2005年7月その3

~~~ミルク色のコチカ~~~
+豆台風:ミュミュ



奮闘記 -50-

その3(7月21−31日)

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必死で登るミュミュ
ミュミュが脚立に上った!(28日)


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7/22 ミュミュ:おっぱい風わんこは一度だけ コチカのトイレにも入ってみる 7/22 コチカたじたじ 7/23 コチカとミュミュのやりとり
7/24 ・里親さん決定! ・コチカに噛まれた ・やはり去勢をした方がいいのでは 7/26のコチカとミュミュ1
7/27 子猫のにとってのトイレまでの距離とは? コチカとミュミュ3−ちょっと進歩 7/28 ミュミュ:脚立、そして物見台に上れた
7/30 猫たち最後のバトル 7/31 コチカ、ミュミュのまねをする? 里親さん宅で2日目のミュミュ

7月21日(木)

昨日よりは暖かいけれど、すごしやすい日。

コチカの散歩に行っている間、ミュミュは居間に置いておいた。
というのも物見台の下でうろうろしていたので、そのうちに眠るだろう、と思っていたから。

帰ってきてみたら、姿が見えない。
そう広くない私んちも、子猫が遊ぶには十分な広さの結構なワンダーランドのように思えた。
しばらく探した後、名前で呼ぶのはどうかと思ったが、しかたなくミュミュ!と呼んで歩いていくと、
玄関付近に置いてある洗濯機の後ろから、みゅー!と返事が聞こえた。
げげげげげ。
上から洗濯機と壁の隙間を覗くが、暗くて見えない。
懐中電灯と椅子を持ってきて、見てみると、顔を思い切り上に向けて、
らん!とまん丸な目がこちらを見ている。
洗濯機を稼動してなかったからいいけど、してたらどういうことになっていたか。

まわりをようく見てみると、洗濯機の横においてある、
プラスチック製の隙間引き出しの下の隙間…わずかに5cmくらい…のところから、
入っていったのだ。
ったくもー
ここは500mlのペットボトルを押しつぶしたものでふさぎ、
別の隙間は、ティッシュケースをふさわしい大きさに加工(?)してふさいだ。


* * *

コチカは、外が気持ちによい風が吹いているので、
玄関のノブにリードを結わえておいた。
何回見に行っても、中へ入ろうとしないので、午後を過ぎるまで放っておいた。

* * *

ミュミュは午前中は、かりかりとドロドロキャット・フードだけで、
おっぱいワンコは1回だけだった。
その代わり、どろどろキャット・フードを食べている間も、両手は床をもみもみしている。

ただ、私の手とレスリングをしていて、おなかが空いてくると、
手にしがみつき、パニックに近い状態になる。
でもどろどろキャット・フードの前に連れていってやると、お皿からちゅうちゅう吸い、
おなかがくちくなると、おさまってしまう。
よしよし。
確かに成長してきているのね。

午後もずっとケージの外にいるミュミュ。
もうすっかり部屋の配置が頭に入っていて、
私を中継地点にして物見台と台所を行ったり来たりして遊んでいる。
気まぐれにごろりとなって眠ってしまったり。
やっぱり猫っていいな。


* * *

夕方の散歩。
コチカが玄関に走っていくと、ミュミュも当たり前のよう追いかけていった。
仕方ないので、小さな保冷バッグの中にミュミュを入れて、連れ出した。

お隣のご夫妻とそのまた隣の奥さんが連れ立って出かけるところだった。
あらあ、かわいらしい!サブちゃんみたいだね。
とそのまた隣の奥さんが言った。
サブちゃんとは、昔お隣にいた4匹の猫のうちの1匹だそうだ。

バッグから顔を出しているミュミュが出たがって私の服に爪を立てている。
早く散歩して帰りたいのに、コチカはアスカが気になって動かない。
アスカは庭のずっと向こうに寝そべってこちらを見ているのだ。
まったくふてぶてしいったら。

ミュミュがもがいて気の毒なので、服地に張り付かせて、
手で支えながら、歩いた。
人間の赤ん坊みたいに、かえる足にしているので、妙に落ち着きがいい。
腕を後ろ向きにしていて、ペンギンの赤ん坊みたいである。
ミュミュは奇妙なことに、うつぶせに寝ているときにも、手を上に向けているときがある。
コチカはそんなことはしない。

抱っこするのに手が疲れると、またバッグに入れる。
ちょこっと顔を出しているミュミュ。
行き会う人々にいちいち可愛いねー、と言われながら、
ようやく玄関に戻ってくると、いよいよミュミュがバッグから出ようと必死になっている。

最後にいつもコチカは玄関先を探索する。
今日は珍しく大家さんちの玄関をくんくんしていた。
ミュミュが下に下りる〜、と服地に引っ掛けていた爪を順々にはずし、ワンピースを下りていく。
爪が糸に引っかかったら痛いだろう、とそれを気にかけていたら、
なんとコチカは複雑に置かれている植木鉢の間に入り込んでしまった。
私は強い調子でコチカを呼び、どうしようもないので、リードを強目に引っ張った。
その剣幕にコチカは、こりゃまずい、と思ったのだろう。
行こうとしていた方向を諦めて、途中から出てきた。
私が抱っこしようと、胸の下に手を入れると、
ががが、とか言って怒っている。
見ると、左足に、リードが何回か巻きついていた。
なんでそうなったの?
とりあえず、玄関に入れ、私も気持ちを収めつつ、コチカをなだめた。
そしてまた外に出して、門に繋いでおいた。
家の中ではミュミュがいるし、少々ストレスが溜まっているはずだから、
なるべく穏やかな気持ちに戻しておきたいしい。。

* * *

それから私は買い物に行くのに、ミュミュをケージに放り込んだら、
え、なんで???と悲痛な声を上げていたが、だってどっかに入り込んだら嫌だもの、とあっさり無視。

コチカのカツオブシをご飯の上にかけてやって、コチカを中に入れ、出かけた。
コチカは久々に、一人の空間を満喫した…はず。。
帰ってくると、ミュミュは観念して寝てしまったのか、ベッドの中にいた。
目をうっすら開いていて、私の物音がしたら、みゅー、と声を上げたが、
動かないまま、目を閉じた。
ずっと起きていたのだから、眠かったよね。。




 *  *  *  * 


7月22日(金)

ミュミュはずいぶん大きくなった。
おっぱいワンコは夜になって一度だけ。

人間の手に触れて、おっぱいが恋しくなって、パニックを起こしそうになっても、
どろどろキャット・フードのお皿を差し出すと、お皿からちゅぱちゅぱやって満足している。
ただ、手だけは床をもみもみしているが。。
かりかりと、ふやけたキャット・フードの両方を食べている。


* * *

朝の散歩。
ミュミュも一緒。
手に抱いていった。

チャコちゃんちの奥さんが、ちょっと貸して〜、と抱っこしていき、
どうやらお母様に見せたようだった。
チャコちゃんもこのくらいの頃から育てられているのだそうで。

奥さんは、小学生が通ると、ほら、と見せている。
やはり、子猫のかわいらしさは、共有すべきことらしい。。

近所の小学1年生の女の子がにこにこしながらそばにきて、
ずっと一緒に話をしていた。
かわいいねーを連発するので、抱っこしてみる?というと、遠慮する。
でも動物は好きらしくて、チェリーとまー君が散歩に行くのに行き会うと、
女の子は奥さんと話をしながら一緒に行ってしまった。

* * *

コチカにノミ!
