2003年12月

~~~ミルク色のコチカ~~~


奮闘記 -31-





行く年に背を向ける?


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12月2日(火)

コチカの右の唇に牙があたったらしい傷がある。
左側には、黒いぽっちが。小さいのと大きいの。刺青みたい。なにか刺さったの?




 *  *  *  * 




12月3日(水)

夜中に起されるので、人間は調子が狂う。
寒い思いをして下に行って戻ってくると、
目が覚めてしまうらしい。
どうしたものか。。

* * *

黒いぽっちは小さい方が消えた。なんだこれ。

* * *

おしっこは普通にさせるようになった。
やれやれ。
でも、キャット・フードでおなかいっぱいのときには、
どうかすると痛がる。
ま、人間だってそんなときあるかな。




 *  *  *  * 




12月4日(木)

よいお天気。

* * *

私が朝の家事に追われてバタバタしていると、
コチカはお外〜お外〜と騒ぐのだが、
居間に座ってメイルなんぞチェックしていたりすると、
なにか諦めて、物見やぐらに行って丸くなっている。
私が立って何かをしだすと、やおら降りてきて、
お外〜お外〜と始める。
そういう取り決め、いつしたっけ?

家の前の東へ行く道を歩いていたら、
チェリーんちの裏から白い猫とその後からみいちゃんが出てきた。
コチカは追いかけようとする。
マーくんが庭でわうわう咆えている。
チェリーんちの奥さんが窓から、こらっ咆える子はお家よ、と
顔を出したので、
白い猫とみいちゃんが出てきたから、と言うと、
今、うちでご飯を食べてたところ、とのこと。
へ〜
裏手の塀に面した窓からご飯をもらうのだそうだ。
それにしても白い猫は飼い猫なのにな。

* * *

夜のお散歩。
相変わらずチャコちゃんちのガレージでストップ。
あまりに長いので、早く〜と促すと、
尻尾を左右に振って、にゃっ、と言った。
さらに抱っこする手つきでおなかを触ると、
にゃっ、あ、ふー、にゃっ、と訴えるように言った。
こんなことは初めて。
なのでもうちょっと待ってやることにした。
退屈しのぎにあちこちをストレッチする私。。




 *  *  *  * 




12月5日(金)

夜中にコチカゲートを引っかく音。
何をしているのか、と見ると、ゲートの開閉自由な扉…切り貼りカーペット…、
を向こう側に引き上げようと、何度も同じ動作を繰り返しているのだ。
こちら(寝室)に入りたいのなら、頭から扉を押して入ってくればいいのに。
いつもしているように。
ったく。そうやって起すのやめて!!!

* * *

朝のお散歩。

隣の家に猫が入っていった。
それを追いかけてコチカは門の下からもぐりこもうとする。
リードを引っ張るとコチカは通りの角に向かってダッシュ。
角を曲がって住宅地の区画の向こう側にまわればつかまえられる、
と猫なりのカンで思うのだろうか。
泡食って走る私。
チェリーんちの奥さんが、あらあら大変、とか言ったので、
何か返そうと思ったけれど、目の前には塀と電柱が迫っていた。
コチカはそこを平気で通るけれど、人間にとっては狭い。
電柱にぶつかっては恥ずかしいので、奥さんを無視して走った。
んも〜コチカ!

*

雨が降りそうになってきたな、と思っていたら、
チェリーがお散歩に出て行った。
さっきも行ったのだがウンチが出なかったので、
雨が降る前にもう一度行ってくるのだ、とのこと。
行ってらっしゃーい、と見送り、その辺をしばらくうろうろしていたら、
一区画まわってきたチェリーが戻ってきた。
どうやら成功したらしく、ハーネスにくくりつけられたビニール袋が丸く膨らんでいる。
まったくねえもう、大学の校門の前でするものだから、注目あびちゃって……、
と奥さんが笑っていた。

* * *

おしっこは普通にさせるようになったけれど、
尿道口に黒いなにかがいっぱいたまる。
こびりついたようになってきて、容易にとれない。
なんとかはがそうとすると、わずかだが血が滲む。
ときどきこうなのだけど、なんだろう、これ。

* * *

左の唇にできてきた黒い点は、にきびのように脂肪の塊のようなものが取れた。
何これ?




