2004年12月
12月1日(水)
あれよあれよと言うに間に12月。
気分はまだ8月の末くらいなのに。。
* * * *
▲
12月3日(金)
コチカは今日、よくしゃべった。
と言っても、猫のことだから、べらべらしゃべるわけもないのだが、
私にしゃべりかけたのだ。
朝から仕事に追われ、散歩に連れていったのは、
午後をまわってからだった。
もう朝の散歩はなし、と思っていたかどうか、
階段下の窓辺に所在な気に座っていたコチカに、
外行く?と声をかけてみると、
うさぎの耳がぴん!と持ち上がったような顔をし、
にゃあ!と大きな声で返事をした。
そして、散歩。
そして帰ってきてから、私が居間のテーブルに座ると、
コチカもやってきて、私の顔を見上げ、
あ、と言った。
どうしたの、と言いながら、手を伸ばして、コチカの頬を触ると、
あ、んあああ、とかいう。
だまって見ていると、また、同じように言う。
高く細い声で、言葉のようにイントネーションをつけて言う。
動物が何かを強く訴えたくて、しつこく鳴き声を上げるのは、わかるが、
こういう場合は、何を言っているのか、さっぱりわからない。
まさか、忙しいところ散歩に連れてってくれて、ありがとう、とか言わないだろうし。
でも、朝からのことを振り返ると、
そう言ったのかな、と思わせるような、いきさつと声の雰囲気なのである。
でも、まさかね。。
* * * *
▲
12月6日(月)
そこそこ寒いので、朝、コチカは外へ積極的に行こうとは言わない。
でも行きたい気持ちはとってもあるのだ。
だから私は用が終わり次第、コチカを誘う。
* * *
夕食のとき、コチカは私の横に来て、
よしよしして〜、とテーブル下のへりぎりぎりに来て、頭を傾ける。
しばらくよしよししてやると、コチカは、ことりと腰を落とし、くつろぐ。
そのときに、私の足に手先を引っ掛けて、頭を持たせかける。
私はご飯を食べながら、
その手にずいぶん力がこもっていると思い、コチカを見ると、
頭を持たせかけて目を閉じている、と思っていたのに、
コチカは、かっ、と目を開き、あらぬ方を向いて、何か考えている。
どうしたの?と声をかけると、
コチカはやおら起き上がって、ご飯を食べに行った。
人間だって、迷うことがある。
コタツのふとんなどが塩梅よく、動きたくはないが、
台所のあそこにある何か、バナナかお饅頭か、が食べたい。
取りに行きたいが、でも面倒だ、でも食べたい……
などと考えてたんじゃない?と夫と言い合って、爆笑した。
コチカはいっつも笑われている。
* * * *
▲
12月8日(水)
遅い午前の散歩。
塀の上にペッタンがいて、心穏やかではないコチカ。
互いにじっと見合っている。
ペッタンのいる塀の上は日当たりが良く、
向こう向きに座ったペッタンの背中がぽかぽかと暖かそうだけれど、
コチカと私がいる場所はちょうど陰である。
寒いよコチカ〜
そのうちに、別の鈴の音が聞こえた。
たぶんトラちゃんだろう。
コチカがそちらに耳を傾けている間に、ペッタンは、こちら側に顔を向けた。
陽の光がペッタンの顔を包む。
まぶしそうに目を細めるペッタン。
猫は、
ああやって太陽の光を浴びて、毛についたビタミンを舐め取る、
というのだけど、コチカはずっと家の中にいるので、
そのようにはビタミンを摂取できない、と思うのだけど、いいのだろうか。
* * *
自転車を引いて歩いていくおばさんが、
きれいねえ、お顔立ちも上品で、と言われたので、
思わず、ありがとうございました、と言ってしまったが、
上品…ねえ。。
そう思うには、あまりにもコチカの性質を知りすぎてて^^;
* * * *
▲
12月9日(木)
明け方、ちぁ〜ちぁ〜、というコチカの声で起こされた。
