2006年2・3・4

~~~ミルク色のコチカ~~~

奮闘記 -58-

2006年3月



愛しのアスカと

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3/1嘔吐・コチカとけんか・最近ご飯を食べなくなってきている 3/3柔らかウ○○:薬のせい?  3/11食欲が戻った 3/22徹底的なネズミ撃退法
3/24ちびっこ集団に会った 3/26抜糸/また逃げたモモちゃんを追いかけた/コチカの生きている度指数を考える 3/31蓄積型ワルファリン入り殺鼠剤


3月1日(水)

夕方。
コチカは玄関の三和土に胃液を嘔吐した。

どしたの?
私が怒ったからだろうか。
朝、私は頭にきて、コチカに声を荒げたのだった。

<コチカとけんか>

雨降りで外へも行けず。
私が藤の椅子に座ると、コチカはちらっと椅子の方向を見た。
私の至近距離にいるのに、私をでもなく、私が座っている椅子の方向を見たのだ。
でも私がどっかり座っているので、ホットカーペットの上で丸くなった。
しばらくするとお湯が沸いたので、台所に立っていき、
お茶を手に持って戻ってくると、コチカはちゃっかり椅子の上にいる。
そして、何?という目をした。
ったくもう!

仕方がないので、空いているスペースにちょこっとお尻を乗せる。
その後、じわじわと後ろに攻めていこうと企んでいるのだけど、
振り返ってコチカを見ると、裸の尻尾が目に入る。
うーん。
悪夢のような光景である。
またいつの間にか踏んづけてしまって、悪夢が再び現実となるのは避けたい。

で、どうするか。
コチカをコチカ座布団ごと上に持ち上げ、お尻を椅子の半分くらいまで押し込む。
コチカを見ると、何にも言わずに丸く寝たままの格好でいる。
猫なので、ある程度体が曲がっても平気なはず。
悪いんだけど、そのまま我慢してね。

でもこっちはとっても座り心地が悪く、仕事に集中できないので、
何度か座りなおしていたら、とうとうコチカがウニャン!と怒りの声が上がった。
いつもの発作の声である。
むっと来た。
何がウニャンだ。
言うべきことは言わねば。
私だって窮屈なのよ、ここは私の場所なの、コチカは下で寝たらいいでしょ、とホットカーペットをぱんぱん叩い言った。
コチカはだまった。
おなかの上下が速くなった。
私は乱暴にコチカ座布団を上げ、さらにしっかりと座った。
コチカがごそごそと動いた。
降りるのかと思ったら、居住まいを正して、寝直しただけだった。

……てなことがあったのだ。
私は滅多にコチカに対して大声ではっきりした物言いをしないので、
驚いたのかもしれない。
だとしたら、ごめんね、と何度か謝ってみたが、
時間が経っていると、猫って何言ってるかわからないのよね。

あるいはそんなこととは全然違い、薬のせいかもしれない。
そういえば薬を飲ませられるのも、かなり嫌がるし、
このところコチカはご飯をあまり食べなくなっている。
今日も軟骨をやったのに、じっと見つめているだけで、
小さく切って手に取ってやっても、ちょっと噛んですぐにやめた。
どうしたのだろう。。



 *  *  *  * 


3月2日(木)

タム動物病院に電話をかけた。
ご飯をいつも通り食べないこと、薬を飲みたがらなくなったこと、昨日けんかをしたこと、発情しているらしいこと、を言った。
抗生物質のせいで胃が荒れているのかも知れないので、
朝の薬はやめて、様子を見るよう、言われた。

* * *

ア〜スカ〜朝の散歩。
散歩に限ってはとっても元気なので、長々とつきあう。
チャコちゃんちの角を曲がった通りにアスカがいた。
いきなり猛ダッシュするコチカ。
アスカは桃の木のあるお宅に逃げ込んだようだ。
コチカはgrrrrrrrrrrrrrうぉ〜、grrrrrrrrrrrrうぉ〜(美空ひばりのリンゴ追分調)、
と焦ったような切ない声をあげる。
庭の塀に飛びついて、アスカの行った後を見つめる。

その後もグレイがいて追っかけ、ミルボーがいて追っかけ。
そのたびに走らされた。
今日は寒いので走り甲斐があるというもの?
ミルボーの行った先を塀の下から覗いているので、
抱っこして視線を高くしてあげていると、

駐車場のアパートのみいちゃんの飼い主さんに会った。
ニナリッチ・フィオーラかなんかのいい匂いがする。
匂いアレルギーのためにくしゃみを連発する私。
前には警戒していたコチカは、今日は撫ぜさせた。
鼻梁(?)をおとなしく撫ぜられているのには笑った。
気持ちよかった?
これから美容院に行くという彼女にじゃね〜をすると、
くしゃみのせいで鼻水が垂れそうになっているので、コチカを抱っこしたまま急いで家へ。
コチカは、もっと外にいたいともニャンとも言わなかった。
家に帰っても、コロンの香りがコチカに移っていて、おしっこさせていてもい〜匂い。
私はしばらくくしゃみが止まらなかったけれど。。

* * *

コチカの食欲は午後になって少々戻ったようだ。
お皿に入れっぱなしになっていたご飯や軟骨を食べていた。

夕方、ご飯を新しくする。
こないだいつものヒルズがなくて銀のスプーンというのを買ったが、
その残りがまだあるので、両方を適当な分量やる。

外〜外〜というけれど、5時ごろから雨が降ってきて、
道が濡れているので、抱っこして散歩。
そういえば昨日もだった。




 *  *  *  * 


3月3日(金)お雛様の日U^ェ^U

朝。
居間で寝そべっていたコチカが、カーペットを掻いているので、
さてはウンチ、とティッシュを持って近づいてみたら、
オーマイガーッ!下痢寸前の柔らかウンチ
カーペットの上である。うへー
さっきウンチをさせたときには普通だったのに。
やはり薬のせいだろうか。

昨日は薬を、朝一回抜くところを夜も抜いた。
お陰で朝までにご飯を全部食べていたし、
起きてきてからもお皿の前に座っているので、ちょこっとやった。
いったいいつの分が柔らかウンチと化したのだろう???