 *  *  *  * 




12月6日(土)

いったいどうしたことか。
コチカは、台所のコチカ・ゲートの扉も、
手前側に開けようと必死になっている。
で、ある程度気が済むと、あるいは、諦めるのか、前へ進んで出て行く。

2階の寝室の場合は、そうやって手前に開けようと何度も試して、
結局入ってこない。

なぜ?

4日木曜日、寝室にホットカーペットを出すのに、ダニクリーンをしゅうしゅうしたのだが、
それを気にしているのだろうか。

* * *

PCの画面にダニ。
エアコンをつけるせい?
ってことは一年中いるのだろうか、ダニ。。




 *  *  *  * 




12月7日(日)

夕べは寒かったのか、引き戸を開けてやると入ってきてふとんで寝ていたが。
しかし、朝になって一旦出て行き、また入ってくるのに、こちらからゲートの扉を開けてやっても、
入ってこない。不安そうな顔でのぞき、入るのを諦める。

* * *

居間にもホット・カーペット。ダニのしゅうしゅう。
果たしてコチカはなかなか居間に入ってこようとしなかった。
しかし、えいや!で来たのだろうか、いつの間にかやぐらで丸くなっている。




 *  *  *  * 




12月8日(月)

曇り。でも空気は乾いている。元気なコチカ。

* * *

夜。
人間がお風呂に入っている間に、居間の絨毯に降りてくる。
今年初めてのこと。
ホットカーペットを敷いたからだが、カーペットの上にしたダニ・クリーンは嫌なはず。
でもさすが要領の良い猫。
そいおら辺に放ってあった黒いひざかけに鼻先を押し付けている。
きっとこうしているとダニ・クリーンの臭いも気にならないのだろう。




 *  *  *  * 




12月9日(火)

カーペットのダニ・クリーンはもう消えたのか。
カーペットの上でひしゃげたようにして寝ている。

PCの画面にダーさんがよろよろ。
どうして画面まで来るのか、不思議。




 *  *  *  * 




12月11日(木)

暗く寒い朝。
それでもコチカはお外に行きたい。
メイルの返事についPCの前に座り込んでいる私に、
あきらめたのか、ホット・カーペットの上で眠ってしまった。
そうこうしているうちに、雨が降ってきてしまい、本当に行けなくなった。
ごめんねごめんね、ちーちょっちょ。。

* * *

夜。
帰宅した頃、雨が降りだしたけれどまだぱらぱらだったので、
コチカを抱っこして外に連れていった。
ニャオンがご飯を食べている。
コチカは、む、という反応をしたが、無視して通り過ぎた。
十字路まで行って、しばらくたたずむ。
東の通りから風が吹いてくる。
湿気を含みながらも新鮮な匂いがする。
コチカもおなかをひくひくさせて体全身で匂いを嗅いでいる。
さて戻ろう。
家の前まで来て、後ろを振り返ったら、ミルボーらしい猫がさっと横切っていった。
コチカが腕の中から飛び出そうとする。
しっかと手足をつかんで、そちらの方向に行ってやった。
当然、もう姿はない。はい残念でした〜
カツオブシ食べよ、とごまかしながら、家に帰る。

* * *

ダーさんがPCの画面に。。
誰かこの謎を解いてください。
どこもかゆくないし、コチカの尻尾にもいない。
どーして、こんな無機的なところにいるのか。




 *  *  *  * 




12月12日(金)

雨。
お外に出られず。
わかっているので、出たいとはいわない。
お利口なコチカ。
あっちの窓こっちの窓をうろうろ。




 *  *  *  * 




12月13日(土)

いたりいなかったりする人間に、しかと。
ウンチをそこいらに。

土日なんだから日常と違うのは仕方がないんだって、コチカ。




 *  *  *  * 




12月14日(日)

寒い日。
でもコチカは元気。

5時くらいまでご飯〜とも言わずに頑張った。
というより寝てた。

しかしそこからは仕事場に入ってきて、やーやー言う。
