2004年7月
17日はコチカの誕生日

~~~ミルク色のコチカ~~~


奮闘記 -38-



素肌に気持ちよい猫の毛



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7月1日(木)

何か書きたいことがあったのに忘れてしまった。
思い出したら書きます。。




 *  *  *  * 




7月2日(金)

久々に追いかけっこ。
階段の下で所在なげに座って、台所に立つ私を見ているコチカを、
意味ありげな目で見据えると、コチカの目も、きっ、となった。
さあさあ、と一歩を踏み出し、体を前かがみにしていくと、
あちらへ逃げ…よう…かな…というコチカの気持ちが体に現れてくる。
向こうへ体が引かれるように傾いていく。
それっ、と前進する私。コチカも走り出す。
玄関へ曲がる角では背を低く丸め、うまく曲がっていく。

トイレにいた夫が出てきた。
何の騒ぎ?と三和土を見ると、
コチカが真っ黒な目をして緊張状態である。
またやってんのね、という顔で、俺行くから、と夫は居間へ戻った。

コチカに近づき、頭をちょいっとやってから、また私は走り出した。
コチカも追いかけてきて、足に飛びついたりする。
台所にたどり着いてから、ばっ!と振り返ると、
コチカは絨毯の巻きつけてある柱を登ってそこから棚の上に飛び移り、
背をきゅーっとアーチ型にしてこちらを見ている。
私はまた徐々に体を傾けていき、だだっ、と駆け出す。
コチカも飛び降り、逃げる。
私は玄関の曲がり角では曲がらず、隠れたままコンコンと壁を叩く。
三和土で待っているコチカは、業を煮やして躍り出てくる。
私は逃げる。
コチカも追いかけてきて、私の足の下をくぐろうとしたのだろう。
私はコチカの背中を踏んでしまうところだった。
足の裏全体にに丸い背骨を感じた。
でも完全に踏まず、私は体を浮かせたのだった。
大した反射神経!
私もまだまだ捨てたもんじゃないな、と言いつつ、息が切れて座り込む。
コチカは物足りないらしく、早くやろ、うぉー、と私を呼んでいる。
もう今日はこれまで。
またやろうね。あーぜいぜい。




 *  *  *  * 




7月3日(土)

なんか体が苦しい、と思いつつ目覚めると、
仰向けに寝ているのだが、首は枕に置きながらも体はくの字に曲がっていた。
横を見ると、コチカがかなり私の側に進出してきている。
夜中にコチカに触ってはいけない、と頭にあり、夫に接近すると暑いし、
というわけで、極度に孤立・緊張した体勢で寝ていたらしい。
首は痛いは、曲げていた左わき腹は痛いは。
かわいそうな私…だと思う。

* * *

梅雨どころかもう夏も終わり、秋なのか、と思うようなさわやかな今日。
東西に面した2階の寝室には、からりとした風が吹き抜ける。
階段を上っていき寝室をのぞくと、畳の上で寝そべるコチカの鼻先が見える。
気持ちよさそうだね、と部屋に入っていくと、
目に優しい明るさの中で、ほわほわとそよぐコチカの毛は、
光を帯びたみたい真っ白なのが、古ぼけた畳に不釣合いで、
ひょっとしてこれは夢ではないのか、と錯覚を起こしてしまう。
でもようく見てもこれは一緒に住んでる猫であり、現実なのだ。

* * *

お尻の毛が他の毛よりも、もこもことしていて、ときどき塊でごそりと抜ける。