思えば、コチカは子供のとき以来、下痢をしたことがなかった。
類似状のものもなかったので、うろたえてしまった(←私が)。

*

タム動物病院に電話し、状態を伝えた。
薬を替えるとか方法はあるけれど、いかんせん私が病院に行かれない。

ご飯を食べなくなってきた頃というのは、
薬を飲ませるときにスポイトの中に入れる水の量を少なく(1-1.5ccほど)して、
飲ませやすくしたのと一致する。
1.5ccというのは、最初に看護士さんから説明を受けたときの量なのだけれど、
薬を飲んだことで喉の渇きが薄れ、お水を飲まないような気がしたので、
2-2.5ccほどに水の量を増やしていた。
その頃はなんともなかった。
しかし飲ませる時間が長くなると嫌がることもあるので、
ならば少なくして時間を短縮しよう、と考えた…
と説明したら、

ではもう一度お水の量を増やしてみてください、ということだった。
薬を替えてもそれが体にうまく合うかどうか、というのはわからないので、
朝はそうして飲ませた。


夕方までに、3度ほど柔らかウンチ。
相当に臭うので、自分も変だと思うのだろう。
おろおろした様子で、あらぬところを掻いている。
かわいそうに。
おなかも痛いのだろうか。

*

果たして、夕方も食欲があるし、柔らかウンチも止まったようだ。
どうか寝ているときには出ませんように。



 *  *  *  * 


3月4日(土)

昨日の夜は、オムツをつけよう、ということになって、
夫と二人で、ペットシーツをいろいろ工夫してみたが、
2枚だめにしたところで、諦めた。
市販されているペット用のオムツはさぞかしうまくできているのだろうな。
寝る直前に、花粉症用のマスクが目に入ったので、これはどうだと試してみた。
もう人間が寝ることがわかっているので、コチカは2階のフェンスの物見台にいる。
むりやり引きずり出して、抱っこしてマスクを後ろ足につけてみると、
ペットシーツでの人間の格闘ぶりにうんざりきていたコチカは、
うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、と低く小さい声でうなり、上目遣いに私の顔を睨んでいる。
これでおしまいだから、ね、ちょっとやらせて、とかなだめつつ、つけてみる…
で、
やっぱりだめなので、あーあ、と思わず力が抜けたその隙をついて、
コチカは私の膝からぴょんと降り、
コチカは両足にマスクを引っ掛けたまま、階段を下りていった。
あ、危ない、とひやりとしたが、
心配ご無用、なんとコチカは前足だけで、当たりまえーに降りていった。

たったったった、という足音も、居間にいるときに聞こえてくるコチカの階段を下りる足音とまったく同じ。。
あまりの意外さと見事なことに意表をつかれて大爆笑。
そういえばコチカは、普段でも後足をあまり階段につけないのを思い出した。
でもまるで逆立ちの状態で降りられるとは、思いもよらなかった。
猫ってこういうもの?

* * *

果たして、朝になったら、
私の隣に敷いたペットシーツの上に、ころりと一個硬いウンチが転がっているだけだった。
やれやれ。
だとしたら、
やはり私が籐椅子のことで怒ったときのその剣幕がショックで胃酸が増し、
その影響をうけた時期のウンチ(?)が柔らかウンチとなって出てきた、と考えてよさそう。
また悪いことしちゃったな、コチカに。。

*

ウンチは今日一日、固まって(?)いた。
いちおうその辺を汚すことはない程度に。
やれやれ。



 *  *  *  * 


3月5日(日)

タム動物病院へ。
傷口が完全に閉じていないので抜糸はまだ先。
尻尾の先は付きが悪いものだけれども、それにしても遅いです、とのこと。

元々尻尾には感受性が悪く、よくなろう、という気力が希薄であること、
爪を切られてしまって爪とぎで思い切りストレッチできないこと、
爪が引っかからないので、天井への坂道の上り下りで苦労すること…
…昨日も物見台から降りようとしたとき、危うく坂道から落っこちそうになって、
かろじて両手でしがみついて、なんとか持ちこたえた…、
アスカになかなか会えないこと、
薬を飲まされること、
たぶん薬のせいで、食欲が減退もし、ときどきおなかが痛いこと…なんだか暗い目をして座り込んでいることがある…、
加えて私の気迫で脅かされたこと、
などのストレスで体全体が不調なのではないか、と思うのだけど。

早く元気になってほしいな。。



 *  *  *  * 


3月6日(月)

朝はばたばたしていて散歩にいけなかった。
薬を飲ませるのも忘れた。
そのせいか、食欲が元に戻ったようだ。
ウンチがちょっと変わっていて、
十分水分の吸収されないらしい、キメの細かい硬くないもの。
これ以上柔らかくならないように祈ってしまう。

* * *

夕方の散歩。
アスカが隣のお宅にいた。
携帯電話の設定なぞをいろいろ試していたら(←最近ようやく買いました^^;)、
30分くらいも同じ場所にいた。
ぜっったいに怪しい。。



 *  *  *  * 


3月7日(火)

朝の散歩。
毛がゾリゾリと生え始めた尻尾にビニール袋を着せる。
チャコちゃんのご主人に会った。
自宅のガレージに向かいながら、じろーりとコチカの尻尾を見、
かっこわりーなぁ〜、とまた(また!)いわれた。
うぇ〜ん言わないで〜切られちゃったのよ〜
とかいいながらその辺をぐるりとしてくると、
チャコちゃんちのガレージのフェンスが開いている。
予てから車の向こうに興味津々のコチカ。
そろそろと入ってみる。
脇にある植え込みの山茶花かなにかの枝や葉っぱの中に、
鼻を突っ込んでしきりに嗅ぎまわる。
丸っこいおばあさんがショッピングカーを押しながらきた。
しばらくコチカが動かないのでしゃべっていると、
チャコちゃんのご主人も来た。
コチカを見て、不法侵入だぞ、と言った。
私が、ほらコチカ、逮捕されちゃうよ、と言ってもコチカは知らん顔でくんくんを続ける。
いつもなら男性の低い声を聞くと、ほうほうの体で逃げ出すのに、
妙なる匂いにすっかり悦に入っているのか、まるで無視している。
ゲンキンなものである。

* * *

散歩が終わり、コチカが家に入っていったと同時に、
ガスの点検で、東京ガスの職員さんが台所に入ってきた。
なんとなく玄関のドアを大きく開けておいたものの、
台所でてきぱきと点検を進めていく職員さんを見ていたら、
ドアを開けていたことなぞ、すっかり忘れていた。
では、と玄関を出ていった職員さんの後姿を見て、
あーコチカ出て行った!!!とあわてた。
外へ出て行ってざっと見回してみたが、姿は見えない。
あーあ、またやっちゃった、
と思いながら台所に戻り、居間のカーテンを開けると、
藤の椅子の下からこちらを覗いている黒い目がふたつ。
いた^o^/
なーんだ、ここにいたの。
そういえば、知らない男の人が来ていて、
カーテンで見えないとあれば、出てこれるはずもないのだった。
わ・た・し・バ・カ・よ・ねぇ〜ぇ〜ぇ〜え〜



 *  *  *  * 


3月8日(水)

朝から出かけたので散歩はなし。
午後3時ごろに帰宅すると、
コチカは玄関にすっかり姿を見せる前に、廊下の曲がり角で、わ〜、と声をかけてきた。
ちゃちゃ、と応えると、コチカはうにゃ〜ん、と甘えた声で擦り寄ってきた。
イレギュラーな時間だと不安に思うのだろうか。
ちゃんと郵便箱も門も、いつもどおりに音を立てて開けたのに。

* * *

外に出てみると、今日は本当にいいお天気で、猫日和。
1軒おいた隣のお宅の玄関先に、アスカがだら〜んと横になっている。
お父さん(アスカの実の父)いたところだもんね。
懐かしいでしょ。

そろそろと寄っていくコチカだけれど、
こちらに向けられたアスカの鼻先まであとわずか、
というところで、すごすごと後ずさりした。
アスカが何か言ったようには思えないけれど、
猫独特のコミュニケーションがあるのだろうな。。

* * *

ご飯を食べるのに、私がそばにいると、カツオブシをねだるようになった。
食べたいけれどもアレがなきゃ今一なんだよな…というような素振りを見せる。
なんで?
