて、食べ始めた。
賢いものである。
* * *
チャコール・グレイで足先の白いスマートな猫が向こうを歩いていく。
新顔である。
見つけると、コチカはすごい勢いで走り出した。
私も仕方なく走る。
うちの駐車場と隣の家の間の塀に上っていった、グレイの猫を追って、コチカも行こうとする。
しかしリードが突っ張っていけない。
車と塀の間で必死のコチカ。
シートを被せてある夫の愛車に爪を立てて、登ろうとした。
後で泣きを見るのは夫である。
仕方なくコチカを抱き上げたが、激しくもがいて私は大変に痛い思いを。。
* * * *
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5月14日(木)
(私が)トイレに入っていると、
うぁおうぁおと鳴き、うるさいのでドアを開けると、うろりと入ってくる。
人の顔を見て、うぁおうぁおと鳴くので、首筋をさらっと撫ぜてやると、
私が座っている便座の臭いを嗅ぎ、
耳をぴーんと立てて物音を聞き、
紙を使う音が聞こえ出すと、もう終わりなのね、とばかり、うろりと出て行く。
いくら猫とはいえ、ィヤーな感じ。
* * * *
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5月16日(金)
夕方、所用に行ってすぐ帰ってくるつもりだったので、
どうなるかと思い、コチカにリードをつけ、玄関のドアノブに絡めておいた。
あたりをくんくんしている間に、私は用事を済ませて戻ってくると、
リードが届く範囲をとっくに点検し終わったのだろう、
正座し、こわーい顔をして私を待っていた。
それからリードをつけて散歩をしていると、
白に黄色の猫、チャコちゃんを抱っこして奥さんがやってきた。
この猫も、外へ出て行って大怪我をして帰ってきてから、
恐くて外には出してもらえなくなった、家猫である。
尿路結石だろうか、おしっこが出なくなった、と聞いてから、
姿を見てなかったので、心配していたけれど、
一ヶ月ほどかかってようやく治ったのだそうだ。
やれやれ。
コチカを見て、うー、とうなった。
コチカは知らん顔をしている。
人間は互いに猫を避け合って、適当に話をして別れた。
大きくて重そうなチャコちゃんである。5kgちょっとあるのだそうだ。
* * *
またもやコチカの右唇の下に血が滲んでいる。
牙の先がささって傷ついているようだ。
反対側もそうなっている。
牙が長すぎるのか。
そんなことってある?
こんなに出てるもの?
* * * *
▲
5月17日(土)
居間に寝ていたコチカがふいに頭を持ち上げてじっとしている、と思ったら、
いきなり立ち上がるや否や、
脚立の一番上の段に飛び乗り(コチカはいつも2段ある段を一段ずつ駆け上がる)、
物見やぐらからすばやい動きでカーテンレールに手をついて天井に飛びついた。
当然落っこちそうになったが、壁に貼ってある爪研ぎ防止カーペットに爪を引っ掛けて、
体勢を立て直し、また飛び掛っていった。
恐い目をして天井をにらんでいる。
その後、ネズミが走っていくのがわかったが、
それまでは、人間にはなんの音も聞こえなかった。
大したものである。
警戒態勢のコチカ
* * * *
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5月18日(日)
最近近所に現れるチャコールグレーの新顔猫が物議をかもしている。