撃退。

* * *

夕方、ミュミュお風呂。
ノミを3匹撃退。
これで全滅か。

さんざん遊んだ後でもあったからか、
ドライヤーで乾かし、新しくした毛布の上においてやると、
そのままの格好で眠ってしまった。
夜まで起きず。


*

ミュミュはもうがに股ではなくなっている。
まだ一歩一歩を骨盤から動かすようにして歩くので、
体が左右に揺れるようだが、
後ろから見た感じが、今までは横に丸っこかったのが、
今はすっと縦に長い。

かかと部分が、かーっとあがっていて、
長靴を履いた猫、というのは、こんな様子からできた物語か、と思った。

階段も2段目まで上ってみた。
不思議なことに、玄関の三和土から上がりハナへは、階段の一段より高い。
なのに、ひょいっと上る。
しかしなぜか階段を上るのは手間取る。

コチカは、ミュミュのご飯の匂いを嗅いでは、その周辺を猫砂を掻くように、掻く。
今日は、ミュミュも同じことをしていた。
まねをしているのだろうか。
それとも猫として、そうしたくなるのだろうか。

コチカは、お水のお皿のまわりも同様に掻く。
ミュミュはそんなことをしたことがなかったので、
私にはミュミュがまねをしているように見えるのだが。

コチカのトイレにも入ってみた。
もうすぐトイレ自体を洗おうと思っているので、砂が少なめである。
そこでじっと止まって考えていたり、砂のないところまで掻いてみたり。
もう砂を口に含んだりはしないらしい。

* * *

二匹とも居間にいなくて、どこにいるのだろう、と廊下へ出たところ、コチカに会ったので、
ミュミュは?と聞いてみると、私を振り返りながら、連れていこうとした。
そこへミュミュが玄関の方から来た。
コチカは、ほら、というように私を見た。
こういうコミュニケーションって嬉しい。

コチカがミュミュをくんくんしたら、
なんとミュミュは、暗がりが恐かったのか、体を引いている。

ミュミュは私の姿を見ないうちに、私のどたどた言う足音を聞くと、
どうやら身を引いているようだ。
うちには今、人間2人、ミュミュ以外には猫1匹なのに、
まだそれが把握できていなくて、警戒をしているのだろうか。
それとも大きな物音になかなか慣れないでいるのだろうか。

そろそろうちに慣れてきたのに、よそへもらわれていったら、
また慣れるのに、1からやり直しだと思うとちょっとかわいそう。。

そういえば今日、私が寝そべっていたら、太ももの裏側をべろべろ舐めていた。
ついおとといくらいまでミュミュの舌は、全然滑らかで、犬みたいだったのに、
今日はざらざらとして痛かった。
痛くすぐったい感じで、思わずエヘヘヘヘ、と笑ってしまったが、
なんでそんなところを舐めていたのか。
塩気があっておいしかったのかな。

その後には、仰向けに寝転んで本を読んでいる私に、
ピョンっと乗ってきて、胸まで来たな、と思ったら顔まで来て、
鼻の天辺をべろべろと舐めてくれた。
今度は油っぽくなかった?


* * *

ミュミュに触られたくないコチカ。
ミュミュが追ってくると、コチカは物見台へ行く脚立の上に逃げる。

ミュミュはどうあがいたって、脚立の一段目に届かない。
だからか、窓の敷居の下の木枠部分に飛びついてみている。
それだって全然届くわけもないので、壁に張り付いているだけだが。
脚立に上ったコチカは、それをじっと見ている。

またあるときは、ミュミュが追ってくるので、
コチカは脚立に駆け上がろうとしたものの、あわてていたので、
天国への坂道を裏側に飛びついてしまった。
そして、しまったどっこいしょ、と上に上ったのだった。

ミュミュはまだこんなに小さいのに、恐いもの知らずパワーというのか、
コチカをたじたじさせるものを持っている。




 *  *  *  * 


7月23日(土)

もうミュミュはどろどろキャット・フードもかりかりも、
自分一人で食べられるようだ。

ただ、どろどろキャット・フードの方は、
お皿の中の残りが少なくなってくると、
お箸でまとめてやらないと食べられないし、

それから、上澄みでないと、水分を摂らないので、
お水を置いておいてやるだけではだめ、ということと、

上澄みにしてもどろどろキャット・フードにしても、
いつも舌を使って大人の猫ように飲むわけではなく、
顎まで突っ込んでちゅうちゅう吸い、
その後、ぶるぶる、と頭を振るので、
キャット・フードをその辺にいっぱい散らしてしまうので、
その前に口を拭いてしまいたい……これは飽くまでも人間の都合なのだけど……だってキャット・フード臭いのがたまらないんだもん……ので、
見張ってないといけないのだ。

* * *

人間二人が6時間は出かけるのに、
ミュミュをケージの中に入れておいたのに、帰宅したら、外に出ていた。
どうやらケージのドアの鍵(縦のかんぬきみたいなやつ)をし忘れたらしいが、
2匹とも無事で、にこにこ笑いながら(そんなわけないが)、出迎えに来た。

* * *

ミュミュはとても活発で、狂ったように遊んでいる。
もうよたよたしないで走り、歩くし、かなり高くジャンプもする。
棚の後ろなどに行かないように、雑誌を立てに丸めて押し込んであるのに、
あの上に飛びつけば向こうへ行ける、と踏んだのだろう。
じっと見ていて飛びついたら、本当に雑誌の高さを越えてしまい、願望がかないそうだった。


* * *

ミュミュは寝そべる私の胸の上に上ってきて、
顔をくんくんし、また鼻を舐めてくれた。
その上、噛んだ。。
痛いよやめてよ!
