2003年8月

~~~ミルク色のコチカ~~~


奮闘記 -27-



何見てんのさ
何見てんのさ



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8月1日(金)

朝のお散歩。
アスカがやってきた。
そばに寄り合うが、鼻つんつんはなし。
その代わりにアスカは、コチカの顔のまん前を、ぬっ、と通る。
コチカは、その場所を動かずに、顔を引く。
わざわざ顔のまん前を、ぬっ、である。
なにその態度?

そして、コチカの家の門(私んちの門です)や、庭のフェンスに、
ゴロリとなりながら、顔をなすりつけたりする。
ここは自分の縄張りだから、と言っているのだろうか。

* * *

別の方向から、別の猫が来た。
黄色のむらむらに黒がちょっと混じったような、小柄な、新顔である。
首輪をしていない。
でもそんなに汚れているわけではない。
どっから来たの?

コチカは興味津々で寄っていく。
でも、これまでのように、いきなり近寄っていったりしない。
注意深く、相手の呼吸を実ながら、そろそろと近寄っている。

そのチビは、kcha〜と威嚇してきた。
コチカは、何も言わない。
相手の方が若いのだろうか。

どんどん近づいていく。
ホーーーー、とふくろうみたいな鳴き声をあげている。変なの。
鼻挨拶ができるくらいまで近づくと、チビは、かっ!と言いつつ手を出した。
でも、だんだん後ずさっていく。
コチカは、むにゃむにゃ口を動かしているが、ほとんどだまって近づいていく。
背骨の上の毛が爬虫類のトサカのように、立っている。
へ〜こんなふうになるのか。初めて見た。
カメラを持ってなくて、残念。

緊張を察したのだろうか。
チェリーとマー君が家の中からわんわん咆えている。

チビは、とうとうスクーターの足台の下に来て、私からは見えなくなった。
私はスクーターとアパートとの間には入れない。
膠着状態となった。
しばらく待っていたけれど、ッチーン!
時間切れである。
ヒモでつながれたコチカは、私と一緒に帰らなければならなかった。
背中を丸くしているわけではないけれど、トサカを立てているコチカに私は近づくのがちょっと恐く、
もう帰ろ、帰ろ、と声をかけながら、近づき、背中をそっと撫ぜたら、トサカが元に戻った。
それから抱き上げて、家に帰ってきた。

いつもコチカは、もっと外にいたいので、
玄関のところでヒモのフックをはずそうとすると、私の手に噛み付く。
今日も噛み付いた。
でも、中に入ってから、カツオブシ?と聞くと、カツオブシカツオブシ、と後を追ってきた。

* * *

夕方にも、またチビ猫がいた。
十字路の向こうの駐車場のワゴン車の下。
コチカは余裕ありげにコンクリートの上でゴロゴロしていたが、
そのうちに、近づいていった。
またホーーーーーー、である。
間の抜けた高い声が、案外迫力あるように聞こえないこともない。
コチカは、にゃむにゃむにゃむにゃむ、と口を動かしている。
鼻先15cmくらい近づいたところで、膠着状態。
なので、私はコチカを抱っこして、その場を離れた。

もうちょっと待っていたらどうなるだろう、と思うが、
なんせ蚊がうなっていて、かゆいんだもの。

* * *

そういえば、最近そうなのだが、
コチカは、私にタックルしてくるのだ。
ふざけているのだろう、と思う。
遊びたいとか。

玄関で、外に行きたい〜、と言っているのを、無視したりすると、
足に両手でからみついてきたりするのだ。

その延長だろうか、なんでもないときでも、急に飛びついてきて、
今日なんか、そのまま追っかけっこをした。
玄関まで狭い廊下を曲がりぶつからないように、なるべく猛スピードで走る。
3回ほど往復したら、息が切れた。
久々のことである。

(なんか今日、書きすぎている。っていうか、最近ずっとそう。読んでくださってる方、ありがとうございます。。)




 *  *  *  * 




8月3日(日)

生後一ヶ月ほどの子猫が死にました。

梅雨の明けたばかりの猛暑の東京で、午後2時。
隣のお宅の植え込みの下で横たわっていたのを、外はあまりに暑いので、家に連れて帰り、あまりにきたないのでお風呂に入れたら、きれいにはなったが、子猫は水に濡れる恐怖のためにかかったストレスで体力を消耗したのだろう、ぐったりしてしまい、その後体温が低下し、死んでしまった。
植え込みの下で暖かいミルクを飲ませ放っておいたら生きられたかもしれないのに、と思うと悔やまれる。→詳細(興味のある方のみ)




 *  *  *  * 




8月4日(月)

おとといあたりからいたらしい、死んでしまった子猫、後から近所の人々の目撃談をいろいろに聞いた。
誰もが心に留めながら、どうにもできないでいたのだった。
そして、悲しい思いだけを残して死んでいった。

捨てていった人は、そのことを知るべきだと思う。

* * *

朝からかなり暑い。
コチカは、よそのお宅の庭にばかり行きたがる。
庭はやはり涼しい風が吹いてくるのだ。
だめだめづくしで、移動させているうちに、コチカは自主的に家に帰ってきた。

こうも暑いと、一緒のふとんにも寝ていられないらしい。
朝は階段上の板の間で伸びていた。




 *  *  *  * 




8月5月(火)

この間の子猫についていたノミだろう、
コチカのしっぽに潜んでいたりしたので、
お風呂に入れた。

朝のお散歩では、思う存分道路にゴロゴロさせる。
灰色のチンピラ風メイクのできあがり。
そして、お風呂。
わりあいおとなしく、洗われているコチカ。
こちらにとっても勝手知ったるコチカの性癖。
逃げられないように、先手を打って、
お尻まわりや尻尾の汚れていたところは徹底的に洗い、
最後にそれとなく手を放すと、やったー、とばかり窓に行き、網戸にしがみつく。
そこにシャワーを浴びせかけて、総仕上げ。
かーんぺき!