ここらの猫たちが穏やかじゃないのだ。
コチカも例外ではない。
コチカは、自分はどういう位置にあると思っているのだろう。
また、
コチカはこの辺の猫たちの間では、どういう位置にいるのだろう。
* * * *
▲
5月19日(月)
アメショー・ブレンドと黄色トラの兄弟はいつも隣の家の車の上でくつろいでいる。
今日はアメショー・ブレンドはおなかを出して、ゴロンと寝ていた。
写真を撮りたいが、よそのお宅にカメラ向けるわけにいかないし。。
* * *
私の目の前でコチカが自分の手をぺろぺろ舐めている。
じっと見ている私に気がついたのか、急に目が合った。
へっ?というふうにコチカの目を覗き込むと、みゃっ、と声を出した。
まるで何?と言ったふうに。
* * *
明け方に、
うにゃ〜と鳴きながら寝室に入ってきた。
お尻を確かめると、ウンチがあるにはあるが、出すにはまだ奥。
なので、知らん顔して目を閉じたら、コチカも私の腕の中に体を収め、寝た。
しかし再び眠りに落ちようとした瞬間、
コチカはにゃっ、と声を上げ、ぴょん、と飛び起き、うにゃ〜ウンチ〜、もうすぐ出る〜の声。
なるほど。そんな風にわかるのね、と納得。
* * * *
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5月20日(火)
チャコールグレーの新顔猫を、白い猫や、黄色トラが追いかけている。
コチカもそわそわ落ち着かない。
走り回ってあちこちの窓から外をうかがっては、
grrrrrrrrrrrrrrrにゃ〜と言っている。
疲れてよしよしして〜のときにも、grrrrrrrrrrrrrrrにゃ〜と同じ調子。
そんなんじゃ、どうしてほしいかわからないよ、コチカ。
* * * *
▲
5月21日(水)
夕方、リードをつけてお散歩。かなり暗くなっている。
隣の家の庭の車の上に、アメショーと黄色いトラ(トラじゃなかった)がのっそりしている。
地面にいるコチカからは見えないが、臭いでわかるのだろう。
門の下の隙間の辺りをうろうろして、なかなか歩き出さない。
そのうち、そのまた隣のお宅の玄関の明かりがついた。
おばさんが出てきて、不審気にこちらを見るので、
私は努めて明るく、こんばんは、と言った。
初めて顔を合わす人である。
向こうも、こんばんは、と言ってくれたので内心ほっとした。
薄暗くなっていたので、こんな風にたたずんでいたら、怪しまれたって不思議はない。
何してるのだろう、と思ったのだろう、出てきて、私の足元を見た。
あら、犬かと思ったら猫ちゃん?と言った。
2度驚き!といった風情である。
猫にひもつけて散歩なんて……ごにょごにょ……と中へ入っていった。
恥ずかしいのよねー猫にひもって。
* * *
居間の物見やぐらにいたコチカが、ドサドサッと音を立てた。
見ると、姿がないままもがいている様子。
やぐらの向こう側に落ち、カーテンにしがみついてたけっている。
窓の向こうには、チャコールグレーの新顔猫がこちらを見ながら道を横切っていく。
コチカは、ふーっ!!!と荒い息を吐いた。
新顔猫を見て、飛び出そうとでも思ったのだろうか。
こう見境いがなくなるものだろうか。
車の通る道でもこうだったら危ない。
網戸に顔をこすり付けたので、とんでもない悪役顔に。
* * *
右目の上の引っかかれ傷がようやくなくなった。
猫のくせに治るの、遅いんじゃ?