というと今度は鼻を下りて、唇などをざりざりざりざり。
もう結構痛い舌になってきている。
そういえば、朝も、シンクに立つ裸足の足の甲を舐めてくれたんだっけ。
嬉しいやらくすぐったくて痛いやら。。


* * *

コチカは折に触れて、人間のそばに来る。
人間二人は、コチカの歌を歌ってやり、
私はコチカが横になるまで、体を撫ぜてやる。
それでなんとかミュミュがかき回す空間にいることも緩和できるようだ。

でもミュミュが起きていて、下界(?)…床や畳…にいるときは、
コチカはたいてい、物見台か、階段下の棚の上にいるので、自分の居場所は確保できているらしい。

ただ、ご飯を食べていると、ミュミュがコチカのご飯を食べに来るのだ。
人間が見張っていて、こっちよ、とミュミュのお皿に連れていってやると、
自分のご飯を食べるのだが、ぱくぱく食べながら両者互いに、目は相手を見ている。
ミュミュは大人のやることがしたくて仕方ないらしい。

* * *

コチカは、やはりミュミュがいるときに、排泄させられるのを嫌がるようだ。
なるべくミュミュがベッドで眠りそうなときを狙ったり、
遊びに夢中になっているときには、カーテンでコチカの視覚をさえぎったり。
別に気にすることもない、ということを伝えられないところが、もどかしい。。

* * *


コチカとミュミュのやりとり:2
相変わらず、コチカに果敢にいどみかかる。
私はミュミュに、噛み付いてはいけない、優しく、遊ぼう、って言うんだよ、と教えてやった。
その様子をコチカは見ていた。
その後、すぐにミュミュはコチカに、抱きつきに行ったが、
私の言うことを守って、乱暴にしなかったのか、
コチカが私の言うことを聞いていて、ミュミュを遊んでやろう、という気になったか、
しばらくは、ミュミュはコチカの首や頭に、何度も飛びついて抱きついていた。

そのうち、コチカがちょっと手を出した。
もちろん爪は出していないし、ミュミュに触るか触らないくらいである。
ミュミュはコチカを見つめて、出方を考えている。
何回か、ミュミュが飛びつき、コチカが手を出してみたり、
ということが続き、そのうちに、コチカが業を煮やしたのか、
grrrrrrrrrr、と言ってどこかへ行ってしまった。

その調子その調子、と思うのだが、ミュミュはそのうちもらわれていってしまうのだ。。




 *  *  *  * 


7月24日(日)

朝。
ケージの外へ出しておいたら、お風呂の隅っこでおしっこをした。
それらしい匂いがしたのだろうな。
まだトイレには、居間にいる以外は自分で探そうとしない。
人がいればミューミュー声を立てるので、連れていってやるのだが。。


* * *

頭から湯気を噴いて、きゃ〜〜〜〜〜、となっている感じ。
起きているときには、走り回っている。

スリッパかじり、
コードかじり(危ないので、気づき次第新聞広告を巻いている)
ティッシュと格闘、
が好き。

中継地点である人間にも平気で飛びつき、毛繕いなぞして休んだり、
次に何をしてやろうか、と考えていたり。
眠ってしまうこともあるので、そっとベッドに移してやる。
すると、
部屋の中の空気が止まり、し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん、となり、
なぜか、すっごく救われた気分になる。
ようやく呼吸ができるというか。
きっとコチカもそうだろう。。
私の横に来て、やれやれ、という表情で横になる。

ちょっとでも隙間があると、入り込んでしまうので、見つけ次第徹底的にふさぐ。

昨日は乗れなかった居間の窓枠に、上れた。

コチカを追っていくと、
コチカは階段下の爪とぎが設置している柱から、棚の上に飛び移る。
コチカのところへ行きたいミュミュは、それをどうしてもまねをしたいらしく、
下から首を思い切り折り曲げ、顔を上に向けて、柱の上をじっと見つめ、
それからコチカをじっと見ている。
きっと頭の中でシュミレーションをしているのだろうな。
でもちょっと無理よねえ。


* * *

病院に行き、虫下しの薬を飲ませてもらった。
フロントラインのスプレイ(業務用だそうです)を2箇所にシュッとしてもらった。
やったー
体重550g。


* * *

里親さんが決定した。
私の知り合いで、私のことをよくわかってくれている人である。

先住猫:スター♂が交通事故で顎を骨折したのがようやく治ったばかりで、
その上去勢をしたので、やけに人懐っこくなっていて、かわいそうに思うので、
もしも7月一杯待って誰も声が上がらなかったら、引き取ります、
という条件だったのだが、

ミュミュがまだ人の足音には慣れないらしく、
人がどたどた歩いていると、身を縮めて物陰かから様子を伺っている、
という状態の今、もらってもらった方がよいのではないか、
と相談したところ、
もうご飯も一人で食べられるのなら、とOKしていただいたのである。

コチカ一匹しか飼えないうちの状況と、拾い猫をどうするか、
という問題について、深い理解のあっての決心だと思うと、
大変にありがたく、嬉しく、心底ほっとした。

その方の息子さんが、ミュミュの写真を見て、ほしい、
と思ってくれたのだそうで、大事にしてもらえそうで、嬉しい。

ただ、スターくんと仲良くなれるかどうか、心配ではある。
スターくんは、外にも出られるので、コチカほどのストレスはないかもしれないが、
でも、外に出られるなら、帰ってこなくなる心配も、ある。
どうかそうはならないように、と願っている。


* * *

夕方。コチカの散歩。
夫がコチカに噛まれた、と蒼白の顔で戻ってきた。

左手の甲に、ぷっつりと歯の跡があり、血が流れ、内出血もしている。
コチカが本気で噛み付いた、と夫はショックを受けていて、手が震えている。

夫と散歩に出たコチカは、十字路の奥の駐車場の向こうにいた猫:ミルボーか(?)を、じっと見ていた。
あまりに長々と時間をかけているので、何度が声をかけた後、抱き上げようとしたら、
いきなりコチカが噛み付いたのだそうだ。

ストレスだろうな、と夫は言う。
ミュミュがいるせいで、ストレスがかかるのはわかる。
が、しかし、と私は思う。

自分だって拾われた身なのだ。
あの日、あのまま寒い夜を迎えて凍えて死んでいてもよかったというのか。→奮闘記1
同じ身の上の子猫が気に入らないので、いらいらして当り散らして良い、という理屈があるか?
キャット・フードだって誰に買ってもらっているのだ。
私は頭に来た。

まだ興奮状態だというので、玄関の木の切り株に結わえてあるというコチカのところへ行って、言ってやった。
○。○○(夫の呼び名)に噛み付いたって?