抜けると気持ちいいので(私が)、わざわざ引っ張ってみるのだが、
抜けないときもあり、そうすると痛いらしい。当然なのだけど。
かわいそうなのでもうやめるけど、でもなんであんなに抜けるのだろう。
いいのかしらん。




 *  *  *  * 




7月4日(日)

朝、夫と散歩に行こうと先に玄関にきていたコチカに、
お外行くんだ、いいね〜、などと頭を撫ぜながら言っていた。
しかししばらくして来た夫が、
リードをつけて玄関のドアを開け、よし行くぞ〜、と言っても、
コチカは行きたがらない。
なんで?と夫と顔を見合わせた。

コチカは夫と私が連れ立って玄関から出て行くときには、
たいてい一歩下がって見ているのだ。
自分は行きたくない!のポーズなのである。

だから私が一緒に玄関にいる、ということは、
自分もどこかへ車で連れていかれる、と思ったのかもしれない。
それなら嫌だー、
自分だけ先に外に連れ出そうとしたって、その手には乗らないぞー、
というところだったのだろうか。

どうにも行きたがらないので、
しばらく時間がたってから、また連れ出して散歩にいった。
結構気を使うものである。

* * *

動物用無駄毛取りブラシで尻尾の毛を梳いた。
ごっそり抜けてほっそりなった。
コチカは尻尾を舐めないので、余計に抜け毛が多いのかも。




 *  *  *  * 




7月6日(火)

夜中。
ウンチ〜、と2回。

通常ウンチの声が上がると、コチカを抱っこしてコチカ・トイレに連れて行く。
しかし2階にいるときには、コチカを抱っこしないで、
さあ下に行こう、と行って私が先に下に降りてくる。
そうすると、コチカもついてくるのだが、どうやらしぶしぶだったらしい。

私が下に来てもコチカは来ないので、
もう一度2階に戻り、寝室をのぞくと、
コチカは私に声をかけたときと同じ姿勢…私が寝ていた方を向いて正座している。
夫が寝ているので、コチカ、ウンチでしょ、と内緒話の声で言うと、
立ち上がってついてきたが、階段を降りようとすると、
ねえ待って、というように、手を上げて私に飛びつこうとした。
コチカは抱っこしてほしかったのかな、と初めて思った。
しかしコチカを抱っこして寝ぼけて階段を降りるのが恐いのだ私は。。

無事ウンチがすむと、残ったご飯が入った器の前で、にゃ〜。
最近は暑いせいで食が細っているので、カツオブシをやったらご飯にパクついていた。

* * *

夕方の散歩。
ソラちゃんを連れたお嬢さんに会った。
この間はお父さんが連れてらしたでしょ、と言ってみたら、
首をかしげている。
ソラちゃん、靴下はいてたでしょ(6/30の話)、と言ったら、
いいえ、との返事。
え〜〜〜〜!!!
ということは、あれは別人ならぬ、別犬だったのか。
前にコチカが引っかいたからソラちゃんはコチカが恐いはず、だの、
と言った話は、先方は全然わからなくて、?マークがいっぱい飛んでいたはずだ。
ソラちゃん、とか平気な顔して呼んでしまって、恥ずかしい。
言ってくれればいいのにな、あの男性も。。




 *  *  *  * 




7月7日(水)

コチカの背中をすぅっと動いた黒い影。
ぬぬ!と白い毛並みをかきわけていくと、なんとノミである!
なんでえ〜〜〜〜!!!