うっすらつけられただけなのに。
* * * *
▲
5月22日(木)
ケージから出して預かっていただけるところ発見。
ヌーノ・クラブ。
ひょっと預けないといけない場合のために、コンタクトをとったら、
排泄の手助けについては実際に見てみてから、一度連れてきてください、とのことだったので、
連れていった。
目を大きく見開き、おびえた表情のコチカ。
あたりをくんくん嗅ぎまわっている。
ある程度点検が済んで納得いったら、その場所には慣れるだろうけれど、
問題は排泄である。
オシッコ。
させ方をお見せするために、うちではしなかった。
まず私がやってお見せした。
ヌーノ・クラブの女性と男性、それぞれやってみられたが、
膀胱の場所はわかるものの、うまくいかない。
私もコチカが来たばかりの頃は、恐かった。
強く押して、臓器をつぶしてしまったらどうしよう、などと思う。
うちの夫なんか、未だに恐がっている。
二人のシッターさんがいろいろ試されたが、コチカは業を煮やして、逃げていってしまった。
ちょっと放っておいてから、とりあえず本日の朝の分だけは出そう、としたが、
私にはさすがに抱かれるものの、させている最中に、どなたかと目が合うと、
たちまち逃げようとする。
爪が腕にぐっさり刺さった。
こういうときって、バイキンがついていたら、感染するんだろうな、
と思うくらい、思い切りささった。
排尿の後にいつも使う消毒薬で消毒。ったくな。
ウンチが2個。
女性の方が、今これ押し出して出たんですか、などと、聞かれる。
預かる方は、ましておしっこをさせるのが初めてであれば、深刻な気持ちになるだろう。
コチカとシッターさんの、双方が何日かかければ、できないことはないと思うが、
まずコチカが慣れないとだめだろう。
でも、なんとかできるようになってほしい、と思いながらそこを後にした。
手間をおかけして申し訳ないけれど、
ケージに入れっぱなしの病院はかわいそうだから。
* * *
夜11時。
コチカが威嚇を始めました、と電話。
やっぱり。。という気も。
* * * *
▲
5月23日(金)
コチカのついての申請書を書いている夢を見て、目が覚めた。
○○○じゃないとだめなんです、と書いている。
○○○は何であったか、忘れた。
* * *
ヌーノ・クラブにコチカを引き取りにいった。
私が玄関を開けて入っていくと、コチカは机の下に隠れた。
コチカ〜と呼ぶと、おや?あの声は、という様子でそーっと出てきた。
シッターさんが、よかったねーなどと、コチカに声をかける。
* * *
夕べコチカは威嚇をしていたが、
今朝になって体にも触らせ、オシッコをさせてみたら、わずかに出た。
しかし、声を上げたので、痛いのではないか、と恐くなり、やめたのだそうだ。
痛いのではないか、という心配は、わかる。
私も最初の頃は、恐くておしっこを出してもらいに、病院に2度ばかり通ったのだ。
獣医さんは、
肝臓は小さくてつかもうとしても無理だし、つかめたとしても、堅くてつぶれたりしません。
他の臓器もちょっとつかんだくらいでは、つぶれたりするものではありません、と念を押してくれた。
そうは言われても、恐いものは恐い。
今では私もベテランの自信はあるけれど、
恐いという人の気持ちはわかるし、
必然があって回数こなす、という経験を経て、慣れるしかないのだ。
* * *
今回のシッターさんのお宅からうちまでは、一駅分で、駅へ向かう距離を考えると、
歩いてもいける。
コチカをキャリーに入れて、お散歩気分でゆっくり歩いてきた。
早く歩くと、骨盤にキャリーがぼんぼん当たって、コチカが具合悪くなるといけないし。
で、大したものだと思うのは、
いつもコチカがいる方角ではない方から帰ってきたのに、
家の近所にきたら、キャリーの中のコチカは急にそわそわしだした、ということ。
そういえば、車で帰宅するときにも、コチカが来たことがない場所なのに、
もうすぐ、という頃になると、コチカは窓に向かって鳴き声を上げる。
半径150mあたりというのは、家のまわりの匂いが充満しているのだろうか。
別のペットシッター&ホテルに問い合わせ。
交通事故やなんかで障害を持った猫を引き取っているうちに11匹になってしまったという、
メイちゃんのお家。
ヌーノクラブでの経験を元に、おしっこをさせていただくための、心構えなぞを話した。
向こうも、最悪というか、あらゆる意味での不可能の可能性について言われ、
いろいろ予防線は張るけれど、実のところはできる限りのことはしてあげたい、
