~~~ミルク色のコチカ~~~


奮闘記 -10-



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3月1日(金)

風呂場のタイルの上でじっと思案しているコチカ。
道理でしんと静かなこと。

立て掛けてあるざら板の下の陰になったところをじっと覗いていたり。
バスタブの横にすえつけられた、ガス湯沸し器とコンクリートの間も、
何があるのか興味津々で、ときどき隙間に入ってしまう。
何と言ってもガスのそばだし、何かあったら嫌なので、
入らないように、いつも平たいタイプのオケが入れてある。

カタカタ音がするので見にいくと、
排水溝の蓋を開け・・人間が開けようとしても難しいものなのに・・
暗い穴に鼻を突っ込み、臭いを嗅いでいる。

1日に1度、そんなひとときを、風呂場で過ごす。
風呂場はコチカにとって魅惑のワンダー・ランドのようである。





 *  *  *  * 




3月2日(土)

昨日の夜中のこと。
じりじりと熱い陽射しの中、
椰子の実の皮をおでこに擦りつけられていて、痛い痛いと言っている夢を見、
そんなものが何に効くのか聞くのを忘れた、と思っている夢を見た。
夢を見ている夢を見て、目が覚めてみると・・

なんと、コチカがザラザラと、目蓋やら眉毛を舐めているのだった。
寝ぼけ眼で自分の手などを毛繕いをしているうち、
舐める範囲が広がり、そばに私の顔があったのだろう。
いたいよ。ひとさわがせだったら〜

抱っこしてもらいながら、毛繕いをするとき、
しばしば自分の手をはみ出して、人の手を舐めることがあるので、妙にも思わないが、
何しろ、痛かった。熱いくらいに。
眉や目蓋なぞ、舐められ慣れていないから。

コチカ、夜中は毛繕い、やめとこうよ。寝よ!





 *  *  *  * 




3月3日(日)

人間はスキーに行った。
コチカも連れて行こうという計画はあったが、
長時間、車の中にいるのも返って可哀想だということになり、置いていった。
お天気も良いようだし、コチカには窓のフェンスで日向ぼっこの楽しみがあるのだ。

* * *

朝、7時ごろ出て、夜、7時頃に帰ってきた。

車が着くと、コチカが家の中を2階へ走る音が聞こえた。
窓から車から荷物を下ろす夫に気をとられていて、
私が家に入ったことに気づかないでいる。

荷下ろしが終わったので、
コチカが階段を下りようとしたところへ、私がハ〜イ!と声をかけると、
あれ!?という顔をしたのが、可愛かった。

☆ コチカがやったこと。

赤い玄関マットのふさを引き抜き、その変一帯を真っ赤にしていた。
風呂場の、排水溝のふたを取り、溝に溜まったヘドロを掻き出してあった。
そういえば、最近、掃除するのを忘れていた。。
コチカ、あ、ありがと。

人間が帰ってきても、まとわりついてくるでもなく。
そうそう淋しくもなかったようだ。
大人になったのかな。





 *  *  *  * 




3月4日(月)

出かけようと着替えていると、やはり嫌がる。
足元にまとわりつき、噛みつく。
ねぇ、行かないで。お願い。行かないで。ねぇったらぁ。
と人間なら言ところだろう。
ユウウツそうな目を向けて、小さな声で何か言いつづける。

でも最近は、コチカが先手を打って玄関に陣取っている間に、
階段の上に煮干を置いていくので、
行ってしまう人間を追って窓に行く間に、見つけて食べる。
ちょっと大きめの、良い出汁の出そうな上等なのを買ったので、
食べ応えもあるはず。
これがあると、出かける方も気が楽である。





 *  *  *  * 




3月5日(火)

朝、近所のオス猫2匹が、庭でうにゃ〜!!!とやりあっている。
縁側で網戸越しに見ていたコチカも、びっくりしたのか、
背中をきゅーんと丸くして、見ている。

そんなことがあったせいだろうか、
今日は、曇りだというのに、妙にハッスル。
私は振りまわされた。

* * *

その1-
階段の脇にある柱にも、切り売りの絨毯が巻いたのだが、
それが、まだ画鋲で押さえてあるだけの仮止め状態で、
コチカがよじ上ると、充分留まっていない絨毯が、剥がれてくる。

それに気がついたコチカは、
絨毯に上って剥げかけた毯を揺さぶり、
自分の体重で起きる遠心力をうまく利用し、絨毯を全部剥がそうとしていた。

下には、外れて飛んだ画鋲が針を上にして、落ちている。
出かけるところだったのだが、
あまりに危ないので、ガムテープを輪にして両面テープにし、
直接柱に張りつけ、絨毯を押さえた。
コチカは、それが気に入らず、私の足に抱きつき、噛みついたりしている。
全く、猿みたいな猫である。

* * *

その2-

絨毯が落ちつき、やれやれと思っていると、
玄関から例の玄関マットを居間まで咥えて運んできて、
私の横で、ふさを引き抜きはじめた。
なんで、わざわざここに持ってくるのか、理解に苦しむところ。
もう呆れて放っておいた。
再度出かける頃には、居間は殺人現場みたいに真っ赤っ赤!