薬のせいで口が悪いのか、
それとも散歩の途中でチェリーんちのご馳走の匂いを嗅ぐからかな。
それにしては拾い食いなどしないけれど。



 *  *  *  * 


3月9日(木)

お昼過ぎ。
また胃液を嘔吐。
なーんでだ。
ウンチは普通。
でも吐いてしまったら、ご飯をぱくついていたけれど。

* * *

ご飯を食べるのに、頭をかなり傾けたり、
何度も噛み直して(咥え直して)諦めて吐き出してしまったりする。
歯が痛いのかな、と思って口を開けさせてみても、
一見きれいにしているのだけれどな。
もっとも一本一本の歯を触ってみる余裕などないから、わからないけれど。

ヒルズのキャット・フードは一粒一粒が大きいので、
ビニール袋に入れてすりこぎで砕いてみたけれど、結構硬くてそう簡単には小さくならない。
これを砕けるだけの丈夫な歯を持っていたら、脳の働きにもいいだろうな。

尿路結石の予防のために、缶のキャット・フードを勧められたけれど、
あれだけねばりのあるものだと、歯がすぐに汚れそうな気がする。
どうなのだろう。



 *  *  *  * 


3月10日(金)

朝から雨。
寝たきりのコチカ。
私も約束があったのがキャンセルされて、一気にフリーに。
ゴロニャンと寝っ転がっているコチカを見ていると、
ほんなら私も、と毛布を腰にかけて横になりたくなるが、
こういう日にこそこれまで後回しにしてきた仕事を片付けねば。。
貧乏暇無しの人生よ。あー

藤椅子の下で寝こけているコチカは実は薄目を開けていた。
私がじっと見ているのに気がつくと、
体をくねらせて、よじよじとこちらへ近づいてくる。
おなかのもさもさの毛をそうっと撫ぜてやると、
顔の前に持っていった手をわずかにもみもみさせ、
そしてその手の先から力が抜けていく。
いつでも夢の底に戻れる状態なのだろう。
それでも自分は起きているつもりなのだろうか。
おぼつかない手を耳の後ろまで持っていって、さらりと耳から顔を拭う。
一回でおしまい。
いよいよ眠りのかなたへ連れ去られていったらしい。
ほんなら私も…って、こらこら。。

* * *

昨日胃液を嘔吐したので、夜から薬をやらなかった。
その替わりに、そばへ寄ってくるたびに、尻尾をつかんで気を入れてやった。
ちゃんとできているのかどうかわからないが、
とりあえず、暖かくなるまで手の平に空間を作ってつかんでいてやる。
窓の点検から帰ってくると、むき出し尻尾の先が冷たーくなっているのだ。
これじゃ血行も悪くなるはず。



 *  *  *  * 


3月11日(土)

薬を与えなくなって1日半。
食べっぷりが全然違ってきた。
いつものコチカらしくばくばく食べる。
キャット・フードを小さく砕いて飛び散らかすこともない。

そうそう。
そうでなくっちゃ。

昨日のご飯はすっかり平らげている。
やったー
朝からご飯〜ご飯〜と人の後をついて歩く。
今まで食べなかった分だと思って、ちょこっとやったら、
もう食べてしまって、またご飯〜ご飯〜
なのでもう一回あげた。

なにか食べにくそうにしていたのは、
薬のせいでおなかの調子が悪く、
人間で言ったら、歯が浮いたみたいになっていたのだろう。
恐る恐る噛んでいたのに違いない。
ご飯の前に座ってじっと考え込んでいるようにしていたのは、
食べたいんだけど、歯ぁ痛いし。。と思っていたのね。
猫が無理やりご飯を食べているようじゃだめである。


感染を恐れて抗生物質を飲ませていたけれど、
生きる気力を減退させていたのでは(ちょっと大げさ)、治るものも治らない。
もうかさぶたも小さくなってきているし、この後はばい菌に感染することもないだろう。
ここで少々減退した気力と体力を盛り返して、
一気に完治へGO!である。


*

そういえば今朝下に下りてきてすぐ、また胃液を吐いた。
葉っぱが出ている。
いつのまに食べたの?
お隣の植え込みの葉のような。
昨日胃液を吐いたのも、そのせいだったのだろうか。
たぶんそうよね。
その後の食欲を考えれば、薬のせいではなさそう。

*

夜になってウンチを連発するコチカ。
これまでおなかがちゃんと動いてなかったのだろう。
特大のウンチを何度も立て続けに申告。
ちゃんと申告するということは、気分もいいのだろう。
ほっ



 *  *  *  * 


3月12日(日)

夜中。
何か眠れなくて何度も寝返りを打っていたら、
ぅにゃん!と来て、久しぶりに噛まれた。
噛み付いたまま離れないので、もう片方の手で牽制しようとすると、
コチカはぴょん、と布団から飛び出してしばらく畳の上にいたが、
私がごめんごめんと謝ると、また私の枕の端に顔を置いて、丸くなった。

* * *

朝。
起きないといけないのに布団の中でぐずぐずしている私に付き合って、
枕のすぐそばで顎を伸ばして惰眠をむさぼっていたコチカは、
私が起き出しても知らん顔をしていた。
ところが出かける関係もあって夫が、散歩行くぞぉ!と呼びにくると、
コチカはさっと起きだし、一瞬伸びをしようとしたけれどそれももどかしく、
大急ぎで出ていった。
外に行くのが布団よりも魅力的なんて、やっぱり健康的。
あの後、伸びはしたのかなあ???