という意向をきっちり示してくれた。
今度も、試しに預かっていただく期間を設けることに。
試そうとしていることは、
第1回目は、1泊のみで、
1:ケージにコチカを入れたキャリーにごと入れ、コチカが出てきたくなるまで、放っておく(これはそこのやり方)。
2:コチカには触らず、コチカが場所を覚えるためだけに、預ける。従って、おしっこはさせない。
第2回目は2泊ほど。
1:コチカにとって2度目の場所なので、ちょっとは安心だろう。
2:なので、夜のおしっこは試してみる。
3:しかし、嫌がったら、即やめる。
4:3が成功しなかったら引き取りに行く。あるいは、私は行っておしっこをさせる。
第3回目以降は、第2回目次第にする。
* * *
どうにもだめなら、シッターさんの懇意にしている獣医さんにお願いしたっていいのだ。
そうまでしても預けたいのか、とも思うけれど、いざ、という場面はあると思う。
シッターさん側に努力していただいてでも、安心して預けられるところを見つけておきたい。
咲いたばかりのドクダミは薄汚れたコチカより白い
* * * *
▲
5月24日(土)
1日ぶりのうち。
猫時間の中で生きるコチカにとっては、久しぶりのうち、ということだろうか。
なんとなくべたべた。
* * *
夫が朝、晩と30分くらいも散歩。
* * *
人間がばたばたしているので、ひどく不機嫌そう。
人間が座らないと、落ち着いて眠れないらしい。
* * * *
▲
5月25日(日) >腰砕けコチカとご近所情報< ここ数日、夜も人間と一緒に寝室に入ってきて、 同時にふとんに入って寝る。 朝までぐっすり。 人間もぐっすり。 ありがたやありがたや。 * * * 夕方、リードをつけてお散歩。 6時くらいは、どこのお宅の動物も、お散歩タイム。 筋向いの2匹のワンちゃんは嬉しさのあまり、ワンワン咆えるし、 車は来るし、ですっかり怯えモードのコチカ。 全力ダッシュしてお隣の植え込みにたどり着いたものの、腰砕けの様子。 情けなや。 * * * ノラ猫情報。筋向いのお宅の隣のお宅のチャコちゃんちの奥さんから。 隣のお宅にいる、黄色と白のホルスタイン(黄色トラではなかった)は、「タロウ」、 アメリカンショートヘアみたいな猫の名前は、「アスカ」。 なんともすてきな名前なのだが、このアスカ、これまでにあちこちを転々としているので、 その地域地域で名前がつけられている。 アメショー・ブレンドなので、「アメ子」、別のところでは、「おこげちゃん」なのだそうだ。 なんで、おこげちゃん?と言って笑っていたら、 筋向いのお宅の奥さんが、ノラ猫用のご飯を持って出てきて、にゃおん!とガレージの奥に呼びかけた。 見ると、黄色と白のブー猫が、ぶーっとした顔で座っていた。 なんで、ニャオン!と呼びかけたかというと、いろいろ名前をつけるとかわいそうだから、だそうだ。 ちなみに、この猫は、エイズを発症しているのだそうだ。 |
腰砕けチータッタ ご飯を食べる、ノラ猫:ニャオン(←名前) |
* * * *
▲
5月26日(月)
今日の夜中は、ウンチ〜、とひそやかな声で起した。
ウンチをさせたら、ご飯の器の方を見るので、ご飯?と聞いたら、嬉しそうにした。
なので、ちょこっとだけやった。
日によってたくさん食べたり食べなかったり。
ま、こんなものなのだろう。
* * *
午前中、居間で寝ていると思ったら、
しゃくり出し、吐いた。
この間吐いたのは14日。2週間ほど前か。こんなもの?
夕べ、立て続けに2度もお水を飲んでいるので変だと思ったが、
胸焼けしていたのだろうか。
立て続けに2度吐いた。
一度目は毛玉。
毛玉を吐くために、同じくらいの量のキャット・フードも吐くのか。
2度目は、キャット・フードの残留物と胃液らしかった。
むむ。
そのあと元気にうろうろしているし、
今朝まで元気にご飯を食べていたわけだから、猫特有の毛玉吐きだろう。
Hill'sのヘアボールコントロールを食べているのだれど、
それでも猫草を与えるべきだろうか。
最近お散歩するときに、よく草を食べていたな、そういえば。
トイレを掃除してしまいたいので、オシッコをさせたら、
ウンチも4個ばかり、出た。
これだけおなかに溜め込んでいたら、相当に苦しかったのではないだろうか。
コチカは、ふーと力を抜いて、しばらく遠い目をしていた。
この腕の中で完全脱力している様子は、かなり愛情をかきたてられる。
* * *
絨毯の上に吐いたので、
消臭スプレーをかけたが、猫には臭うらしい。
いつまでも絨毯を引っかいている。やめて!