* * *

その3−

夕方、大家さんと玄関でしゃべっていたら、
コチカが玄関のドアを内側から引っかくので、
ドアを開け、抱っこしていたら、玄関脇にある木(マサキか?)に上っていってしまった。
なーるほど、こんな眺めなんだ・・と満足そう。
緑の葉っぱを食べようとするし、細い枝がポキポキいうので、
脚立を持ってきて、下ろそうとしたが、そのままひさしに上って行ってしまった。
仕方がないので、私も2階に行き、西側の窓のフェンスを乗り越え、
大家さんの協力を得て、無事、捕獲。

しかし、行きはよいよい帰りは恐い・・。
トタンのひさしは私にはとっても急に思える。
大家さんに戻る手順を教示してもらいながら、
窓に辿りついた。
んも〜〜〜コチカ!!!





 *  *  *  * 




3月6日(水)

昨日の夜、寝室に入っても、まだ寝たくなかったコチカは、
カーテンをよじ登ってカーテン・レールに上った。
そして、途中まで来たけれど、にっちもさっちも行かなくなって、
仕方なくバックしていった。
向こうの壁に着いてもどんどん後に下がっていき、
・・ということは、そのまま後足で壁を上って行き、
とうとう逆立ちしてしまった。どうするかと思ったら、
そのままボタッ!と落ちた。
さすがにちゃんと着地したけれど、あー魂消た!





 *  *  *  * 




3月7日(木)

おととい、玄関脇の木に登ってしまったので、味を占め、
外に出たくて仕方がない。
玄関でカチャカチャ音が聞こえるので、見に言ったら、
なんとドア・ノブを両手でまわそうとしていた。

立って背伸びをし、ようやく両手でつかめる程度だし、
手が滑ってまわせないだろう、とは思うが、
人間のやることを見てまねしたのだろう。

* * *

大家さんに話したら、利口ねぇ、拾ってもらえるわけだ、あーたは。
とお世辞を言ってくれた。





 *  *  *  * 




3月8日(金)

お天気が良いと、とても元気。
パワー全開で家中を走りまわる。
遊ぼ遊ぼとけしかけて、こちらが、よーし、
と思う前から腕に向かって横っ飛びをする。

外に出たくて、
窓から窓へ行く途中に私のところに寄って、外に行きたい〜と一鳴き。
今日など、家の中にいたら、バチが当たりそうなきれいな天気だったのだけど、
やはりだめ。
さかりの猫も今日はうろうろしていないようだったけど、
やはりだめ。
お外はだめ。

果たしてコチカは、家の中の走れるところは全速力で何度も走り、
上れるところは何度も上った。
ダダダダ!ダダダダ!





 *  *  *  * 




3月9日(土)

出かけるのに、ニボシを2階の窓付近に置き、夫婦で玄関に行ったものの、
車のエンジンをかけるのに、ボクが先に出るから。うん、わかった。というやりとりを見ていて、
頭の上にポッと電気がついたように、何かが閃いた様子のコチカは、ダダッ!と2階に上がって行った。
こりゃまずい、これでは車が発車するまでに食べ終えてしまう・・とあせったが、
ニボシを食べ終え、口のまわりをペロペロと舐めながら、2階の窓から身を乗り出している様子は、
人が出かけるダメージを全然受けていないように見えた。





 *  *  *  * 





~こんな写真、ありました~

すみません。ミが出てて^^;

生後3ヶ月ちょっとの頃

これじゃ、やっぱりメスみたい?