と思いきや、居間の物見台で振り向いたコチカの汚い顔。
顔のメイクを落とすのを忘れた。。

* * *

ある程度体毛が乾いてくると、
エアコンのかかっている居間を逃れて、二階に行った。
2階は風の通りはいいものの、暑い。
コチカは、風を通すために開け放した押入れの板間で、毛を舐めている。
やはり毛が湿っていると、寒いのだ。
ああ、あの子猫はさぞかし寒かったのだろう。
なんということをしたのだ私は。。。




 *  *  *  * 




8月5日(水)

昨日お風呂に入れ、ノミ・ダニ駆除剤をつけてないので、
朝のお散歩は、抱っこしたまま。

昨日オシッコをさせたときには、睾丸の毛に沁みていったが、
もう毛に皮脂が出てきたのだろうか、
今朝は、毛がオシッコをはじいている。さすがに若い!ということかしらん。

* * *

夕方は、道路も乾いてるし、まあいいか、と普通に。
黄色と白のコンビネーションの3匹の猫たちがそれぞれにそれぞれしている。

ペッタンは、自分ちのガレージの上、
ニャオンは、チャコちゃんちのガレージの地面に、
隣のお宅の門で、コチカがくんくんやっている、と思ったら、
ふと気がつくと、左の門柱の上にタローが留まっていた。

それに気がついたコチカ。
どうするのか、と思う間もなく門柱に駆け上がり、cha〜〜〜〜〜〜!
タローもcha〜〜〜〜〜〜うにゃっ!とコチカに手を出した。
おっ!と飛び降りたコチカは、今一度駆け上がり、
門柱につかまったまま、cha〜〜〜〜〜〜!うぉぉぉぉぉぉぉぉ〜と始めた。

自然に戻ってやりあっている猫たちだけど、
コチカにはひもがつけられていて、人間がつかんでいる。
この不自然さに耐えられなくなって、私はコチカを抱っこして下ろし、
別な方向に向かわせた。
コチカは怒った怒った怒った怒った怒った怒った怒った怒った怒った怒った。
抱かれたままもがくのだが、それでも私の手に爪を立てようとしない……ことに私は妙に感動した。

* * *

夜。
皮脂も充分出てきただろうから、ということで、サン・スポット(ノミ・ダニ忌避剤)をつける
つけたところがつっぱるような感じがするのだろう。
かいて〜と人の足元にまとわりついてばかり。
あまり触ると人間の手にもつくし、よくないだろう、と思いながら、
軽く叩いたり、撫ぜたり。




 *  *  *  * 




8月7日(木)

前のように、夜中に飛び起きて痒がるのか、と思っていたら、大丈夫だった。

朝、お散歩に行ったけれど、暑いのでちょっとでおしまい。
薬がつけてあるので、首輪も長くはつけられないし。

人間がくたばっていたので、夕方のお散歩はなし。
ごめんね。

外に気になる猫がいるらしくて、なんか言いながら走り回っている。
そうそう。そうやって運動してて。




 *  *  *  * 



8月8日(金)

朝、7時半。
う〜〜〜〜〜〜。
うわぉ〜〜〜〜。
とやりあう声が聞こえる。
コチカも触発されてうろうろうろうろ。
外に出られない不満もあって、人間を起しにくる。

無理やり目を閉じ眠っているふりをしている私なのだが、
しかたなく、んもーと言いながら、窓を開ける。

向かいの家のお庭のガレージで、
グレイの新顔猫と、チェリーんちのペッタンが向かい合って、緊張していた。
なんとまあ珍しい組み合わせではある。

ペッタンは、すごんで見せるものの、結局手は出さない。
グレイの方もそうなのか、あるいは、猫同士のやりとりで、
ペッタンに手を出せないものがあるのかどうか、
互いに手を出そうとしないまま、お開きになった。
まるでプロ野球選手の喧嘩みたいな。

* * *
真剣な目つき

グレイ(仮名)とペッタン↑タッチ

夕方。
コチカを門に結び付けて、近所にお買い物。

戻ってきたら、チェリーんちの奥さんが、
車が来たらちゃんとよけてたわよ〜、うちのチェリーと違って〜、と教えてくれた。

チェリーは、車が来ても、さして危機感を抱かず、どかない。
タイヤが通る道筋というのは、チェリーの目と鼻の先にようく見えているので、
両手の上にアゴを乗せたまま平気でいる。

一方、運転手は車の真下に来ると思われる犬の足を踏んでしまっては、と気が気でならない。
たいてい窓から顔を出して鼻の下を伸ばし、チェリーの足先を見、
そうすることによってハンドルが左にぶれないよう、左を見、右を見、しながら過ぎていく。

必死の運転手と、すっかり達観している(?)チェリーとのコントラスト、
こーれが結構面白いのですね^^\なんて、ひそかに楽しみにしてたりする。