いつものことだが、私の枕元にいながら、なぜか視線は、
私を飛び越して、夫を見ている。
夫が目を覚まさないよう、早く布団の中に入れようと思い、
布団を上げ、コチカの体に手を添えたが、入ろうとせず、
ちぁ〜ちぁ〜と甲高い声を繰り返し出している。
夫が、コチカ、どした?と声をかけると、
鳴くのをやめて、布団の中に入ってきた。
いったい、何が言いたかったのだろう。
* * * *
▲
12月11日(土) 夫と朝のお散歩。 居間にいる私だったが、 窓の外から、うぁ〜〜〜〜、と聞こえてきたので、 コチカが誰と?と思ってカメラを持って外に出ると、 ミルキーだった。 ミルキーがうちの車庫に入ってきていて、コチカがそばへ寄って行ったのである。 夫がリードを持っているのだから、夫は、面白半分だったのだろう。 長々と、うぁ〜、うぉ〜、とやっているものだから、 チェリーんちの奥さんが、誰がやってんの?と心配顔でやってきた。 うちのコチカとミルキーです、と言ったら、 もーミルキーはいっつも喧嘩するんだからー、とお怒りのご様子。 奥さんのお宅にも猫がいて、ノラ猫の世話をしている奥さんは、 猫の本能を、しかたがない、と思うよりは、 平和に暮らせることを願っているので、 喧嘩はだめよ(眉根にしわ)、と大嫌いなのだ。 大丈夫です、夫がコチカのリード持ってますから、 と言ったら、本当にもー、と言いつつ戻っていった。 写真を撮って、私が中に入っても、 まだ、うぉ〜、とやっている、というか、やらせている。 さっき反対隣の旦那さんも、こちらを見ていた。 みっともないから、やめさせようよ、と窓から言ってやったら、 そのときには、居間のエアコンの室外機の上にいるミルキーに向かって、 ネットフェンスの外側から伸び上がって、威嚇している。 目が真っ黒で、奥まったように見え、相当に怒っている。 コチカ、もうおしまいだぞー、と夫がコチカを抱っこしてはがしたが、 私はコチカが夫の手に爪を立てやしないかと、はらはらした。 大丈夫だったけど。。 |
白猫同士の戦い |
* * * *
▲
12月13日(月)
なんかもこもこして、重たくなってきた。
おしっこさせると、支える手首が痛い。
これまで止まりだと思うけれど。
* * *
お風呂に入ろうと、服を脱いで気がついたのだけど、
私の左の二の腕の内側に、細く短い傷跡がいっぱいあった。
なんだこれ?と驚いたが、
コチカが毎晩寝る際、私の脇の下をモミモミするときについた、爪の跡だった。
こんなことに今頃気がつくなんて。
車のボンネットにいつの間にかつけられた、ノラ猫の爪あとみたいなものである。
物と一緒なのかい、私って???
* * * *
▲
12月14日(火)
朝は、私が終わらない作業をしていたせいか、
散歩に出なかった。
コチカもうるさいだろうに、起きもせず私のそばに寝そべっていて、
外に行きたい、とも言わなかった。
でもその分、夜は私が誘った。
背中に何かを背負ったおばあさんが歩いてきた。
近くに来ると、あら、猫?と話しかけられた。
うちにも17歳になる猫がいるんだけどね、これは猫のご飯。
と背中を見せた。
なんとまあ、背中いっぱいに猫のご飯なのだ。
犬は2匹飼ったけど、10年のうちに2匹とも死んじゃったけど、
猫は17年も生きてねえ。
黄色いトラ猫だから、茶トラ、って名前つけたんだけど、
年取ると、猫も白髪になるだねえ、全体的に色がぼんやりしてきて、
トラじゃなくなっちゃった。
顔はちょっとまだトラだけど。
と問わず語りに話してくれた。
まー可愛い猫だわね、ひもつけてる、ってことは、血統書付き?
コチカはバンの下で、知らない人を恐れて非難している。
とーんでもない!