3月10日(日)

あまりに穏やかなので、2階の西側の網戸を開けて、
ぼんやりしていたら、こっそりコチカがひさしに出ていった。
静かな午後。
コチカだけが止まってしまった時間を揺り動かす。
猫にぴったりの日。

見ていると、前より行動範囲が広くなっている。
庭の木に上ってまた下りてきて、
隣の屋根に飛び移って、向こう側に見えなくなってしまった。
見えなくなってみると、気になって仕方がない。

コチカは人を恐がらないし、初めて会う人の前ではおとなしいので、
きれいだから、と連れていかれたら、どうしよう、と不安になってしまう。

しかし、いざ連れていかれても、優しくされればいいけれど、コチカは排泄がうまくできない。
私はそんなときの人を信用しない。
コチカは最初、足が不自由だからと、捨てられていたのだ。

首輪をしているけれど、安心はできない。
ちゃんと連絡して、返してくれる人ならいいが、
変な人だったら、どうするのだ。
一旦考え出すと、考えたくない方向にばかり、思考が向かう。
どうせ猫なのだから、と保健所に連れていかれたら?
その辺に排泄して、虐待を受けたら?

穏やかなはずの日曜日も、だんだん曇ってくるようだった。
無事帰ってくるかしら。
不安で不安でお茶を飲んでいても、おいしくなくなってきた。

1時間くらいもたった頃、窓の外でリリンと音がした。コチカだ!
外へ出てみると、いつも近所のノラたちが家々の裏側へ行くのに、
通っていく塀の上を行ったり来たりしている。
他の猫はみな、車に降りるのだが、コチカはそれができずに困っている。
塀の端へ来たとき、とうとう腕を掴んで引き摺り下ろした。
やれやれ。
コチカは無事帰ってきた。

あー疲れた。コチカじゃなくって私が。である。
やっぱり外に出すのは、恐い。
いつも、今日みたいに無事であるとは限らないから。

でもとにかく無事帰ってきた。
今日は日当たりのいい場所でくつろぐ、というよりは、
探索に終始したようだ。
全然汚れていなかった。





 *  *  *  * 




3月11日(月)

昨日の夜は、初めてくらいに、ふとんの上で寝た。
寝る前に私の手と遊んでいて、
何度かふとんの上に乗ったので、大丈夫だと思ったのか。
なぜ今まで乗らなかったのか、わからない。
ふかふかして、不安定に思っていたのだろうか。

遊び終わってから、そろそろと、毛布の上に乗ってみて、
大丈夫そうだ、と納得したような顔をして、私を見た。

夜中、暑いのでふとんをめくりたい、と思ったけれど、コチカのせいで上がらない。
コチカを見ると、丸くなって浮かんでいるように、ふんわりとよく眠っている。
しようがないなと思いながら、
眠っている様子の断片を頭に思い描いていたら、リリンと音がした。

顔を上げて見ると、コチカが真っ黒な目をぽっかり開いている。
チチ、といってみると、そうっと立ちあがった。
ふとんの衿口を開けると、
そうそうここに寝なくっちゃ、という感じで、いつものように入ってきた。

しかしもうそろそろ、一緒に寝てると、暑い。
コチカはだんだん上にせり上がってくる。
鼻の天辺を押さえつけられて目を覚ますと、
コチカが腕を伸ばし、手の肉球を私の鼻に押しつけて、ノビをしたのだった。
ちょっとちょっと、やめてよ!
コチカは目を細め、金太郎みたいな顔をして、こっちを見ている。

* * *

昨日、外を散策したものだから、
もう外へ出たくて、仕方がない。
窓辺によって行っては、にゃ〜・・とため息をつくように鳴いている。
かわいそうなのだけど、だめ。
やっっぱり、だめ。
人間の勝手に過ぎないのだけれど、
何しろお互いが快適でなければならないのだし、
普段、近所のおばさんたちに恐い話をいっぱい聞かされているので、嫌だ。
心配するの、いや。
そういうわけで、ごめんだけど、出してあげられない。
夜になったら、また遊んであげるから。ね。ね。ね。





 *  *  *  * 




3月12日(火)

昨日の夜は、コチカはふとんの上に寝ようかと思ったが、
ちょっと座ってみて、やめ、中に入ってきた。
動物がちょっと考える仕草って面白い。

* * *

朝。
目覚めて、にゃ〜っと鳴けば、戸と窓を開けてもらえ、
階下に行けば、ご飯があるのをよーく知っているコチカ。
体内時計が、いつもより進んでいる。
人間が起きる予定時刻の1時間半も前から、起きて〜起きて〜と鳴く。

いつもは人間が寝てるときには、控えめに小さな声でしか鳴かなかったのに、
今日はずいぶんと主張すること。
仕方なく、起きた。
でも許せる。
とてもきれいな朝だったので。

* * *

お出かけしたが、ニボシの呪文があるので、
もうあまり淋しくないらしい。





 *  *  *  * 




3月13日(水)

やはり朝7時過ぎに、にや〜が始まる。
人間はまだ夢の中なのに。
目覚めて、ふとんから出てももう寒くないので、起きてみるとおなかがすいているのだろう。
そう言えば、寒い間、コチカは目が覚めても、目を開いたままふとんの中でじっとしていたな。