 *  *  *  * 




8月9日(日)

夕方のお散歩。夫と。
ずいぶん時間をかけているので、どうしたのか、と思ったら、

隣の家の前で、コチカが動かなくなってしまったのである。
もちろんアスカに会いたくてだろう。
もう根競べ、とばかり、ずっと付き合う気でいたが、
なんせ、蚊。
どうにもいたたまれなくなって帰ってきた、とのこと。

不本意ながら帰宅したコチカ(いつものことではある)、
ひゃ〜ふにゃ〜、と、
それはもう淋しげな声を上げて、廊下をうろうろしている。

* * *

夜も更けてくると、コチカは早く寝よ〜と人間をせかせる。
ところが、
いざ寝室に上がってしまうと、目が冴えてきて、
あっちの窓、こっちの窓と、うろつきに行くのだ。

暑いので、東西の窓を網戸にし、寝室の引き戸も開けてある。
台風一過の昨夜は、涼しい風がさーさーと抜けていく。
庭を越えて遠くの匂いも運んでくるのだろう。
コチカは、鼻をひくつかせては、耳をそばだて、
網戸の向こうの暗闇を通り越して、人には見えない遠くを透視しているかのような表情を見せる。
小さな頭蓋骨の中では、匂いの数だけスクリーンが下りてきて、
それぞれの映像を映し出しているのかも、なんて、こちらまで想像力が逞しくなる。

やがて、コチカは階段の上りはなの板間にゴロリとなる。




 *  *  *  * 




8月11日(月)

台風一過3日目。
いいお天気になって奮起一発始めた衣類やなんかの片づけのいろいろ。
はかどっているような休んでいるような家事も終盤を迎えつつあるけど、まだまだ。
落ち着かないコチカ。
うぉ〜〜〜grrrrrrrrにゃお〜〜〜〜〜と悲惨な人相でうろついている。

* * *

夕方の散歩。
かなり薄暗くなってから。
チェリーが出ている。
なぜかコチカが好きだというチェリー。
私もチェリーみたいな優しい犬にコチカの友達になってほしいと思っているので、
チェリーんちのママはいつもチェリーを外に出しておいてくれる。
今日は涼しかったし。

コチカを左向きに抱っこし、背中からチェリーに近づき、ご挨拶。
相変わらずコチカはチェリーが恐いので、にゃ〜と小さく抗議する。
チェリーはそれだけでお呼びでない、のサインと受け取るのか、
尻尾を丸めて後ろを向いてしまう。

しばらくうろうろしているコチカを、ときどき眺めているチェリーなのだが、
コチカが戻ってきて、再びチェリーのいる近くに来た頃、
私には見えなかったが、猫がチェリーんちの隣のガレージに逃げ込んだのだろう。
コチカがいきなり飛び出した。
驚いたチェリーもウォンウォンと吠え立てたので、奥さんが出てきて、
チェリーは中に入れられてしまった。




 *  *  *  * 




8月12日(火)

午前4時に出発して実家へ。
人間が夜中に起きだして荷物を積んでいる間、
ああこれでまた車に乗せられると、思っているのかどうか、
ただならぬ様子に自分はなすすべはない、と思っているのかどうか、
なんだか物静か。

* * *

車の中では、最初はリアシートの背もたれの上。
首都高速に乗ってからは、人間の緊張が伝わるのか、
スピードが上がって騒音が恐いと思うのか、
リアシートの床に下りて丸くなる。
そのうち東名に入ったら、のっそりと助手席の私の膝の上に。
浜松からのフェリーでは、船酔いのためにゲボゲボ。
実家に帰り着くと、早速寝室のベッドの下にもぐりこんだ。
最初に掃除しようと思ってたところなのに。。
まあとりあえず、安全な場所は確保できたわけだ。
人間も荷物の整理などが終わり、落ち着いた頃、のっそり出てきてあちこち点検。

* * *

お昼前。
食事をした人間は昼寝ならぬ朝寝をする。
なにしろ夜中に走ってきているので、疲れは半端ではない。
コチカもベッドのあいているスペースで、眠る。

夜になって、はっ!と気づいた。
午前中にオシッコをさせていない!

道理で、コチカがオシッコを漏らしている夢を見たわけだ、と思い出す。
させてみると、かなり溜まってはいたが、思ったほどでもなかったので、ほっ。




 *  *  *  * 




8月13日(水)

夜中。
網戸にいたコチカは、ときどき何を思うのか、うお〜〜〜〜と大声を上げる。
そのたびに目が覚めるのだ。
カンベンして。。

* * *

階段下の柱に、爪研ぎ用切り貼りカーペットを設置。
もう人間も手馴れたもの。

ほうら、コチカ、と抱っこしてから放り投げてやったら、
嬉々としてカーペットにしがみつき、爪を研いだ。成功!