あんなに痒い思いをさせて薬をつけているのに。
でもそういえば去年もノミが1匹いたのである。
家の脇で死にそうだった子猫を拾った後だったように思う。
あのとき殺してしまったのだが。
なぜ1匹だけいるのだろうか。
まあノミも嫌われながらも世の中に存在するのであって、
猫に住み着いてこそ存在価値がある、というもので、
コチカが安全な棲家だということかもしれないが、やっぱり嬉しくない。
いったい薬は効いていないのか。
どうなんだ。くにゃろ〜




 *  *  *  * 




7月9日(金)

暑くて死ぬ〜
と思いながら朝の散歩。

コチカのリードを駐車場フェンスのポールに引っ掛けて通りを掃除していると、
にゃっ、にゃっ、と声がするので、
車の下を見てみたら、なんと先客がいたのだった。
よりによってアスカである。
しかしコチカのリードはぎりぎりアスカに届かない。
リードを引っ張るだけ引っ張って、なんとかアスカに近づこうとする。
アスカは横になったまま、cha"〜〜と面倒くさそうに言っている。
そのまましばらく放っておいたのだが、
掃除も終わったし仕方なく無理やり連れ戻した。
ちょっこらちょいで来ないから、リードを引っ張ってみたが、
首が絞められそうだし、尻尾を引っ張ってずるずる、っと引き寄せ抱き上げた。
うぉー、ふっ、ふー、と不満そうなコチカ。

*

大丈夫かな。これで今日は荒れないかな。
と不安だったが、そのまま夜に。
でもやっぱりちょっとは欲求不満が残っているのか、
ひさびさに私の手を相手にレスリング。
でもちょこっとだけ。
もうあんまり面白くないのかな。




 *  *  *  * 




7月10日(土)

夜中に小さく甲高い声で起こされた。
ウンチかと思いきや、ご飯ちょうだい、だった。
このところの暑さで、朝いつもたくさんご飯を残しているので、
少なめにしておいたら、足りなかったのだ。
うまくいかないもの。

* * *

居間の押入れの脇にある柱で爪を研ぐとき、
研いでいてどういう気持ちになるのか、
最後にうなりながら弾みをつけて引っ掛けた爪をはずし、ぴょんと飛びのく。

柱には切り売りの絨毯が巻きつけてあるのだが、
コチカが来てから設置したものであり、もう相当年季が入っている。
爪を研ぐことによって硬かった絨毯の繊維が切られ、表面がふわふわになっていて、
絨毯としてはこの方が妙に上等に見えるのだが、爪を研ぐには不満が残るところだろう。
ふんわりした絨毯に刺さった爪が引っかかって取れなくなり、鳴き声を上げることもある。
そんなときには、上まで上っていってなんとか自分で取るのだが、
張り替えないとな、と夫と言いながらももう何ヶ月にもなる。
やんないと。。

* * *

台所のシンクに立つ私の位置から、
お風呂横の洗面台にコチカが座って窓の外を眺めているのが見える。
たいていコチカは座った位置から網戸ぎりぎりまで首を伸ばし、
暗い車庫から通り、そして向かいの家の庭から情報を得ようと、鼻をひくひくさせている。
ところが今日はコチカは窓の方向を向いていなかった。
こちらに背をまっすぐに向けている。
どうしたのだろう、とコチカの頭のあたりに目をやると、
鏡に映ったコチカの黒い目と視線が合い、ぎくりとしてしまった。
思わずコチカっ!と叫んだら、コチカもにゃっ、と言ってこっちを振り返った。

コチカは鏡越しに私を見ていたようだけど、何見てたの?
なにかそんなに気を引くようなことをしていたかしらね。。

コチカの顔を薄暗がりの中で見ると、
白い顔の中に目がぽんぽんと黒いのがまるで骸骨みたいで、
気を抜いているときには、心底ぎょっとする。




 *  *  *  * 




7月12日(月)

昨日の夜中は暑くなくて過ごしやすかった。
コチカは数時間ふとんで寝てたから、やはり涼しかったのだろう。
でも気がついたときには、私の領域にお尻がはみ出ていた。
コチカのシーツに戻そうかどうしようか迷ったが、
また発作が起こると面倒なので、そのままにしておいた。

* * *

お風呂に入る前になんとなく両腕を振り子のように振って体をほぐしていたら、