* * *

夕方。
帰宅した人間二人は、居間の窓のフェンスの前に立ちながら、
植木を置くことについて話し合っていた。
家のすぐそばにいながら
四の五の言ってなかなか玄関に入ってこない人間に、
コチカは業を煮やしたのだろうか。
玄関を開けるなり、にや〜〜〜〜!!!と怒った声を上げた。
こんなことはまず初めてなので驚いた。

すぐにご飯にして散歩に出る。
人間がご飯を食べてようがなんだろうが、特大ウンチを何度も申告する。
平和で健康な生活とはこういうことなのね〜



 *  *  *  * 


3月13日(月)

コチカは私のそばでゴロニャンとくつろぐとき、
頭を私の足に押し付けつつ、ズボンに手をかけ、爪を引っ掛ける。
今日、それがなにか不自然な感じがした。
コチカの手は当たっているのだが、いつものようにコチカの腕の重みを感じないのだ。
どうなっているのだと見てみると、
手をぱーっと広げて、私の太ももに押し付けている。
腕に力を入れ、わざわざ置いている振りをしているようだった。

尻尾の手術の際に切られたコチカの手の爪は、
まだ完全に生え揃っていない。
いつものように私のズボンに手の爪を引っ掛けようとしたけれど、
爪が尖っていないので、するりと落ちてくる。
それでもどうしたって手をかけていたかったのだろう。
腕に力を入れて、手をかけている"つもり"になっていたのでは、と思う。
なんだか涙ぐましい。。
毎日の習慣になっていることができないともどかしいよね。
あともうちょっと。
頑張ろう!



 *  *  *  * 


3月14日(火)

尻尾を高く上げてそろりそろりと近づくコチカ隣のお宅の植え込みの下に、例によってモモちゃん(グレイ改め)がいた。
尻尾(withビニール袋)を高々と上げ、背を低くしてそろりそろりと近づき、
モモちゃんのまん前に来て動かなくなったコチカ。
しかたなく付き合って待っていると、ご主人が出てきた。

門を開けて自転車を出し、サドルに座りながら、
昨日洗濯物を干そうとしたらね、アスカが下からたったったったと上がってきて、開けといた窓から勝手に中に入っていって、1階に行って台所に座ってんの、と笑いながら話した。
うちはね……と話は続く。
その昔、うちの大家さんちの孫が飼っていたフェレットを連れてきたのが逃げ出して、
なんとご主人のお宅に入ってきたのだそうだ。
猫が自由に行き来できる小さな戸口を見つけ出して、ひょっこり入ってきたのだという。
……動物のいつく家ってあるんだよ、だからね、不親切にしとくくらいがちょうどいいんだよハハハハハ。

自転車のペダルを軽く踏みながら、大きく開けっぱなしの門を指指して、
うちの庭を一周してくれば、と言ってくれた。
は?と私が口ごもっていると、ひもつけたまま、行ってくりゃいいじゃん。
私も一緒に?そりゃどんな木があるのか興味はあるところだけど、
でもそんなことを一回でもしたらすぐ図に乗るコチカである。
これから毎日一回来たくなるに決まっている。
それに運悪く脱走した際に、居心地のよさそうな家だななんて、
ちゃっかりお隣の台所でご飯なんか食べてたらみっともないので、
ここは不親切にしとくのがちょうどいいと思う^_^。



 *  *  *  * 


3月15日(水)

朝起きてきたら、お風呂の窓の網戸が敷居から外れていた。
そういえば昨日の夜、布団の中で、そちらの方角からそれなりの音を聞いたような。
でも、
網戸保護用のフェンスががっちり止まっていたので、事なきを得た。
ほっ

* * *

おなかがすいてすいてどうにもならないコチカ。
人が台所に入ってくると、さ、っとお皿の前に座って人の顔をじーっと見る。
もうそろそろ落ちた体重も取り戻したと思うのだけど。



 *  *  *  * 


3月16日(木)

相変わらずの腹減りコチカ。
朝からご飯のお皿の前に座って人を待っている。

散歩から帰ると、
一日分のご飯の一部を上げるわけなので、
それまでは待ってていただきたい。
コチカの視線を無視して通り過ぎる。

* * *

夕方。
外へ出てみたら雨降り。
でも出てしまっているので、しかたなく歩き出す。

チャコちゃんちの隣のアパートの階段下をじっと見つめるコチカ。
なにかな、と思っていたら、いきなり飛び出した。
コロちゃん(去年の7月くらいから塀の上にいる猫)が雨宿りをしていたのだ。
うぉ〜、と始める二匹。
でも雨が強くなってきているし、コロちゃんを追い出したらかわいそうなので、
コチカを持ち上げて、撤去する。
通りに出て下ろすとまた元に戻っていったが、
もうコロちゃんは、いなかった。
コチカはチャコちゃんちの庭の方向を見つめている。
台所のあたりからお味噌汁のいい匂いが漂ってくる。
私もおなかがすいてきた。
帰ろ帰ろ帰ろ帰ろ!と急かして家に戻り、カツオブシを奮発しておいた。



 *  *  *  * 


3月17日(金)

雨こそやんだものの、ものすごい強風のため散歩はお休み。
不満そうなコチカ。
外へ出たって風の音が恐くて歩けなくなるくせにー

* * *

夕方。
十字路のアスカの居候先の塀の上にアスカ。

コチカに気づいたのか、あ〜〜〜、と声を上げていた。
コチカも、ぁrrrrrrrrrrrうぉぉんと大声で応対するものの、
声の出所が塀の上とは気づかない。

いつも不思議に思うのだけど、獣なら声の方向くらいすぐにわかりそうなもの。
少々時間をかけてようやくわかると、
アスカがよく見えるように、ということだろうか。
通りの反対側に来て、ぁrrrrrrrrrrrうぉぉん、とリンゴ追分。
アスカも、あ〜〜〜、といいながら塀の上をうろうろしているが、
あれは呼んでいるのだろうか、来るなと言っているのだろうか。

コチカは駐車場をアスカがいる側とは反対方向に歩き出し、いつもの点検。
ぁrrrrrrrrrrrあぁん、と鳴き方が変わった。
今まではrrrrrrrrrrの後は低くなってから上がったのに、
今度は「あぁん」の「あ」が高くて「ん」で下がる。
これって意味があるもの?