勝手に開けて入ってきて、ドアを閉めない。
寒いんだってば。
ピアノを弾く右手に下になにやら視線が、と思い、
脇を開けて下を見ると、コチカが思いっきり見ている。
ギンナン色の目を真っ黒に染めて。
そして、右手の動きが速くなると、体を伸ばして飛びつき、
遊びかたがた、ご飯〜、というのだ。
そのしぐさはかわいいのだけど。。




 *  *  *  * 




12月16日(火)

昨日は朝からばたばた。
午後から出かけて帰宅が遅くなることを予測して、ご飯をやっておく。
果たしてコチカは夜中に空腹のために目が冴えるらしくて、
何度も起しにきた。
ああ、ねむい〜

* * *

本日のトピックは3つ。

また物見やぐらから板が一枚落っこちた。
コチカも一緒に落ちたのだろうか。
たまには、反射神経をやしなうのにいいのではないかと思う。

* * *

夜のお散歩。
いつもみいちゃんがいるところに、みいちゃんがおらず、
コチカは臭いをかぎまくっている。
そこへミイちゃんが帰ってきた。
不機嫌そうに、あー、あー、と声をあげている。
コチカは、すわっとばかりミイちゃんの方に向かっていったが、
ミイちゃんはうまく迂回して、自分のテリトリーに戻ってきた。
テリトリーにおさまったミイちゃんは相変わらず、声をあげてコチカを牽制している。
するとコチカは、さっきの意気はどこへやら、
あっさり諦めてすごすご元来た道を引き返した。

* * *

枯葉の溜まり場を手で掻いていると思ったら、
なんと猫のオシッコスタイルで座った!
待つことしばし。かなり長い。
ときどき背中がピクピクする。
終わったと思ったら、軽く臭いを嗅ぎ、
左手で1回、枯葉を掻いた。
え?それだけだけ?
やっぱり出てはいないのかな。
でもこういうところでは本能がくすぐられるのだろうか。




 *  *  *  * 




12月17日(水)

朝目覚めたとき、よく眠れた〜と思ったら、
コチカがふとんにもぐりこんだことを知らなかった。
そうそう。そんなふうに来てね。

* * *

夜のお散歩。
うー。
マフラーの隙間なんかから、つーんと冷たい空気が入ってくる。
山間部では絶対雪に決まってる。

四辻の駐車場に行って、ごろりごろごろ。
昨日の枯葉のところへも行った。
またオシッコ・スタイルするかな、と思ったけれど、
急に警戒態勢に。
四辻をコーギーの夫婦が通っていったのだった。
普通に戻って、そこらをくんくんし始めたが、
またもや気になる音が。
どうやら、コーギーがウンチをしたらしく、それを始末している音だと私は見た。
コチカは、他の猫だと思ったのか、緊張しながらそろそろ行く。
でも、音源のあたりに行った頃には、もうコーギーたちはいなかった。
で、オシッコスタイルもなし。ちぇ

一通りいつものコースを辿って、うちの門の方へ。
このタイミングで、帰ってカツオブシ食べよう、というと、足取りが早まる。
で、お散歩おしまい。




 *  *  *  * 




12月18日(木)

昨夜はかなり寒かったせいか、早いうちにふとんに入ってきた。
一旦出ていったように思うが、その後入ってきたのを私は知らない。。
…というわけで今日もぐっすり寝られていい気分。

* * *

遅い朝のお散歩。
十字路の駐車場でゴロゴロ。
ライトバンにそーっと近づいて、そーっと座り、下から向こうを見ている。
猫でもいるのろうと思って私も静かにしている。
しばらくして、コチカはそろそろとバンの後ろに回り、向こうを伺った。
私も伺う。
すると、猫ではなく、若い職人さんみたいな人が、お弁当を食べているところで、
向こうも振り返ったので、目が合ってしまった。
どうもー、と頭を下げる。
ったくもう!恥ずかしいじゃんか。




 *  *  *  * 




12月19日(金)

夜中。寝られなくて階下にいたからだろうか、
コチカも降りてくる。
4時半から6時までの間に、ウンチを2回。