* * *

お盆なので人間はお墓参りなどで外出。
1日中家にいたコチカ。

退屈を爆発させて、
追いかけっこしよ〜とけしかけてくる。
玄関の三和土からうにゃ〜ごにゃ〜ごと呼ぶのだ。
しかたなく行ってみると、人の足にタックルしつつ、
すり抜けて行き、階段下の柱にしがみついていく。
下からコチカのお尻を、つっつっつっつ、と突っつく。
大変な興奮状態で、カーペットで爪を磨く。
ぱらぱらと爪が剥がれて落ちた。
いい調子いい調子。

そしてコチカは下りてきて、玄関に戻り、もう一度やり直し。
それを2本ばかり。

それだけではつまらないので、
私が2階まで駆け上がってみたら、
コチカも追いかけてきて、今度は下へ降りる私を追う代わりに、
階段上の柱の肌に、しがみつき、爪を立てた。
オーマイガッ!
一度やったところは次回からも爪を立てに行く可能性は大なので、
どうしたものか、と夫に相談。
頭痛の種がまたひとつ。。

* * *

ご飯を食べたら、ウンチを連発。
人がご飯を食べていようが何しようがお構いなし。
当たり前か猫だもの。
何回か申し立てた以外にも2回ほど粗相。んにゃろ〜

* * *

遊び足りないらしいコチカ。
小さな蛾を追っかけている。
しかし蛾が壁の高いところに留まると、
途中で楽しみをへし折られたからか、
妙に興奮し始めて、妄想の中で追いかけっこを始めた。

その辺にあった袋の中に獲物がいる、と想定したらしく、
狙いを定めておいて、足踏みをはじめ、ダダッと走り出し袋の中に突っ込む。
しかし、もとより何もない。
ああ、失敗、もう一度やり直しと、とばかり、元の位置に戻って、
狙いを定め、ダダッ!
……。
なーんか、気持ち悪い。。
こういうこと、他の猫もするのだろうか。




 *  *  *  * 




8月14日(木)

朝から雨。

夕べは寒かったのか、ベッドでおとなしく寝ていた。
昼間も、ベッドの上に飛び乗り、
畳んである掛け布団の上でしばし揉み揉みをやった後、丸くなった。
その後もずっと寝ている。
夜、ちゃんと寝てね。

* * *

あ〜〜〜〜〜〜〜!!!
母に殺される〜〜〜〜
皮剥がされる〜〜〜〜
三味線にされる〜〜〜ぅ

どうしたかというと、網戸に爪を立てた痕を発見したのである。
爪を立てたどころではなく、広範囲にわたって避けているのだ。
しかもあっちこっち。
こないだ人間がお墓参りに行っている間にやったのだろう。
ど、どーしよー。。。

* * *

家の前は狭くはあるが車の通る道路である。
なので、お散歩には行かない。というより、雨。
外行きたい〜出して〜、とうるさく言うコチカに業を煮やし、
とりあえず抱っこして外に佇んでみようか、とリードを探したが、
どこへいったか、見つからない。
(リードをつけて手に巻きつけておかないと、飛び出してしまうとコトなので)
人間が家と駐車場の間をうろうろしているうちに、
興奮が覚めたのか、人間の方の不都合を知ってダメと悟ったか、
急におとなしくなり、台所の床なんかに寝そべっている。

人間はその後すぐにリードを見つけたのだけど、
もう刺激することなく、内々に隠した。

* * *

夜。
もう人間は寝ている。
余りあるパワー全開のコチカ、かくれんぼを思いつき、遊ぼ遊ぼ、とけしかける。

にゃ〜、と呼ぶので、ベッドのヘリから顔を覗かせると、
ベッドのヘリと、そばに置いてあるゴミ箱の隙間から、こちらを伺うコチカが見える。
暗い部屋に、目が2つ光っていて、
顔をわずかに左によけると、目が1つしか見えなくなる。
さらに顔を左にずらす。
コチカの顔が完全に見えなくなる。
ごそごそと足踏みをする音が聞こえてくる。
スパートを切るコチカ。
もうすぐベッドのへりに来る、というところで、さっ、っと顔を出すと、
コチカは飛び上がり、体を曲げて向こうへ走り去る。
……てな遊びを3本ばかり。

それに飽きたのだろう、コチカはベッドの下に入った。
床とベッドとの隙間は10cm程度。
体を平べったくして、入っていく。

そっと上から見ると、白いひげがわずかに見えている。
息を殺してこちらをうかがっているのだ。

タタタタタタタタタタ。
ベッドの床に近い部分をノックする。
そしてときどき、ちょい、っと指を見せるのだ。
手を出すコチカ。
触りそうで触らないと、じれた白い手が追いかけてくる。
爪を立てられるかも、と少々恐いのだけれど、
私の指に触るのは、肉球だけ。
そんなことを7分ばかり。
そのうち、手も出なくなってくる。




 *  *  *  * 




8月15日(金)

雨。
1日中人間のベッドで寝ている。
もちろん寝返りを打ったり、毛づくろいはしているが、
同じ場所にいるまま。
慣れない場所で、外へも行けずに、ストレスがたまっているのだとは思うが。
でも、
ご飯の時間には、ちゃんと起きて、ご飯〜、と階下に来るから面白い。

* * *

ご飯を食べたら、玄関と人間のいるところをうろうろして、
あお〜あお〜と鳴きたてる。

来客のピンポーンがあって、コチカは飛び出ていった。
人間が出て行くと、来客が玄関のドアを開けたまま立っていたので、
あわてて外を見に行ったが、出た気配はなし。
来客は男性で、だったらコチカは絶対にその人の方へは向かわないはずだし、
と、しばらく待っていたら、あらぬ方向から、チリリ..と音が聞こえた。

* * *
あおあお封じをするために、追いかけっこ。
下へ、上へ、3本くらい。
しばしへたばっているので、気がすんだかと思いきや、
へたばった姿勢のままで、あお〜あお〜
発情しているのだろうか。
床になんか付けている。
それでも時間の問題で、とうとう床で寝てしまった。
こんな写真撮るの誰?