拾ったんですけど、こうこうこういうわけで、排泄に問題があるので、こうして……
といつものように説明すると、
まあまあ、あなたも好きなのねえ、私も好きだからわかるわよー、
と言いつつ、猫のご飯を背負った背中を見せて歩き出した。
うちのなんか17年だもの、トラ(縞)がなくなっちゃって、
と言いつつ、またねー、の雰囲気。
猫ちゃんによろしくお伝えください、と言ったら、アハハ!と笑った。
* * * *
▲
12月15日(水)
雨が降りそうなので、早めに散歩に出た。
どんよりした空が思わせるほど、寒くはない。
そういえば昨日、コチカはまた枯葉を掻いて、座ったのだった。
かなり長い時間だった。
駐車場の敷地内なので、車のドアをバン、と閉める音が聞こえるのに、
耳さえ動かさず、じっと座っていた。
途中で尻尾がわさっ、と動いたのだった……
と枯葉を注意深く見てみたが、やはり何もしていないようだった。
立ち上がった後、掻きもしなかったし。。
でもその隣に、とぐろを巻いた黄色いウンチがあった。
コチカは興味深そうに、くんくん臭いを嗅いでいたが、誰のだこれ。犬か猫か???
* * * *
▲
12月16日(木)
よいお天気。
陽が通りに当たっている間、コチカを門に繋いでおく。
うぉ〜〜、という声に飛んでいくと、
タロウがさっと逃げていった。
* * *
夕方の散歩。
風が強くなってきていた。
枯葉がエッジをこすって道路を転がっていく。
その音に触発されてか、コチカは少々興奮気味。
いきなりダッシュしたり。
そのたびに私もダッシュ。
しかしコチカは急停止するので、それにはついていけない。
1m半ほど過ぎてから止まる。
勢い、コチカは首輪を引っ張られるのだけど、ぐっと耐える。
私もなるべくそうならないよう、注意深く走るのだけど、
コチカのスピードについていこうと思うと、急は止まれないのだ。
修行修行。。
* * * *
▲
12月18日(土)
午前6時半ごろ、あぁ、と耳元で言われ、ウンチだということで、
起き出してきたら、もう私は眠くなかったので、
居間でPCを開いて見ていた。
コチカも階段下の棚の上で外を見ている。
もう寝ないつもりだったが、
夫も起きてこないし、まだ7時半。
もう一眠りしようと、寝室に行ったら、
なんとコチカは、私の枕の横、いつもの定位置で丸くなっていた。
私が居間にいるときには、ホットカーペットをつけているので、
コチカもなんとなく下にいるもの、と漠然と思っていたので、
寝室で寝ているのが、結構意外。
夫がまだ寝ているからだろうか。
あるいは家全体が眠い雰囲気につつまれているからだろうか。
* * * *
▲
12月19日(日)
明け方、ふと鼻先がふわりとした。
日当の匂いがする、と思い、手を顔にやったら、
なにやらふわふわと長いものが。
それを手にしたまま持ち上げつつ、
そちらの方に目をやると、視線の先に、コチカのお尻の穴があった。
ふわふわと長いものはコチカ尻尾だった。
マフラー代わりに巻いているタオルをはずすと、
ウンチにカケラがポロリと落ち、
あーあ、と思いながらも、枕用のタオルを直そうとすると、
今度はカケラの親(?)らしい大きなウンチが転がっていた。
こんなものが私の頭のそばに……
ミソクソ一緒!ってやつである。
私はさぞかしいろんな免疫がついて、健康体になっていくことだろう。
* * * *
▲
12月20日(月)
コチカのウンチが細切れというか、
小さいのがぼろぼろ出てくる。
体調がどうだとこうなるか。
* * * *
▲
12月22日(水)
きれいな朝。
散歩にでかける。
なんとなく立ち止まってぼー、としていることが多いコチカ。
街は静かだし、風がなければそんなに寒くないし。
私もぼー、とする。
ふいに靴をずらしたりすると、