もうこれは、人間も一緒になって起きるしかないかな。





 *  *  *  * 




3月14日(木)

6時半に起きだし、うーうーと小さな声で訴える。
仕方ないので、部屋の外に出し、窓を開ける。ご飯はまだ。

しばらくしたら、寒くなってきたのか、またふとんの中に入ってきて、眠った。

* * *

遅い朝。
なんか言いながら、家中をあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
良いお天気なので、外に出たいのだろう。
さかりのついた猫がうろうろしてるし。
コチカはもちろん、けんかなぞしたことがないので、
さかりのついたオス猫の恐さを知らないのだ。
近づいて、友達になりたい、と思っているのだろうか。

他のオス猫は、コチカがいるせいか、
家のぐるりを囲むように、マーキングをしている。
玄関のドア、家の外壁、縁側の際など、家のまわりにバリアを作っているようで、
もううちは完全に包囲されているのだ。
なんか妙に感心する。



遊ばれチッチ。ボクもううんざり・・




 *  *  *  * 




3月15日(金)

昨日の夜は、ふとんの中では寝ずに、絨毯の上で寝た。
暖かくなったものだ。

* * *

朝、6時半。にーにー。。
起き出す元気がなく寝ていたら、どこかをがりがり引っかいている。
壁か畳の上に貼ったり置いたりしてある、切り売りの絨毯で爪を砥いでいるのだろうと、
安心したものの、急に静かになったので、念の為に起きて見てみると、なんと画鋲で遊んでいる!

以前に、爪砥ぎから壁を守るために、切り売りの絨毯を画鋲で張りつけたのだが、
その画鋲がときどき取れてしまう。
コチカはそのことがわかったらしく、退屈すると、画鋲をわざわざ壁から取って、遊ぶのだ。
賢いものである。
コチカ、前世はサルだった?
ラッキョウを与えたら、最後まで皮を剥くだろうか。

* * *

縁側から、大家さんのご主人(82歳)の笑い声が聞こえた。
おや、置物みたいだね〜といっている。
奥さんも出てきて、草あげようね、と、草を探す様子が庭から聞こえる。
縁側から少し離れたところに、猫草が自生しているらしく、
大家さんはそれで遊んでくれ、コチカは最後には食べてしまう。
もうこれは日課になっているらしく、
1日に2本しかあげないの、とか言っている。

あーたがあげると恐がるから、やめな、とか、奥さんの声。
コチカは初めて会う男の人が恐いなのだ。
二人並んで腰をかがめ、コチカに向かっている様子が目に見えるようだ。
なんか、微笑ましい。。

* * *

どういう風の吹き回しか、コチカがトイレの砂をかき、座った。
しばらくして、排泄した気になったのか、臭いを嗅ぎ、また掻いている。
長方形のトイレの中央に砂が集められ、ひとつの隅は底が見えている。
そういえば、いつかもこんな掻き方、見たことがある。
コチカは人知れず、自分でトイレすることを試しているのだろうか。
むむ。期待してしまう。





 *  *  *  * 




3月16/17(土/日)

人間に連れられて、スキーに。
人間がいない間は、車の中のケージの中で、寝たり遊んだり。

ピールの空箱にコチカ専用の座布団を入れ、ケージの中に入れておいた。

ペンションに着くと、ご飯を用意してやっても、まずお部屋の点検から。
ひと通り終わってから、もそもそとご飯。
木の部屋はなかなか居心地良いらしく、コチカは嬉しそう。

* * *

廊下で人間の女の子とはち合わせしたコチカ、はー!!!といって威嚇。

昨日は、夫の会社の人達にも怯えていたけれど、
今日は、彼らの部屋に行ってみた。
飼い主が行くところは、いちおう知っておきたいというところか。

天井裏の部屋へ続くはしごを上り、初対面のみなさんに初めましてのパフォーマンス。
体育会系のバランス感覚に喝采を受け、写真を一杯とってもらった。
ちょっとしたスターのコチカ。

* * *

車の中では、ケージと猫用キャリ-の間で長々と寝ていた。
体が固定されて、揺れる車の中ではちょうどいいようだ。
と思いきや、
倒したリアーリートとフロント・シートの間のボックスに、
体を橋のように渡して、前の景色を眺めていたり。
この体制だと、体のどこかに力を入れてないといけないはずだけど、疲れないのかしらん。

それでもときどき、あ〜と言って前にくる。
目細め、鼻先を上に向けて甘えた表情がかわいい。
気分がいいとき、コチカはこうする。

* * *


<友人トラ>

待望の帰宅。
荷物を下ろしていると、近所の黄色い虎猫がやってきて、
窓際の自転車のところに座り、じっとこちらを見ている。
そばによっていっても逃げずにじっと見ている。
意味ありげなので、コチカを呼ぶと、何のためらいもなく、あっという間に下に下りていき、
鼻の挨拶をした。
一度やめて、ちょっとたってから、また長々と鼻挨拶している。

ふーん。
いつの間にそんなに仲良くなったの?