逃げる私。
くたばるコチカ。
私もくたばる。

おくたばり〜




 *  *  *  * 




8月16日(土)

ずっと寝ている。
外が充分見える窓がないのがいけないのだ。
でも、夕方になると、アオーアオーと鳴きだす。
東京の家での散歩を思い出すのだろうな、と思うと、
こちらまであの薄青っぽい狭い通りを思い出して、帰りたくなってしまう。
そこにはアスカの姿もあるのだ。

アオーアオーと3時間ばかり。
玄関から階段を経て2階までの追いかけっこを3本くらいすると、
ようやくおさまる。

明日はもう帰れるよ〜




 *  *  *  * 




8月17日(日)

東京へ。お引越しさながらの大騒動。
フェリーの中で恒例のゲボゲボ。
キャリーの中にペットシートを敷いてあるのだけど、
人間が思ってるようにうまく吐きゃしない。
なぜか端っこに吐くので、シートの裏側にまわってしまい、
結局コチカの体も汚れる。
胃に残留物がなかったのがせめてもの幸い。

* * *

車の中では、ずっと寝ている。
驚くことに、首都高に乗ったあたりから起き出して、
なにかつぶやきながら、窓から外を見ているのだ。

そして、家まで3kmくらいまでくると、
にゃーにゃー言い出す。
なぜ?
もうすぐうちだ、とわかるわけないと思うのだけど。。
わかんのかな。

* * *

待望の家!
とにかくあちこちの窓を開ける。
湿ってはいるけれど、新鮮な空気が入り込む。
家全体がすーはーすーはー呼吸する感じ。
やれやれ〜〜〜〜〜〜〜〜

抱っこしてお散歩。
こぬか雨にしっとり濡れるコチカ。




 *  *  *  * 




8月19日(火)

遅い夕方、お散歩。
チェリーんちのママとお話。

雨降りで犬たちもストレス。
チェリーの足が大きいので、吹き掃除が大変、とのこと。




 *  *  *  * 




8月20日(水)

朝。
新聞を取りに行く夫を追って玄関に行くコチカ。
コチカを玄関に無理やり置いて、ドアを開けると、
コチカは座って眺めていた。
新聞を取って戻ってきても同じ格好でいた。
その様子の切ないこと……と夫。

* * *

ずっと雨続きで道も濡れていて、お散歩もお預けだったので、
朝はちょっと長めにお散歩。

* * *

遅い夕方、お散歩。
アスカがいた。
隣の植え込みを覗き込んでるコチカの鼻先にぶつかるようにしてやってくるアスカ。
たじたじするコチカ。
あんたは相変わらず偉いんだね。。

牽制されながらも、しばらく一緒に行動。
お尻をくんくん嗅ぐコチカ。
避妊していてもはやりメスの匂いがするのだろうか。

やがて二匹は道のそことここに座った。
向こうにはニャオンも顔を出した。
みな真顔で猫の正座をして距離感を図っている。
やけに質量のある空間を感じる。
星座を象る星たちみたい。
ひとり立っている私は、草原の中に佇む小さな子ヤギみたいな気がしてくる。
誰よりも体は大きいのに。
カナブンがぶんぶん羽音をたてて飛んでいる。
それぞれがそれぞれにいっしょけんめ。。

コチカを誘うようなそぶりで歩き出すアスカを目で追い、
ちょこっとついていって、でも結局は振られてしまうコチカを抱いて、家へ。
コチカも諦めていたのか、そう嫌がらず。
でも、
カツオブシを食べて落ち着いてみると、
切ない声を上げてうろうろうろうろ。。




 *  *  *  * 




8月21日(木)

でかける人間にも知らん顔で寝ているコチカ。
結構気が楽。




 *  *  *  * 




8月22日(金)

午前6時半。
新聞を取りに行ったとき、コチカは玄関で様子を伺っていた。
カカさま〜の声でアスカが鳴いたから、もういけない。
大騒ぎしてドアを引っかく。
しかたないので、リードをつけて外に出す。
嬉々として出て行くコチカ。

隣の植え込みの下まで行って、
アスカのお尻をくんくんやってたら、
急にアスカが振り向き、猫パンチを食らわせた。
ガガガッ(コチカが嫌がるときに出す声)と言ってのけぞるコチカ。
ったくーうちの猫に何すんの!!!といいたくもなる(怒)。

コチカは、右手を弱々しくあげたまま、ぼんやりとアスカを見ている。
そのうちアスカは門から入っていった。
コチカは追いかけ、切なそうに座っている。
通用門のところから、タロウが見える。
わずかに闘士を見せ、腰をあげる。コチカも。
アスカはそれを見ていたのだろう。
すっと脇から出てきた。
コチカたじたじ。。

早朝(でもないか)の散歩って暑くなくっていい。
でも、こんなに早く、毎日起きられない。




 *  *  *  * 