 *  *  *  * 


3月18日(土)

抗生物質をやめ、がぜん食欲が旺盛になったので、一気によくなり、
2本の縫い糸があるうち、片方側はもうかさぶたが消えている。
あともう少しというところなのだけれど、今日も動物病院には行けない。
その旨を連絡すると、
糸が邪魔してかさぶたが取れないということもあること、
糸から感染する場合もあるので、十分気をつけること、
などを言われた。
来週は必ず行く。

* * *

夕方。
夫と散歩。
門を出ると、
まっしぐらにアスカを訪ねて行ったのだけど、アスカは不在だった。
rrrrrrrrrrrrrっぁ〜ん、と言いつつしばらく歩けどアスカは現れず。
だったとさ。

* * *

人間がご飯を食べている間も何か忙しそうなコチカ。

どこかから帰ってきて、私のそばに気が抜けたような風情で座るので、
どうして欲しいのかわからないけれど、
とりあえずコチカの歌を歌い、ゴロンと横になるまで撫ぜてやり、
すっかり落ち着いて手をグーパーグーパーし始めたところで、
私はお箸を取り直す。

するとコチカは、あ、そうだった、とでも言いそうな様子で、
また起き上がっていそいそと出て行き、
階段下の窓辺に行ったりご飯を食べたりトイレを掻いたりお水を飲んだり、
まあ忙しいこと忙しいこと。。



 *  *  *  * 


3月19日(日)

夜明けくらいから、何度も何度も起こしにくる。
かけ布団を持ち上げて、入るように促すと、
枕の横に座ってみるのだけれど、
布団を下ろすと、すぐにぴょんと出ていってしまい、
しばらくすると、またにゃーにゃー言いに来る。
あーもー本格的に春がきたのねー

* * *

夕方の散歩。
夫と。

あちこちから猫が顔を出した。
念入りに近所のお宅の植え込みの匂いを嗅ぎ、その場を動かないかと思うと、
向こうの角から顔を出した猫を見つけて、いきなりダッシュ。
じっとしてるかダッシュしてるか、どっちかだった、とうんざり顔の夫。

人間が夕飯を食べていても、コチカはちっとも落ち着かず、何度もなにやら訴えに来る。
人間の目線を確実に捕らえたいのか、
わざわざ脚立の上に座り、何か言う。
眉ねを寄せ、目をぱっちり開かず、
口の両脇が下がり、しっかり口を開かないまま、うぁうーと何度も言う。
何かとっても不満なのはわかるのだけど。。

そして意味ありげに物見やぐらのカーテンの隙間に視線を送り、また人間の方を見る。
人間を見るときには、テーブルの上の人間が食べているアジの干物を見ているので、
ちょっと取ってコチカのお皿に入れてやったが、
私が台所に立って行くとついてきて、自分は廊下へ出て行く。
外に行きたいのだろうなあ。
あー本当に春ってことなのね。。



 *  *  *  * 


3月20日(月)

朝、もうすぐ起きる、という時刻のちょっと前に起こされるので、
寝起きの気分が悪い。。
ねえコチカ、昼間寝てるわけにいかないんだからね人間は。

* * *

昨日の話。
チャコちゃんちのご主人が、車のボンネットを開けてため息をついている。
ネズミだよ、とうんざりした様子。
隣のチェリーんちの奥さんの車も見てみたら、
いろんなパイプの間に、ネズミも糞がてんこ盛りだったのだそうだ。
2台とも新車で、まだ半年ほどしかたっていない。

猫用のご飯をボンネットの中に持ち込んで食べているらしい、とのこと。
高熱になるエンジンのために、焦げてるご飯もあるらしい。

今日になって、
チャコちゃんのご主人はディーラーさんに電話をし、何かいい対策はないものか聞いてみたが、
そんな話は聞いたことがない、と言われ、どうしたものかと思案に暮れている。
うちの車は大丈夫だったが、他人事には思えない。
やはり車の下に猫のご飯が置いてあるからだろう。
なんとか良い方法はないものか。



 *  *  *  * 


3月21日(火)

祝日らしいきれいな日。
もう起きようと思う時刻に、やーやーうるさく言いにくる猫がいるので、
無理やり寝ていたために起きたら11時。
ゴミの日だったのに出せず。あー

* * *

散歩。
夫と。

写真を撮ろうと思い、カメラを持って出てみると、
チェリーの奥さんがいるので、車、大変だったそうですね、と言ってみたが、
うん、でも大丈夫みたぁい、ガソリンスタンドで掃除してもらおうと思って、とにこにこ顔。
あらあ。。
そうなのよ、ほんとにもー、という眉根を寄せた答えが返ってくるかと思ったのに、
真反対で、なにか気分がほっとする。
そんな気楽さが幸運を呼ぶのだな、と再認識。
ネズミの糞がてんこ盛りになっていたって洗えばいいのだ。
どうということはないのさ。



 *  *  *  * 


3月22日(水)

朝から出かけていたので、お昼に帰ってきてからの散歩。

郵便箱を開け、門の閂を派手な音を開けて帰宅の合図をちゃんとしたのに、
コチカは玄関に出てきていない。
仕方なく靴を脱いで、玄関から続く廊下の曲がり角まで行ってコチカ〜、
と呼んでも来ない。
さらに台所まで行ってみると、ようやくコチカが寝ぼけた顔をして出てきて、
わぁ、と低くかすれた声を出した。
深く眠っていたところだったのだろうか。

それでも外行くよ、というと急にエンジンがかかったようになって、
私を追い越していそいそと玄関へ行き、待っている。

*

チェリーんちの車が洗車をしたのだろう、ピカピカになっている。
隣のチャコちゃんちの車も、二台そろってピカピカ。

ネズミの糞の後遺症は大丈夫なのかな、と思って見ていると、
ご主人が出てきた。
例によって、コチカのブタさんの尻尾withジッパー付ビニール袋をじっと見る。
尻尾は治ってきてんの?と聞かれた。
そんなみっともないもの、根本から切っちまえば、とも言われた。
隣のご主人とおんなじこと言うのだなコンチクショー
もう何度も病院行ってんの?