コチカははっとして、私を見上げる。
明るい光の中でコチカの目は細くなっているのだろう、
眼鏡をかけ忘れてきた私には、
細い黒目が見えず、単なるギンナン色の目の形のみ。
白目を光らせた、妖怪さながらの迫力である。
これが案外夢の中にいるみたいで、
現実からワープするのに役立つのです。
* * *
晩の散歩。
十字路の駐車場の奥には、さざんかの木が2本もあるので、
落ち葉がたくさん積もっている。
犬や猫の糞もたくさん積もっているのだろうけれど。
コチカは今日そこで、厚く積もった落ち葉をたっぷりとした動作で掻き、
2回目には満足できる掻き具合だったのだろう、
腰を落着けた様子で、座った。
数を数えると、30秒ほど。
くんくん、と軽く臭いを嗅ぎ、結構しっかり掻いている。
出るものが出たのかな。
懐中電灯を持ってきて、見てみたいけれど、
一旦家に戻ってまた来るのも寒いし。。
というわけで、明日の朝はカメラを持って来ようっと(爆)。
* * * *
▲
12月24日(金)
昨日、枯葉を掻いてしばらく座ってから、
再び念入りに掻いた場所を見に行った。
ウンチはない。
でも、座った後に、あれだけ気を入れて掻いたのである。
む。
おしっこ?
やっぱり寒さいめげずに懐中電灯を持ってきて、確認すべきだった。。
* * *
ご飯のときに、いつもの普通のカツオブシをトッピングしてやり、
散歩に行って、お利口して帰ってきたら、ご褒美に厚削りのカツオブシをやる。
それなのに、いつだったか間違えて、
散歩から帰宅したのに普通のカツオブシをやってしまった。
思えば、コチカはなんか違うなんか違う、というそぶりをしていたのだが、
私は何かに気をとられて、さっぱり気がつかなかった。
……ということがあってから、
コチカはカツオブシの違いを意識するようになったと思う。
ご飯のときにも、これじゃなくってもっと上等のちょうだい、と一旦は人間を振り返るのだ。
贅沢は敵なのよ、と冷ややかな気持ちで無視するのだけど、
食べ物のウラミってほんと、恐い。
あ、トラちゃんだ!
* * * *
▲
12月25日(土)
朝の散歩。
十字路の駐車場。
枯葉を掻き、座った。
30秒くらいたってからちょっと掻いて、その場を離れた。
チェック。
なんの形跡もなし。。
* * *
おしっこをさせるのに、あまりに重くて手がくたびれるので、
再度体重を計ってみたら、4.4kg。
今までで一番重い。
もうこれ以上増やさないようにしないと、手首を痛めそう。。
* * * *
▲
12月26日(日)
週末は、基本的に夫が朝晩の散歩に連れて行く。
朝、ふとんの脇に来て、にゃ〜!、と人間を起こすのは、
とっと起きて、散歩に連れてって!と言っているのだ、と思う。
なぜなら、コチカは私の側から叫ぶのに、
コチカの視線は私を飛び越え、夫に向かっているからである。
しかし、
朝のお茶(うちでは生姜と蜂蜜入りの紅茶を2杯飲む)を飲んで、
さあコチカ、外へ行こう、と夫が声をかけ、先に玄関に行っても、
コチカは何故か私の顔を意味ありげに見上げるだけ。
私が、ほら、外行こうって、言ってるよ。
と3回くらい言ってやって、ようやくのっそりと腰を上げる。
いったい何を考えているのだろう。
* * * *
▲
12月27日(月)
朝の散歩。
十字路の駐車場のアパートの角っこのいつものベランダに、アスカがいた。
ベランダの柵にいるところで出会ったので、コチカは柵の間に顔を突っ込んで、
うおぉ〜、と始めた。
なんで雌猫にうおぉ〜なのかよくわからないが、
アスカは、コチカがこれ以上入ってこれないのを知っているのだろう、
両手をきちっとそろえて、猫の正座をし、おまんじゅうみたいな顔で、
コチカをじぃっと見ている。
* * *