天井への坂道が置いてある脚立に座ってじっと見ていたコチカが、
うにゃーん、と言いながら降りてきて、
振っているその手はなんだ、という目で私を見上げた。
振り続けていたら、私の足首に手を出してみたり、
ちょっかいを出してくる。
不断の動きが、落着かない気持ちにさせたのか。
抱っこして、右手で頭をちょん、っと突いてみたら、
コチカは両手で抱きついて噛んだり舐めたり。
しばし抱っこしたままでレスリングをした。
エアコンが効いているので、
乾いた肌にコチカの極上のふわふわ毛が、気持ちいい〜
コチカは決して爪を出さないし本気で噛み付きもしないので、10分くらい遊んだ。
あー面白かった。




 *  *  *  * 





うでまくら

7月13日(火)

朝、散歩に出て駐車場のフェンスのポールにリードをかけたっきり、
午後をかなり過ぎるまで忘れていた。
この暑い日に溶けてないだろうか、と大慌てで見に行ったが、
なにしにきたの?と怪訝な目で見るコチカ。
塀と車の間の隙間である。
地面を触ってみると、さほど熱くはない。ほっ
でももう無理やり抱っこして中に入れた。
カツオブシをちょこっと食べたら、ほどなくして吐いた。
私の横にわざわざ飛んできてしゃくりあげるので、
ティッシュを敷いてやったらうまくその上に吐いた。
すぐ丸めてしまったので何を吐いたかわからないが、
結構ぼったりと重いので、毛玉を吐いたのだと思う。




 *  *  *  * 




7月14日(水)

夕飯の支度で騒々しい台所を通り過ぎて、洗面台から窓を眺める。
そこへ、ばしゃばしゃばしゃ、と耳に懐かしいカツオブシの袋を開ける音。
むむ、とこちらを見るコチカの様子は、
きっ!と空気が固くなるのでコチカを伺っていなくともわかる。
果たしてコチカはいそいそと洗面台から降り、
足元に来て人間の顔を見上げ、にゃぁっ!と思い切り叫ぶのだ。
カツオブシちょうだい、というのに、そんなに憎たらしい顔するのは筋違いなんじゃ?
と思うが、おかしさとかわいさで、へいへい、とやってしまう。




 *  *  *  * 




7月15日(木)

夜遅くに帰宅したので、抱っこしてお散歩。
アスカの姿が遠くに見えたが、コチカは気付いていない。
タローが門から出てきて寝そべっている。
今夜は風が涼しいからね。

十字路に行ったらカップルがいる…いつものように座って抱き合って…蚊に刺されないのか…いいじゃんどうでも…ので、
しかたなく回れ右をして戻ってきた。

* * *

昨日の夜はオシッコがほとんどたまってなくて心配したが、
今朝はいっぱいたまっていた。
今夜、たった今させたら、またあんまりたまっていない。
夏はこんなものなのかしら。




 *  *  *  * 




7月16日(金)

暑くて蒸しむし。
朝散歩に出たら、もうすぐに駐車場へ。

* * *

夕方のお散歩。
十字路の駐車場の奥の方に行ったら、
アスカが寝そべっていた。
あ!いた〜〜〜〜、とばかり浮き足立つコチカ。
アスカは、せっかくくつろいでるのにぃ、と不満そうな声を上げている。

コチカはそばに行きたいのだがアスカの、あ〜、に近寄れないものを感じている。
うろうろする若造に落ち着かない気持ちになったアスカは、
よっこらしょ、と立ち上がって歩き出した。
追いかけるコチカ。
アスカは早足になって、冬の間やっかいになっていたお庭の広いお宅の裏口から入っていった。
コチカも入りたいが、そうはいかず。
しばらくストーカー的行為を続けていたが、頃合を見て抱っこしてうちへ。




 *  *  *  * 




7月17日(土)

誕生日の今日、
ちょっとはいいことしてあげよう、と思っていたけれど、
夕方の散歩も、蒸し暑くて蚊がブンブン唸っているし、
そんな状況で今日はコチカの誕生日、
というおめでたい気持ちを持ち続けるのは難しかった。
とっとと帰ってきて、カツオブシをいつもの量やって、
おしまいである。
ま、ね……。

毛を透いていてわかったのだが、