コチカは、低い声で、うぇ〜、と言った。
そんなことしていいと思ってんの?
また、うぇ〜。

確かにまだ興奮状態なのかも知れない、と思い放っておいたが、
蚊が多いので、まもなく中に入れた。

私は黙ったままコチカを中に入れた(こういうときに改めて気づく。普段私はコチカによくしゃべるな。。)。
なんか力が抜けていて、ぼーっとしているコチカ。
それでも台所にくると、夫に足にすりすりした。
弱々しい感じ。
猫なりに、悪いと思っているのだろうか。

夫は、やりたくないけどカツオブシやるぞ、といいながら、お皿を差し出した。
コチカは普通に食べた。

* * *

実際のところ、コチカが何かに集中していて動かなかったら、どうするか。

私はコチカは私には本気で噛み付いたり爪を立てたりしたことがないので信頼はしているが、
でも、獣のことだから、わからない、という部分があり、
コチカが猛りそうなときには、なるべく体に触らないようにしている、と夫に言った。

あるいは、
ミュミュが原因というよりは、最近コチカの足がまたまたよくなってきて、
塀にも飛び乗れるようになったし、こうしたい、と思うことが増えてきたのではないか、とも思う。
コチカの実際の運動能力というか、この間のペッタンに飛び掛ったときの瞬発力にしても、
大した実力を持っている。
実力があれば精神世界も広がるし、希望も膨らむ。
縄張りにいるオス猫がいたら本能的に、追っ払わねば、という衝動に駆られるのだろう。


夫は、
やはり去勢をした方がいいのではないか、と言う。
そうね。。
私もそろそろかな、と思うようになってきた。

いつもの順序が、頭の中を駆けめぐる。
あそこの塀へ上ってああ行けばこうなって、というシュミレーションがコチカの頭の中にあって、
それがあるから、筋肉が衰えずにすんでいるのかも知れない。
でも、実際には絶対に行かせてはもらえないし、それから来るフラストレーションを考えたら、
去勢した方が、精神的なダメージは軽減できるのだろう。

でも一方で、フラストレーションが溜まるのも季節的なもので、年に数回である。
それ考えると、元気に動き回れる肉体を維持できていたほうが、まだ幸せなのではないか、
と思う。。

でもそこがもう限界に来ているのかもしれない。

でも折角の能力を何も使わないうちに放棄させるのか、という無念さもある。
その能力の究極は、といえば生殖なのであって、コチカは実際、使うことはないが、
しかしそれがあるゆえの運動能力なのである。
健常猫なら、もっと早い時期に去勢していたと思うが、でもコチカは足腰が弱いのである。
でも、最近はよくなってきたから、じゃあもういいのか。
でも去勢することによって、また弱くなり勝ちだったら?
夫は、コチカは歩けるだけでもよしとすべきなんじゃないか、という。
そうかも知れない。
でも、でもでもでも。。
楽な精神世界を保つことがやはり一番大切だとは思うが。。

*

私はコチカがミュミュに噛み付くのが恐いので、
コチカに向かっていくミュミュをとにかく牽制した。

夫は、
コチカはミュミュに当たれないので、人間に当たったのかもしれない、という。
それもそうかもしれない。
不思議にコチカは、今のところ、ミュミュには本気で手を出していない。
しかも、CHA〜、とか、うがー、とか言うけれど、ミュミュに直接言うことは滅多になく、
ほとんど、自分が声を上げている、という感じである。




 *  *  *  * 


7月25日(月)

朝。
ミュミュがトイレにウンチをしてあったので、
始末したあと、シートを敷かないまま、台所に放置して、
他の事をしていたら、シートのないトイレに、おしっこをしていた。


* * *

夫は、昨日コチカに噛まれた手が腫れ、
下に下ろすと痛い、という状態なので、病院に行った。
破傷風の注射をしてもらい、痛み止めと可能止めの薬を処方されている。
夜、帰宅しても依然として赤ん坊の手のようにぼーんと腫れている。

* * *

ミュミュは、走るのがすごく速くなって、黒いので、本当に蜘蛛みたい。
暗い廊下を人の足元をすり抜けていくと、錯覚を起こしたのかと思う。

遊びまわって疲れると、空間の中央に位置する私(?)膝によじ登り、寝てしまう。
人の肌との接着点が熱くなってくると、下りて畳に寝ている。
あまりに小さい。。

うちに来てしばらくは、ベッドが唯一の安住の場所だったが、
今は真っ先にベッドへは行かず、まず私の膝に来る。
ミュミュの行動の動線として、ケージにはわざわざ行くことになるからかも知れない。
でも、こうして人に慣れておけば、新しい里親さんにもらわれていっても、
すぐに人を信頼できるだろう、という気がする。

そのうちに私がそうっとベッドに移すのだが、そのとき目を覚ましても、
ベッドの毛布に下ろすと、ベッドだとすぐにわかるらしく、頭を毛布に押し付ける。




 *  *  *  * 


7月26日(火)

どこででも眠るミュミュ台風7号が午後にも関東に上陸するかも、というので、
雨の少ないときを狙って、買い物に行ってきた。

帰ってくると、コチカが、うにゃ〜ん、と甘えてくる。
ミュミュは物見台の1階(?)に横になっている。
もしかしてケンカした?
コチカはやられっぱなしなの?