8月23日(土)

暑いので、ぐったり。
階段の最上段の床など、時の移り変わりと共に場所を変えていく。
人間もうらやましいと思う場所は、押入れの床。
まず引き戸を開けるとさわ〜っと涼しい風が吹いてくる。
なるべく涼しい思いをしようと、押入れダンスのわずかな隙間にお尻をねじ込もうとする。無理なんだけど。。
敷居の上に新聞の広告などを置いてやると、かならずその上に寝にくる。
紙一枚あると、涼しさが増すのだろうか。




 *  *  *  * 




8月24日(日)

10時ごろにお散歩。
あっつかったー
帰ってくると、三和土でぐったり。

居間の温度計で35.5度。目を疑うが何回見ても同じ。
なんにもできずぐったり。
でも折角の夏なので、エアコンも入れず。
ますますぐったり。
でも、じっとしていると、あちこちから涼しい風がわずかに吹いてくるのです、裏は庭。

コチカもぐったり。
というかいつもと同じように、押入れの敷居でのびている。
背中を触ってみると、ひんやり冷たい。
あーせめてコチカくらい小さければ、涼しい思いもたやすくできるのに。

* * *

だらーっとしたまま、起き上がり、そばの柱で爪を研ぐ。
ところが畳で踏ん張る足が、踏ん張りきれずにだんだん足が開いてくる。
それでもそんなことに気を留めずに、爪を研ぐので、ますます足が開いて、
本当に猫なのかしらん、というような、べちゃーとした格好に。
もう爆笑。
こんなこと、よそのお宅のニャンコもするのかしらん。
写真に撮れなかったのが残念。




 *  *  *  * 




8月25日(月)

暑ぅおまんな。
昨日は一歩も外へ出なかったけれど、ノラちゃんたちはどうしているのやら。

* * *

朝。
玄関のドアの前は日陰になっていて、まだ涼しい風が吹いている。
コチカをドアノブに繋げておく。
30分たって見に行ったら、
横になってくつろいでいたので、もう30分。

そんじゃあまあ行こうか、とヒモをはずしたが、
そばにある草を食べ出したので、ちょっと待つ。
もはやその気になった太陽がじかじかと首筋を刺す。
簡単にギヴ・アップ。
カツオブシ食べよ、とかなんとかなだめすかして、家の中へ。
カツオブシを用意してやったが、食べなかった。
怒ってんのねー

* * *

私が具合が悪いので、夕のお散歩はなし。
ご飯をやるのもままならなかった。
30分押しでようやく用意をし、私はぐったり。
そのままコチカは静かにしていたので、
今日は暑いので、コチカも行きたくないのだな、よかったよかった、
と思っていたら、そうでもなかったらしい。
トイレの砂が思い切り撒き散らされている。
こういうことが全くなくはないが、ここまで派手にやるのは珍しい。

コチカは、私が大儀そうにしているので、
夕方の散歩は望みなし、と諦めていたのだが、
やはり行きたかったのだろう。
その鬱憤ばらしをトイレの砂でした、のだと思う。
ごめんね。。

* * *

私は腕を畳につっかえて座っていた。
コチカは私に遊ぼ〜と言いたくて、手をかけた。
爪が肌に当たらないように、肉球だけをぺタッと、当てている。
あったかい肉球。
コチカは体重を預けている。
どうするか。
この体勢で体の重心を元に戻すには、私の肌に爪を立てなければならない。
コチカは人には爪を出さないのが信条である。
どうするんだろう、と思って見ていると、コチカも真っ黒な目を私に向けている。
一本、爪が当たった。
だんだん力がこもってくる。
私はまだ耐えられる。
しかし、2本目の爪が肌に当たり出した。
1本目の爪も痛くなり始めたので、
はい、ここまで。
私は、痛てててて、とコチカの手を取り、元に戻してやった。
コチカは座ったまま。
私もそのまま。
二人でそのまましばらくじーーーーっ。




 *  *  *  * 




8月26日(火)

昨日はお散歩に行きそびれたので、朝はちょっと長めに。
玄関に寝そべる時間も長め。

* * *

暑いので、お風呂場のタイルの上で寝そべっている。
私もまねしたい〜




 *  *  *  * 




8月27日(水)

火星大接近の日。
ということで、夜、イレギュラーに人間が外に出るので、
外行くぞ!
と物見台の上で寝そべっているコチカに声をかけた。
驚いて頭をもたげたコチカ、とりあえず、にゃー、と言った。
お外だよ!ともう一度声をかけると、
あわてて起き上がり、あわててのびをし、降りてきた。

*

一軒向こうの隣のお宅の角まで行ってみると、急にコチカは塀の上によじ上った。
見れば向こう側にアスカがいる。
あっぶなー!!!