* * *

朝。
チャコちゃんちのガレージの道路に近いところにニャオンが背を向けて座っている。
車の陰になって朝日も差さず冷たそうだが。
白地に黄色いホルスタイン柄の背中の毛が、パサパサと逆立ている。

コチカは抜き足差し足で近づいていき、フェンスを挟んで50cmくらいの距離に座った。
ニャオンは、身じろぎしないまま向こうに向けていた顔をこちらへわずかに向けた。
横顔には目の端が見えているが、そこにコチカは見えているのだろうか。
それからゆっくりとニャオンは歩き出し、コチカの前を堂々と横切り、
通りを渡り、向かいの家のお庭でゴロロンとなった。
そして立ち上がり、こちらに背を向けて座った。
今度は陽がさんさんと当たり、温かそうだ。。

背中でコチカの様子を測り、
目の端でコチカをとらえ、振り返りもせずにコチカの前を歩いていったニャオン。
宮本武蔵さながら所作にほれぼれ。
かっこよいぞよ。。

* * *

お散歩中、あまりによそのお宅をしげしげと見ているので、
もう帰ろう、と声をかけると、尻尾をさっさっと横に振り、やだね!の意思表示。
しかし、帰ってご飯食べよ、と言うと、さっさっの尻尾がピタリと止まり、
へ?今なんて言った?と真顔をこちらへ向けた。

最近コチカはおなかがすきやすいので、
お散歩の後には5粒くらいキャット・フードをやるのだ。
カツオブシよりはいいような気がする。

頭の片隅に“ご飯”という言葉が引っかかっているはずだが、
十字路のアパートの1階部分のベランダを調べまわっている。
人が住んでいるのかどうか、1階なので目隠しにしているすだれが、
もうばさばさになって、フェンスからはみ出ている、そんなベランダと
地面とのわずかな間に、ドクダミの葉がはびこっているのだが、
そのあたりに何か気になるものがあるらしく、
あっち側とこっち側を熱心にかぎまわっている。
もういいよ。行こー。

* * *

夜も、朝と同様。
チャコちゃんちのガレージの次には、ここ。
ったく。次から次へと興味の対象が見つかるものである。




 *  *  *  * 




12月20日(土)

朝も夜も夫がお散歩。
玄関を出るとコチカは一目散に十字路のアパートを目指したそうだ。
夜には部屋に明かりがついていたので長居できないし、
駐車場は暗いし、
コチカがさかんに嗅ぎまわるベランダと地面の間に何があるかわからず気味が悪いので、
とっとと連れて帰ってきたという。




 *  *  *  * 




12月21日(日)

朝。
ゆっくり寝てたくせに夫が寝室を出ていくと、
コチカも出て行き、うにゃ〜〜〜と恐い顔をして鳴く。
もちろん、外〜〜、と言っているのだが、なんだか脅迫めいている。

朝も夜も夫がお散歩。
一目散に、十字路の駐車場のところのアパートを目指すのだそうだ。

なんと夜には、ゴソッとベランダの下が動き、
コチカは声を上げ出した。
部屋には明かりがついているので、
これはいかん、と思い、連れて帰ろうと抱っこしたら、
コチカは思い切り爪を立てた。
帰宅してすぐに悲惨な傷跡を水道の水で洗っている夫。
かわいそー

* * *

なんか毛並がひどく汚れている。
蛍光灯の下だと、余計に汚れが目立ち、
毛が割れ割れになっているように見える。
エイズを発症していて、歯槽膿漏のニャオンの毛波もこんなだ。
もっとはなはだしいが。
コチカは大丈夫なのだろうか。




 *  *  *  * 




12月22日(月)

毛の割れ割れがとっても気になりながらお散歩。
やはりあのアパートへ。
一歩一歩そろそろと近づき、ベランダと地面の間に頭を突っ込み、
低い声でう〜〜〜〜むにゃむにゃむにゃむにゃ。。
なんと誰かいるらしい。誰かって猫に決まっているのだが。

*

すっぽりベランダの下に入ってしまいそうだし、
逆に相手に飛び掛られたら嫌なので、
無理やり抱っこして戻った。

チャコちゃんちのご夫婦がニコニコしている。