いつも窓から見ているだけなのに、無言のまま意志を通わせていたのだろうか。
昨日1日コチカが窓から顔を出さなかったので、虎猫は気にして、ご機嫌伺いにきたのだろうか。
面白いものだ。

虎猫はすぐどこかに行ってしまい、コチカは車の下に隠れた。
外はまだ不慣れなのだ。
夫が連れ戻してきたけど、コチカは不満だったに違いない。
外に出してあげられれば、と思うには思う。

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コチカ、いる?





 *  *  *  * 




3月18日(月)

昨日、人間はあまりの眠さに、非日常的に早い時間に寝たので、コチカは放っておいた。
寝室の戸をコチカのために開け、コチカの大好きな窓も東側だけ開けておいた。

コチカは、窓から外を見ていたり、下に行ったり、自由にしていたようだ。
夜中に一度、ふとんの中に入ってきたように思うが、朝目覚めたらいなかった。

* * *

スキーに行っている間、あまり食が進まなかったせいか、
今日は朝からたくさん食べた。
そして、早々と寝ている。
夜中に何をしていたのやら。
大した被害は、見当たらないが。

それにしてもコチカ、ご苦労さま。
しばらく遠出はないからね。

* * *

ご飯のときに、ナンコツかニボシをデフォルトであげているのだが、

最近は、近所のスーパーに、
コチカの好きな種類のナンコツが売ってない・・・ナンコツにも、
大きいのと小さいのがあって、きっと若鳥とそうでないのとの違いなのだろうが、
コチカは、若鳥のナンコツしか食べたくないのだ・・・それがなかなかないので、
ここしばらくは、ニボシだけにしている。

* * *

もう獣医さんのところで買ってくるキャット・フードがなくなる。
獣医さんには、FUS(下部尿路疾患)対応のキャット・フードを薦められているが、どうなのだろう。
いろいろ思うところあり、である。
高価(500g1100円)だし、うちから獣医さんのところは少々遠いので、定期的に通うのはしんどいなと思ったりする。
なので
できるところまで、市販のキャット・フードでやってみようと思う。
その他の理由としては、

1.キャット・フードを食べるようになってから、FUSに罹る猫が増えたのだそうで、
  FUS対応のキャット・フードが市販されてるようになったが、FUSは減らないそうである。
  だから、と獣医さんはもっと開発されたキャット・フードを、とおっしゃるが、それだって
  絶対安心という保証があるわけではない。

2.常に満腹状態であることが続くと、FUSが起こりやすい、ということなので、
  ご飯は時間を充分あけて、空腹の時間をなるべく長くもたせるたら良いのではないか。

3.今食べてるキャット・フードは、おいしくないらしく、Hill'sの子猫用とニボシなどを混ぜて食べさせているが、
  やはり空腹のときにおいしいものを、むしゃむしゃ食べた方が、精神的に良いよではないかと思う。  

4.お水を充分飲むよう、よく運動させる。

  今はまだ若いからよく動くし、歳をとってからが問題なのだろうが、
 今から獣医さんに薦められたキャット・フードを食べていても、FUSにかからない保証がないのなら、いざ
 かかったときに、もうなすすべがなくなる気もするのだ。病気になってから考える、というのも変な話だが、
 事が起きてから考えるのでも遅くはないのではないかと思う。

  ときどき言うが、昔の猫はご飯にかつおぶしをかけたくらいの粗食で、元気に生きていた。
 今は、より栄養価の高いキャット・フードを食べているけれど、病気の発生率は増えているという。
 何が一番良い、悪いは、誰にもわからないことなのではないか。

  今、頭にあることは、好奇心の旺盛な猫の遊び心を満たすために、部屋の模様替えをしばしばしたらどうか、
 ということである。うちだったら、神棚への橋を増やすとか、場所を変える、とか。
 1回ごとに一大事だけれども。
 ストレスをなくすのが一番のような気がする。人間と同じく。
 もちろんそれだって、自信を持ってやってあげられることでもないかもしれないけれど。
 もっとも難しいことなのかも知れないし。
 案外安心だと言われるキャット・フードを与えておくのが、一番楽なのかも、と思わないでもないけれど。





 *  *  *  * 




3月19日(火)

現在のコチカの呼び名、総特集。

コチカ、チチ、チッチ、チッチッチ、チッチキチ、コチチッチ、チチコチカ、チチコチカチチ、ウンチチッチ、チータン(母)、チーちゃん(大家さん)

コチカはそのどれで呼んでも、振り向く。

言葉がわかるようになってくると、やっかいなこともある。
なんでもないときでも、ナンコツ、といっただけで、
耳をピーンと立て、にゃ!っと立ちあがり、過剰な期待をするので、ナンコツといいたいときは、
「ハンハハ」と口を中途半端に開け、イントネーションをまねるだけにしている。

* * *