* * *
日に何回か、よしよしして〜と言いにくるが、
そんなとき、顎の下とか撫ぜてやると、そのうちゴロリと横になる。
ところが、今日は正座をしている膝の上に乗った。
珍し〜
吐いたりしたからかな、まだ具合悪いのかな、と背中を撫ぜてたりしたら、
ぴょん!と下りて、脚立を上り、物見台の上に行った。
* * *
夕方、お散歩。
門の端のある箇所に異常に執着。
何度も臭いを嗅いで、悦に入っている。
コチカは、懐かしい臭いを嗅いだらしいときには、口を半開きにしたままぼーっとすることがある。
猫によっては、舌を出してままでいるときがある、と聞くが、そんなときなのかもしれない。
その後、舌で鼻の下を何度も舐める。
コチカが興味を示しているところを見ると、点、と濡れている。
誰かの体液かしら。
舐めてなければいいが、と思いながらよく見たが、臭いを嗅いでいるらしい。
わからない。舐めてみているのかも知れない。
しばらく、そこから離れなかった。
妙なる匂いを嗅いだときの表情
* * * *
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5月27日(火)
睾丸の左下側の毛が固まって、少し抜け落ちている。
元々、オシッコまわりの毛穴に茶色い何かが溜まりやすい。
獣医さんは心配することはない、と言われるが、
いつもオシッコの毎に消毒はしているのだが、
ここ数週間、オシッコを漏らしているのか、溢れているのか、マーキングのしそこないか、
不明だが、まわりが濡れていることがあったので、茶色い何かが増えて、
毛が少々抜けやすくなっているらしい。
だからお風呂に入れたいのだけど、そう思うと、雨模様である。
* * *
黒いダニを2匹、発見!
一匹は太ももの毛の上をふらふら。
もう一匹は足の指の間にいた。
もう絶対に明日はお風呂に入れよ。
* * *
最近できるようになったことがある。
よしよしして〜、と言いに来た際に、抱っこしてやることがある。
コチカはそれを望んでいないのだが、猫としてはなすすべもなく、しばらくは抱かれている。
でも、いよいよ下りたくなってもがき出すのだが、
そのときに、アーは?と言ってやる。
これまでに15回くらい、繰り返してきただろうか。
コチカは、ウ〜というようになった。
声を出すようになったので、それでよしとしてきたが、
ここまでできるのなら、と思い、本当に、アーと言うまで下ろさないようにした。
アーは?というと、ウ〜という。そこでさらに、アーは?というと、
人の顔をじっと見て、ちょっと考えてから、無理に口を開けて、アーと言うようになったのだ。
もちろん、アーと言ったら、すぐに下ろしてやる。
なので、アーは?と言わなくても、アーということも、ある。
ゴロンゴロンと転がることなどは、教えられなかったけれど、
うちのコチカもなんかできるのだ。
コミュニケーションの手段がどんどん増えてくる。
* * * *
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5月28日(水)
とうとう毛皮を洗濯。純白の花嫁さんみたいなコチカに!
それにしても……戦争。悲痛な叫び。
私は虐待しとんのか、と錯覚してくるほどに、悲痛な叫びを上げ続ける。
外へ行ったりして、体運動神経が発達したのか、
バスタブの底からへりに飛びつき、風呂場の床にたどり着き、ぶるぶるっ!