初めて顔を会わしたご婦人から、
珍しい障害を持っている猫の話を聞いた。
その方も猫が自然の寄ってくる体質の人らしく、
飼うつもりもないのに、いついてしまった猫が出産した子供の中に、
唾液で毛が抜ける、という障害を持った猫がいたのだ、という。
毛づくろいをするのに体を舐めると、毛が抜けてしまい、
毛がくっついて、ひどくみすぼらしい姿のなのだそうだ。
ときどきシャワーを浴びせてやるが、
抱っこしようにも、べたべたしているので、
タオルを巻いて抱っこするのだそうで、
他の猫がごく当たり前に抱かれている姿を、
うらやましそうに見ている、とのこと。
障害を持っている、と知った時点で、かなり悩んだが、
頭のいい猫だし、やはり捨てることはできなかった、と言っていた。
なんとも重い障害で、優しい飼い主さんで、その猫は幸せなのだ、と思うが、
猫自身も日々の生活の中でストレスを持っているのだ、と思うと、
なんだか複雑な気持ちになってしまった。
* * *
夕方の散歩。
寒い。。
いつもの枯葉の溜まったところで、掻いて座ってまた掻いた。
コチカのいたところに手をかざしてみたら、
少々暖かいように思えたので、
ひょっとしておしっこしているのかも、と思い、
懐中電灯を持ってきて見てみたが、ぜんぜん、だった。。
* * *
スマトラ沖地震。またすごいのが起きた。
2日前から台所の電池切れで普段は止まっている時計がカチカチ音を立てていたのだ。
あんな遠くの地震でも感知するのだろうか。。
……と思ってアサヒ・コムを見たら、
5000km離れた日本でも、実際の揺れは観測されなかったが、地震波は観測されたようだ。
それでうちの時計も?
余震域は距離にして約1000キロにわたる大きさで、
日本で言えば、関東から九州にかけての広域が震源となった格好!なのだそうだ。
* * * *
▲
12月28日(火)
夜中に東京の家を出る。
夕方からずっとわさわさしていた人間の様子に、
あーまた連れて行かれるー、と覚悟をしていたのかどうか、
コチカは、おとなしく車に乗せられた。
東名高速道路のサービスエリア:足柄で休憩をしようと停車させると、
コチカはさかりのついた猫のように、異様な大声を上げ始めた。
どうしたのか、と思いつつも、ときどき停車するときには鳴き声を上げるので、
気にも留めずにシートベルトをはずしていると、
いきなりしゃくりあげ、嘔吐すること3回。
どうしたのだろう。
車に乗っていて酔ったのは初めてのこと。
ちょっと心配になってしまった。
コチカが具合悪そうだと、人間まで緊張してしまい、不安定な気分になる。
そこから先は私の運転なのだが、嫌ーな気分で出発した。
しかし、
夫が、テノールの"a time to say good by"のCDをかけると、
ずっと今までリアシートにいたのに、
のっそり前に来て、中央の分離エリアに前脚を置き、
私に鼻先を向け、くんくんし出した。
今年のお盆には、ソプラノ歌手が歌う黒人霊歌をかけたら、
ご機嫌になったので、高くてきれいな声が好きなのだ、
と思っていたら、テノールでも好きらしかった。
コチカは私に甘えたかったらしいのだが、
運転中なので夫が自分の膝に座らせた。
窓の下に片腕を伸ばし(コチカの爪が当たってもいいように、フェルトでカバーがしてある)、
気持ちよさそうに、目を閉じた。
ようやく私はほっとし、落着いた気分で運転できた。
*
フェリーに乗る前に、酔い止めを投薬。
口をこじ開けて10滴ほど垂らすのに、
勢い余って、ブシュ!っ思い切り入ってしまった。
多すぎると苦いのだろうか、コチカはしばらくくちゃくちゃやりながら、泡を吹いていた。
ごめんね。。
でもそのお陰で、乗る直前の投与だったが、吐かなかった。
* * *
実家に着いたら、コチカを車に入れたまま、