今まで食べていた、
Hill'sのPrescription Diet (医者の処方箋による)p/d(遺伝病や環境からくる病気対応のキャット・フード)
http://www.prescriptiondiet.com/product/feline_pd.asp?pd=12
がなくなったので、ちょっと前から混ぜていたHill's Sience Diet子猫用(グロースだっけ?)だけにした。





 *  *  *  * 




3月20日(水)

朝、下に下りてきたら、居間の押し入れの襖がびりびりだらーりとなっている。
以前にちょとばかり窪ませたところから、むしり始め、それを肥大化させたのである。

コチカ、ちょっと来なさい!
と起き抜けから、抱きかかえてよーく見せつけ、背中をギュッ!
フニャ〜と言ってるけど、わかってんのかな。

* * *

コチカが踊っている。
現代舞踏さながらの、異様なというか創造的な動きに目を見張った。

耳の中に入った寄生虫に三半規管をやられたのか・・
などと頭をよぎった。でもあれはアフリカの話。と同時に、
さっすがうちの猫。だんだん天才になってくる・・と思ったり。
もちろん、さにあらず。

なんのことはない、出口を求めて飛ぶハエに振りまわされているのだ。
これで2回目。
そんなもん、つかまるわけないよ、コチカ!

ハエもハエ。
コチカがもしかしたら手が届きそうなくらいの低い位置を飛んでいる。
休むときには、もうちょっと上のあたりで。
ちょっと、うちの猫バカにしてんの?
コチカはじっと見つめ、頭の天辺から細い声を切れ切れに出している。
あるいは、カカカカッと顎を振るわせて、声にならない声をあげている。
カカカカッは、叱られてつねられたときに、しばしば出す。
が、それ以外は全く聞いたことがない。
頭の天辺から出る切れ切れの細い声は初めて聞いた。
どういう心境なのだろうか。
よほど頭にきているのだろうな。





 *  *  *  * 




3月21日(木)

夜通しコチカをひとりで下においておくのは、アブナイ、ということになって、
人間が寝るときにはやはり寝室につれていくことにした。

寝室に入ってしばらくは、戸のところに座っている。
ある程度時間がたって枕元の電気も消えた頃(タイマーがしかけてあるのです)、
そうっと近づいてふとんに入ってくる。
下にいたい気持ちはあるが、暗くなり人間はもう寝た、一縷の望みもなし・・という諦めの意志表示なのだろうか。





 *  *  *  * 




3月22日(金)

ものすごい抜け毛!
カーペットを敷いているので、うんざりする。
他のお宅はどうしているのだろう。

各部屋にガムテープが置いてあり、気になり次第に洋服についた毛を取るのだが、
それにしても、すごいので、
強行(恐慌?)手段に出ている。
コチカをガムテープをくっつけて無駄な抜け毛をとるのだ。

一度どこかにくっつけたテープをコチカに貼り、
毛並みの方向に剥がせば、痛くないらしい。
一杯とれる。
逆方向に剥がすと、生きている毛までごっそり抜けてしまうし、痛い。
コチカにとっては気持ちいいことではないだろうが、
逃げたくなるほどではないらしく、おとなしくしている。

それで抱っこしてみると、でもまだまだ一杯毛がつく。
いったいどうしたら良いのだろう。
だから動物飼うのは嫌だったのだ。

*

カーペットも掃除機ではなかなか吸い込まないので、
ガムテープで取ってみたりするのだけど、埒があかない。
とうとうごろごろのカーペット・クリーナーを買ってきたが、
そのテープだって、あっという間になくなるだろう。

* * *

テープにくっついた毛をようく見てみると、
なんと縮れっ毛が結構ある。
日本猫なので、全部直毛なのだ、と思っていたら、
ラーメンの細い縮れ麺のようなのが、たくさんあるのだ。
コチカは洋種が少しでも入っているのだろうか。

* * *

今日は曇っているせいか、朝からカーペットの上に長くなって寝ている。
やはり気圧と猫の元気というのは、関係しているような。
人間も同じ生体なので、コチカがだらだらしているときは、
こちらもそれに習っていていいのだ、と思うようになってきた。





 *  *  *  * 




3月23日(土)

コチカがきちんと正座して、なんか言っている。
食事の時間はまだまだなので、ご飯まだよ、と言ってみると、
うんざりしたように、目を閉じ、また、あーと小さく言う。
違う、と言いたいのだろう。
でも、わからないので、放っておいて、私はテーブルに向かい、書き物を続けた。
いやに静なので、振り返ると、大きな目でじっとこちらを見ている。
なんだか驚いた。

一度そんな目を見てしまうと、もうないがしろにはできず、
よーしわかってやるからもう1度言ってごらん、と私も向き直る。
向き直るのに、右手を下に置くと、一瞬のうちに戦闘的な目になったと思ったら、
右手めがけて、横っ飛びにすっ飛んできた。
コチカは、遊ぼ!と誘っていたのである。

おっどろいた!
