2004年11月
11月1日(月)
あれよあれよと言うに間に11月。
いっつもこんなこと言ってるような。。
夜中のものすごい雨はいったいなんですか。
またどこかで洪水にならなければいいけど。
*
雨で目が覚め、家中の開いている窓を閉めに行き、
戻ってきてふとんの中に入ると、枕元で寝ているコチカが、
頭をもたげている。
起きてるの?と手をやってみると、
かぷっ、と人差し指と親指の間を噛み、しばらくそのまま。
経絡のツボにでもはまったのか、肩まで痛みが走るが、案外気持ちいい。
そのままにしておいた。
噛み付いている歯の前の皮膚に、コチカの鼻息が当たり、すーすーと涼しい。
結構早い呼吸である。
体が小さいからね。
象だったらもっとゆっくりなんだろうな、
などと思っていると、カミナリが鳴った。
するとコチカの呼吸に若干の変化があった。
むむ、と思った証拠だろうか。
動物なんて顔だけ見ているだけだと、小さな変化は見逃してしまうが、
呼吸の状態がわかっていれば、精神状態の変化もつぶさに見れるのかも。
しばらくすると、コチカは口を離した。
時計を見てみると、約12分もの間、噛み付いていたことになる。
* * *
夕方のお散歩。
十字路の駐車場の向こうに、アスカがいた。
もう暗いのに、さすがは猫。
10mも手前からいち早く見つけて、ひゃ〜、あ〜
促すように私が走り出すと、コチカはダッシュし、アスカに近づいた。
そんなんじゃ逃げちゃうよ、と思ったが、
アスカはブロック塀の裏側にそっと隠れただけ。
コチカはちょっと前で座り、様子を見るようだった。
そして、いざ、という態度で近寄り、
アスカのおなかあたりに手をかけた。
逃げるアスカ。
向かいの家…アスカが冬に居候する家の塀の中に入っていった。
追いかけるコチカ。
アスカは、うや〜ん、にゃ〜ん、と声を上げている。
中では裏口から女性が出てきて、お入り、などと声をかけている。
裏木戸の下の隙間から覗いているコチカ。
きっと向こうからは私の気配もわかっているのだろう。
私はわざと大きい声で、行こう!と声をかけた。
* * * *
▲
11月3日(水)
文化の日。
朝目が覚めたら、コチカが枕元で頭を持ち上げていた。
寝ていたコチカだが、私がのびなどをして寝返りを打ったりしていたので、
目覚めたのかもしれない。
とにかく起きている、と思い、手を伸ばして撫ぜたりしていると、
コチカは自分の手を舐め出した。
その舐め方が、普通ではない、と思った。
指と指の間を、力を込めてザーリザーリ、と舐めるのだ。
しかも長々と。
なにかに刺されたのか、と思い、見てみたがなんともない。
しばらくして、コチカがまだ寝なおしていないようなので、
またも、おはよう、などと言いながら、撫ぜたら、
またイライラしたように、手を舐め出した。
変である。
触って欲しくないのに、触られて、頭に来たが、
噛み付いたら私に文句を言われる。
だから、我慢している、といった風に見えた。
さだかではないが、
つい触る、ということで、思わぬストレスをかけているのだ、と反省した。
寝ていて、仕方なしに触れてしまうのは、どうしようもないが、
かわいくて毛並みに触りたくなっても、極力やめよう、と思いを新たにした。。
コチカ、ごめんねー。。
ときどき界隈にやってくる猫
* * * *
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11月4日(木)
暖かい日。
夕のお散歩。
チェリーんちのトラちゃんの行動範囲が広がってきた。
玄関を出ると、
シャンシャンという鈴の音をいち早く聞きつけたコチカは、
東に抜ける路地に走り出し、一旦止まって鈴の音の位置を確かめる。
よし、と再び走り出す。
向かいの家の塀に沿ってダッシュし、塀が途切れたところで、ストップ。
すると、すでに塀の向こうを、うちの前の通りの方向へ走ったトラちゃんが、
路地に出てきて、ペロッ、と自分ちへ入っていった。
軽やかなこと。
なすすべもなくコチカ。
ちぇっ、という様子でしばし佇む。
* * * *
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11月5日(金)