という話から、病院代がいくらかかったかを言い合った。

チャコちゃんは、
尿路結石で13万くらい、歯石取りと抜歯で3万ほどと他にもちょっと。
コチカは、
尻尾を切るのと、ついでに歯石を取るのとで6万ほど。
かかりますよねー
ご主人は、借金いっぱいして、お前、俺に返せんのか、って言ってんの、と言っていた。
保険効かないし、ほんと、普段の健康に気をつけるしかないのですね。

* * *

<徹底的なネズミ撃退法>

うちの前まで歩いてくると、自転車に乗った隣のご主人に声をかけられた。
車のボンネットの中は大丈夫だったとのこと。
さらにお隣のお宅にも声をかけたのだそうだ。

このご主人、相当に几帳面な人なのだな、と感心&感心しすぎて爆笑させられる話を聞いた。
塀越しに見えるお庭の中も、家の周りもとてもきれいになっているので、
几帳面できれい好きな人なのだ、と思っていたけれど、その思いがさらに更新。
ネズミ対策なのだけれど、なんだか普通じゃないのだ。

1.ネズミの通り道になってるらしい出入り口付近と行き先(?)の壁に、
  目立たないように直径3.5mmほどの穴をドリルでいくつか開け、
  細いノズルでネズミの忌避剤をスプレイする。
  家の外側・内側の両方からする。

なるほど、と感心。
簡単な方法だけど、考えたことがなかった。
うちもやってみようと思う。

2.家中の樋にネズミの嫌がるワイヤー(?)を巻いた。

これもわかる。
作業が大変なのでなかなかやろうと思わないけれど。

3.センサー式の電灯を天井裏につけた。
  ネズミにセンサーが反応して、明かりが点く。
  するとネズミが驚いて、逃げるか来なくなる、というもの。

発想としてはわかるけれど、唖然とした。。
そんな工事、わざわざやったのですか。
ネズミも慣れるんじゃ?と思うし。

次がすごい。

4.車を空ぶかしして、排気ガスを天井裏に引き込み、ネズミをガス中毒させる。
  そのために、車の排気口…マフラー?…と同じ大きさのパイプをわざわざ買い求め、
  ホースを使って天井に引き込んだ。もちろんあちこちの壁は目張りする。
  しかしあるとき、は、と気づいてやめた。人間だって危ないじゃないか。。

これを聞いて仰天、そして大爆笑した。
いろんな人がいるわけだから、思いつくくらいはするだろう。
でも、実際にやってみるところがすごくありません?
危ないと気づいてよかったよかった。
新聞に一家心中!と出るところだった。。
なぜ天井裏に排気ガスを?という疑問が残されるかと思うと、さらに笑ってしまふアハハー。



 *  *  *  * 


3月23日(木)

駐車場のアパートのベランダの下をくんくんすると、
中からは、ぁ〜〜、と高く細い声が聞こえる。
夫もあれは誰だろう、と言っていたのだが、
今朝、散歩に行ったとき、覗いてみるとモモちゃんだった。

おととい、チェリーの奥さんが、ご飯をあげようとしているのに、
モモちゃんがいなくて、知らない?と夫に聞いたということだが、
行動範囲と時間が他の猫たちとは少々違うらしい。

今日、チャコちゃんちの奥さんに聞いたところ、
モモちゃんは歯が悪いらしく、硬いものは口に入れても出してしまうらしい。
モモちゃんは奥さんに懐いていて、すりすりしてくるのだけれど、
なんと奥さんは、チャコちゃん以外の猫には触れない、とのこと。
理由ははっきりしていなくて、なんとなく嫌なのだそうだ。
へ〜

隣の隣の奥さんにも会った。
にこにこ笑いながら、うちの車大丈夫だったわよ!と言っていた。
よかったよかった。



 *  *  *  * 


3月24日(金)

<保育園のお散歩集団に会った>

朝の散歩。
2人の保育士に3歳児くらいの小さな人間が10人くらいだろうか。
まめっちい(?)手を繋いでずらずらと歩いている。

最初に耳に入った喧騒で、コチカはこれはまずい、と思ったのだろう、
うちの前の道を、チェリーんちの庭の通りに曲がった。
しかし、それを見ていた保育士さんが、
みんなが大きな声出すから逃げちゃったわよ、すいませーん、
と言ったのが、子供たちにわかったらしく、みんな静々としてやってきた。
感心な子供たちだこと。

それで安心したらしいコチカは、また元の通りに出て、
チェリーんちの植木を一つ一つくんくんしながら歩く。
保育士さんも子供たちも、真剣なまなざしで見ながら、コチカに歩調をあわせている。
ときどき私をも見る。

私が何か言うのを待っているようにも思えたので、
いろんな(猫の)お友達の匂いがするからくんくんしてるんだよ、と言うと、
お友達いっぱいいるんだって、と保育士さんが補足した。

そういえばこの辺にモモちゃんがいたと思うんだけど、と保育士さん。
へー知ってるんだ、と思いつつ、
モモちゃんならさっきもう一本向こうの通りへ行きましたよ、と教えてあげた。
何を隠そう、モモちゃんは十字路のアパートの前で日向ぼっこをしていたのに、
コチカが見つめているのを知って、走り去ったのだった。

そうこうしているうちに、
コチカはチャコちゃんちのガレージのフェンスまで来て、座って匂いを嗅ぎだした。
ちびっこ集団の足も止まった。
じーぃっとコチカを見つめる。
コチカはフェンスの匂い嗅ぎ(?)に集中している。

子供たちはじわじわと近寄ってきたが、面白いことに、手を伸ばしてもちょうど届かない距離にしゃがんだ。
傍目にも、これなら何の心配もないという距離である。
ふーん。
なかなかのセンスじゃない、とまたまた感心。

1列目が座ったので、他の子供たちは、それよりちょっと遠巻きに立っている。
後ろの方で見づらい子供たちに、ちょっと小競り合いが起きた。
でもなんとなく、ばらばらにもならないし、全体的に妙におとなしい。
こんなことなら、子供たちの頭をフレーム代わりにして、写真を撮れたのに。
家を出るときに、カメラを持ってこようかどうしようか迷ったのだけど、
まあいいや、と置いてきたのだ。