コチカを見て、ずいぶん汚れましたね、と言った。
毛の割れ割れのことを言ってみると、
チャコちゃんも同じようになっているとのこと。
夏にもなってたわよね、と奥さん。
歯槽膿漏のためではないのだ。ほっ。
実家に帰省する前に洗濯せねば。

*

ご夫婦によると、ベランダのあたりにはミルボーが住んでいるらしい。
はーん。。




 *  *  *  * 




12月23日(火)天皇誕生日

人間と一緒にお寝坊。

昼のお散歩。夫と。
タローと白い猫に会った。
タローが威嚇したが、コチカが寄っていくと退散した。

*

もうそろそろ人間も退屈し、寒さにも我慢ができなくなってきた頃、
夕方なら、もうご飯はすでにあげてあるわけだから、
帰ってカツオブシ食べよ、と耳元で囁く。
これが結構効くのである。
足取りが軽くなり、でもやっぱりまーだだよ、と寄り道をしてみても、
やはり家路を急いぐのである。

* * *

夜。なにごともなく。




 *  *  *  * 




12月24日(水)

それにしても汚い。
夫は脇の下なんかもべたっとしてる、という。
どれどれ。あ、ほーんとだ。

散歩に出たら、あっちにニャオン、こっちにペッタンがいた。
ニャオンの背中は、最近、ちょっとはきれいになってきた。
健康が取り戻ってきたのかな。
しかし、おお!ペッタンの背中もなんか割れ割れになっている。
冬は猫はこうなるのかな。
乾燥を防ぐため?

* * *

Hill'sのグルメとかいうキャット・フードを与えてみた。
いつもはヘアボール・コントロールというやつなのだけど、
まだ毛替わりの季節でもないので、たまには、と新種のものを試してみたのだ。
すると、種類が変わるとちょっとばっかり嫌がるコチカだが、
好みが合ったのか、何も言わずに食べた。


まん丸な背中。寒いから?
毛並みの割れ割れ、見えます?


 *  *  *  * 




12月25日(木)

おもしろいことがあった。

↑注)コチカの飼い主:ここまで書いてあとは書き忘れてしまったようです。
   何がおもしろかったのか、気になります。。




 *  *  *  * 




12月26日(金)

朝のお散歩は人間の都合でなし。
コチカもしつこく言ってこなかったし。

* * *

お風呂。
ノミが一匹!


洗濯されて、乾かされる。。


 *  *  *  * 




12月27日(土)

昨日の夜中から、霙、雪。
朝になっても道が濡れているので、お散歩はお昼になってから。

* * *

久しぶりにふかふかほわほわの毛になったコチカ。
さわり心地がすこぶる良いのだけど、静電気が起きて起きて。
そういえば、脂っぽくてしっとりしていた毛は、静電気が起きなかったな。

やはり人間の都合でお風呂なぞに入れてはいけないのだと思う。

* * *

すっごく冷たい夜。
冬の星座があっと驚くほどにきれい。

夫と散歩。
いつもは30分はたっぷりかけて行ってくるが、今日は半分、とのこと。
コチカも寒かったのだろう、帰ろう、と声をかけたら、さっさと家に向かったって。

* * *

コチカと同じように半身不随の猫を拾い、
奮闘しているという方がメイルをくださった。

理由はわからないが半身不随の子猫は案外いて、
もうそれだけで絶望視され、
捨てられる、
あるいは、オムツをして飼われている猫は、
結構いるらしいのだ。

うちのコチカのように、レントゲンを撮って、脊椎がどうもなければ、
成長するにつれて足腰がしっかりしてくる場合も多いのではないか、そして、
最大の問題の排泄も、不便を最小限に抑えることができるのではないか、と思う。

要は、幼いうちに絶望視して、見捨てる、あるいは、排泄は不可能と諦めて、
オムツにしてしまわないように、ぎりぎりまでしつけてみることを勧めるために、
このホームページを書いているところもあるので、おおいに参考にしていただきたい。

頑張れマースくんと飼い主:ムートンさん!