天高く穏やかな日。
こんな日を待ちわびていたのよ〜
散歩に出ていたおばあさんと立ち話をしていると、
以前にトウガンをくれた奥さんが、ちょっとちょっと、やってきて、
薩摩芋ご飯を炊いたから、とハンバーグ形に握ったおにぎりを1つずつくれた。
へ〜おいしそう。
今年の夏に、トウガンをもらい、多すぎるので人にもらってもらおうにも、
近所中がもらっていたので、毎日トウガンを食べなくてはならず、
みんなで辟易した、ということがあったが、
(実は大家さんは、またも大きなトウガンをもらっていて、うちにもくれた。なんでも夏からずっと蔓を切らずに、畑に打っちゃっておいたものらしく、夏にもらったのよりも大きい。トウガンは切ったらすぐに処理しないと傷んでしまうので、人に、ねえ要らない?聞いてまわっていたのだ。玄関先にゴロリと置いてあるのを私も知っていながら知らん顔をしていたが、夕べとうとう、持ってこられてしまった。。)
今度は薩摩芋で困っていたのかもしれない。
いいお天気の下、紫色っぽい薄着の格好の奥さんが、
通りを右へ左へ、と声をかけ、他の近所にも配って歩いている。
のどかな風景である。
お昼にそのおにぎりをいただいた。
たっくさんの薩摩芋に、刻んだ生姜と野沢菜らしい塩漬けした菜っ葉が入っていて、田舎料理っぽく暖かい味。
あー幸せ。
* * * *
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11月7日(日)
コチカの姿が見えない見えない、と思っていたら、
なんと居間の隅っこに体を縮めて寝ていた。
11月にしては、暖かい。
居間にじっと座っていると、そこそこ冷えてくる。
なのでホットカーペットをつけてはいるが、そうすると、暑くなってくる。
そんなわけで、避難したのだろう。
外からの隙間風が入ってきて、涼しいはず。。
* * * *
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11月8日(月)
夕べの夜中。
ニャーニャーいう声で目を覚ますと、寝室の引き戸のところで呼んでいる。
しかたなく起きていくと、ご飯のお皿にまっすぐ近づいていって、私を振り返る。
ご飯がほしかったのだ。
涼しくなってから食欲が旺盛になったので、
少々増やしてやっているのが、ちょっとまた落着いたので、
少々減らしてやっていたのが、夕べは足らなくなったのだ。
で、私を呼びに来るのに、
私の枕元まで来ると、寝かしつけられてしまうので、出入り口でうるさくしてみたのだろう。
よくわかったもの。。
夜中にご飯が欲しいタイミングでは、たいていウンチである。
まずさせてから、ご飯をちょっとだけやり、私は寝室に戻った。
*
しばらくしてから来たコチカ。
枕元まで来て、じっとしている。
私が目を開けると、じーーっと見ていた。
おとといから鼻風邪を引いていたのが、昨日はノドも痒くなってきたので、
鼻の乾燥防止と体を温めるために、マスクをして寝ていたのだ。
なんじゃそれ?といわんばっかりのまん丸の目で私を見つめ、
私と目が合うと、マスクまで来て、匂いをくんくん嗅いだ。
あやしいものじゃなさそう、と踏んだのだろう、
いつものように、私の脇に入って、モミモミモミモミ。
そして私の体に顎を乗せ、今またしばらく、私の顔をじっと見つめる。
へーんなの、と思っているのがよくわかる。
いいから寝なさい、と頭を撫ぜてやると、ようやく目を閉じた。
* * * *
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11月9日(火)
新潟県中越地震の後、被災したペットを県職員や獣医師らが面倒見ている、という記事がアサヒ・コムに出ていた。
ほっっっ
家をなくした上にペットもなくしたのでは、心の傷が深くなる一方なので、そのための配慮、ということである。助けに行くのは、人間のため、という言い方が強いように思うが、何しろ動物を助けよう、という動きがあるのだ。
よかったー
東京のどこかの学校では、「ペット同行の避難訓練」というのがあったそうだ。煙の出た家屋から出る練習とか。
わーいわーい。すごいぞ日本人!