おじさんだからねえ、しょうがないよ。
でも手荒なまねをしないので、本当に偉いと思う。
手を噛まれる前までは夫も、コチカって本当にいいヤツだよな、と言っていた。


本日のバトル1

コチカを撫ぜているといつの間にかミュミュがやってきていた。
ミュミュは私の膝から、コチカに飛びつく。
蜘蛛が手を広げて、べしゃ、とコチカに抱きつく感じ。

コチカが、がががが、と声を上げたので、
ミュミュに、噛み付いたらだめ、優しく、遊ぼ、って言うんだよ、といつものように言ってやった。
しかしミュミュはすでにハイになっていて、聞いていないようだ。
でもコチカは、私がミュミュに言ったことを聞いているので、
ミュミュがどう出るか、様子を見ているらしい。
ミュミュはもう一度、飛び掛っていった。
コチカはしばらく我慢していた。
ミュミュが一度下に落ち、もう一度飛びついていくと、コチカは手でミュミュをぺん、と叩いた。
これがどういうことを意味するのか、
ミュミュは、コチカの真下からコチカをじっと見上げて、
みゃあ、と小さくいい、また飛び掛ろう、としたところで、コチカが退散した。
追いかけていくミュミュ。
まあ、二人でやってなさいな、と苦笑する私。
見ていると大変に楽しい光景ではある。

* * *

物見台の下で寝ていたミュミュは、私の膝に来て、私の手とレスリングする。
しかし、手の柔らかい部分に触ると、みゅ、と声を上げながら、強く噛み付き始める。
こういうときは、お腹が空いているのだ。
ならば、かりかり/どろどろキャット・フード共にいつも食べられるようにしてあるので、
自分で食べに行けばいいのに、なぜか人の膝の上にとりあえず来る。


* * *

台風の影響で、とー然お散歩はなし。
仕事場で、私の隣で満足そうに寝ているコチカ。
ミュミュは居間の物見台の1階だろう。

*

晩御飯。
ここからバトル2が始まる
コチカが邪魔されないように、ときどきは私がミュミュを牽制する。
ケージの中のミュミュのご飯にもカツオブシを少しだけやる。

しかしご飯を食べ終わるや、2匹は追いかけっこを始める。
コチカは、うごおおおおおおおおおお、と猛獣のような声を上げて走っている。
ミュミュは体が小さい分、思い切り全速力で走れるということだろうか、
ぶつからずにうまく曲がれるよう、注意深く走っているコチカと引けをとらない速さである。

ごおおおおおおおお、と言いながら、コチカが居間に走りこんできた。
何とかしてよ、と言わんばかりのまん丸の目を私に向け、脚立にのぼり、物見台へ行った。
そこまで行けば、もうミュミュが追ってくる心配はないので、コチカは振り返りもしない。

どうしても行きたいミュミュは、(どうにも笑えるのだが)とりあえず物見台の1階に行ってみる。
そしてみゅ、みゅ、と声を上げながら、カーテン飛びつき、それでもまだ遠すぎる、と思うのだろうか、
また畳へ下りて、狂ったように走り、目に留まるものすべてに手を出し、遊ぶ振りをしてみるが、
気持ちが猛っていて、どこかへ走り去ってしまう。

ミュミュがいないわずかな間に、コチカが、いゃ〜〜〜〜〜〜〜ん、と言いながら入ってくる。
いつもの私がいる辺りに座りたいのだろう。
しかしすぐにまたおチビさんが来るのはわかっている。
ったくもう、といわんばかりに、ふっ、ふっ、と鼻息を荒げながら、ご飯を食べに行く。
せめてご飯くらいはゆっくり食べた方がいいだろうと、お皿を階段下の棚の上に上げてやった。




 *  *  *  * 


7月27日(水)

え、27、という数字は…ひょっとしてもう7月も終わり???
げー!!!
小さな珍客のおかげで、このひと月がひとっ飛びにどこかに行ってしまった感あり。。
楽しかったけれど。
人の成長を見るのも嬉しく、興味深いことではあるが、
こう目に見えて大きくなっていく生き物を見るのは、
凝縮した人生を早送りにして見ているようで、本当に興味深い。
良い体験をさせてもらいました。

* * *

ミュミュ、またも風呂場でおしっこ。
そういう匂いがするのだろうな。
朝、ミュミュが風呂場に行ったら、要注意である。

*

階段に上がろう、とするのを阻止するために、
20Lタンクやら古新聞を入れた袋などを置いてあったのが、
今朝になって、柱に設置していある切り売り絨毯の爪とぎを上って、
タンクの上に乗り、数段上っていた。
でもそこで、体を丸くして座っていた。
行ってみて恐くなったのだろうか。
うーん。あの手この手を考えるもの。。
次なる手は、ケージのフェンスを立てかけ、階段にガムテープで固定し、
その横にタンクを置いた。
これでしばらくはまた大丈夫だろう。


* * *

トイレまでの距離は?

夜。
コチカの散歩に、一緒に抱っこされていったミュミュ。
途中から、ミューミュー鳴き出したので、おしっこかな、と思っていたのだが、
家に入るのを渋るコチカを、時間切れだと押し込んで、なだめて、
としている間に、ミュミュのおしっこを忘れてしまった。

あ、と気づいたときには、ミュミュは風呂場から出てきて、みゅ、みゅ、と鳴いている。
猫ってなぜか排泄すると、人に知らせるのだ。
案の定、お風呂の隅っこ、今朝と同じ場所におしっこがしてあった。
あーあ。どうしよう。
あと数日で人にもらわれていくのに。

どうだろう。
このくらいの年齢(生後1ヶ月と2週間弱だと人間では4歳くらい→猫の年齢)だと、
まだトイレから3m以上も離れた場所で尿意を催すと、
現在地の最寄のそれらしい匂いの場所で用を足すのだろうか。
居間にいるときには、完璧にトイレを探して目指すのに。。

しかし偉いのだ。今見たのだが、
昨日からミュミュのケージを壁から離して置いてある。
なぜかというと、ケージのフェンスに接した壁を伝って、外に出られてしまうので。

で、壁に接する側にトイレが置いてあるのだが、
壁の隅っこの壁土がはがれていて、
そこから来る特殊な匂いにそそられておしっこをしたという経緯から、
ケージの中でもそのすぐそばにトイレが置いてある。

壁から離してあるケージと壁の間は10cmほど空いていて、ミュミュがらくらく通れる。
今ミュミュは、その空間で遊んでいるうちに、例の壁の穴を見つけくんくん匂いを嗅いだ。
すると、
あれ、トイレがここにあったはず、とケージの中のトイレを確認し、
まず柵の隙間から入ろうとしたが、入れないので、あ、そうそう、と思い出し、
ケージを回ってドアに近づき、開いているドアから中に入り、
小さなプラスティック製のゾウにちょっと手を出してみて、やめて、
トイレに入り、おしっこをし、ウンチをした。
えら〜い!と感心することしきり。

それらしい匂いがすぐそばにあるにもかかわらず、正規のトイレの場所を思い出し、
容易に越えられないフェンスを回り込んで、トイレでちゃんと用を足す、
というのは、お利口の証拠だと思うのだが、これって普通?…なのだろうな。。

だからお風呂場に行ってして尿意を催すのは、
それらしい匂いがあるからで、猫的理論としては正しいのだろう。