お湯をぬるくしたせいか、泡がちゃんとたたない。それともこんなもんだったかな。
睾丸の左後ろの毛が剥げて、毛玉になっているところを揉み解すけれど、
うまくいかない。
尻尾の付け根の、いつも黒く汚れるところは、かなり落ちた。
でもまた脂っぽさはとれない。
これ一体何?
あとすすいでおしまい、という頃になって、もういやだ〜〜〜〜!!!と
窓の敷居に飛びつき、網戸に張り付いた。
この隙に、とシャワーをかける。
なかなかうまい具合にできた。
勢い余ってお耳かけちゃってゴメンネだったけれど。
* * *
コチカの水気をふき取ったタオルも、何もかも結構毛だらけ。
空中に白いがふわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ
ある程度水気を取ると、コチカは居間の物見やぐらの上に行き、
毛を舐め取る作業に没頭し始めた。
* * *
毛梳き用のブラシがどこかへいった。
この間行ったシッターさんのところに忘れてきたのかも知れない。
まういいや。買っちゃえ。
出かけるときに、ちょっとコチカを抱っこして外に出たら、
風が吹いただけで、たんぽぽの綿毛さながらの毛がふわっふわっふわ〜〜〜〜〜
ご近所の窓に入ってしまったら、コチカの毛だということが一発でわかるだろう。
あああ。
新しいブラシで、さあブラッシングを、と始めたものの、
私はなんか具合が悪くなってきた。
胸が苦しく、頭が痛い。
よく考えてみたら、毛を吸いこまないように、と思うあまり、
呼吸をとめているか、非常に浅い呼吸しかしていなかったらしい。
夫の花粉症用のマスクをして、思い切りスーハースーハーしてみたら、ようやく気分が安定してきた。
いったい他のお宅ではどうしているのやら。
ブラシについた毛を10回ほど取ったところで、
もういや〜、とコチカは音を上げた。
* * *
シルヴィーんちの奥さんが近所のノラたちにご飯をやる時刻。
あちこちから猫が集まってくる。
アスカも顔を出した。
コチカの大好きなアスカである。
さささ、と走りより、鼻つんつんしようとしたら、
にゃっっっ、と牽制され、それだけで、コチカは引いてしまった。
それから少しだけ奥さんと話をして、家に戻ったが、
いつもなら、コチカを抱っこして玄関のドアを開けると、
もうおしまい?え?本気?
という目を私を向けるのだが、今日はそれもなし。
上がりはなにコチカを下ろすと、いつもなら、
え〜〜〜〜まだ帰りたくない〜〜〜〜ケチ〜〜〜〜とかなんとか、
声を上げるのに、にゃんとも言わない。
恐るべし。アスカの威力よ。
* * *
気がかりなことがある。
筋向いのお宅の猫:シルヴィーがエイズ発症のために具合が悪いのだが、
今朝になって痙攣を起し、奥さんは、もうだめかと思ったのだそうだ。
獣医さんのところへ行き、点滴をしたら、持ち直した。
そんな状態でも外に出たがるので、奥さんが抱っこして出てくると、
シルヴィーは下に下り、ヨロヨロと歩いて、近所の家の植え込みの下に入ろうとする。
奥さんは、帰ってこれなくなったらイヤだから、行ったらダメよ、と抱き上げていた。
お葬式出せなかったら嫌だもの、とか言ってる。
あーん。悲しい。。
* * * *
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5月29日(木)
朝のお散歩。
コチカにつけたリードを玄関のドアノブに結わえておいて、
私は洗濯の用意などをする。
洗濯機が始動したところで、コチカを門に結わえる。
その後、朝食の洗い物をし終え、出てみると、
コチカは陽のかんかん当たるコンクリートでぼっさりしていた。
それからリードで歩く。
隣の家のタロウとアスカは、玄関のひさしで別々の方向を向いて寝ている。
写真撮りたいけれど、人にんちにレンズ向けるわけにいかないし。。
* * *
戻ってきて門の中の草むらをちょこっと探検。
熱心に匂いを嗅いでいるので、どうするのか、と思っていたら、
長い草の下に入っていって、よっこいしょ、と腰を下ろしてしまった。
ひんやりとして気持ちよさそうだけど。