ヨーロッパでは、その昔から乳や肉を家畜から得、食料のほとんどを家畜に頼る生活環境だったから、歴史的にも家畜には日本人が想像できないくらいの感謝の念を抱いている。昼間放牧した家畜を夜に小屋に入れるのに犬に手伝わせるが、実際の労力にもなってくれ、自分の膝元に座り暖かく癒してくれる犬は、人間の親兄弟同然だった。ヨーロッパでは、家畜イコール家族、という図式が古くから当たり前にあったのだ。だから被災しようが単に逃げ出そうが、とにかく飼っている動物は一緒に、という観念が当たり前なのである。
しかし、日本では「犬畜生」という言葉があるとおり、動物は卑しいものとする土壌がある。だから被災した日には、とにかく人間だけが逃げ、動物を心配することなどなかった。というより、心配するに足らないことであり、動物を飼っている人が自分のペットを心配することは、飼ってない人に対して失礼にもなった。島で火山が噴火したりして人間は島を脱出しても、動物は置いていった。ニュースなどの報道番組で、火山灰の様子を検分に行った職員を写した映像の中には、家々の庭先につながれた犬たちが、不安そうに鳴き声を上げているのを見て、悲しく思ったことがあるが、悲しいなどと言ったらいけない、と父親に怒られたものだ。
そんな日本人の様子を、ヨーロッパの人々は、人非人か、と言ったという話を聞いたことがある。そしてヨーロッパのどこかの島国から船で脱出するのに、岸壁から渡された長く細い木製のタラップに、犬たちもそろって並んで渡っているのを、ひとつのトピックとして報道されたことがある。どこかの国とは違うのである、というコメントがついていたように思う。
日本はそんな国だったのだ。
しかししかししかし!
大勢の人々がペットを飼うようになった昨今、人々の意識も変わっていったようだ。私なんか未だに、動物が心配だけれど、やはり人間も大変なのに、ペットたちは大丈夫か、と言うのが、あからさまに言えない気持ちだった。でも、やはり違うのですね。時代は変わり、人々の心も変わってきた。核家族化が進み、個別にいるのがいいような時代があったけれど、やっぱり淋しくなってきてペットを飼うようになった。結局人みな温もりがほしいのだ。NHKなどでも、猿が出て困る、とか、無断駐車の車が多くて困る、といった「お困りご近所」の解決策として、住民同士で話し合い、住民同士で力を合わせあって問題を解いていく、住民の結託が一番、というような結論が出されてきている。再び日本は隣の人々と手を取り合う方向に向かっているように思う。親しすぎると摩擦が起きてて面倒なのが昔だったが、時代は進み、人々の意識が進化した今、人間も含めた生きとしいける動物たちと一緒にいることを、理想的な環境とするようになってきたようだ。
人的原因による気候の変化や災害、自然破壊などで住宅地に出没してきた熊を射殺、とかいうニュースばかりで、なんだか悲しみにくれることが多かったけれど、久しぶりに日本にも希望があるのかもしれない、と思えた今日でした。
うちのコチカは今日も元気です〜^^\
* * *
仕事も休みでよい天気なので、衣類の入れ替えをしていたら、
コチカがうにゃ〜、とやってきた。
部屋いっぱいに散らかしたものを、そろそろと避けながら私の方に近づいてくる。
* * * *
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11月10日(水)
朝、嘔吐。
いいお天気なのに、私が風邪を引いてしまい、ぐだぐだしている。
ひどく咳き込むのだが、コチカの顔の前でも、何回かつい咳をしてしまった。
猫に人間の風邪は移らないものだろうか。
とはいえ、私自身が体調をくずし、抵抗力が弱って、
自ら持っていたウイルスに勝手に感染しただけなので、どうということはないのだけど。
今日一日だめだったので、仕方がないが、
この間も、良いお天気なのに外になかなかいけないときに、吐いた。
私が居間で仕事をしているときには、コチカはそううるさく外行きたい!とも言わないのだが。
外に行きたい気持ちを我慢していると、吐くのだろうか。
* * * *
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11月11日(木)
風邪が一向によくならない。
あー肩が痛い。。
でも頑張って朝の散歩。
十字路の駐車場に行ったら、ベランダの日の当たる場所に、アスカが寝ていた。
おまんじゅうをつぶしたような顔をして寝ている。
コチカが柵の間に鼻先を突っ込むと、
わー、とか、あー、とか小さく言った。
それだけで、コチカは、たじたじとなり、手を引っ込めた。
どうしたの、アスカ?