* * *

もうひとつ気になるのが、ご飯。
そこそこ遊んでいておなかが空くと、人の手をかじりに来て、ミューミュー鳴く。
そういうときには、どろどろキャット・フードがほしいのだ。
お昼過ぎ、いつになく手を吸いたがるので、
手でおっぱいわんこをしてやったが、すぐにお皿から食べだした。
食べる、と言っても、まだちゅうちゅう派手に音を立てて、吸っている。
まだどろどろキャット・フードはやめられないけれど、確実に乳離れはし始めている。


* * *

夜のバトル3

ミュミュがコチカに抱きついていく。
私はミュミュを牽制し、
コチカに、赤ちゃん、コチカが大好きだって。遊んであげたら? ダメなら、ぺん、てしてやればいいじゃん、
と言ってやった。

するとコチカは、ミュミュがどう出るか、伺っている。
果たしてミュミュはまた抱きついていく。
コチカは、ch〜〜〜!!!、といいながら、ミュミュのおなかを少々強めに触った(叩くというのでもない)。
ミュミュは驚いたのか、コチカを向き直り、じっと見つめているものの、今度は手を出すに出せなくなっている。
コチカは堂々として、落ち着いている。
私の顔を見て、私の前を通り、脚立の方へ歩き出した。
私はコチカのおなかを撫ぜた。
コチカの後ろをとことこ追いかけるミュミュ。
手を広げて、飛びつこうとするのだが、できない。
腰を下ろし、頭をかくりと後ろに落としてじっと考えている。

コチカは台所へ歩いていった。
ミュミュはわき腹を舐めている。
ちょっと痛かったのかな。
抱っこして見てやったが、なんともない。
下ろしてやると、またコチカのいる方向を見た。

お水を飲んでいるコチカにミュミュは近づいていく。
しかし、今度は恐れながらなので、近づくにつれ体がアーチ型になり、

それでもかまわず進もうとすると、ああなるのか、体がぴょんぴょん飛んでいて前に進まない。
4本の脚をつっぱらからせたまま、まん丸な背中をして、真上に飛んでいるのだ。
かわいくて、これには笑った。
そうしながらもコチカのそばにたどり着いたが、
お水を飲んでいる丸まったコチカの背中に、手が出せない。

コチカは落ち着いて飲みたいだけお水を飲み、
ゆったりした態度で、廊下に出て行った。
見送るミュミュ。

コチカ、偉いぞ。
ちゃんと教えてあげたんだね。
何をどう教えたか知らないが、
今までのように野放図に飛びかかれないだけの印象を、ミュミュに与えたのだ。
やったー。




 *  *  *  * 


7月28日(木)

ミュミュ:物見台にのぼった!ミュミュは、とうとうコチカの物見台に上ってしまった。
脚立の下に置いておいたビールの空き箱やら、
窓枠やらを利用していろいろ試してみているうちに、
脚立の一番上に上れてしまい、そこには天国への坂道があったのだ。
匂いをくんくん嗅ぎながら、恐る恐る上っていくミュミュ。
コチカが居間の入り口で、あーあ、という表情で見ている。
やられちゃったねえ。

*

階段下の爪とぎ絨毯の設置してある柱から棚に飛び移るコチカのまねをしたいミュミュ、
上をじっと見上げて、コチカと同じ上り方をして途中まで上れた。
すごいもの。
でもそこから棚に飛び移るのは、おサルのコチカだからできること。
というか、ミュミュの体の小ささではまだ到底無理である。
一旦上った柱をまた下りてきて、猫の正座をし、首をかくりと後ろへ倒して(この姿勢、ちょー可愛い)、
棚の上のコチカを見上げ、じーっと考えている。
頭の中で、コチカのところへ行く道筋をシュミレートしているのだろうけれど、ちょっとねえ。。

* * *

ミュミュは風呂場の同じ場所で、今日はウンチをしていた。
んもー
こういう場合、どうしたらいいのだろう。
もうひとつトイレを設置すべきなのだろうか。

西側に位置し、庭の風が東に吹き抜けている風呂場は、
大変に心地よく、冷たいタイルの上は動物にとっては最高の場所であるはず。

今朝そのタイルの上に、昨日ミュミュが寝ていた毛布の切れ端を洗おうと思って置いておいたのだが、
他のことをしている間に、ミュミュがござ(?)代わりに乗って毛繕いをしていた。
庭からの緑の風が吹いていく下で、冷たいタイルの上に敷いた毛布。
これが気持ちよくないわけない、と思い、放っておいた。
どうせ一晩寝ただけの毛布なのだ。
もうノミもいないはずだし、そうそう汚いわけもないだろう。
その、ミュミュがいる反対側の角っこに、ミュミュが排泄したくなる場所があるのだが、
そこにトイレを置いておいてやろうか。


* * *

夕方の散歩。
チャコちゃんのお宅の角、十字路を右に曲がったにアスカがいた。
当然追いかけるコチカ。
ミュミュを手に抱き(持ち)直し、私も付き合う。
なんとなくコチカを待っていたアスカにコチカは、右手を出して、アスカの腰を、ぺん、と触る。
本気で走り出すアスカ。
モモの木のあるお宅の駐車スペースに走りこんだ。
行きたいコチカ。
しかし、縁石から私はいけない。
コチカは、しばらくはリードを必死で引っ張っていたが、
諦め、なるべく体を伸ばしてアスカの方を向いて寝そべった。

そのお宅には、電気がついている。
だから四の五の言っていたら、聞こえてしまうだろう。
私はなるべくひそひそ声で、コチカに、もう行こうよ、私はこれ以上は入れないから、
アスカはこっちに来てくれないし、無理だよ、と得々と話した。
最初は、grrrrrr、と言っていたコチカも、にゃ、と高く小さな声で答えるようになった。
それでも動かない。
蚊も多いし、私は強硬手段に出た。
こないだ夫に噛み付いた、という事実もまだ新しいので、
ちょっとこわごわだったが、コチカの体に触ると、
んがががが、と不満を表わす声を出したが、
仕方がないんだな、とコチカが思っていることが見て取れた。
コチカを脇から抱き上げ、十字路を過ぎるまで、連れてきた。
小さな猫と大きな猫を同じような持ち方をして、運んでいる。
誰も人いなくてよかったよかった。。

* * *

こうしてこれを書いている今、ミュミュは、
ちゅっちゅっちゅっちゅっ、と派手に音を立ててどろどろキャット・フードを食べている。
一人で食べている。
偉いぞ。

コチカのお皿を階段下の棚に置いてあり、
ミュミュのお皿は、いつものコチカのお皿置き場である。
なんかこれで万事よくなっている。
これでトイレが決定できれば。

と言っていても、あさってにはミュミュはもらわれていってしまうのだが。




 *  *  *  * 


7月29日(金)

ミュミュ。
抱っこして病院へ。
面白いことに、いつも散歩しているエリアから離れると、
急にミューミュー焦ったように鳴き出した。

恐いのだろう、と思い、ジャケットの中に入れる。
この暑いのにカイロを入れているかのように、熱い。

暑いしジャケットを着ないと外にでない私は、ろくに下着をつけていない。
なんか妙な感じだと思ったら、ミュミュが私の乳首をかじっていた。
ちょっと違うんじゃ???