いつもこんな順序である。。

そのうちに、さらに慣れてきたらしい最前列の子供の一人が、今一歩踏み出して何か言った。
するとコチカは控えめに低く、cha〜〜、とやり始めた。
もうくんくんも済んだのに、動けずにいて、もどかしく思っていたのかもしれない。
私はコチカを抱き上げ、
この猫ねえ、知らない人は恐いの、初めて会う人は恥ずかしんだって、と全体を見回してゆっくり言った。
子供たちは、ふーん、というように顔を私の方に向けたので、
さあみんなもお手々繋いでね、またね、と一方的に先導してやった。
じっとしていると寒く、みんな鼻を垂らしているし。

子供たちは、保育士さんに促され手を繋ぎ直している。
冷たそうなぷくぷくの手がまめまめしていてかわいい。
四の五のいいながらもなんとか準備が整ったところで、
じゃあま〜たね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
と手を振る子供たちに、コチカの手を持って振って見せた。
は。。
思わずため息が出てしまった朝でした。
楽しかったけれどね^^\



 *  *  *  * 


3月26日(日)

<ようやく抜糸 そして逃げた モモちゃんを追いかけた>

朝の散歩から帰ってきたら、タム動物病院へ。
コチカに気づかれないように、と小さな声で言いながら、
物見やぐらに置いてあるキャリーを取ると、
ゴロリとなっていたコチカが、へ!という顔で頭を上げた。
嫌〜な予感がしてきたのだろう。
そうっと体を起こして、籐椅子の下へそろそろと入っていった。
下から覗くと、人間からもっとも遠い場所(狭い藤椅子の下での話)に、
身を潜めるようにしている。
気の毒だけど、今日は行かなくっちゃね。

そして、病院。
抜糸。
文句なし。

やれやれ〜〜〜〜〜〜〜
今年1月22日から始まった壮絶な戦い(おおげさ)にようやく幕を閉じた(*^▽^*);
心配くださったみなさま、ありがとうございました。
励みになりましたし、心から感謝したします。

と軽やかな気分で帰ってくると、チェリーの奥さんがいた。
ペッタンもチェリーもいた。
コチカを抱いたまま、報告に行った。
ガレージではモモちゃんがご飯を食べている。
夫は、ペッタンもいるのに大丈夫か、と私が車から降りる際に言っていたのだが、
すぐに家に入るからと言って私はコチカを抱いてきたのだ。
ところが、私は奥さんとちょっとのつもりが長々としゃべってしまった。
すると、チャンス到来とばかりにコチカはもがきだし、
ぴょん、と私の手を逃れて走り出した。
夫が追いかけたが、隣のお宅の門の下にもぐりこんでしまった。
いわんこっちゃない!!!、と思い切り叱られた。。


しばらく植え込みの葉っぱの間から庭を覗いていたが、
どうやら向こうの通りに抜けたらしかったので、行ってみた。
家々を覗きながら歩いていると、ライトバンに乗った男性が、
犬ですか、と声をかけてきた。
いえ、猫です。というと、
さっき2匹が猛スピードで走っていきましたよ、名前呼んで、捕まえないと車にぶつかって死んじゃいますよ!
と言ってくれた。
犬と言ったのは何?と思いながら、
お礼を言って、猫たちの姿が見えないので一旦戻ってきて、
またチェリーの奥さんと話していると、
背後から夫がやってきた。
白ウサギを捕まえた?と思ったらコチカだった。

私が行った通りよりももう一本向こうの通り。
モモちゃんを追いかけて路地へ走りこんだものの、たぶんモモちゃんは塀に登ってしまったのだろう、コチカは鉄筋アパートの玄関スペースに取り残されていて、とぼとぼ歩いていた。出口はひとつ、夫のいる方だけ。で、あえなく捕獲された。最後にまた抵抗したが、首筋の皮をつかんでつるし上げ、そして捕らえられた白ウサギ状態だったのだ。

ほっっ
我ながら、なんて何度も迂闊なんだろう、と猛反省。

コチカは家に帰ってくると、階段下の棚に横になっていて、
半ば放心状態。
外から戻ってその位置にいるのは滅多にないこと。
静かにしているコチカのまわりになんだか複雑な空気が漂っている。
人生しちゃったな、という感あり。

思うに、
コチカに、いかに生きていることを感じるかというような、
"生きている度指数"みたいなものがあって、
10が最高だとしたら、
家に普通にいて寝そべっているときがレベル1なら、
ご飯を食べているときが3くらい、外に出るときが5、
アスカにでも会ったら、切なくて胸が締め付けられたとしても、7ほど、
で、家から脱走して猫を追いかけることでもあったら、12くらいにびゅんと跳ね上がり、
12ほどの興奮からまた急に家にいるレベル1の空間に連れ戻されると、
そのギャップの波間(?)に身を置いて、しばしたゆたうのではないだろうか。
本当の自分はどこにいるのだろう、とコチカ自身が考えるのだったりして。


人生って。。


 *  *  *  * 


3月27日(月)

朝の散歩。
コチカに急かされ、朝起きたときから行方不明の眼鏡を再度探し出す暇もなく、
散歩に出ようとして、玄関でリードをつけて尻尾のサック(今日までする)をして、
とやっていたら、コチカがぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!と金色の声で叫んだ。
叫びは2度目にトーンが上がった。。
よく見えなくて、スリッパを履いた私の足がコチカの左手を踏んでしまったのだ。
外ではなにやら工事の音がしていたので、
ぎゃ〜、と言いかけたコチカの最初の発声が聞こえなかったので、
すぐにどくことができなかった。
コチカはすぐになんでもなさそうに歩いていたけれど、またまた迂闊だった。。

私は両眼で0.1と、それほど視力が悪いわけではないのだけれど、
乱視の度が強く、ものの端までの微妙な距離がわからない場合があるのだ。
それと、靴下を履いた足にスリッパを履いていると、
さらに、コチカとの距離感がわからなくなる場合がある。
そんなことありません?