具合悪いのだろうか。
他を一巡りしてからもう一度戻ったとき、
体をちょっと柵から乗り出してみると、
ようやくアスカは、Chaッ、と言ったが、やはり具合悪そう。
大したことなければいいが。
* * *
11月にしては妙に暖かい。
ホットカーペットが暑いコチカは、部屋の隅っこに行って不自由そうに寝ている。
* * * *
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11月12日(金)
夜中に咳き込んで、なかなか眠れない。
そのために夫も眠れない。
コチカのそのはず。
でも、何も言わずに寝ている。
何にも言わないだけか?
寝ているふりをしているだけか?
コチカ、怒んないの?
理解してくれてんの?
* * * *
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11月13日(土)
咳き込んで夜中はとうとう寝られなかった。
両脇に寝ている者はさぞかしうるさっただろう、と思う。
と思いきや、夫は、あーよく寝た、とのこと。
本当かなあ。
コチカはときどき目を開けて私を見ていた。
でも発作も起こさず。
生きとし生けるものとして、具合が悪いのだから、
しかたがない、と思うのだろうか。
うう。。ありがとうね、コチカ。
大切にしなければ、とまた思う。
* * *
結局午後3時過ぎにようやく起きられた私につきあって、
コチカも一緒に起きる。
私が着替えるのを引き戸のところで待っているコチカ。
一緒に下へ行くと、まっしぐらにお皿のところへ。
ちょっとまだ早いよね〜
お茶をしてから、夫と散歩へ。
* * * *
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11月15日(月)
午前中大雨。
お散歩なし。
夕方も路面が濡れているので、お散歩なし。
せっせと毛づくろいするコチカ。
こういう日は、とってもきれいになるのだ。
* * * *
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11月16日(火)
夕べも咳で寝られず。
ごほごほと咳き込み、鼻をかもうとしてティッシュに手を伸ばした際に、
ガサッ、と音を立てると、コチカは久々に、うにゃぁ!と声を上げた。
ここ数日は我慢してくれてたようだけど、とうとう。
手に噛み付いたが、私がすぐにあやまると、落着いた。
その後、撫ぜても平気。
* * *
寝ている時間が長くて暇さえあれば寝ていたいくせに、
いざ起きてみると、やたらと暴れたがる。
台所の引き戸のガラス枠に飛びついて、
シンクに立っている私の気を引き、
だだっ、と駆け出して玄関へ行く。
そうそう暇もないけれど、夜になったらやってやろうかな。
良いお天気だったので、朝も夕もばっちりお散歩。
夕方。
十字路の駐車場では、念入りに地面の匂いを嗅ぎ、
ときどき飛び上がって、いきなり走り出してみたりする。
またすぐ戻って匂いを嗅ぎ、飛び上がる。
なんだろう。
特に変わったものがあるようにも見えないのだが。
パワーが余っている、ということかしらん。
* * * *
▲
11月18日(木)
朝は寒くて散歩は無しだし(コチカが行こう、と言わなかった)、
夕方は雨降りだった。
私が外出している間に、夫が先に帰ってきていて、
コチカが変なウンチをする、と言っている。
トイレの中を見ると、確かに、細切れになった半月形のウンチが2つ、転がっている。
何食べたの?
玄米の入った厚手のビニール袋が噛み噛みにされている。
誰の仕業?!
なんで?!
* * * *
▲
11月19日(金)
雨。
部屋の中で、でれぇっとしているコチカ。
なんともしょうがないのである。
しかし不思議に思うのは、朝、人間が布団を離れて起きてきたとき、
コチカは布団で寝てればいいのに、わざわざ下に下りてくることである。
そんなに人間といたい?
掛け布団を上げてくるとはいえ、布団の上に寝る猫は寒くはないはずでは?