すぐさま階段の柱に、爪とぎ用の切り売り絨毯を巻きつける。
これで一安心。
コチカを連れてきて、いきなり登らせる。
これは久しぶりの家に来たときに、早く慣れさせるための、荒療治でもある。
* * * *
▲
12月29日(水)
家にお留守番のコチカ。
出かけるとき、ホットカーペットの中にいるのだろう、と思い、
電気をつけたままで行ったのに、
帰ってきてみたら、人間のベッドの毛布の上にちゃっかり寝ていた。
夕食後、私が一人で2階に来て、
絨毯の上で、肘をついてPCを打っていたら、
右腕にペタリとくっついて、座り、
そのうちに前脚もついてすっかりくつろぎモード。
キーボードが打ちにくいのだが、なんとなく幸せな私。
手の甲にすーすーとコチカの鼻息が当たって涼しいのも、また乙なもの。
でもそのうちに、コチカはバチバチという音が耳障りになってきたらしい。
迷惑そうな顔で私を見上げる。
そういうことなら、と体を上げ、立てひざをついた状態でPCを打ち始めたら、
コチカは、うがーっと欠伸と伸びをし、下に下りていった。
ご飯でも食べに行ったのだろうか。
私も淋しくなったし、そろそろおしまいなので、PCをたたんで下へ。
* * * *
▲
いつの間にか人間のそばに
12月30日(木)
何回か来ている私の実家なので、
コチカもだいたいの要領はつかんでいるようだ。
最初のうちこそ、少々びくついたりしていたが、
3日目の今日までに、ここでの過ごし方、というものを体得しているように見える。
居間のホットカーペットの敷かれたコタツやぐらの下がお気に入りの場所のひとつなのだが、
いつの間にか入っていて、足を突っ込んでくつろいでいる母の脇を、さっと通り抜けたりして、
母を驚かせたりしている。
朝、夕、と屋上で散歩。
夏と違い、かなり冷たいけれど、コチカはものともせず。
何度も何度も四方のフェンスをうろうろして、風の運んでくる匂いに、興味がつきないらしい。
* * * *
▲
端で寝る猫
12月31日(金)
大晦日の今日、関東では雪が降っているようだ。
ここ関西の端っこは、雪ではないけれど霙が降っていて寒い。
コチカは朝からだんまりを決め込んだ様子で、
ベッドの上から降りてこなかった。
人間が起きて、かけ布団を上げられてからは、
折り曲げられたかけ布団の毛布の上で丸くなっていた。
午後1時ごろ、にゃーにゃー言いながら階下に下りて来たので、
何事かと思ったら、ご飯の位置に座って、人の顔を見上げる。
ご飯はまだまだ5時間も後のことだよ、と冷たい視線を浴び、
ち、とばかりこたつの中へ。
そのまま5時過ぎまで出てこない。
6時を過ぎたので、ご飯する?と言ってもなんだか出てこなくて、
とうとう珍しいことに人間が先にご飯を用意してやって、
声をかけてやった。
あ、そうそう。
3時ごろ、母がおせちの田作り用の煮干を、
何匹か床に落としたりしていたときのこと。
こたつに入って横になっていた夫の横から、のそっ、と亀のように顔先だけ出して、
あたりの様子を伺い、母の方へ寄っていった。
珍しく自分の方へ来るコチカをナンだろう、と思った母は、
煮干が落ちていることにびっくりして、あれ!と声を上げた。
これには私もびっくり。
コタツの中でふとんに周囲を覆われているのに、
煮干の匂いなんか、わかるのか。
おそるべし。獣の臭覚よ。
その田作りだが、
冷蔵庫が満員御礼しているので、
誰も行かず火の気のない冷たい部屋に置いておこうと、
田作りの入った器を手にして廊下を歩いていると、コチカが後を追っかけてきた。
甘醤油で味付けしてあるというのに、
田作りなんて見せたこともないのに、
わかるのあなたは???
あまりに感心したので、田作りを1匹、
塩気を舐め取ってからやってみたら、むしゃぶりついていた。