→ マースくんのへや




 *  *  *  * 




12月29日(月)

早朝、荷物とコチカを積んで東京の家を出発。
いつもなら首都高に乗るあたりからコチカは後ろのシートから助手席の私のところに来るのに、
今回は結局ずっとリアシートの下にいたままだった。

* * *

乗り物酔い止めの薬を服用させたら、フェリーに乗っても本当に吐かなかった。
私は別に酔って吐いたってどうってとない、と思っていたが、
夫は別で、最初にフェリーに乗った頃は平気だったけれど、
台風で船が大揺れだったときに、コチカは初めて酔い、
それ以来酔いぐせがついたのかもしれないから、
薬を使ってでも、吐かない習慣をつけさせれば、酔うのも直せるのではないか、
というのだ。
まあなんでもものは試しだから、やってみたけれど、結果はよかったようだ。

* * *

実家についたら、いつものようにさっさとベッドの下へ。
しばらくそこにいて、もう母の声にも慣れていたらしく、割合早く出てきた。

しかし、初めてここに来た頃の印象が強くて、コチカにあちこちを汚されるのを嫌う母は、
入ってほしくない部屋を締め切るようにした。
いつも入れた場所に行けなくて途方に暮れる様子のコチカ。
真っ暗な廊下にぽつりと座って、じっと考え事をしてたりする。
ちゃんと覚えていたのね。

諦めて居間にきて、そうだそうだおこただ、と思い出した様子で、
中に入ってみて、篭城することしばし。というか、そのままずっと。




 *  *  *  * 




12月30日(火)

夜中に3回ほど起される。
ベッドに呼んで、そのたびになだめすかして寝かしつけていたが、
朝になって気付いたのだが、
コチカのご飯のお皿が下に置いたままになっていて、
コチカは夜通し空腹だったのだ。
ごめんね。明日はちゃんと2階に持ってきとくからね。

* * *

起きてからも散歩に行く様子の全然ない人間たち。
あーあ、早く東京へ帰りたい……と思っているのだろうな、
と思うのだが、どうしようもない。
そのまま時間は過ぎていく。

* * *

お墓参りにいく人間たちを不安げに見上げるコチカ。
キャリーを持ち出したら、2階に逃げていってしまった。
コチカは行かないの?車で行く?と言ったら、みゃ〜……いや〜の意、たぶん、……と力なく鳴いた。
どうやら“車”と言う言葉を知っているようだ。

二階の畳の部屋のホットカーペット敷いている以外の畳部分を、
切り貼りカーペットで徹底的にガード。
コチカの爪研ぎ攻撃から守るため。

人気のなくなる部屋は寒そうではあるが、暖房器具は一切消していく。
野良猫たちは、みな外で寒さをしのいでいるのである。
コチカなんか人間のベッドもあるから上等博覧会である。

* * *

母が来ると、さっと逃げるコチカ。
私のそばでくつろいでいても、母がくると、きっとした目で母を見、警戒する。
殴ったろかいな本当にもー、と悪態をつく母。
んーな態度をとるから、よけい悪循環になるのだろうが、
これじゃあかわいく思えないのもわかる気がする。。

コチカにとっては、いつも精力的に家事をこなす母の、
スリッパのバタバタという激しい足音が、
いつまでたっても耳に新しく、恐いのだろう、と思う。

* * *

食事のときには電気を切っておくホットカーペットには寄り付かず、
二階に篭城しているコチカ。
ウンチのときだけは、にゃ〜とドアの向こうから声をかける。
お利口な猫よ。。

人間のご飯が終わって、ホットカーペットにみなが集まると、
コチカもやってきて、一緒に座る。
ようやく私の膝にペタンと背中をくっつけ、
日常の平安を取り戻せたのだった。




 *  *  *  * 




12月31日(水)

外にも行けず、気の毒なので、屋上へ連れ出す。
風の吹いてくる向きに鼻を引くつかせるコチカ。
しかしフェンスから身を乗り出して下を見ようとするから、
危なくてリードをしっかり引き締める。

* * *

コチカの行きたい方向へはなかなか行かせられないけれど、
それでも結構気晴らしにはなった様子……だと思っておこう。




 *  *  *  * 




30 ⇔ 32