骨盤の下、太ももの辺りが、触ると気色が悪いらしい。
なので今夜は気のマッサージをしてあげようと思う。
2004年7月17日誕生日の朝のコチカ
コチカ3歳の誕生日の朝
* * *

Clinic Clubによる猫の人間への年齢換算表によると、
2歳で32歳だったコチカはまだ40歳にはなっていないが、
その中間くらい、ということか。
別の換算表もあるようだが、そう大差はないだろう。

細やかな毛並みに包まれたうにゃうにゃした肢体の、
ときどき甘えるように高い声で鳴くコチカは、
まだ子供みたいに見えるが、どうしてどうして脂の乗った中年おやじなのだ。
ふーん。。というか、あーあ。。というか。
こうして人間の齢をどんどん越して、人間よりも早く死ぬ。
そう考えると淋しくなってしまう。

でもチェリーんちのペッタンだって相当な年である。
15年生きてるというから、うひょー!もう80歳をとうに超えているが、
早くに去勢したせいもあって小柄で、やっぱり子供みたいに見える。

そういえばこの間、ペッタンとコチカが見合ってしまったとき、
私もチェリーんちの奥さんもじっと見ていたのだが、
上品な顔立ちですね、と私が言うのと、
かわいいお目々ね、と奥さんが言うのと、同時だった。
そばにニャオンがいたが、ペッタンと比べてみると、なんと険しい顔つき。
よほど辛い人生ならぬ猫生を送ってきたに違いない。
やっぱり家猫はのんびりのほほんと余裕がある中で暮らしているから、
それが顔に出るのですね、と言ったら、
お宅のコチカちゃんもそういうことね、
お坊ちゃん育ちだから、大目玉どろ〜りだわ、といわれた。
大目玉どろ〜り。。
白い顔だからか目ばかりよく目立ち、
薄暗い中で瞳孔が開き切ると、ぬらぬらとした大きな黒い目が強調されて、
おっしゃるとおり、大目玉どろ〜りである。
これがコチカの生まれついての美貌ではあるけれど、
やはり育ちのせいでもあると思う。
この先何年生きても、大目玉どろ〜りでいてほしい。

ペッタンは15歳だけれど、全然元気でまだまだ大丈夫そうである。
これまでにチェリーんちでは、
一緒に住んでいた交通事故で顔半分にダメージを受けていた猫(名前を忘れた)と、
高齢だったシルヴィーがエイズで死んだ。
捨てられていた子猫が死に、電信柱から落ちたスズメが死んだ。
子猫とスズメは私が拾ったのだが、
チェリーんち奥さんに相談に乗ってもらったし、お世話にもなった。
奥さんがご飯をやっているニャオンもなんだか病気勝ちで、
タロウは肺に問題があるらしく、食が細っている。
今やよそのお宅のできごともノラ猫も他の生き物も植物も、
自分ちの動物同様に気になる存在である。
チェリーんち奥さんにとっても同じことだろうと思う。
こうしてみると、いろいろあるのだ。
しかし奥さんは、いつも明るく優しく感情的になることもなく、
たった今どうすればよいか、だけを考えているように見える。
宿命的にノラにはならず、そんな奥さんに飼われているペッタンは、
15歳の今もまだ毛並みのきれいな若い猫のようにしている。
それはひとえに飼い主さんのお陰ではないだろうか。
私もそれで行こう。
案外猫って長生きなのさ。
習慣になっている日課をきちきちしてやっていれば、
そうも動物にストレスをかけないものだろう。
そして、あんまり深く考えないこと。である。ね^^\




 *  *  *  * 




7月18日(日)

目を覚ましたら、コチカは畳の上に向こう向きに寝ていて、
私の位置からちー玉が丸見え。
朝から結構なものをば拝見し。。

起きたらすぐに、にゃ〜
お散歩!というよりは、車の下でくつろぎたいのだ。
いまやこれが定着している。

外へ出ると、向かいの家の駐車場を、塀の脇からのぞく。
誰もいないのに、いるかのような緊張感を背中に漂わせるのは、
そうであったらいいな、という期待によるものか。
2台分の巾の駐車場を注意深く見て歩き(私にとっては苦痛な時間。東から差す太陽が暑いのなんの)、
それからうちの車の下に来る。
私はさっさとリードをフェンスのポールにかけて、引き上げる。

* * *

結局4時ごろまで車の下にいた。