動物がここまで意志にみなぎった目を人間に向けるとは。
後になって思い返せば、
遊びたいと思って誘ってるのに、遊ばないのは、心外である、ということだったのだろう。

遊んでいる途中で、にゃー!と叫んでけしかけてくるときには、
もっとやろうよ!と言っている、とわかるが、
急に言われても、そして、こちらが自分のことに熱中しているときには余計に、
何を言っているのだか、わからない。

* * *

この間の虎猫とのことといい、
いつの間にか独自の言語でもって独自のコミュニケーションをとっているのだ。
人間が思いも寄らないことをいろいろ考えているのだろう。
私はどれだけ多くのことを気づいてあげられないでいるだろうか。





 *  *  *  * 




3月24日(日)

玄関でコチカを抱っこして大家さんと話していると、
大家さんがうちに入れたらどうなるかしら、と言い出し、やって見ましょうということになって、
大家さんちに入れ、玄関のドアを閉めてしまった。

ガラス越しに見ていると、初めのうちこそ玄関にいるまま鼻をくんくんさせていたが、
だんだん大胆になってきて、二人で話し込んでいるうちに、玄関にいなくなった。
あれれ、と見にいくと、庭の方にまわっていき、縁側に置いてある大家さんのつっかけを
くんくんしていたそうな。
ノラ猫がマーキングしていっているからだろう。
そのまま庭に下りてしまうと、面倒なので大家さんは連れてきた。
緊張して、体を硬くしてるわ、とのことだった。

* * *

その後、私も縁側から庭に下りてみたのだが、コチカは網戸の中。
庭に立っている人間の方に来たくて来たくて、
縁側と台所向こうの風呂場の窓を鳴きながら往復している。
このままじゃかわいそうなので、早々に引き上げたけど、
道路への抜け道が塞いであったら下ろしてあげられるのに、と思う。
梅とか柿とか金木犀とか、木登りに好都合な木がいっぱいあるし。
ダメか、そんなの。。





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3月25日(月)

人間が何かしていると、寝ていても必ず起きてきて、うろうろする。
ちょっかいかけたり、じっと見てたり。
人間が食事(人間用の)を用意し出すと、ベッドに入る。
ちょっと覗くと、こっちを見るのだけど、
ご飯の用意してるんでしょ?ボクには関係ないもんね、
というふうに見えるからおもしろい。

* * *

<友人トラ(チャゲ)>

深夜、購入して預けてあったたスチールラック(コチカ・グッズ)をかかえて夫と帰ってくると、
コチカが玄関に出てきていて、さっと出ていってしまった。
大きな荷物を入れるのに、気をとられていて、死角をコチカが通ったこともあって、
つかまえられなかった。

後をついていってみると、この間、コチカを呼びに来て鼻挨拶した黄色いトラ猫が、
すっと通っていった。そのせいかな?