それとも寒いのかなあ。
* * *
ホットカーペットを敷いていても、じっと座っていると薄ら寒くなってくる。
特におなかが冷えるような気がしてくる。
そんなときには、そばに寝そべっているコチカを、ずるっと引き上げ、
正座する膝の上に乗せる。
最初の頃こそ、居心地悪そうに毛づくろいなぞをしているが、
馴染んでくると、伸びたまま寝ている。
あーぬくぬく^^;
お気に入りの買い物袋を被って、編み棒で遊ばれる
* * * *
▲
11月20日(土)
久しぶりによい天気。
外に出てみると、太陽の陽を浴びて、
コチカはまぶしいくらいに白くてきれい。
近所のおばさんたちにも、あっらーきれいねー、と言われた。
丸二日外に出ずに、家の中で徹底的に毛づくろいしているので、
どんどんきれいになっていった。
汚れのひとつもついていないコチカは、
本当に驚くくらいに真っ白な毛並みをしているのだ。
感心しながら帰ってくると、尻尾の汚れが気になってきた。
ブラッシングを少し。
* * *
罹災した新潟の友人に電話をかけた。
堀の内町に住む、夫の友達である。
彼女の家はそれほど被害がなく、せいぜい陶器の食器が95%割れた程度、という。
95%!と驚いたけれど、家がちゃんとしているのなら、大したことはないのだろう。確かに。。
猫が年々増え続けて今では驚愕の22匹!
家から出したことがない猫たちだが、3階の窓から3匹が逃げ出した。
無事帰ってきたものの、伝染病に罹っていて、
他の猫たちにも次から次へと感染していった。
これではいけない、と隣町の小千谷町の行き着けの獣医さんに連れていこうとしたが、
道路が陥没しているために、なんと一旦日本海に出てからでないと行けず、片道4時間かかってしまう。
往復8時間の車中で具合の悪い猫たちが死んでしまったら大変なので、
友人だけが行って、22本の注射器を頼み込んでもらって(買って?)きて、猫たちに施したのだそうだ。
1本1本の注射に22匹分の名前を書き、混同させないようにした。
それでなんとか無事全員が生還したそうだが、まあ大変だった、ということだった。
はーやれやれ。
そこの家では、
毎年何匹かずつ頭数が増えているので(全員避妊・去勢してあるのに)、
今年は一体何匹?地震は大丈夫?とずっと気になっていたのが、
ようやく安否がわかってよかったよかった。
* * * *
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11月22日(月)
夕食。
小さいが鯛の塩焼きを食べている。
鯛の骨は強くてするどい。
気を緩めたらたちまち口の中に刺さったり、
うっかり飲んでしまったら大変である。
気を引き締めながら、味わいながらではしゃべる余裕などない。
夫と二人、しーしーちゅっちゅ、と音を立てながら、
細い骨をしゃぶり、魚肉のすべてを平らげるのに、集中している。
そこへ、家中の点検を済ませたコチカが、
うにゃー、とやってきた。
よしよしして〜、である。
くつろげる家の中でのこと、
コチカだってリラックスしたいときに、待たされる理由はない。
人間の子供だったら、状況判断ができるのだから、ちょっと待ちなさい、
と言ってるだろうけれど、コチカとは元々生活パターンが違うのを承知で暮らしている。
たいてい、食事中でもコチカが甘えにきたら、お箸を置いて、希望に応えてやるのだけど、
ちょ、ちょっと待って。
今鯛食べてて、だいじなとこなんだから。。
と集中力を切らなさないように、コチカに目もくれずに食べ続け、
ようやくひと段落ついたところで、コチカを見ると、
さっきからずっとそのままだったのだろう、真っ黒な目で私を見つめていた。
あー見られていたのね。。