汗だくになりながら、病院につくと、3種混合を注射してもらい、
左耳をよく掻くので、見てもらったがなんともない、とのこと。

子息の方の獣医さんは、
両耳をきれいに拭い、なんのためか、目薬もしてくれ、
よかったなあ、もらってもらえてお前〜、と言ってくれた。
ミュミュはいきなり頭の穴をいじられ、目を白黒しているところに、
目薬が口に流れてきたのだろう、舌をぺちゃぺちゃしている。
親子の獣医さんたちの協議の結果、ミュミュはメスのようだ。

* * *

午後、
ミュミュをケージに入れずに、外出した。
遅く帰宅すると、コチカはいつものように飛び出てきたが、
ミュミュがいない。
赤ちゃんは?とコチカに聞いても返事はなし。
台所でお湯なぞ沸かしていると、よたよたとやってきた黒い影。
寝ていたミュミュが、起きなくちゃ、と思って出てきたのだろう。
しょぼしょぼの目をして、抱き上げると、あー、とあくびをした。

人間がいないと2匹とも寝てるのだろうか。
心配していた、風呂場での排泄もしてなかった。

私が帰ってから、ミュミュが風呂場に入って、みゅっ、みゅっ、と鳴きながらちょこちょこ嗅ぎまわっていたので、
トイレを持っていってやったら、おしっことウンチをした。

獣医さんによると、子猫は生後6ヶ月を過ぎるくらいまでは、
やはり現在地の最寄のそれらしい匂いのところでしてしまうらしい。

* * *

今日ミュミュは、ケージの柵を上って外に出てきてしまった。
そろそろかな、と予測通りのことではあるが、
まあ、夜、誰もいなくて静かにしていれば、動かずに静かにしているだろう。
明日はいよいよミュミュがもらわれていく日である。




 *  *  *  * 






お引越しの朝:なにかぼーっとするコチカ 

7月30日(土) ミュミュのお引越し

朝からミュミュのお引越しで、落ち着かない猫たち。
いつにも増して勢いのついたミュミュが果敢にコチカに向かっていく。

最後のバトルである。
コチカが廊下へ逃げると、ミュミュも猛ダッシュして追いかけていく。
結構運動になるだろうな、コチカにとっても。

玄関の方に行くと、ミュミュは別の遊びを思いついて……靴棚の蓋代わりの布で遊んだり……
しばらく帰ってこない。

居間に戻ってきたコチカが横になって、あーやれやれ、と思った頃に、
ミュミュが戻ってきて、また尻尾なぞに噛み付く。

コチカが、がががが、と立ち上がると、ミュミュの口にはコチカの毛が。
噛み付いたらだめだ、ってのに、とミュミュをたしなめる。
で、コチカには、遊んでやればいいのに、でなければ、
ちゃんと教えてやればいいのに、と言ってやる。

コチカに果敢に飛びつくミュミュ。
コチカは私の進言を守ってか(笑)、
ミュミュに噛み付き、片手を上げたまま、ミュミュの出方を見ている。

それ以来、ミュミュはコチカに近づけなくなった。
でも飛びつきたい。
コチカと遊びたい〜

バトルをふっかけるミュミュ   

ミュミュはテーブルの下で、耳を後ろに倒し、体をアーチ型にしたまま、
左へ右へ、ぴょんぴょんしながら、コチカに近づくチャンスをうかがっている。
リフト可能なテーブルの脚は2本ずつのパイプが斜めに交わっているが、
その下方のパイプをまたいだり、引っかかってずっこけたり、小猿がぴょこぴょこしているみたいである。
コチカは、その様子を立ったまま頭を低くした姿勢で、じぃっと見ている。
まさに大人の風格。
写真を何枚も撮れるだけの結構長い時間2匹はやりあっていたが、
そのうち、コチカが飽きたのか、ふい、と台所に出て行き、お水を飲んだ。

私たち人間は、つい手を休めて二匹の様子を見物していたが、
猫たちがひと段落ついたようなので、また作業に戻った。
ケージやら、ミュミュの今日一日分のどろどろキャット・フードを保冷バッグに入れたり、
今まで使っていた毛布やらおもちゃを箱に詰めたり、と結構やることが多い。
だいたい車に積み終わって、やれやれ、とミュミュを探すと、
物見台の一階の、窓ぎりぎりのところでくつろいでいた。
もうすっかりミュミュの場所である。

さあ、出かけるよ。
コチカを探すと、2階の寝室、たたんだ布団の向こうで寝ている。
なんで?
荷造りをしてるから、車に乗せられると思った?
ミュミュ、もう行くんだよ、と言ってみた。

* * *

車中では、
ミュミュが最初の頃寝泊りしていた、コチカのキャリーに入れていたので、
少々とまどっていたけれど、さしてパニックはなかった。

着くまでに3回にわけて、かりかりキャット・フードを20粒くらい食べた。
人間が食事をしている間、曇っているので大丈夫だろうと、
車の中に入れておいたら、やはり暑かったようだ。
口を開けてはーはーしていたので、あわててクーラーをつけ、冷気の吹き口に近づけた。

* * *

100円ショップで、カリカリ&どろどろキャット・フードとお水用の器、
トイレ用トレイ、今までよりも大きめのを3つほどを買い求め、いざ里親さんである友人宅へ。

先住猫のスターくんが、ぬーっと来て、ミュミュに挨拶をした。
鼻つんつんして、なかなかいい感じ。
このスターくん、2歳2ヶ月、ということだが、すっごく大きくて仰天した。
黒っぽいトラ猫なのだが、その辺にいる日本猫とは印象が全然違う。
コチカも結構大きいほうだが、1.2倍は大きい。
メスライオンのような長い顔立ちで、すっごい迫力。

友人宅は、田舎の家といったタイプで、かなり広い。
うちみたいにごちゃごちゃした感じではなく、なぜか隙間も少なそう。
ミュミュは恐れもせずにあちこちをくんくんして回って、
スターくんのキャットタワーの一番下の隠れ家の部分に平気で入っていった。
何やってんの、とついてくるスターくん。
相性がよければいいのだけど。

すぐそばにスターくんが交通事故に遭った道路はあるが、
草地もいっぱいあるし、猫にとっては棲みやすい場所のように思える。
お宅も広いし、あちこちへ行き来するのにいちいち人間に顔を合わすこともなく、のびのびできそう。
少なくとも、うちにいるよりは10倍くらいはよさそうだ。
広くて探検するところがたくさんあって、
疲れて寝てしまえば、今までの空間と違って寂しい、と思う暇などないだろうし。

持ってきたミュミュグッズの説明を簡単にして、人間は早々においとました。
友人がお別れだよ、と言ってミュミュを抱いて玄関まで来てくれた。
それまで全然声を上げなかったミュミュが始めて、
みゅーみゅー、と言った。
友人は、あれ、やっぱり分るのかねえ、と言ったが、
ミュミュは実際には何と言ったのだろう。

私は、じゃあね、と顔を見ていっただけ。
夫もちょこっと触って、じゃあ、と言っただけ。

* * *

帰宅すると、コチカがいつものように出迎えた。
なんか力のこもらない様子。
ミュミュはいないよ、と言って体を撫ぜる。
台所に来ても、なんかコチカの様子が弱々しい。
居間に入ると、ミュミュのケージのあった場所をぼーっと見て、
元のスペースに戻ったというのに、ケージのあったところを避けて座っている。
コチカなりに、ミュミュの存在を受け入れていたのだろうか。

テレビを見ている人間の横で、
ミュミュがいたときのように、私の右側で寝そべっているコチカ。
なんか毛繕いの仕方が、いつもと違う。
こういうタイミングで、手なんか舐めなかったのに、
と思うのだが、その感じがミュミュに似ていた。
まさかね。。

コチカが少々下痢便を畳につけていた。
滅多にないことである。
どしたのかな?