隣の植え込みをくぐり、奥に入っていった。
見えないけれど、鈴の音は聞こえる。
持っていたニボシを出し、ご飯だよ、っと声をかけてみたが、
こちらの手のうちはバレているので、思っているようにはならない。
しかたがないので、放っておいた。

*

20分くらいたってから、夫が出ていった。
筋向かいの家の玄関にいて、そこを本拠地にしているさっきのトラと、もう1匹のノラ、
みじんこみたいに膨らんだミケ猫といっしょにいた。

コチカは彼らの陣地のガレージにいたのだが、
ミケがニャッ!ニャッ!と声をかけると、ミケのいる場所を大きく迂回して、玄関に来た。
どうやら、ここには来てはいけない、と警告を発したようなのだ。
夫がニボシを地面に置くと、ミケは臆することなく食べた。

玄関にはトラがいて、コチカはトラのお尻をくんくんと嗅いだ!のだそうだ。
トラは筋向いのおばさんから避妊手術を施されているが、メスなのだろうか。
ともかく、トラは友好的なのだが、ミケがいるので、コチカは門の下をくぐって
出てこようとしたところを、夫につかまえられたのだが、逃げようとはしなかったそうだ。
もうここはいい、と観念したのか。

ちょうどそこに、私が出ていったのだが、もう1度彼らがいる場所にコチカをおろしてみた。
3匹にニボシをあげようと、置いてみたが、コチカは臭いを嗅いでも食べようとしなかった。
ミケはぬっと鼻先を出して食べた。
トラは見ているだけ。

* * *

それにしても、コチカとトラの仲はどうなっているのか。
こないだ、うちのガレージにトラが来ていたとき、コチカは当たり前のようにですっと出ていったが、
今日もそうだった。
いつもなら、玄関のドアを開けてもしばらく臭いをくんくん嗅いでからおずおずと出てみるのに、
今日は、何のためらいもなかった。
おそらく人間よりも早く、トラの存在に気づいていたのだろう。
トラが来たら、いつでも出ていこうと腹に決めてるのだろうか。

* * *

うちに帰ってきてから、私は帰ってきたことが嬉しくて、
ニボシを奮発した。コチカは喜んで食べていたが、
居間の温かいカーペットに座ると、ものうげな様子で毛繕いを始め、
うとうとし始めた。
他の猫のテリトリーに入って牽制される、ということを始めて経験して、
緊張したのかもしれない。

やはり、ちょっとは外に出してやって猫には猫なりの経験をさせてあげるべきなのだろうか。





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3月26日(火)

寒い日になったので、さすがにコチカもなかなかふとんから出られなかったようだ。
しかし目覚めてはいたようで、ふとんの中で毛繕いをするので、
こちらも早くから何度も眠りを妨げられた。くー。





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3月27日(水)

来客のはずがキャンセルになったので、
スチールラックを組みたて、新しい物見やぐらを作った。
居間の南側の窓辺に置き、120cmくらいの高さに最高段にした。
神棚への道の途中から、下りられる場所である。
一番下の段からも外は見られる。
網戸にできるほど暖かくなったら、コチカの巡回ポイントが増えたわけだが、
外から中が見えないように、まだ工夫をしなければならない。





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3月29日(金)

お尻の筋肉がまだ弱い、と思っていたが、
なんのことはない、
風呂場の敷居から、窓まで1mあまり、飛び登れるのだった。
助走してきてのことだったが、
よじ登っているとばかり思っていたのに、いつの間にできるようになったやら。

* * *

思うに、今までそうもジャンプするような必要がなかったのかもしれない。
小さなときからよじ登っていたので、脚力がついた今でも、よじ登るのが普通になっていたのだ。
自発的に、ジャンプするなんて、思いつかなかったのだろう。

でも庭で、にやおん!とよその猫の声が聞こえて、あわてて見に行こうとする、
と言った、万事休すなときには、ダダッと走ってきて、ぴょ〜ん、と飛べるのである。
やればできる。できていた、のだろう。
他の猫がやるのを見ていれば、もっと早くからできたのかもしれない。

足の爪は、特に右足の爪が減っておらず、充分爪を使っていないようだったが、
そろそろ使えるようになってくるのではないだろうか。

* * *

キャット・フードを変えてから、ウンチの量が増えた。
そこらにしでかす回数が増えた。あ〜





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3月31日(日)

樹林公園へ。
桜の木に嬉々として登っていく。
花がまだいっぱい咲いていて、花の中に隠れてしまうと、保護色に包まれて、姿が見えなくなるコチカ。
もそもそ動いてるので、どうしてるかと思ったら、桜の花びらを食べてみているのだった。
優雅な猫!

* * *

やはり、足のの指が前よりもよく開くようになっていて、爪もよく使えるようになっていた。
前までは、下りてくるのに、後足はずるずる引きずる感じだったのが、
ちゃんと爪を木に引っかけて、楽に下りられるようになったようだ。
今まではさぞかし恐かったことだろう。

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<鴨居渡し>

窓にスチールラックを置いたのに引き続き、
天国の橋をもう一枚購入。
以前からある神棚から西側の壁に渡れるよう、置いた。


なかなか渡ろうとせず、南側の鴨居を不自由そうに歩き、途中から新しい橋に足を踏み入れる。
用心深いというか。






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