リードを繋いでいるわけだから、向こうに下りて行ったら、手を離すしかない。
リードをつけたままで木の周辺に行ったら、もっと危険だろう。
気をつけねば。

* * *

目をしょぼつかせて、うにゃ〜〜〜と来る。
かわいいので、閉じて伸ばした脚の上に仰向けに寝かせる。
最初のうちは、何すんのさ、という目をしているコチカも、
そのうち、按配よさげな様子になる。

長く伸びたおなかは色の透けそうな極上の白い毛。
そうっとそうっと何度も撫ぜる。
気持ちいいのだろう。コチカも目を細めていて、
そのうちに、手を口へ持っていき、ぺろぺろやりだす。

あまり体を撫ぜてばかりいると、コチカは両手で私の手をつかまえて、噛みつく。
これ、とっても不思議。
最初は不愉快なので噛みつくようなのだけど、そのうちに遊びに転換する……らしい。
そのように見えるのだけど、それとも、遊ぼう、と思って噛み付くのだろうか。

子供に頃にやってたように、
手で掴み、噛み付きながら、両足をぴょんぴょん動かして、蹴るのである。
子供じみてて変な感じ。
他の大人の猫もやるのかしらん。
最も、うちに来たばかりの本当に小さかった頃は、
足が不自由だったからそんなこともできなくて、
不憫に思っていたことを思うと、できるようになっている今、とっても嬉しいのだけど。




 *  *  *  * 




8月28日(木)

朝のお散歩。
やけに草を食べるので、何度か牽制。

* * *

夕方、ご飯をあげる前にお水を飲んでいた。
こんなタイミングでお水を飲むのも珍しいな、と思っていたら、
ご飯を食べてしばらくしてかたら、吐いた
いつものようにしゃくりあげることもなく、吐いた。
なんでだ?
調べてみても、今食べたものしか出ていない。
噛まずに丸ごと食べてしまっているものあって、そのせいだろうか。
その後すぐに走り回っているから、大丈夫なのだろうけれど。
でも、座っている私のところへ来て、ぁぁっ、と小さな声を上げる。
ウンチを知らせるときには、そんな風に小さく高い声を出すのだが、普段はそんな声は出さない。
甘えるときだって大威張りで、にゃ〜〜〜、というのだ。
そして、ゴロリ。
やっぱり具合悪いのかな。
それともいつもこんなだっけかな。

* * *

ゴロリとなっているコチカに、外行こうか、と小さな声で言ってみたら、
口をあけて、あ、と言った。
でも私は座ったままなので、半信半疑だったらしいが、
腰を浮かせながらもう一度言ったら、目を輝かせた。

*

最近、筋向いのお宅の門の上に、にゃおんがいることが多い。
下にいると、うるさい猫(コチカのこと)が来るからだろうか。

アスカの居候しているお宅を通り越すと、急にコチカの足が速まった。
そして昨日やってみた塀越えを試みようとする。
塀の中にはアパートがあり、その階段を上ったところに、タロウがいるのだった。
タロウは上から、cha〜〜〜と牽制している。

塀があるところはだめだめ、と無理やり反対側に引き返させた。
大きく場面を変えてやると、すぐ諦めるのがコチカ。

*

筋向いのお宅の庭のある側の通りに来た。
隣のアパートとの境の塀の上に、ミイちゃん。
庭の中を覗き込んで、ナーナー言っている。
何がいるのやら。
無関心のコチカ。
地面の臭いをくんくん嗅いで、そのうち、ゴロンとなった。

その様子に気分を害したのか、みいちゃんが塀から降りてきた。
このあたりはみいちゃんの縄張りなのである。
コチカはべちゃっと平たくなった体勢でミイちゃんを見ている。
折り曲げた前脚から肩にかけたあたりは緊張しているようだが、
腰からお尻なんか平べったくなって、平泳ぎのかえる足のように、横から足先がはみ出ている。
こんな猫見るの、初めて。

やがて時が満ちたのだろう。
コチカが立ち上がり、みいちゃんの方へそろそろと歩を進めた。
自転車があり、その下をコチカが行くので、リードを持ち替えようとしたとき、
リードが緩んだのを感じたコチカは、すわっと走り出した。
ミイちゃんは、というと、逃げた。
元いた塀に駆け上がってしまった。
なんだ、そういうこと。。

コチカも拍子抜けしたみたいにぼーっと見ているので、頃合とばかり家に戻った。
猫のかえる足
        かえる足のサンプル

* * *

ウンチの切れが悪いと思ったら、ながーい草の茎が。
どんな猫も草を食べると思うが、
健常な猫は、こういう場合、どうするのだろう。
ウンチをぶら下げて歩いたりするのだろうか。

* * *

台所の炊飯器などが置いてあるラックの前でコチカが正座し、
なにやら気配をうかがっている。
またネズミか。
ヤだな。。




 *  *  *  * 




8月29日(金)

暑い朝。
玄関に繋いであったコチカの鳴き声が聞こえたので、
飛んでいくと、どうしたってあっちへ行く!という表情。

リードをはずして門を開けると、三叉路の向こうへ延びた方向に、アスカがいる。
コチカは嬉々として寄って行ったが、なんとアスカは逃げていってしまった。
拍子抜けのコチカ。
確かに変な結末。

すると、今度は家の前の道を南側に走り出した。
ついていってみると、グレイの猫がこちらを振り返っている。
よくわかるね。さっきの通りからは見えない位置なのに。
何軒かの家の庭を覗いてみたが(コチカがですよ)、グレイはいなかった。