2時間くらい家の中にいて、ご飯を食べて、また散歩。

ニャオンもタロウも車の上にいた。
その方が涼しいのかな。
チャコちゃんちとチェリーんちの境の塀には、珍しくミルボーがいた。
アスカは水を打ってまだ濡れている庭のコンクリートの上で寝そべっている。
コチカはじっと門のところで見ているのだが、
猫たちも落着かないだろうし、蚊がすごいので、抱っこの実力行使。
十字路の駐車場へ直行。
そこでごろんごろんと転がる。
これが2回ばかりできたら、充実した散歩と言える……ということにしている。。




 *  *  *  * 




7月20日(火)

台所で冷奴にカツオブシをかけた。
ぷーんといい匂い。

居間のからクーラーの冷気が台所へ来るから、
コチカの方にカツオブシの匂いは行かないかな、
と思いつつ暖簾の間からのぞいてみると、
果たして、
居間で向こう向きにぐってり寝そべっているコチカの頭だけ、
むりやりこちらに捻じ曲げられ、らん!と2つの目が真っ黒真剣そのもの。
おもわず笑い声を上げたら、Grrrrrrrrr、と立ち上がり、
うろーりと台所に来て、ご飯の器の前に座った。

おとといの夜中には、
ご飯なくなっちゃった、ご飯ちょうだい!と起こされたので、
昨日は多めに入れておいたら、今朝はたくさん残っていた。

なので今夜はおなかがすいているはずである。
出汁を取る用の硬いカツオブシだとカツオブシだけ食べて終わりらしいが、
花カツオだと、キャット・フードにまとわりつくので、一緒に食べられるらしい。
夏はこれ、人間用の花カツオですな。




 *  *  *  * 




7月21日(水)

朝から恐ろしく暑い。
お昼前に出かけるし、早く入んなさい、
などといってばたばたしたくないので、
今日の散歩、というか、駐車場行きはなし。

* * *

私が帰宅して玄関のドアを開けたら、
コチカが寝そべっていた。
あ、お帰り、と頭を上げるでもなく。
暑いのだ。
いつからそうしているのか。
今日、家中で一番涼しいところが三和土だったのだろうか。

*

私が居間に落着いて間もなく、ウンチ〜、というので、
立ち上がったら、なんとコチカはまず柱の絨毯でのびをしついでに爪を研いだ。
待たせるっての、とむっとしながらも、体をかがめて膝に手をついた状態で待っていたら、
私の顔の下で爪を研いでいたコチカは、柱の真ん中くらいまで登リはじめ、
私の鼻先に背中をこすりつけたあたりで止まった。
ったく、と背を伸ばしたら、柱に引っかかったまま上目遣いに私の顔を見るコチカ。
ナニ考えてんだか。
ふざけてるのかなあ、こういうのって。。

ちょっと前まで爪が長すぎるのが気になっていたが、
どうやらぼちぼち剥がれてきたようだ。
昨日は、厚いしっかりした爪の皮(?)がごっそり抜けていた。やれやれ。




 *  *  *  * 




7月22日(木)

夕べは久しぶりに涼しく、目を覚まさなかった。
日中も風が乾いていてそう暑くなかった。
ようやくほっとできた今日一日。

散歩に出ると、ノラたちの朝ごはんタイムらしく、
猫たちがぼちぼちと集まってきている。。
キ、キーとドアが開いてチェリーんちの奥さんが出てくると、
一斉ににゃ〜!!!と声をあげ、奥さんの方に近づいていき、
そしてまた散っていく。
みなそれぞれご飯を食べる場所を決まっているので、
めいめいの位置につくのだ。
奥さんはレストランのウエイトレスよろしく、
猫別に違う食事を乗せたお皿を片手に持ち、
所定の位置で待機する猫たちにご飯を配っている。

タロウが植え込みの下で何か食べていた。
食欲が戻ってきたんだな、と思ってみていたら、
さっきまで大声で鳴いていたカラスが急降下してきて、
タロウのしっぽをつついた。
驚いたタロウは、当然どく。
その隙にカラスはなんか長いものを3回ばかりペロペロと食べてしまった。
私は駆け寄って追い払いたかったけれど、
コチカを抱っこして急ぐにはちょっと遠かった。

後で出てきた奥さんに言ったら、
あれはお刺身だったのだそうだ。むっ