ミュミュが行ってしまった夜。ほっとしてる?


 *  *  *  * 


7月31日(日)

朝からしおらしいコチカ。
そういえば、夜中に一度、発作を起こして、
私の手をじっと狙っていたり、実際に噛み付いていたが、
噛み付いてみている、という感じで、本気で怒っている、というのもなかった。
私が布団の中に手を隠してしまうと、コチカはすっと立って、寝室を出て行った。

面白いことに、コチカはミュミュのまねをしている。
ミュミュは、ご飯を食べ終わったらすぐに、腕の裏側を舐めていた。
どろどろキャット・フードを食べる際に、手から腕にかけて、
べちゃっとご飯の中に浸けていたから、すぐにきれいにしたかったのだろうと思う。

一方コチカは、毛繕いの際には最初に手の先をぺろぺろする。
なのになのに!!!
いつも見慣れているコチカの毛繕いとは違い、何か目に新しいことをする、
いったい何が違うのだ?と注意してみると、
なんと、最初にミュミュがやっていたように、腕の裏側を舐めているのだ。
そんなことをコチカが見ていたとは知らなかった。
こうやって年齢は違っても、猫同士で影響しあうものなのね。
へ〜〜〜〜〜〜
他にも何かまねていることってあるのだろうな。

* * *

夕方の散歩。
夫が言うに、昨日といい今日といい、不気味なくらい従順だった、とのこと。

いつも行ってはいけない場所…人間が入れないとか、地面に濡れた枯葉が落ちているところとか……
に行こうとすると、ダメダメ、と牽制するのだが、
一回ちょこっと言うだけで、コチカはすぅっと避けて通った、というのだ。

今日一日、人に会うと、いゃっ、とか小さい声を出していたし、
しおらしい感じでよしよしいして〜、と来るし。
どしたの?

ミュミュがいなくなったのは、コチカのせいじゃないよ、と思わず声をかけそうになる。
実際問題、うちが借家じゃなく、うーんと広ければ、ミュミュを飼っていたと思うし、
理由は、それが一番大きいのだ。
コチカが外に出られないのに、ミュミュだけが出られるようになっても、
というのもあるが、それは後々解決できてもいっただろう。

……となんで、私が悶々とコチカの内心を心配しなくてはならないのか?
コチカに心の奥底を覗かれているように思えて、
別に卑屈になってなんかないぞ、と思わず自分自身に警戒してしまう。。
この狭い家の中にミュミュも一緒にいたら、互いに息詰ってしまう。
借家だし部屋が狭いから、それが一番の原因なのよ!!!

* * *

里親さんになってくれた友人に電話をしてみた。
もうミュミュはすっかり慣れて、悠々自適な生活を送っているようだ。

スターくんとも、つかみ合いをしながらも仲良くしてもらってるらしいし、
ご飯も、どろどろキャット・フードは用意してやっても食べず、カリカリを食べているという。
そして、友人いわく、クレヨンようなウンチをするのだそうだ。
クレヨン?
思わず、スターのはどんなです?と聞いたら、
人間みたいの、と言った。
どんなやねん???

スターくんは、コチカを相手することに疲れると、2階の自分の居場所に行きくつろぐのだそうだ。
なら安心。

だから空間がどうこう、というよりは、他人の持ち物が気になり始めている、というところ。
ミュミュは、スターくんのご飯を食べたがるし、
スターくんは、ミュミュのおもちゃ…ボールとか…と遊びたい。
人のものは自分のもの、それで行けー!

ミュミュは、夜はいつものケージの中で寝るのだそうだ。
コチカの物見台の1階に置いた籐椅子の下が気に入っていたミュミュのために、
ケージのベッドが置いてあった場所に、天上付の空間があれば快適だろう、と思い、
前部分が大きくえぐれていて、重ねられるようになっているタイプの書類整理ラックを100円ショップで求め、
それをひっくり返して置き、下に毛布を敷いた。
案の定、ミュミュは眠くなるとその中に入っていき、寝るそうだ。
おもしろー
これですっかり新しい家に慣れ、
体が大きくなって他に自分の場所を見つけるまでは、夜も安泰だろう。

ミュミュが果敢にスターくんに向かっていく様子などを見ていると、
全然飽きなくていつまでも見ていられる、と言ってくれた。
里親さんにそう言ってもらえて、、スターくんも面白がってくれていて、
ミュミュも快適なら、もうなーんにも心配ない。
うちにいつも通りの平安が戻ってきた、と思っても良いのよね〜

7月3日から丸々1ヶ月、楽しくはあったが、小さな巨猫に振り回された。
今まさに台風一過というところかな。
わくわくしながらも、恐れと不安でいっぱいだった。
でも、生後3週間足らずの猫を1ヶ月育ててみて、また新しい経験を更新できた。
ミュミュが健康で、気の確かだけでなく、賢い猫で本当によかった。
知識がなかったために不安だったものの、案外、順調に良い経験をしたのだと思う。
これでまたコチカの知らなかった一面もわかったし。
ミュミュ、うちに来てくれてありがとう。
スターにいろいろ教えてもらって、充実した猫人生を送るんだよ!

さて、明日から8月。
心機一転 、新しい気分でコチカとの生活を始めるぞ〜〜〜〜!!!

ミュミュのその後(05年9月初め)




 *  *  *  * 


50_その2 ⇔ 51