* * * *
▲
11月23日(火)
勤労感謝の日の今日、東京は日中18度という小春日和。
陶器を求めに益子までドライヴ。
コチカは家にほったらかし。
夜、散歩に出る。
コチカは自分の興味をある場所をある程度くんくんすると、
はっとしたように、人間を見上げることがある。
夜は、目が真っ黒でこの上なく愛らしい。
逆に昼間、人間が何を考えているのか伺うのに、
光が充分ある中でじっと見つめる目は、
たてに細長く、ちょっと恐い感じ。
それでも、うちのかわいい猫、コチカであることに代わりがないことが不思議。
気をあててもらう
* * * *
▲
11月24日(水)
夜中。
誰がやりあっているのだろう。
猫たちの凄み合う声。
私は咳が出ることもあって、下に下りて来た。
コチカはもうどこの窓から見ても、見えないし、と諦めているのか、
居間で丸くなっているが、
外の声が高くなると、いらいらしたように体を舐めたりしていた。
外の争いは、2時間近く続いた。
よーやる。。
挑み合う様子がないところが不思議。
去勢したもの同士なのだろうか。
朝、夫が夕べはお陰で眠れなかった、とぼやいている。
私が寝室に戻ったのも、だまっていたが、知っていたのだと言う。
きっと近所中が迷惑していたのに違いない。
* * *
よい天気の朝、散歩に出た。
十字路を東へ続く路地を歩く。
玄関前に駐車場があり、
コンクリートで固めた地面がコチカのお気に入り。
ゴロンゴロンと何度もやる。
十字路のいつもの駐車場と違い、陽が差す時間が遅いので、
まだ地面が充分乾いていないのだろうか。
たちまちコチカの体が汚れていく。
あーあぁ。。
と見ている私を尻目に、陽が当たり始めた場所を選んで、
どっこいしょ、あーやれやれ、と腰を下ろしてしまった。
こらこら、と体を払い、抱っこしようとすると、
両手で私の手をつかみ、噛み付き、足でびょんびょんと腕を蹴る。
やめてくれーここにいるー!!!、という抗議のつもりだろう。
もうちょうど、時間切れでもある。
よっこいしょ、と抱き上げて、強制終了そして強制送還。
家に戻ってカツオブシをやった。
* * * *
▲
毛糸をどかして陣取るコチカ。こらっ
11月25日(木)
夜中。
コチカ、寝に来ないな、と思いつつ居間に入ってみると、
なんと目下毛糸置き場となっている場所に、丸くなって寝ている。
運びやすいように、座布団の上に毛糸をいろいろ乗せているのだけど、
自分が寝る分だけ毛糸をどかしてあるのだ。
ったくも〜
* * *
きれいな朝。
ジャケットを着ないで散歩。
空気が湿っぽく、もう春〜という感じ。
やっぱり今年はなんか変。
チェリーんちのトラちゃんが木に登っていた。
コチカが気付き、空気が緊張したことで、
トラちゃんはするすると木から降りてきて、家に入ってしまった。
長い尻尾が、体の動きと正確に合っていて、敏捷そうに見えた。
コチカも木登りをさせたことがあるが、
降りるときには、すっごく苦労していたものだが、
バランスを取るはずの尻尾がうまく稼動しないからかもしれない。
* * *
夕方の散歩。
十字路駐車場のアパートの階段下に、アスカがいた。
姿は見えないが、コチカの反応からして、あれはアスカである。
コチカはそばに寄れても、
人間である私はアパートの敷地に入れないので、抱っこして強制撤去。
しばらく、2mほど離れたところに座り、アスカを名残惜しむ。
アスカに気持ちが一直線に集中しているのが、
ぴーんと張ったリードに表れている。
男の人が通りかかっていく。
薄暗がりに、白い猫が正座している。
ぴーんと張ったリードを飼い主らしい女性が手に持って、何もせずじっと待っている、
この図を人はどう見るか???