 *  *  *  * 




7月25日(日)

夜中にはちゃんと寝室にくるコチカ。
1度はにゃー!とどこから出すのか、細く高い声で私を起こすのである。
ウンチかと思いきやそうでもない。
なんだかよくわからないけど、よしよし、寝なさい寝なさい、
とか言って撫ぜてやると、コチカのシーツに横になる。

人間は、
あまりの暑さにクーラーを29度にしてかけたまま眠ってしまう。
その間はコチカもふとんで寝ているが、
タイマーが切れると暑いので、畳に移動するらしい。
朝暑くて何度も目が覚めるが、その都度コチカの寝ている場所が違う。

* * *

夕方の散歩。
隣の家の植え込みの下にペッタンが寝そべっている。
コチカは挨拶かたがた喧嘩を売る。
その向こうの門にいるタロウは、コチカがうちから出たのを認めると、
面倒くさそうに避難していく、とチャコちゃんちの奥さんが言っていた。
永久に仲間に入れてもらえそうにないな、これじゃ。




 *  *  *  * 




7月26日(月)

座っている私の横で寝そべっていたコチカが、
のびをするのに、うーんと片手を伸ばし、私の腕に手をかけた。
そばにいるとコチカはよくこうする。
素肌に暖かい猫の肉球よ、と思っていると、
だんだん爪が触ってきた。
先を見越して、
チョチョ(最近こう呼ぶ)、イテテテテ、痛いよ!と大げさに声を上げると、
爪を引っ込めた状態で、手を落とし、ぱたりと今度は私の太ももに置いた。

太ももは腕よりも冷えているのだろうか。
さっきよりもっと肉球が暖かく、というより熱く感じた。
コチカは手を置いたまま、首を曲げて胸の辺りをなめている。

爪がだんだん出てきた。
太ももに体重を預けているけど、どうするつもりだろう、と思いつつ、
痛いよ、爪出さないでよ、やめてよ、
と言っていると、なんとコチカは、
爪を引っ込めると同時に、ひょいっと後ろ足を大きく持ち上げ、
うまくはずみをつけて置いていた手を私の太ももから放した。
うーん!感心!
あーコチカコチカ。。
生きとし生けるものの尊い思いやりよ。
こういうこと、何度あってもいつも感動してしまう。




 *  *  *  * 





お気に入りの場所

7月27日(火)

はっ、と気がついたら午後3時。
いっけないコチカを車のところに放ってある!
座りすぎでしびれた足を引きずりながら、外へ行ってみると、
コチカは私の足音を聞きつけてか、両手を伸ばして、
うわーっ、とあくびをしている。
覗いた車の下に、いきなりジョーズさながらの図。
ジョーズにしては寸足らずなのだけど、
それにしても、するどい牙とぎざぎざの歯、
そして洗濯板状だらだらの上あごの内側は、結構迫力ある。

コチカは自ら這い出してきたが、
ウンチなぞないかな、ともう1度見てみると、
食パンをちぎったみたいなのが、2切れ置いてある。
当然コチカは食べないけれど、誰だ、そんなのやった人は。




 *  *  *  * 





7月28日(水)

朝、風呂場の網戸が外れていた。
ガムテープがもうくっつかなくなっていたようだ。
しかし網戸が外れて開いた隙間は5cmほどだったので、
コチカは出ることができなかったようだ。ほっ

* * *

昨日の夜中は、またやられた。
いきなり高く細い声で怒り出し、私の手を噛んだのである。
コチカはふとんの上、私の枕の横で寝ていたので、
きっと私の手がぺん!なんてはたいてしまったのだろう、
と思いつつ、ごめんごめん、と言ってみた。
コチカは、ごめん、という言葉がわかる。
反省している態度が伝わるのだろう、と思うが、
その言葉でコチカはちょっとやめた。
でもやっぱり収まりきらず、高い声を上げながら噛んでくる。
今度は、だめでしょ、と言ってやった。

すると、ふとコチカの表情が変わった。
耳をピーンと立て、外の物音を聞いている。
そして、ぴょん、と身を翻して引き戸から出て行った。

庭では猫の声がする。
なーんだ。
現実のできごととが夢の中に現れて、
夢主がなにか行動を起こすことがあるが、それだったのだろうか。
だったら私は痛かっただけじゃん!