しかしちょっと離れた向こうの塀の上にいたのだ(やっぱり見てるじゃん^^;)が、
コチカは気付かなかった。

ちょっと走っただけでもう暑いので、家へ。
見ていた大家さんに、繋がれててかわいそう、と言われたけれど、
私だってかわいそう。。

* * *

居間の物見台にコチカがゴロっとなっているとき、
私が居間に入っていくと、パチリと目を開いてこちらを見る。
パチリというのが、私に聞こえるのだろうか。
必ず目が合い、私は幸福な気分になる。
私はコチカの顔立ちが好きだ。




 *  *  *  * 




8月30日(日)

夜。
居間の物見台の支柱のひとつに、ヒモをつけた花瓶をぶらさげた。
私はリンドウとワレモコウの組み合わせがとっても好きなのです^^\。

で、
切花をセッティングして悦に入っていると、
コチカが居間に来て物見台に上がっていった。
その振動で、ぶら下げられた花瓶がスチールの支柱に当たり、カタカタ音を立てた。
そのせいだろうと思うのだが……あるいは外になにかいたのか……、

コチカはカーテンを引っかき、物見台と窓との間を必死に見ている。
あまりにしつこくやっているので、私と夫が立ち上がって見てみると、
人間を意識してか、grrrrrrrrrrrrrrr、と台の上にある鴨居にかけてある板に上がった。
そして天井に伸び上がって、壁を掻いた。
どうしたの?と声をかけると、またgrrrrrrrrrrrrrrrrrr、とこちらを睨みつけ、
降りてきて押入れ横の柱に飛びつき、
コチカのために開けてある押入れに中にもぐりこもうとした。
こんなことは初めて。
押入れに入られるのはイヤなので、抱いてやめさせると、
廊下へ走り出て、また戻ってきて、
座ったまま後ろへついた私の手を見据えて、足踏みをしている。
目つきが変!

ちょっと恐かったけれど我慢していると、飛び掛ってきて、両手で私の腕を抱き、噛み付いた。
爪を出してもいないし、甘噛み。ほっ。
そしてまた物見台に上り、天井を引っかき、また降りてきて……を2度ばかり繰り返し、
とうとう私のそばへ来て、伸びてしまった。

いったいどうしたのか???

窓の敷居の外に何かいたのか、
天井あるいは壁と壁の間にネズミの気配を感じたのか、
それとも、
花瓶が物見台に当たることで何かがいると勘違いし、
わくわく興奮状態になったのに、実はなんでもなかったことでがっかりして、
その代償行為として、走り回り、私の手を獲物に見立てたのだろうか。

猫はときどき代償行為をやることがあるので、そういうことならいいのだが、
精神的におかしくなってしまう、という、その気があるのだったら、ちょっと恐い。




 *  *  *  * 




8月31日(日)

涼しいので一緒にふとんで寝ている。
さらさらの空気の中でさわるふわふわの毛並み。
たまりませんなー

しかしながら、ウンチ。ひょっとして、触っちゃってたかも。
ちゃんと言いたまへ!

* * *

コチカを連れ出した夫が、ちょっと窓を開けて、という。
あまり親しくない近所の人から、トウガンをいただいたのだ。
なんでも親戚の家の畑からトウガン……かなり大きく、マスクメロンを3つつなげたくらいの分量はある……が
20個ばかり送られてきたので、近所に配っている、とのこと。

トウガンなんて、8分の1くらいの大きさのがあったら、
ひき肉のあんかけやら、甘辛煮など2、3種類くらいのメニューを作るのに充分である。
それを、1個まるまる。。
大家さんに言いにいったら、当然、もらっている。
要するに近所にもらってくれる人はいないのだ。
さあて、どうするこのトウガン。。コチカは食べないしぃ

そういえば、最近、キャット・フードを食べる量が減っている。

* * *

夜。
涼しくなったから、動きたくなるのだろうか。
走り回っている。
天井とか、押入れの前とか、台所のラックの前とか。
やっぱりネズミ?

*

新聞を読んでいると、新聞の下に何かがある、と想定して、飛びついてくる。
面白いので、新聞の下に手をやり、ごそごそと動かしてやる。
目つきが変わり、後ろ足が足踏みをはじめ、戦闘態勢の構え。
私の手首に飛びつき、抱きつき噛み付いて、後ろ足で蹴る。びよんびよんびよん!

面白いことに、新聞の下でもぞもぞ動かく怪しげな物体を鼻先に感じてるくせに、
目はもっと遠くを伺っている。
飛び掛っていこうとする体の向きも、そっちを向いている。
そして、いよいよ飛び掛る、その瞬間になると、ちらっと鼻先のもぞもぞに目をやり、
こっちにもなんかある!といった感じで、体の方向を変え、飛びつくのだ。

これ、そのように見えるだけなのか、
そういう設定を自分で作っているのか。

そんなことを、3回ばかり。

もうおしまい、と立ち上がると、まだまだ!と足にタックルしてくる。
でももう私は飽きた。
おしまいだから〜、と
所用に玄関の方に行こうと歩きかけると、ダダッと駆け抜けていき、三和土で身を潜めている。
しかたないので、最後の数歩を早歩きで歩き、
柱にタッチして、ダダッと駆け戻る。
触発されて、追いかけてくるコチカ。
私が階段に隠れているのはわかっているので、柱に飛びつく。
私はコチカのお尻をつつく。
もうそれで完全におしまい。
は〜疲れた。




 *  *  *  * 




26 ⇔ 28