朝の散歩のとき、アスカはアパートのベランダにいたらしいが、
コチカの気付かれないように、こっそり逃げていった。
なんだか後ろ足が充分に立っていない。
ずっと座っていたからか、それとも足腰が弱っているのだろうか。
* * * *
▲
11月26日(金)
夜中。
ふとんの中に入ると暑いし、出ると寒いし、ということだろうか。
出たり入ったりしている。
布団の中に入る際には、私に声をかける。
布団を上げてほしいからだ。
ところが今日は、コチカは私の顔に手をかけた。
爪は出していないが、爪が長いので、
チカチカと頬が痛く、それで目を覚ます。
3回ばかり起こされた。
* * *
朝。ちょっと寒め。
メイルをチェックしている間、コチカは私の横で朝寝の続きを貪っている。
私が立ち上がっても起きないので、
外行こー、と誘ってみると、「あ」と声を出さずに口だけ開いた。
ピンクの口内がかわいらしい。
本気?と伺うような目で人をじっと見ている。
曇りだから、気乗りしないのかな、と思いつつも、
夕方から雨が降る、という天気予報だったので、
外〜外〜、と言いながらうろうろしてみたら、
のっそり立って、玄関に向かって歩き出した。
外へ出てみても、なにかのっそりした歩き方。
抱っこして十字路の駐車場に連れて行くと、
ようやくその気になって、ゴロンゴロン。
* * * *
▲
11月27日(土)
山古志村の動物たち。
頭の上にタンスが落ちてきた父親(人間)を気遣い、
自分の子供も気遣いながら、逞しく生きるマリ。
なんと地震のさなかに出産した犬や猫がいるらしいのだ。
子供たちはさぞかし生命力の強い大人になるだろう。
ストレスで震えが止まらず、毛が抜ける犬などは痛々しい。
せめて人間がそばにいて、撫ぜてやれたら、と思うのだが。。
* * * *
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11月28日(日)
夕方の散歩。
道路のある箇所を狂ったように匂いを嗅ぎ、頬をこすりつける。
どしたの?
寒くなってきたら、たちまち体毛に脂肪が乗るようになったのだろうか。
地面に体をこすり付けるたびに、白い毛並みが汚れていく。
夏にはこれほどではなかったから、
やはり冬特有の現象なのだろうか。
* * *
夜。
突然、居間の押入れの柱によじ登り、
押入れの引き戸と引き戸の間に鼻を押し付けて匂いを嗅いでいる。
襖を引っかくのでやめさせると、一旦じっとしてみるものの、
また猛ったように、脚立を上ったり降りたり。
グリコのオマケの小さなカバを夫が差し出すと、
サッカーのように蹴りながら走り、台所に出て行った。
珍しー
* * *
コチカの毛並みは、短毛の日本猫のようだが、その割には少々長い。
顔つきも、ちょっとばかりチンチラに似ている。
基本的には鼻が尖った日本猫だけれど、
丸い目がときどき四角くゆがんで見えたりする。
コチカ独特の表情で、またそれもかわいいのだけれど。。
* * * *
▲
11月29日(月)
良いお天気なのに、午前中は手が離せない用があって、
散歩は12時を過ぎてから。
もうこの季節では、太陽が低い位置にあるので、12時を過ぎると、
南側にも影が多くなる。
いつもの十字路の駐車場も日陰に。。
ずいぶん汚れたねえ、とチャコちゃんちの旦那さん。
ちょっと前には、きれいだねー真っ白だねー、と言われたのに。。
ずいぶん太った、とも。
こないだもそういわれたので、体重を測ってみたら、4.2kg。
夏の暑い最中に痩せたときには、3.8kg。
平均4.0kg。
夏に比べて少々太っただけ。
あとは冬毛になったので、もこもこに見えるのだろう。
冬毛というのは、脂っぽい。
だからすぐに汚れてしまう。
この1週間ほどでずいぶん汚れた。
これから先、どうなるだろう。
洗ってしまいたいが、人間の勝手だものね。
コチカを触ると、わずかにべとつき、その分なにか暖かい気がする。
たぶん、保温性を高めるために皮脂で毛を覆うのだろう。
せっかく暖かくしたのに、洗われてしまったのでは、意味がない。
* * * *
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11月30日(火)
とってもきれいなお天気なのに、
朝からヤボ用が盛りだくさんで、PCから離れることができない。
私のすぐそばに寝そべっているコチカが、
ときどき顔を上げるのが視界に入る。
私の黒目が動こうものなら、コチカはすかさず、あ、と声をあげる。
ごめんねー。
これが済んだらお散歩行くからね……
と言いつつ、時間が過ぎ、とうとう私は出かけなければ。。
……てなことがあった今日は、コチカの復讐に悩まされた。
あっちこっち(と言っても2箇所ではあるけど)にウンチが転がっているのだ。
悪いのは私なのである。
コチカは便意を催すと、反射的に声が出るらしいのだが、
人間がそばにいても、言わないときは言わない。
ということは、言ってなんかやるものか、とひそかに思うのだろうか???
* * * *
▲