 *  *  *  * 




7月29日(木)

夕べもまたコチカは発作を起こした(とうとう発作と呼ぶことに)。
今回はちょっと長かった。
夫も起きて、こら、と言ったり、コチカの嫌いなうちわを見せたり。
私が強い調子で、だめでしょ、と何度か言っていたら、
収まってきたのかじっと丸く座っていて、やがて布団に寝なおした。

なんだろう。
不都合があると、夜中に噛み付くような気もする。

最近、クーラーの風向きを夫優先になるよう、
ふとんの位置を極端にずらしているため、
コチカ用の畳がコチカの体の巾しかなくなっている。
そのせいだろうか。
夫の側に行けば、ダーン、と広く空いているのだが、
なにしろ慣れた場所にしかいかない猫。
今夜は元に戻してみよう。

* * *

台風の影響で雨が降ったりやんだりの今日、
コチカは午後遅くまで下に下りてこなかったようだ。
低気圧だと、全くダメを決め込んでグースカ寝ているコチカを見ていると、
人間だってだるくて眠いのも当然、寝ててもいいんだな、という気になってくる。
寝ないけど。。

* * *

夕方になってようやく雨も降らなくなった。
しかし道が濡れている。

あ〜、とコチカが声を上げる。
外行こー、である。
道が濡れてからだめ、と首を横に振る。
ち。という表情で一旦コチカはどこかへ行く。
また戻ってきて、あ〜〜!!
だめだめ、と首を振る。
3回目。あ〜〜〜!!!
雨が降って道がまだ濡れてるから……と言ったところで、
そんな話は聞きたくもない、とばかり目を閉じながら、あ"〜〜〜〜!!!
この表情が結構憎ったらしくて、ダァメェ!と私も声を荒げる。
うぉ〜〜〜、と悪態をつきながら玄関の方へ行くコチカ。
また戻ってきて、んにゃ〜〜〜!!!
しょうがないなあ、と諦めつつ、もうちょっと後でね、と言ってなだめる。
雨上りは大概この順序のような気がする。




 *  *  *  * 





7月31日(土)

夕食後、コチカが甘えた目をするので、
そばへよっていって撫ぜてやった。
そうするうちにコチカは私の太ももにもたれて、眠り出した。
ときどき薄目を開けて私を見る。
覗き込むと、コチカは後頭部をももに押し付ける。
甘えるときのしぐさである。
かわいいので、顔を耳にかけて撫ぜてやっていたら、
何回目だったろう、私の手を両手でつかみ噛み付いた。
あれえ、撫ぜてほしかったんじゃなかったのぉ?
もうそろそろやめてほしい、と思っていたのだろうか。
その頃合というのがいつもわからない。
もう触るのはやめようと思い、私は体を離し、横になった。
コチカは体を向こうに向けた。
そのまましばらく人間はテレビを見ていたりして、
平和な時間が過ぎた。
ところがティッシュを取ろうとして、
体を起こしたら、畳にくっついた腕の皮膚がバリッと音を立てた。
コチカは反射的ににゃ〜〜、とかん高い声を上げ、体を起こし、私に噛み付いた。
例の夜中に起きる発作である。
夫がきびしい声で、コチカ!と呼んだり、
その反動で私が驚いて、
頭にきたのね、などと猫なで声をかけたりしたら、
収まっていったのか、しばらくじっとしていてから、
元通り横になった。
うーん。
まどろみを邪魔されるとストレスとなり、
噛み付きたくなる衝動に繋がるらしい。
寝ているときにはなるべく触らないこと。これに限るかも。

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