常に注意はしているのだが、注意できない場合があるのが恐い。。

昨日、動物病院で、
公園で自転車に手を踏まれ、
そのときには何ともなかったのだけれど、数日だったら手先に変化が起き、
とうとうコチカの尻尾のように手首から下がミイラ化してしまい、
しかたなく肩から切断した、という話を聞いたばかり。
なんでもありませんように。。

* * *

夕方の散歩。
いつものコースを言って帰ってくると、
近所の1歳半の男の子がとことこ走ってきて、コチカに触ろうとする。
コチカが警戒心から引っかかないように、それとなく押さえているから、
子供は安心して、どんどん近づいてきて、触るだけでなく、
あろうことか、皮ごとつかんで、ぎゅっとひっぱたりする。
彼はまだ赤ん坊の延長上にいるし、ぷくぷくした手で無心に握っていると、
大人がかけることのない力でつかんでいるように見える。

しばらくすると、この4月から年長さんになる兄が来た。
わ、目が大きくなってる、と歓声を上げる。
この子はいちいち言うことが繊細な印象がある。
そのくらい誰でも言いそうだけれど、
みんながみんな口にするわけではない。
言葉にするかしないかで、精神世界に大きな差があるように思う。

さすがにお兄ちゃんだけあって、背中をそうっと触ってみている。
頭を触りたい、というので、コチカの両手を押さえていると、
コチカの頭の後ろに手をまわしてそうっと撫ぜ、わー、と言った。
かと思うと、突然大声を出して飛び上がったりして、
やっぱり男の子なんだけど、やることが少々繊細である。

ほら、お兄ちゃんみたいに優しくよしよししてあげて、
と1歳半の子に言ってみるのだけど、まだ言葉がうまく通じない。
辟易としている様子のコチカ。
相手が人間の子供だと、どしたらいいの?という顔をするのもまたおもしろい。
気の毒なので、もう一度コチカの行きたい方向に一巡り、つきあった。



 *  *  *  * 


3月28日(火)

散歩から帰ってきても、ぅわ〜、と言いに来るコチカ。
私を誘って居間を出て行こうとするのでついて行ってみると、
玄関まで行って、振り返る。
さっき行ったからもう行かないよ、と言ってやると、
そこでようやく納得したらしい顔をする。

居間にいたまま、ダメよ、と言っているよりは、
説得力があるような。
玄関まで行くのはちょっと面倒だけれど、
サカリのついている今の季節だけでも付き合おうかな。



 *  *  *  * 


3月29日(水)

陽射しのまぶしい朝。
十字路の駐車場のアパートのベランダの下には、
花にらが、3つのグループに分かれて花を咲かせている。
太陽に背中を向けて眩しさからのがれようとしても、
この可憐な花びらはコチカの毛並よりも白く、
細かな粉を振りまいているのかと思うくらい、まぶしい。
いよいよ日焼け対策をしないといけなくなってきた。
早起きをして、太陽が真上にくる前に散歩を済ませなければ。
あー夏はもうすぐ……まだまだだって^^;



 *  *  *  * 


3月30日(木)

寒い日。
恐ろしく寒い。
なのにコチカは全然平気。
尻尾を触るととっても冷たくなっている。
毛がなくて、これで凍傷にでもなったらまたも大変、と気を揉んでしまう。

*

朝の散歩。
十字路の駐車場をうろりとしていると、
あ〜、と誰かの声。
コチカはすぐに気づいた。
姿を捉えようと真剣なまなざしを声の方向に泳がせている。
アスカは居候先の屋根の上から降りてきた。
塀に駆け寄るコチカ。
アスカは塀に降り着いて木の枝に顔をこすり付けたりしている。
コチカは、スフィンクス座りをして上目遣いにじっとアスカを見ている。
この状態のままもう少し放っておいてやりたかったのだが、
残念なことに、ゴミ収集車が来た。
ごぉぉぉぉ、とコチカの大嫌いな音を立ててやってくる。
これからちょうどコチカがいる場所に止まって、ゴミを収集するのだ。

駐車場にはいつになく車がたくさん止まっていて、
ゴミ収集車を避けようがない。
私はコチカを抱いて、押し出されるように収集車が進む方向へと歩いた。
ここから先は、コチカが行ったことがないはずなので、
あまり行きたくなかったが、仕方がない。
コチカをきつめに抱き、あまり回りを見せないようにしながら、時間をしのいだ。
収集車が行ってしまい、アスカのいた場所に戻ってみたが、もうアスカはいなかった。。

* * *


夕方の散歩。
チャコちゃんちを曲がった通りで、
花壇をくんくんしていたと思ったら、急にダッシュした。
低い生垣の内側でもダッシュの気配。
気配は、玄関まで行き、また戻った。
コチカも生垣と平行して走る。
薄暗くて生垣の向こうは人間には見えない。
ザザザザ、という気配だけが行って戻ってきている。
これ、実際に実態のないものだったらどうする?
なんて、暗いと余計なことを考えてしまう。。
ぞぞぞぞぞぞぞぞぞ



 *  *  *  * 


3月31日(金)

とうとう今年度もおしまい。。
私は明日までにどうしてもやらねばならないことがある。
しかし全然準備ができていない。どうしよう。。

隣のご主人と会った。
耳寄りではあるけれど、少々空恐ろしい話を聞いた。

殺鼠剤である。
ワルファリン(Warfarin)が微量ずつ入った赤い(毒々しくも美しい赤だった)袋を、
ネズミの出そうなところに置いておくと、ネズミがそれを持っていってどこかで食べる。

ネズミの個体の大きさにもよるが、ある程度の量を食べるとワルファリンが効いてきて、
網膜内の内出血で視力低下するため明るいところに出てきて、最終的には腹腔内の内出血で死亡する……
というもの。

犬や猫が食べても同様の症状を起こす。
血液凝固障害が起こり、体のあちこちから出血が起こる。
急性発症の場合は、治療が可能らしい。

→グーグル内、<ワルファリン 殺鼠剤>で検索し医療情報−ワルファリン(殺鼠剤)中毒を参照ください。

ワルファリンとは、
人間の医療用としても、殺鼠剤としても昔から使われていたものであるらしいけれど、
私は全然知らなかった。

で、お隣では今日までに5袋なくなっているので、
もうそろそろ具合が悪くなってきてるんじゃないだろうか、とご主人は言った。

微量ずつ、
袋に詰めてある、というところミソであり、
微量ずつということで、殺傷能力を薄め、
袋に入れてあることで、他の動物が食べる危険を回避しているということだろうか。

アスカに赤い袋を見せてみたが、ちょっと匂いを嗅いだだけで、見向きもしなかった、とのこと。
アスカは、いつもきれいに磨き上げた器でアスカの好みのものをやるので、
お隣に来てもそれしか食べないのだそうだ。
だから、大丈夫、と言っていたけれど、

では、そのワルファリンを食べて、中毒したネズミを猫が食べたら、どうなるのだろうか。
ある程度遊んだら、猫はネズミを食べないものだろうけど。
でも、食べる猫もいるかも知れない。
うーん。



 *  *  *  * 


57 ⇔ 59