猫らしくていいけど。
草の匂いがして体にもよさそうだけど。
リードをどこにも止められないし、
昨日お風呂に入れたばかりで、ダニ防止薬をつけてないので、
無理やり引きずり出し家の中に入れた。
ごめんね。。
* * *
また嘔吐。
胃液と毛をちょっと。
* * *
筋向いのお宅の犬たちのお散歩の後、
チェリーは玄関にしばらくつながれているのだけれど、
チェリーはコチカを見ると、あそぼーあそぼー、とはしゃぐ。
でもその声をコチカは恐がる、ということをチェリーんちの奥さんは知っているので、
チェリーが吠え出すと、猫ちゃんかわいそうだからね、と言いながら、中に入れてしまう。
これではチェリーに申し訳ないので、時間をずらさねば。
* * *
すねがちかっと痒いので見てみたら、猫のダニだった。
く。。
今日の夜はダニ防止薬をつけよう。
* * * *
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5月30日(金)
朝、外を覗いたらチェリーがいなかった。
コチカのお散歩タイムを考慮して中に入れてくださったのかしら。
ごめんね、チェリー。
ということで、お散歩。
やはり草むらが好き。
家のまわりのフェンスの中とか。
リードが届くだけしか行けない。
通りを掃除する間だけ、リードを括りつけて放っておく。
3箇所場所変えした。
日差しが強く、一緒になって歩いていたのでは私はこんがり焼けてしまう。
早々におしまい。
* * *
夕方、外に出るとノラ猫たちのお食事タイム。
筋向いの奥さんがご馳走を持って猫たちに呼びかけていた。
シルヴィーが昨日の夜、息を引き取ったのだそうだ。
ふとんの上で大の字になって、ニャオンと一声上げてから逝ったとのこと。
隣の奥さんがちょうど帰ってきて、
命あるもの1度は死ぬんだから、そうそう、もう10年ちょっと生きたんだから大往生よね、そうそう、などと明るく会話が進む。
そうなのだ。
死ななきゃ苦しみからも逃れられない。
シルヴィーは強い猫で、若い頃はここらでは鳴らした猫なのだそうだ。
優しい飼い主さんのところで天寿を全うしたに違いない。
シルヴィーまたねー。誰かになって戻っておいでー →フォト・アルバム:ご近所さん
* * *
ダニよけの薬。
その前に余計な毛を取っておこうと、ブラッシング。
そうっとしたつもりだったけれど、やはりよくなかったらしい。
薬が沁みるのか、数時間たってから痒がるようになった。
座って何か考えるような表情のまま、背中がぴくぴく動いている。
足で掻いてみるのだけど、痒いところに届いていないような。
頭をひねって舐めてみたり。
見てるだけでももどかしくなり、かわいそうなので、撫ぜてやったら、
それが気持ちよかったのだろう。
どこにいても、うにゃ〜、と飛んでくるようになった。
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5月31日(土)
夕べコチカは、薬をつけたところがときどき発作的に痒くなるらしく、
何度もうにゃ〜、と飛び起きていた。
薬だから舐めるとよくないし、足の爪で夢中で掻きすぎて傷になってもいけないと思い、
コチカが起きる都度に一緒に起きて(というよりコチカが飛び起きるので私も起きてしまう)掻いてやったが、
気の毒だった。
やはりブラッシングをしたのがいけなかったのな。
だとしたら、ごめんね、コチカ。
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お昼を過ぎた頃から、あまり激しく掻かなくなった。ほっ。
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夫と車でお出かけ。
コチカは玄関まで来るものの、そこで人間を見送っている。
よくわかったもの。
でもその後で、grrrrrrrrrrrrrrと声を上げながら、
2階の窓に向かって階段を上るのが聞こえた。
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